
地球温暖化問題が叫ばれる中、世界の二酸化炭素排出量を大幅に減少させなければいけない中、走行時に二酸化炭素を排出しない電気自動車は救世主的な注目を浴びています。
但し、そもそも電気を作るために石炭や石油、天然ガスなどの化石燃料を燃やして二酸化炭素を排出しているわけですよね?
であれば、化石燃料(ガソリン)を燃焼してそれを直接的な原動力として走るガソリン車と、化石燃料を燃焼して、そのエネルギーをいったん電気に変換し、その電気で走る電気自動車では、トータルの二酸化炭素排出量は変わらないのでは?、もっと言えば車体の製造工程でも二酸化炭素は排出しているわけで、それらも総合的に考えなければいけないのでは?という疑問が出てきます。
この観点で、電気自動車は本当に二酸化炭素排出量がガソリン車と比較して少ないのかを評価するのがライフサイクルアセスメント(LCA)です。
今回はこのLCAの評価にのっとって電気自動車がガソリン車と比較して本当にエコか(CO2排出量が少ないか)?という点を分析していきます。
1.LCAとは?LCAは自動車の生産/使用/リサイクルといったライフサイクル全体で環境に与える負荷を総合的に評価する手法です。
自動車に関しては、大きく以下4つのポイントに分けられます。
A. Well to Tank
燃料を生産から自動車の燃料タンクに入れるまでに排出したCO2量。EVであれば発電、電池貯蓄時のCO2の合計排出量。
B. Vehicle Production
車両生産時のCO2排出量
C. Tank to Wheel
車両走行時のCO2排出量
D. End of life
リサイクル時のCO2排出量

出典:ゴールドマンサックス
「CO2規制の新局面:EVは「走り方」だけでなく「作り方」も問われる時代に」
2.LCA評価の注意点EVについては、製造/走行地域の電源構成によってライフサイクル全体でのCO2排出量が大きく異なります。
なぜなら電源構成におけるクリーンエネルギーの割合が大きければLCA評価によるCO2排出量は小さくなるし、化石燃料発電の割合が多ければCO2排出量は大きくなるためです。
よって、例えば電源構成におけるクリーンエネルギー割合の大きい欧州と、化石燃料割合の大きいその他地域では、EV化による環境負荷低減メリットは大きく異なるのです。
このような理由から以下では、欧州と日本を分けてLCA評価します。
3.LCA評価結果
出典:ゴールドマンサックス
「CO2規制の新局面:EVは「走り方」だけでなく「作り方」も問われる時代に」
Conventional:ガソリン車
HEV:ハイブリットカー
Next gen HEV:次世代ハイブリットカー
BEV:電気自動車
結果として、欧州ではガソリン車やハイブリットカー、次世代ハイブリットカーと比較しても電気自動車のCO2排出量が少ないことがわかります。
日本では、電気自動車はガソリン車やハイブリットカーよりかはCO2排出量が少ないものの、次世代ハイブリットカーと比較するとCO2排出量が多くなるという結果になります。
また、電気自動車はガソリン車と比較して製造時に多くのCO2を排出するため、長く使わないとエコの効果が表れません。
下図は何km走ると、ガソリン車よりもエコになるのかを表したものです。

出典:ゴールドマンサックス
「CO2規制の新局面:EVは「走り方」だけでなく「作り方」も問われる時代に」
Sedan (40kWh):40kWhバッテリー(平均的容量)を搭載した電気自動車
Luxury Sedan (75kWh):75kWhバッテリーを搭載した電気自動車
ICE:ガソリン車
40kWhバッテリーを搭載した電気自動車は約7万キロ以上、
75kWhバッテリーを搭載した電気自動車は約15万キロ以上
走ることでようやくガソリン車よりも「エコ」と言えることになります。
<まとめ>結論としては、ガソリン車との比較であれば欧州でも日本でも電気自動車は「エコ」であると言えることがわかりました。
日本においては、電源構成における化石燃料(石油、石炭、天然ガス)の割合が大きいためこれらの改善余地は大きく、そうすることでさらなる電気自動車による「エコ化」が実現できると思われます。
以上
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