
出典:https://www.bank-daiwa.co.jp/column/articles/2017/2017_74.html先日、ドル建て日経平均株価が1989年12月に付けた史上最高値(270.82ドル)を更新したことが話題になりました。
ところが円ベースでみると、過去最高値は38,915円であり現在の28,000円台の水準はまだまだ30%弱安い水準。
ここで浮かび上がってくる疑問が
「日経平均の本質的な価値は円ベースとドルベースのどちらで見ればいいのだろうか?」
というもの。
そもそも日経平均の本質的な価値とは何でしょうか?
これは「日本企業の集合体の本来の価値」と考えることができます。
そして、日本企業の集合体の本来の価値を1989年と現在で比べるためには物価変動を差し引く必要があります。
というのも企業の見た目上の価値というのは将来のキャッシュフローを現在に割り引いたものの合計なので、企業の本来の価値が上がっていなくても物価が上がれば企業の見た目の価値も上がるからです。
よって冒頭の質問「日経平均の本質的な価値は円ベースとドルベースのどちらで見ればいいのだろうか?」
の答えとしては、
「どちらの通貨で比較してもよいが、物価変動を差し引いて比較する必要がある」
です。
では具体的に見ていきましょう。
1.円建て日経平均の物価変動控除後の比較円建て日経平均の過去最高値:38,915円
2021年1月13日終値:28442.73円
一方で日本の消費者物価指数は以下のように推移してきました。
出典:世界経済のネタ帳1989年の物価指数が88.52に対し、2020年末は101.75。
ということは1989年の日経平均も今の物価水準で考えれば同じように上昇していなければいけないので、
今の物価水準で考える過去最高値は以下のようになります。
38915円(1989年の最高値)÷88.52(1989年の物価指数)×101.75(2020年の物価指数)
=4,4731円(2020年の物価水準でみた過去最高値)
つまり物価変動を差し引いた現在の日経平均株価は過去最高値よりも
36%程低い水準であると言えます。
2.ドル建て日経平均の物価変動控除後の比較次に、ドルベースでも同じように考えてみます。
ドル建て日経平均の過去最高値:270.82ドル
2021年1月13日終値:274.44ドル
一方で米国の消費者物価指数は以下のように推移してきました。
出典:世界経済のネタ帳1989年の物価指数が123.94に対し、2020年末は259.54。
円建てと同じように今の物価水準で考える過去最高値は以下のようになります。
270.82ドル(1989年の最高値)÷123.94(1989年の物価指数)×259.54(2020年の物価指数)
=567.12ドル(2020年の物価水準でみた過去最高値)
つまり物価変動を差し引いた現在の日経平均株価は過去最高値よりも
52%程低い水準であると言えます。
3.まとめ円建てとドル建ての過去最高値から乖離幅は異なりますが、結論として現在の日経平均の本質的な水準は過去最高値からはまだまだ低いということですね。
米ドル建日経平均株価が過去最高値を上回った理由は、企業の本質的な価値が過去最高を越えたわけではなく、単純に米国で物価が大幅に上昇したから(それに伴って円高ドル安になったから)
ということです。
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