
フィンランドの史上最年少首相サンナ・マリン氏が、2020年8月の基調演説で「労働時間短縮」を任期中の一つの目標として掲げたことが話題を呼びました。
マリン氏は、以前から現在の1日8時間勤務・週休2日制から1日6時間勤務・週休3日制を目指すとの考えを明かしており、「人は、家族やパートナー、趣味や文化など、生活の他の側面にもっと時間を使うべきだ。これは仕事生活の次のステップかもしれない」とのコメントもありました。
生産性を上げることで、給料は現状維持(労働量は現状と変わらない)し、労働時間だけを減らすという考えです。
これは「豊かさの基準をどこに置くか?」という切り口でとても面白いなと思いました。
現在の標準的な考え方では、「国の豊かさ=GDP」です。
GDPが大きいということは、モノやサービスが多く生産されていて人々の生活はとても便利であると考えることができるからです。
よって、生産性の改善が起これば、それによって余った時間をまた別の生産活動にあてて、GDPを拡大していくことこそが国民を豊かにする、と考えられているのです。
ところが、マリン氏の考え方は、「国の豊かさ≠GDP」です。
つまり、人間関係や趣味などの、GDPには表れない部分にも「国の豊かさ」を見出しているため、生産性改善によって余った時間を、それらの時間に充てられるようにすべきというもの。
国家政策的な目線ではおそらく、このような現状維持的で、いわば今後生活を便利にするためのイノベーションを一定程度放棄するような政策に対する批判的なコメントもあるでしょう。
但し個人的には、ある程度豊かになりきっている先進国はこのような考え方に徐々にシフトしていくべきだと思います。
なぜか?
生活を便利に、豊かにという人間の欲求には際限がなくどこまでも拡大できる一方、それによって限りある地球資源は着実に減っていき、環境への負荷は着実に蓄積されていっているからです。
つまり、ある時点で強制的に人間の欲求を制限しなければ、いつか地球が限界点に到達することは必至なのです。
人間はこれまで、物質的に豊かであること、サービスを多く受けられること、が幸福の指標であり、それらを獲得するために必要なお金を多く持つ人が、周囲から羨まれてきました。
ただお金を持っていなくても(最低限は必要ですが)、家族や友達との人間関係の中にだって幸福感を感じることはできますし、ただ好きなことに没頭することでも幸福感を感じることができます。
そしてこれらの幸福感は物質的な豊かさに劣後するものではないのです。
今後はもっともっとこのような面での豊かさを拡大し、自然とも共生できる道を歩んでいくべきなんだと思います。
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