
昨今、中国EC大手アリババには問題が山積しており、株価もかなりの安値圏で低迷していました。
そんなアリババを覆っていた分厚い霧がようやく晴れてきたので概略を見ていきます。
1.アリババが抱えていた主な問題そもそもアリババが抱えていた主な問題を今一度整理してみたいと思います。
①中国独占禁止法の改正(2021年中)によるIT大手への規制強化の行方(2019年~)
②アリババ傘下のアントグループに対する金融規制の行方(2020年11月~)
③アリババの独禁法抵触にまつわる当局調査の行方(2020年12月~)
④アリババが米国HFCA法(会計監査が不透明な中国ADR株の締め出しを意図)の対象になるかどうかの行方(2020年12月~)
⑤アリババ傘下のメディア企業に対する中国政府からの売却要請の行方(2021年3月~)
このように多くの先行き不透明な問題がありました。
しかも相手は中国政府と現在中国と対立を深めている米国政府ということで、極端な仕打ちを受ける可能性も排除しきれず、アリババ株は業績好調にも関わらずかなり売り込まれていました。
2.一部の問題は終息へそんな中、直近のニュースによると②と③についてはようやく霧が晴れてきたのです。
③の独禁法抵触にまつわる当局調査の行方ですが、
4月10日の中国当局の公表によると、約$2.8bilの罰金、内部統制の強化、今後の定期的な中国当局への報告、等により大方終息したと考えられます。$2.8bilの罰金は巨額ではありますが、アリババの財務状況からいえば大したことないです。
またアリババのコメントによれば、これら対応が今後アリババのビジネスに重大な影響を与えることはないとコメントしてます。
②のアントグループに対する金融規制の行方についても、
4月12日に金融当局がアントの再編計画を発表し、それによると、電子決済サービス「アリペイ」と、短期消費者ローン「ジエベイ」、クレジットサービス「ファーベイ」の「不適切な」関係を断ち切り、アントを持ち株会社化するとのこと。こちらもある程度今後の道筋が見えました。
3.中国当局の対応に対する所感これらのアリババに対する中国当局の対応は、独裁国家ならではの過激な仕打ちかというと全くそんなことはないと言えそうです。
独占禁止法関連に関しては、アリババに対する罰則は独占禁止法に則っていますし、独禁法改正も海外の独禁法をお手本にしており中国内の健全な競争を促す意味ではとてもポジティブなものです。
またアントに対する規制も、決済のみならず融資も行っているため金融企業としての規制はしっかり受け入れるべきです。
メディアの売却要請に関しても、メディアへの規制が強い中国というのは横に置いておいたとしても、アリババのように多くの事業を手掛ける巨大企業がメディアに対して大きな影響力を持っていることは好ましくありません。なぜなら、メディアを使った自社サービスへの誘導などができてしまうためです。
例えばGoogleなども過去に、Google検索でGoogleのサービスが検索上位になるようになっていたことに対して指摘を受けたことがあります。
つまり中国というのは健全な市場経済を維持するために必要な当たり前の規制がまだまだ整っていないために、急にアリババへの圧力が増しているように見えますが、これは中国経済が今後も力強く発展していくために必要なことです。
そして中国当局の一連の対応を見ている限り、「習近平指導部の影響力を強大化させること」というよりも「中国経済をより成長させること」にフォーカスしているように見えます。
そして、中国経済の発展はアリババにもポジティブに働くので、アリババを取り巻く今回の一連の規制強化というのは長期で見ればそれほど気にすることはないように思います。
応援ボタン↓を押して頂けますと励みになります。
にほんブログ村りろんかぶお
※当ブログで紹介する理論株価は、いくつかの前提条件をりろんかぶおが独自に設定している為、その前提条件次第では計算結果が異なってきます。また当ブログは、投資に関する情報を掲載していますが、特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。また、読者が当ブログの情報を用いて行う投資判断の一切について責任を負うものではありません。
- 関連記事
-
「低年収・子持ち・投資知識ゼロの人がFIREするためにやるべきたった一つのこと」を、31歳でFIREした僕が自身の実体験をもとにnoteにまとめました。
また僕がFIRE計画時に実際に作成した収支計画表(Excel)も添付してます。必要な資産額や何歳でFIREできるかがわかりますので是非ご覧ください。
興味ある方はここをクリック!