
ウォーレンバフェットは超長期でS&P500をはるかにしのぐリターンを上げていることで有名です。
それゆえに彼は投資の神様とまで言われています。
世の中一般的には、彼の投資手腕、つまりは銘柄選択と投資タイミングが賞賛されています。
今回は、実は彼の高リターンの源泉は銘柄選択や投資タイミングではなく違う要素があった、というお話をします。
1.バフェットの長期リターン実際にバークシャーの2020年Annual Reportによると、1965年~2020年の55年間におけるバークシャーとS&P500の平均年率リターンは以下の通りです。
バークシャー:20.0%
S&P500:10.2%
年率リターンでいうと、バフェットはS&P500にほぼダブルスコアをつけるような驚異的なリターンを挙げています。
これがいかにとんでもないことであるかはトータルリターンをみるとわかります。
例えば、1965年に両者に100ドルを投資すると、2020年には以下になります。
バークシャー:2,810,626ドル
S&P500:23,554ドル
年率のリターン差は9.8%しかないのに、トータルではなんと100倍以上の差がついてしまいます。
これが複利の力です。
ところで、ここでちょっとした疑問がわきます。
長らくバフェットの代表銘柄であったコカ・コーラ、アメリカンエクスプレスなどは、確かに長期で見るとかなり株価は上昇したのですが、ここ数年の株価はぱっとしません。
ここで実際にバークシャーによる、コカ・コーラとアメリカンエクスプレスへの投資のリターンを計算してみましょう。
2.バフェットの代表銘柄のリターン①コカ・コーラバフェットがコカ・コーラに大規模な投資を行ったのは1988年~1989年です。(その後少しだけ追加投資してますがここでは無視)
仮に1988年末の株価でコカ・コーラに投資をした場合、2020年末までの配当を含む平均年率リターンは
12.31%/年となります。
②アメリカンエクスプレスバフェットがアメリカンエクスプレスに大規模な投資を行ったのは1994年~1995年です。(その後少しだけ売却してますがここでは無視)
仮に1994年末の株価でアメリカンエクスプレスに投資をした場合、2020年末までの配当を含む平均年率リターンは
12.25%/年となります。
STOP
つまり、バフェットの代表銘柄は年率リターン20%には遠く及んでいないことがわかります。
では、バフェットはどのように年率リターン20%を達成しているのでしょうか?
3.年率リターン20%の秘密この秘密は「フロート」にありました。
実際に、バークシャーの高リターンの源泉はフロートにあると、毎年のバフェットからの手紙でも繰り返し説明されています。
それではフロートとは何でしょうか?
これを説明するためには、バークシャーの主要ビジネスでもある損害保険会社のビジネスモデルを説明する必要があります。
保険会社では、基本的に保険料を先に受領し、保険給付金の支払いは後で行われます。
つまり、保険料を受け取ってから保険給付金を支払うまでの期間、余剰資金が生まれ、これをバークシャーでは「フロート」と呼びます。
保険会社の規模が大きくなると、連続的に保険料の受け取りと保険給付金の支払いが発生し、次第にフロートの額が安定してきます。
一般的な保険会社はこのフロートを使って、債権投資等のローリスクローリターンの投資を行いますが、バークシャーではその財務基盤の強さを武器に、株式等のハイリスクハイリターンの投資を積極的に行っています。
バフェットは借金をしないことで有名ですが、このフロートを実質的なレバレッジとして使っていることがバフェットのリターンの源泉だったのです。
4.フロートの推移ちなみに、2019年のバフェットの手紙によると、バークシャーのフロートの推移は以下の通りとのこと。

2020年末時点では$138 billionのフロートがあるとのことで、フロートの巨大さが良くわかります。
5.まとめバフェットの年率リターン20%の源泉は銘柄選択や投資タイミングというよりも「フロート」の存在が大きかったことがわかりました。
要は、バフェットと言えど純粋な銘柄選択だけで超長期で20%以上のパフォーマンスを上げているわけではなかったのです。
ここから得られる教訓としては、バフェットのようなとんでもないリターンを上げるためにはやはりレバレッジが必要ということです!
銘柄選択に時間をかけるよりも、どのようにレバレッジを利かせるかに時間をかけるほうが、リターンを押し上げてくれるかもしれません。
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