
中国のGoogleといわれるバイドゥ。
最近は中国版NetflixといえるiQIYI事業を開始し、いわば中国版Google + Netflixといえます。
そんなバイドゥですが以下を見てわかる通り、中国版アマゾンであるアリババ、中国版Facebookであるテンセントと比べると以上に時価総額が低いのです。
| 2020/10/6付 |
| 時価総額(10億ドル) |
①アリババ | 770 |
②アマゾン | 1602 |
①÷② | 48% |
| |
| 時価総額(10億ドル) |
①テンセント | 643 |
②フェイスブック | 754 |
①÷② | 85% |
| |
| 時価総額(10億ドル) |
①バイドゥ | 43 |
②グーグル | 1010 |
①÷② | 4% |
前回記事は以下。
バイドゥは割安に放置されている?①バイドゥは割安に放置されている?②今回は、バイドゥの広告収入はなぜいまいちなのかを分析していきたいと思います。
<バイドゥの広告収入はなぜいまいちなのか?>前回の記事で、バイドゥの主力である検索エンジン含むBaidu Coreでの広告収入は、コロナの影響が大きく出る前の2019年で既に前年対比4%減少してしまっています。
同じようなビジネスモデルであるGoogleは2019年でも広告収入だけで16%の伸びを示しているのでバイドゥの業績は何とも違和感があります。
2019年は中国経済の減速があったとは言え、年率6.1%では成長しており、これは世界平均3.0%をはるかに上回ります。
ここでは、バイドゥの広告収入がいまいちの原因を数字を見ながら突き止めていきます。
まず、世界における検索エンジンシェアはどうでしょうか?

出典:Statcounter
全世界のマーケットシェアでいうとGoogleが圧倒的です。バイドゥはわずか1.14%。
但し、バイドゥの主戦場は中国国内なので、次に中国での検索エンジンマーケットシェアを見てみましょう。

出典:Statcounter
中国国内では、バイドゥのシェアは74.95%と圧倒的地位にあることがわかります。
2017年時点でいうと、中国のGDPは全世界の15%に当たります。
全世界の15%のGDPを持つ中国で圧倒的なシェアを持っているのに、広告収入ではGoogleのわずか8%ほどしか稼げていないのは不思議です。
中国では広告費自体が大きくないのか?
ということで、世界の広告費と中国の広告費を見ていきます。


出典:eMarketer
2019年の広告費実績を見てみると、中国で使われている広告費は世界の合計広告費に対してなんと24%に当たります。
そうすると、やはり中国市場で圧倒的なシェアを持っているバイドゥの広告収入がGoogleよりはるかに見劣りするのは、疑問がさらに深まります。
この疑問を解決するために、さらに、中国の広告収入占めるバイドゥのシェアを確認してみます。

バイドゥのシェアは赤枠部分ですが、近年シェアを徐々に落としており、2019年は17%となっています。
一方で、2019年の米国でのGoogleの広告収入シェアは31.6%といわれております。
https://www.marketwatch.com/story/googles-us-ad-revenue-projected-to-fall-this-year-emarketer-says-as-facebook-amazon-gain-share-2020-06-22Googleのライバルは同じくグローバル企業のフェイスブックやアマゾンなどですから、全世界の広告収入シェアも大体似たようなものと考えると、ここでバイドゥと更に大きな差が生まれてしまっていることがわかります。
バイドゥは検索エンジンの分野で約75%のシェアを誇るのに、なぜ広告収入シェアがここまで低いのでしょうか?
中国国内の広告収入シェアの内訳をみると、近年急速にシェアを挙げているのがTiktokを運営するBytedanceです。
ここから読み取れることは以下です。
従来は、オンライン上での活動に占める「検索」の位置づけは非常に大きなものでした。
一方、近年ではオンライン上の活動が多様化し、SNSに始まり、直近で勢いがあるのが動画です。
よって、「検索」が占める重要性が相対的に落ちてきているという事実があります。
広告主は当然、オンライン上で多くの人が集まるところに広告を出したいと思うので、検索を主軸にするバイドゥの広告収入がいまいちなのも納得できます。
GoogleはYoutubeなどでうまく時代の流れに対応してきましたが、バイドゥは動画に関しては競合他社に出遅れています。
ここが、バイドゥの広告収入がいまいちの原因といえるでしょう。
STOP
・とは言え、バイドゥは中国版NetflixといえるiQIYIや今後大きな市場になるとみられる自動運転でも、中国国内のリーダーであります。
・次回は、この二つの重要なビジネスの今後の展望について分析していきます。
次回に続く。
以上
りろんかぶお
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