
アップルの共同創業者スティーブ・ウォズニアック氏が共同創業者を務めるEfforce社が、12月3日に「WOZX」という仮想通貨を世界で初めてシンガポールのHBTC取引所に上場しました。
上場後わずか13分でその時価総額を上場価格の10倍となる9億5000万ドル(988億円相当)に達したことから関心が非常に高まっています。
Efforceが提供するサービスは、企業内のエネルギー効率化プロジェクトの資金調達を合理化するためのブロックチェーンプラットフォームなのですが、かなり複雑でどの記事を見てもしっくりくるものがなかったので徹底分析してみました。
参考にしたのはEfforceのHPに掲載ある
White Paper。
ただ正直、説明不十分感が否めず、米国のサイトなどを見ても「仕組みがよくわからない」とのコメントも多いです。
仕組みが不透明な部分もあるのですが、わかる範囲で説明していきたいと思います。
1.背景知識EU域内では排出量取引制度があり、対象の企業に一定の排出枠が定められ、その排出枠を超えてしまった企業は、排出枠が余っている企業から、超過分の排出枠を購入しなければならないという制度。
これによって二酸化炭素排出量を抑制させるインセンティブを働かせる取組です。
Efforceのビジネスモデルはこの排出量取引制度を基にするもので、EUの規制当局からも承認を得ている模様。
2.Efforceとは?簡単に言うと、以下3者を効率よく、かつ低コストに結び付けるプラットフォーム
Contributor: エネルギー効率化プロジェクトに資金を投じ、そこで得られた排出枠を売買して利益をあげたい投資家
Saver: エネルギー効率化プロジェクトを実行することで、エネルギーコストを削減できる企業
Consumer: 排出枠を購入したい企業
3.プラットフォームの仕組みまず前提の理解として、Efforceプラットフォーム上では二つの仮想通貨が用いられます。
1つ目は冒頭でも紹介したWOZX。
WOZXはEfforceプラットフォーム取引に参加できる「権利」として扱われ、実際のプロジェクトへの投資などには用いられません。
2つ目はステーブルコイン。これは法定通貨にリンクした仮想通貨でほぼ現実のお金として扱えるもの。
ステーブルコインはプロくジェクトへの投資の際に使われます。
これを踏まえた上で、Efforceプラットフォーム上の流れは以下の通り。
1. Saverが自社のエネルギー効率化プロジェクトをEfforceプラットフォームに登録申請
2. Efforceチームによるリクエストの検証・選定
3. 両社協力により必要な投資額、リターン、期間等を評価し、エネルギー効率化プロジェクトを立案。
4. SaverとContributor間の契約関係をまとめたエネルギーパフォーマンス契約(EPC)を作成
5. SaverがEFFORCEプラットフォーム上で資金調達開始
6. Contributorは自身の選定したプロジェクトに投資(ステーブルコインによって)し、Saverとの間でEPC契約を締結
7. Saverが調達した資金によりプロジェクトを実行。実際のエネルギ削減幅はスマートメーターでモニター
8. Saverはエネルギー効率化によるコスト削減メリットを享受、Contributorは投資の対価として排出枠(kWh)を入手、更にコスト削減額の少なくとも1%がWOZX保有者全体に分配される(ステーブルコインで)。
9. Contributorは得られた排出枠を自身で使用してもよいし、Efforceプラットフォーム上で売却することも可能。
10. ConsumerはEfforceプラットフォーム上でEU規制当局に承認されている排出枠を購入可能
4.なぜブロックチェーン?Efforceプラットフォームにおけるブロックチェーンの役割は、スマートメーターとリンクすることでエネルギ削減データを正確に記録することを保証することです。
ブロックチェーン技術による記録の正確性が、正確な排出枠を手に入れたい投資家に安心感をもたらすものとなるのです。
5.既存の排出権取引市場がある中なぜEfforce?Efforceを手掛けるAitherCO2社は、エネルギー効率化に関して過去8年間に2000社以上をコンサルし、合計700百万ドル以上のコスト削減に貢献してきた実績があります。
エネルギー効率化に関しての全てを知るEfforceが、投資の必要性の評価、予想されるリターンの計算、企業と投資家のための節約量とリターンの期間を詳細に分析した、いわば厳選されたプロジェクトがリストアップされるので、投資家にとっても信頼のおけるプラットフォームとなりうる点が特徴。
<感想>環境問題を解決するためのプロジェクトに資本が流れやすくするための仕組みということでとても素敵な取組。
但し概要書を見る限り、上記説明とは別に、かなり複雑な仕組みが多く、正直所見では解読がかなり困難。
練り上げられた仕組みだとは思うのですが、そもそもブロックチェーン、仮想通貨というわかりずらいフィールドの上で、更にわかりづらい仕組みになっていることから、参加者が集まるかどうかがポイントだなと思いました。
以上
いつもありがとうございます。参考になったと思って頂けた方は応援ボタンを押して頂けますと励みになります。
にほんブログ村りろんかぶお
※当ブログで紹介する理論株価は、いくつかの前提条件をりろんかぶおが独自に設定している為、その前提条件次第では計算結果が異なってきます。また当ブログは、投資に関する情報を掲載していますが、特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。また、読者が当ブログの情報を用いて行う投資判断の一切について責任を負うものではありません。
- 関連記事
-
「低年収・子持ち・投資知識ゼロの人がFIREするためにやるべきたった一つのこと」を、31歳でFIREした僕が自身の実体験をもとにnoteにまとめました。
また僕がFIRE計画時に実際に作成した収支計画表(Excel)も添付してます。必要な資産額や何歳でFIREできるかがわかりますので是非ご覧ください。
興味ある方はここをクリック!