
中国当局が12月24日、アリババの独占禁止法違反の疑いで調査を開始したことでアリババ株が急落中。
独禁法のどこに抵触したのかなどの詳細は未公表。
1.中国の直近の独禁法関連アクション2020年、中国当局はアリババやテンセントなどのネット大手に対し、様々な独禁法関連のアクションを取ってきました。
1月:独占禁止法の改正案(ネット大手を規制対象に追加)に関するパブリックコメント公募
11月3日:アリババ傘下の金融子会社アントグループの上場を当局の監督方針の変更で延期
11月10日:独占禁止法の改正案に関する具体的な規則案を公表しパブリックコメント公募
12月14日:アリババ、テンセント、順豊集団子会社に対して独禁法違反で罰金処分(各50万元(約794万円))
12月21日:2021年に独禁法改正することを公表
12月24日:アリババの独禁法違反の疑いで調査を開始
2.独禁法改正案の内容マーケット参加者の最大の懸念は中国当局の独禁法改正により、アリババやテンセントなどネット大手の事業活動がどの程度抑制されてしまうのかという点。
実際に1月と11月に公表された改正案の中で、ネット企業を対象にどのような項目が提案されているか見ていきましょう。
QTE
・「インターネット分野における企業の市場での優越的地位を認定するにあたり、(企業の)経済規模やデータ収集などの要素を考慮する」という文言の追加
背景:ネット企業への独禁法の執行を強化するための布石。市場での独占行為やビッグデータの運用などの取り締まりを強化することが念頭にある
・「市場支配権を乱用してプラットフォーム企業が正当な理由なく、取引先の企業に二者択一を求めることは法律違反にあたる」という文言の追加
背景:大手家電メーカーが「アリババとの取引を継続したければ、(アリババの)ライバル企業とは取引しないよう迫られた」と主張していたことなどが背景
・市場のシェアを高めるためにプラットフォーム企業が取引先に不当な値下げを強要する行為なども規制
・独禁法に違反した場合の罰金の強化
・その他、慎重に扱うべき消費者データの共有での共謀、規模が小さめの同業の締め出しに向けた連携、競争相手を排除するための補助金を通じた原価割れのサービス提供など、反競争的な行為を防ぐ枠組みを追加。
UNQTE
などなど。
確かにネット大手への規制を強めるものですね。
3.独禁法改正に対する所感但し、個人的には本改正によってアリババやテンセント、その他中国のネット企業に悲観的になる必要はないと思ってます。
なぜなら、改正案の内容はネット大手を過剰に規制するものではなく、いたって普通の独禁法の範囲内だと思うからです。
市場経済において国家が繁栄していくためには、企業間の健全な競争が不可欠です。
現行の中国独禁法ではネット企業が規制対象に入っておらず、それゆえに現在同業界において健全な競争が行われていないと感じて、当局が独禁法を改正するというのは極めて自然です。
健全な競争が行われれば、各社が技術開発により一層しのぎを削るようになるので、イノベーションを促進します。
ちなみに、GAFAMであっても米国の独禁法の下営業活動を行っているので、アリババやテンセントも同じような状況になるだけと考えることもできると思います。
確かに、今までアリババやテンセントなどはかなり甘い状況下で営業活動を行ってこれたので、独禁法改正後は多少苦しむと思いますが、長期的には健全な競争の下さらなる発展が期待できると考えています。
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