
中国のGoogleといわれるバイドゥ。
最近は中国版NetflixといえるiQIYI事業を開始し、いわば中国版Google + Netflixといえます。
そんなバイドゥですが以下を見てわかる通り、中国版アマゾンであるアリババ、中国版Facebookであるテンセントと比べると以上に時価総額が低いのです。
| 2020/10/6付 |
| 時価総額(10億ドル) |
①アリババ | 770 |
②アマゾン | 1602 |
①÷② | 48% |
| |
| 時価総額(10億ドル) |
①テンセント | 643 |
②フェイスブック | 754 |
①÷② | 85% |
| |
| 時価総額(10億ドル) |
①バイドゥ | 43 |
②グーグル | 1010 |
①÷② | 4% |
前回記事は以下。
バイドゥは割安に放置されている?①バイドゥは割安に放置されている?②バイドゥは割安に放置されている?③~バイドゥの広告収入はなぜいまいちなのか?~今回は、バイドゥが今後の柱として期待している動画配信サービス(iQiyi)と自動運転についてみていきます。
<動画配信サービス(iQiyi)>まずは、iQiyiの業績を見ていきましょう!
売上高推移(単位:百万人民元)
売上高前期比
事業利益(単位:百万人民元)

ここから読み取れることは以下。
・売上高は伸びている。
・ただし、前期比伸び率は年々鈍化。
・売上高の頭打ちが見える中、赤字は拡大する一方で、一向に黒字化のめど立たず。
成長分野としてはかなり厳しい印象です。
これらの背景には、動画配信サービスの競争激化が挙げられます。
動画配信サービスの大手は、バイドゥのiQiyi、テンセントのTencent Video、アリババのYoukuです。
この3社でシェアの8割ほどを占めるといわれます。
但し、動画配信サービスでは、有料コンテンツをそろえないと顧客が獲得できないためそのためのコストが莫大にかかる上に、競争激化の中利用料を値上げすることも難しいという、泥沼の展開になってしまっています。
また、テンセントもアリババも動画配信サービスの売上は成長率は鈍化傾向にあり、業界全体が飽和状態に陥りつつあることがわかります。
iQiyiを成長領域とみて巨額の投資を行っているバイドゥですが、黒字化すら危ういのでは?というのが筆者の印象です。
中国は外資規制が強く、競争にさらされにくい印象でした。
現に、バイドゥの検索、テンセントのSNS、アリババのEコマースは、海外大手のビジネスモデルを模倣することで圧倒的な利益を上げてきました。
しかし、近年の中国は国内プレイヤーが乱立し、特に新領域での上記大手三社の競争は激化しており、なかなか利益を上げずらい状況が続いているというのが現状化と思われます。
<自動運転)>次に自動運転です。
Navigant Research社による、自動運転業界の総合評価を見てみます。
右上の企業がいわゆる業界の先頭を走っている企業ということになります。

出典:Navigant Research
総合トップはGoogleのWaymoですが、”Leaders”の4社の中になんとバイドゥも含まれているのです。
マップ全体を見渡してみても中国企業はバイドゥのみ。
中国ではアリババやテンセントに加え、AutoX、Pony.AI、DiDi等も自動運転には取り組んでいるのですが、この分野ではバイドゥが頭一つ抜けていることがわかります。
また、米カリフォルニア州車両管理局(DMV)の「2019年自動運転解除レポート」(試験中に自動運転システムの故障などが生じたために実行された自動運転解除回数を少ない順にランク付け)によると、バイドゥはWaymoを抑えてトップに立っています。
技術力の高さが見られます。
ちなみに自動運転の技術進歩の進捗を見ていく上でよく使われる「レベル1~5」とは以下の意味で使われています。

出典:国土交通省
現在レベル3までは実用化レベルに達しているものの、法整備の問題で実現が先送りされている状況です。
そしてレベル4に関しては、Waymoが2018年12月に世界で初めて、有料の自動運転タクシーサービスを米アリゾナ州フェニックス周辺で提供開始。
そしてそれに続いたのがバイドゥ。
バイドゥは2020年4月20日、中国の湖南省長沙市で一般向けの自動運転タクシーの提供を開始することを発表しました。
中国における一般向けの自動運転タクシーサービスとしては初とみられ、当面は無料でサービスを提供予定。
バイドゥはさらに、2020年9月、中国・重慶のテストルートにて中国で最初の自動運転レベル4搭載のバスをデビューさせたことを発表した。
報道によれば、安全ドライバーを乗せずにリモート監視で運行され、実際に乗客を乗せて7つの停留所間を走行する模様。
ここまで見ていくとバイドゥの自動運転技術はかなり最先端を行っていることがわかります。
バイドゥが自動運転分野でここまで先頭を走れたのはその戦略の優位性にあります。
バイドゥは2017年4月に自動運転車向けのソフトウェアプラットフォームをオープンソース化するプロジェクト「Project Apollo=アポロ計画」を発表しました。
アポロ計画は、バイドゥが「アポロ」と名付けたAIを活用し自動運転を制御するソフトウェアの技術情報をオープン化したプラットフォームサービスで、HDマップサービスや自動運転シミュレーションエンジン、深層学習アルゴリズムなどのリソース共有を行うことができ、開発スピードを早めることを意図したものです。
これががっつりはまって今のバイドゥがあると言えますし、パートナー企業が既に130社以上いるため、かつてスマートフォンOSで同じ戦略をとってグーグルのAndroidが市場を席捲したように、バイドゥの自動運転技術がこの巨大市場をがめていく可能性も否めません。
STOP
ここまで見ていったときに果たしてバイドゥを買いたいかどうか?
・今まで見てきた通り、バイドゥの検索をコアとした広告収入というのは成長性が見込めない。
・積極投資している動画配信サービスも競争激化と市場飽和で黒字化すら危うい状況。
・つまりバイドゥの将来は、今のところかなりうまくいっている自動運転にゆだねられているといえる。
よって、自動運転にかけて将来の大きなリターンにかけてみたいという投資家は投資してみてもいいと思いました。
今の株価は自動運転の成功を全く織り込んでないと思いますので。
以上
りろんかぶお
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