
FIREに関する極論として、
「早期リタイア者が続出すると働く人がいなくなって経済が回らないのでは?」
という疑問を抱く人がいます。
今日はこの問いに関して考えていきたいと思います。
<資本主義経済の回り方>
まず資本主義経済の回り方についておさらいします。
資本主義は”資本家”と”労働者”で成り立っています。
例えばパン屋で考えると、まずパンの原材料やお店の賃貸料を支払うためには最初に資本が必要。
その資本を出すのが資本家。
そして、原材料からパンを作るためには小麦粉をこねたり焼いたりする人が必要。
これが”労働者”。
パン屋から労働者がいなくなるとパン屋が経営できないのは確かにその通り。
冒頭の疑問を抱く人はつまりこういう状況を想定しているわけです。
<労働者がいなくなれば経済は回らない?>確かに資本主義経済において、労働者が完全にいなくなれば経済は回りません。
しかし労働者が完全にいなくなるという事態は資本主義の仕組みからいってあり得ません。
なぜなら資本主義の最も重要な仕組みとして「価格調整機能」があるからです。
例えば、みんなが資本家を目指して労働者が減ってきた場合、
労働者がいないと困る企業はどうするでしょうか?
そうです、賃上げをするのです。
労働者の賃金を上げるということは、逆に資本家の取り分が減るわけで、
賃上げをしていく過程のどこかの時点で、
「資本家として資本収入を得るより、働いて稼いだ方がたくさんお金を稼げるぞ」
或いは、
「最近の賃上げで、資本収入が減ってきたから、また働いて稼がなきゃ生活できない」
となってきます。
資本主義経済の中では、”労働力”も一種の商品と考えることができ、
供給が減れば価格(賃金)調整が行われ、十分な供給を確保できる価格(賃金)水準に収束するのです。
このような理由から、労働者が完全にいなくなるということはあり得ないのです。
<労働者はほとんどいらない世の中になってきている>上述のように、労働者が完全にいなくなる事態は起こりえない、という前提を踏まえた上でですが、
今の世の中は今後ますます労働者が必要ない世の中になっていくでしょう。
18世紀の産業革命以降、人間や動物の筋力以外の動力源(蒸気等)が活用できるようになり、人間の肉体労働の多くは機械に代替されるようになりました。
そして余った労働力は、今までになかった新たなものを作るために活用されました。
このサイクルを急速に回すことで、人類の生活は急速に便利になっていったわけです。
そして今、AIによる新たな産業革命が起ころうとしています。
AIの進歩により、今後多くの知的労働がAIに代替されるようになるでしょう。
これによって余ってくる労働力はどこへ向かうのでしょうか?
問題は、第一次産業革命のときと比べて、現代というのは生活が便利になりすぎて、生活を豊かにする「今までになかった新しいもの」というのが限られていると考えられます。
これはバブル崩壊以降低迷する日本を見てもわかる通り、我々にとってもうこれ以上の豊かさというのはほとんどないのでは?ということを思わせます。
であれば、無理に生活を便利にすることを追い求めるのではなく、労働はAIと機械に任せて、人間はもっと自由な時間を楽しめばいいと考えることもできます。
つまり、今の生活水準を維持するのに、もう労働はほとんどいらなくなってきているし、今後AIが進歩すればますます労働はいらなくなります。
であればかつてよりも労働者が減ったとしても、経済は今の水準を維持することは可能だということです。
<まとめ>「早期リタイア者が続出すると働く人がいなくなって経済は回らないのでは?」
に対する回答は以下。
①労働者が減れば、必要な労働力を確保できるまで賃金が上がるので、人類に利益追求欲求がある限り、労働者が確保できないという事態は起こらない。
②機械やAIの進歩により、今の経済水準を維持するのには労働というのはどんどん必要なくなってきているので、無理に労働力を確保する必要性が薄れてきている。
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