
バークシャーハサウェイ社の8/30付プレスリリースで、バークシャーが日本の総合商社5社(三菱商事、伊藤忠、三井物産、住友商事、丸紅)に5%ずつ投資(合計で約6000億~7000億円)したことを公表して話題になりました(関連記事は以下)。
バフェットが日本の五大商社に投資!元商社マンが商社の先行きを分析一方で、これまでバフェットを分析してきた身として、かつて総合商社に勤めていた身として、今回の投資はバフェットの投資判断ではないのではと考えております。
(バークシャーにはバフェットと相棒のチャーリーマンガーの他に、トッド・コームズとテッド・ウェシュラーというファンドマネジャーがおり、彼らはそれぞれ$10 billion ~ $15 billionの運用を任されています。)
その理由は、以下の点で今回の投資がバフェットの今までの投資と大きく異なると思うからです。
1.永続的な競争優位性の観点・バフェットは投資する際に、その企業が永続的な競争優位性を保有するかどうかを非常に重視します。
・それ故に、バフェットの投資先というのは消費者に愛されるブランド企業が多いのです。(アップル、コカ・コーラ、アメリカン・エクスプレス、クラフト・ハインツ等)
・一方で現在の総合商社は投資会社です。世界中の事業や企業に幅広く投資しているコングロマリットゆえに、アップルやコカ・コーラなどのように会社としてわかりやすい競争優位性というのは持っていません。
・この点も、バフェットの投資理念からは外れてしまう。
2.ビジネスモデルがシンプルかどうかという観点・バフェットは投資する際に、その企業の事業内容を自分自身が明確に理解できるかどうか、という点を非常に重視します。
・そのようなことから、バフェットの投資対象はとてもシンプルなビジネスモデルを持つ企業が多いです。(アップルはiPhone、コカ・コーラはコーラ、アメリカンエクスプレスはクレジットカード、クラフトハインツはケチャップ、のように)
・一方、総合商社というのはいわゆるコングロマリットで、取組事業がとても幅広く、その全てを理解することは困難です。
・その点でも、バフェットの投資理念からは大きく全く異なるタイプの企業でと言えるでしょう。
3.資源への投資・バフェットは、今まで資源株への投資を否定してきました。
・なぜなら、石油やガス、鉄鉱石、石炭などのコモディティーを売る会社は、ライバル会社に対して商品における差別化ができないために(例えば、我々がガソリンを買うとき販売企業にこだわらないのと同様に)、業界内で競争優位性を確保することが困難だからです。
・一方で、総合商社の利益に占める資源の割合は非常に大きく、市場からは商社は資源株とみられています。(現在資源比率を減らす努力をしていますが)
・これも、バフェットの過去のバフェットの投資判断とはかけ離れているポイントといえるでしょう。
STOPこのような理由で、今回の総合商社への投資はバフェットの投資判断と考えることは難しいです。
一方でプレスリリースで、バフェット自らのコメントがあること(これは非常に珍しい)、長期投資であると明言していること(補佐役の二人はしばしば中期で取引を行う)、を考えるとバフェットの判断であることも匂わせます。
いずれにしても、世界的に見ると「衰退国」という位置づけの日本が、伝説の投資家に興味を持ってもらえたというのは、日本人としてうれしい限りです。
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りろんかぶお
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