
<りろんかぶおコメント>りろんかぶおの競争優位性評価(5段階評価)⇒
★★★★☆・3Mは世界最大手の化学品メーカーです。3Mで思い出されるのは、世界中でベストセラー本となった“ビジョナリーカンパニー”(世界で最も卓越した企業群の研究に関する本)での次の一節。
「今回調査した十八社の中で、今後50年間、100年間、成功を続け、環境の変化に対応していく企業を一社だけ選べと言われれば、私たちは3Mを選ぶだろう。」
・“ビジョナリーカンパニー”では3Mの競争力の源泉を企業文化にあると説明しています。3Mでは15%ルール(勤務時間の15%迄を自分で選んだテーマや創意工夫にあてるよう奨励するルール)に代表されるように、個人の創意工夫を最大限に促すような制度がふんだんに整えられております。各社員にチャレンジを奨励し、小さなアイデアを大事にし、必要なだけの自由を与える、長年にわたって形成された3Mの企業文化こそが3Mが今後も反映し続けると確信できる最大の要因と説明します。
・3Mの事業戦略は、競争の激しい市場を避け、市場規模が小さくても先駆者の少ない市場を狙い、常に新商品を投入し続け、沢山のトップシェア商品を確保し続けるという「ニッチトップ戦略」です。この戦略は、獲得できるそれぞれのマーケットサイズが小さいですし、3Mのような大企業がこの戦略をとるには、膨大なニッチトップ製品群を生み出し続けねばなりません。
・故に大企業にはあまり向かない戦略ですが、3Mは敢えてこの戦略をとり、膨大なニッチトップ製品群を生み出し続けるために15%ルール等の企業文化を作ってきたわけです。これが、3Mがイノベーションマシーンとたとえられるゆえんであり、これを100年以上出来ているということ自体が企業文化という3Mの競争優位性が今後も持続的であると思わせてくれるところです。
・3MのROEは40%を超え、営業利益率は約20%に達します。少ない資本で製品を製造し、一つ一つの製品に大きな競争力があるがために大きな営業利益率を確保できるのです。
・具体的な製品を見ていくと、3Mの売上の多くは、万が一にも間違いがあってはいけない自動車、船舶、飛行機などの工業向けや、人命にかかわる医療・セーフティ向け製品、からなっており、こういった分野では長年の実績が信頼につながり、「ほかに安い製品はあるけど、万が一それが原因で大きな事故につながったら取り返しがつかない。それだったら実績が十分な3Mの製品を買おう」となるわけです。このような顧客が抱く3Mへの信頼が他社との差別化要因・競争力の源泉になっていると考えられます。
<理論株価>187.00ドル(2021年12月31日時点)
※1 直近3年間のフリーキャッシュフローの平均が今後半永久的に2%(米国の平均インフレ率)ずつ成長していくと仮定し、Discounted Cash Flow(DCF)法で計算。
※2 DCF法の概要は
こちらご参照。
NYダウ銘柄理論株価一覧は
こちらご参照ください!
<セグメント毎ビジネスモデル>Safety and Industrial
・個人用保護具や安全対策製品などのセーフティ関連製品の販売。
・自動車、船舶、飛行機やその他工業向けの化学製品販売。主にテープ、研磨剤、接着剤、塗装、充填材等。
Transportation and Electronics
・貨物船、電車、スクーター等、幅広い輸送手段の製造に必要な製品の販売。
・コネクトケーブル、表面保護テープ、半導体部材等のエレクトロニクス関連製品販売。
Health Care
・医療用機器、スキンケア、感染防止関連の製品販売。
Consumer
・ポストイット、テープ等の家庭用品、文房具関連などの製品販売。
<決算情報>・売上は35,355百万ドルと前年対比9.9%増、全セグメント、全エリアで販売量が増えたことが主因。特に中国の伸びは17%と強い。
・純利益は5,921百万ドルで前年対比10.0%増加、上述の増収効果と実質税率の低下の恩恵を、コロナからの需要回帰によるサプライチェーンの乱れ、原材料価格高騰、輸送コスト高騰などのコスト増が一部相殺。
<補足>・3Mの業績に重大な影響を与えるものとしてPFAS訴訟というものがあります。」
・PFASとはパーフルオロアルキル化合物及びポリフルオロアルキル化合物(poly- and perfluoroalkyl
substances)の略で、約 4,500 種類の合成化学品の総称です。耐火性・耐水性・耐脂性という物理的性質をもっており多種多様な産業・商業製品に使用されています。
・ところがこのPFAS、2000 年代初頭に「残留性が高く、生体内に蓄積されやすい性質があり、毒性がある」と認定されました。PFAS が一度自然環境へ放出されると、その分散性の高さから、地下水及び地表水を汚染し、ひいては飲料水が汚染される可能性があります。
・そして3Mの多くの商品の中に、かつてPFASが含まれていました。そしてそのPFASによる水質汚染やそれに伴う人的被害から、3Mは米国内の多くの州から訴訟を受けています。法規制上は3Mに非があるのは明らかで、今のところアラバマ州には$35 million、ミネソタ州には$850 millionを支払って和解しています。
・その他にも、ニューヨーク州、オハイオ州、ニュージャージー州、ニューハンプシャー州など含め11州から訴訟を受けており、ミネソタ州だけを見ても$850milだったことから、その合計金額は超巨額になると考えられています。この点はしっかりリスクとして認識しておく必要があります。
<財務情報>









応援ボタン↓を押して頂けますと励みになります。
にほんブログ村りろんかぶお
※当ブログで紹介する理論株価は、いくつかの前提条件をりろんかぶおが独自に設定している為、その前提条件次第では計算結果が異なってきます。また当ブログは、投資に関する情報を掲載していますが、特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。また、読者が当ブログの情報を用いて行う投資判断の一切について責任を負うものではありません。
- 関連記事
-
「低年収・子持ち・投資知識ゼロの人がFIREするためにやるべきたった一つのこと」を、31歳でFIREした僕が自身の実体験をもとにnoteにまとめました。
また僕がFIRE計画時に実際に作成した収支計画表(Excel)も添付してます。必要な資産額や何歳でFIREできるかがわかりますので是非ご覧ください。
興味ある方はここをクリック!