
世界最大のヘッジファンドであるブリッジウォーターアソシエイツの創業者でヘッジファンドマネジャーとして有名なレイ・ダリオ。
彼が、昨今の中国政府の規制強化の動きに関して、マーケットは誤解しているという見解を、自身のインスタグラムで述べた。
概略は以下の通り。
※
原文・中国政府による、①DiDiのアプリ配信停止命令、②教育関連企業の非営利化、の動きについて、36年間中国の資本市場を見てきた立場から補足する。
・まず、欧米メディアは中国共産党が国家の繫栄のために資本市場を利用している事実を信じない傾向あり。過去40年間、中国は資本市場と共に市場経済を力強く発展させてきたにも関わらず。
・その結果、欧米メディアは中国で何が起こっているのかを見逃してきており、おそらく今後も見逃し続けるだろう。
・①のケースでは、中国の政策立案者はDiDiに、上場することはベストではない可能性があり、データプライバシーの問題に対処したいと考えていることを通知した。
・②のケースでは、政策立案者は民間の教育サービスを公的教育として広く利用できるようにすることで、子供たちの教育格差と家計負担を減らすことを意図した。
・政策立案者の考えとしては、これら二つの動きは、株主にとってBad newsかもしれないが国にとっては良いことだと考えている。
・以前もこれらに類似した誤解はあった。例えば、バブル崩壊時の中国政府の市場介入や、PBOCのバンド拡大による人民元の急落時等。
・これらと同じような動きは、他国の資本市場でも何度も起こってきたし、米国や他の先進国市場での財政・金融政策介入は中国政府の介入よりも巨大であるにも関わらず、一部の投資家は中国政府の動きを反自由市場的な不適切な介入と見なした。
・上記の中国政府の対応により、中国は副次的影響をうまく抑え込んだし、彼らの行動の方向性は決して変わらなかった。そしてそれは、中国の資本市場と起業家精神の迅速かつ着実な発展、および外国投資家からの投資呼び込みの助けとなってきた。
・私からのアドバイスは、細かい動きに注目しすぎて誤解をせずに、大きなトレンドをみることだ。
・まず、中国が国営資本主義であることを理解することだ。つまり、国家は多くの国民の利益に奉仕するために資本主義を運営し、政策立案者は資本家の利益よりも国民の利益を優先する。むしろ、資本家は自身がシステムの下位に位置していることを理解する必要がある。
・また、この急速に発展する中国の資本市場で、中国の規制当局が適切な規制を検討しているため、規制が急速に変化し明確でない場合、冒頭のように反資本主義の動きと誤解されることもしばしばあると理解する必要がある。
・また、外国との政治的なリスクがあることも理解する必要がある。米国政府による、中国企業の米国市場での上場に関する政策の変更や、米国年金基金による中国への投資を禁止しようとする動きがそれに当たる。
・そのようなことが将来起こると想定した上で投資を行うべき。しかし、これらの細かい動きを中国における長期的なトレンドの変化と誤解すべきでない。また、中国の国営資本主義が西洋の資本主義のようになると期待すべきでもない。
・そうは言っても、中国の政策立案者が彼らの動きの背景をより明確に公表していないのは残念。
・アメリカと中国のシステムと市場は両方ともチャンスとリスクがあり、お互いに競争し多様化するだろう。したがって、それらは共に投資ポートフォリオの重要な部分と見なされるべきだ。冒頭のような動きを、中国における過去数十年間の大きなトレンドの逆転と誤解しないように、そしてそれを必要以上に怖がることのないようにすべきだ。
<コメント>・中国といえば、共産党の一党独裁、人権侵害、というイメージが強烈だが、習近平政権というのは国民のマス層である低所得者や弱い立場の人に寄り添う政策を立案してきた政権でもある。
・現に、個人データの保護や、教育改革に関して、大半の中国国民は歓迎している。
・また、データ保護に関して、ネット企業にとって短期的には悪影響があるも、中国のデジタルマーケットの長期的な発展にとっては欠かせないルールだ。
・中国の政策を一つ一つ見ていくと、至極まっとうな政策である。
・これを、冒頭の「一党独裁」と「人権侵害」という強烈なイメージが邪魔をして、投資家の中で「中国政府は何をするかわからない」という恐怖が広がっている。
・今中国の株式市場では、実際に起こっていることと、マーケットのとらえ方に大きなギャップがある。中国の優良企業がとんでもない安値で売られている。ここに大きなチャンスがあると思う。
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