
今回は、バイデン大統領の下、米国はどのように変わるのか?を見ていきたいと思います。
1.選挙結果(11月16日現在)大統領:バイデン(民主党)
上院(100議席):共和50、民主48(ジョージア2議席は2021年1月に決選投票)
下院(435議席):共和203、民主218(14議席が未定なるも民主が過半取得)
大統領と下院は民主党、上院は共和党が半数確定。つまり議会はねじれ継続で、引き続き物事が決まりづらい状況。
2.米国において法案が法律になるまでものすごくシンプルに言うと、米国で法案が可決されるには、
下院、上院それぞれで過半数の賛成が得られ、最終的に大統領が署名すること(拒否権発動も可能)で法律ができることになります。
但し、上院においては”フィリバスター”と呼ばれる議事妨害が認められており、少数派が抵抗することで実質的に採決をできなくすることができます。
フィリバスターをかわして法案採決を行うには過半数では足りず、60人以上の賛成が必要になります。
よって、今回の結果のように民主党は大統領及び下院過半数を獲得したものの、上院で60議席を確保できていない状況なので、共和党と意見が食い違う民主党法案のほとんどは可決が困難となります。
但し、フィリバスターには例外があります。
予算決議の審議プロセスでは、フィリバスターを回避できる財政調整措置が儲けられているのです。
財政調整措置の対象は、本来財政収支改善を目的とした法案(財政調整法案)ですが、近年では減税を成立させるための手段としても使われてきました(ブッシュ減税やトランプ減税)。
財政調整法案は、予算の内、年金やメディケア(高齢者等医療保険)、メディケイド(低所得者医療扶助)等の”義務的経費”や税制に限定され、予算決議の期間を超えて財政を悪化させるような法案は予算決議の対象期間に限定された時限立法となります。
トランプ減税でいうと、法人減税は恒久化したものの個人減税は2025年までの時限立法。
その他には大統領令というものがある。
大統領が議会の承認を得ることなく連邦政府や軍に直接発令することができる権限のことだ。
権限の制限範囲は憲法で明確に規定されていないが、議会を通さずに政策を実現する有力な手段となる。
3.バイデン政権による内政への影響仮に、民主党が上院で50議席取れた場合、上院議長含め過半数を獲得できるが、もし50議席獲得できなければ、共和党と意見が食い違う民主党由来法案の可決はほとんど実現困難となる。
バイデンの内政関連の公約は以下。
下院・上院共に過半数で可決(財政調整法の対象範囲ゆえ)
・法人及び高所得者を対象とした増税
・環境インフラ投資
下院過半数・上院60票以上で可決
・景気支援法案
・オバマケア(ACA)の拡大
・メディケアによる薬価交渉容認
・地球温暖化ガス規制強化
・グリーン・エネルギー奨励
・刑務所民営化の廃止
・マリファナ規制緩和
・2年間の大学無料化
・最低賃金を15ドルに引き上げ
・防衛予算拡大
4.バイデン政権による外交への影響a. 関税米国では通商政策の権限は基本的に議会にあるが、貿易相手国の不公正な貿易慣行に対する報復措置としての関税引き上げは大統領の一存でできることになっている。
・対中関税トランプ政権の下、関税強化、中国企業への規制強化(ファーウェイ、バイトダンス等)が進められた。
バイデンはトランプほど強硬策は取らないと見られているものの、中国の利己的な通商慣行や知的財産の窃取、サイバースパイといった問題に対し、同盟国と密接に協力して圧力をかけていく方針。
但し、中国と協調できるところは協調していくとの構えで、トランプに比べれば軟化。
・対EU関税航空会社(欧州エアバス、米ボーイング)への補助金をめぐり、米EU間で関税のかけあいとなっているが、EU側はバイデン政権と和解すべく話し合いを求める予定。
b. 条約の締結条約の締結は上院の3分の2以上の同意が必要。
・パリ協定トランプ政権で米国はパリ協定から2020年11月4日付で正式に離脱することとなったが、バイデンは復帰したい意向。
オバマ前大統領は2015年のパリ協定調印に際して、上院の承認を得ず大統領令に基づいて決定したが、今回も同様の扱いになるかどうかは不透明。
仮に、上院の3分の2以上の同意が必要となれば、復帰実現は困難。
・イランとの核合意復帰トランプ政権で米国はイランとの核合意から離脱することとなったが、バイデンは復帰したい意向。
これも、オバマ政権下で上院の承認を得ず大統領令に基づいて決定したが、今回も同様の扱いになるかどうかは不透明。
仮に、上院の3分の2以上の同意が必要となれば、復帰実現は困難。
・TPPトランプ政権で米国はTPPから離脱することとなったが、バイデン陣営では反対派も多く復帰するかどうかはかなり微妙なところ。TPPもオバマ前大統領の大統領で加盟していたもの。
・WHOトランプ政権で米国はWHOから脱退することを2020年7月6日に通告。正式な脱退は1年後。バイデンは脱退意向ないため、脱退は取り消しになる可能性大。
5.まとめ結論としては、民主党が上院で過半数すら取れそうもない現状では、バイデン政権下では、共和党とは意見が食い違う民主党由来の法案はほとんど通らないことになりそう。
但し、大統領令は、権限の制限範囲は憲法で明確に規定されておらず、その範囲がややあいまいなところもあるので、オバマ政権期のように今回のバイデンも色々と策を練って、大統領令で諸々突破を図ってくる可能性あり。
なんといっても、バイデンはオバマ前大統領の副大統領であったのだから。
以上
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