
地球温暖化が叫ばれる中、その救世主的な位置づけとなっている太陽光発電。
太陽光を原料としてエネルギーを作り出すということで究極のクリーンエネルギーともいわれたりします。
一方で、「太陽光はエコではない」とする意見も。
この意見の根拠は、「太陽光システムは製造過程で大量のエネルギーを必要とし、二酸化炭素も排出するため、それも含めるとかえって火力発電の方がまだましだ」というようなものです。
今回は、太陽光発電は本当にエコなのか?という疑問に関して、データを基に分析します。
1. 発電システム別 kW当たり化石燃料消費量
出典:電力中央研究所(1999年)
https://criepi.denken.or.jp/jp/kenkikaku/report/download/dZeCT6QaPvORKVk4Xe28UygcPpJ1g0tr/Y94009.pdf
上記資料は1999年時点のものでかなり古いですが、この時点で既に太陽光発電の発電量当たり化石燃料消費量は火力発電と比べると10分の1程度で、太陽光発電は火力発電よりもエコである、ということが言えます。
その後の発電効率上昇や製造工程の改善などで、現在ではさらに化石燃料消費量は少なくなっているものと思われます。
2.Energy Payback Time、CO2 Payback Time少し違った見方としてEnergy Payback Time(EPT)とCO2 Payback Time(CO2PT)があります。
EPTとは、太陽光発電施設の製造から廃棄までに投入したエネルギーの総量を、太陽光発電によって生み出されるエネルギーで回収するのに何年かかるのか表す指標です。
EPTは短ければ短いほどいいということになります。
CO2PTも似たような考え方で、製造から廃棄までに排出されたCO2の総量を、太陽光発電によるCO2削減分で回収するまでにどれくらいの時間がかかるかを表す指標です。
これも短ければ短いほどいいということになります。
例えば、CO2PT=2年とすると、3年目以降は発電すればするほど火力発電などと比べてCO2削減効果が増していくということになります。(太陽光発電の寿命は通常20~30年といわれます)

出典:国立研究開発法人産業技術総合研究所、NEDO(2001年)
https://www.aist.go.jp/Portals/0/resource_images/aist_j/aistinfo/aist_today/vol08_01/vol08_01_p16_p17.pdf
上記は2001年のデータで少々古いですが、太陽光発電のEPTは0.9年~1.5年、CO2PTは1.4年~2.4年です。
太陽光発電設備の寿命が通常20~30年であることを考えれれば、太陽光発電のCO2削減効果は、製造や廃棄のプロセスを考慮しても、かなり高いといえるでしょう。
ちなみにもう少し新しいデータを見てみると以下の論文を発見。
論文名:ENERGY PAY BACK PERIOD AND CARBON PAY BACK PERIOD FOR SOLAR PHOTOVOLTAIC POWER PLANT
https://www.tsijournals.com/articles/energy-pay-back-period-and-carbon-pay-back-period-for-solar-photovoltaic-power-plant.pdf
これによると、EPTは2.14年、CO2PTは224.35日、ということで上記の数値とそん色ないことが確認できる。
<まとめ>
kW当たり化石燃料消費量、EPT、CO2PT、のどの数値を見ても、製造・廃棄過程を含めても太陽光発電システムはCO2削減効果が高く、エコであるといえそうです。
以上
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