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<ETFとは>ETFとはExchange Traded Fund の略で、日本語では「上場投資信託」といいます。
ETFは日経平均株価やTOPIX(東証株価指数)、S&P500等の指数に連動するように運用されている投資信託の一種ですが、従来の投資信託と違い”上場されている”という点に大きな違いがあります。
従来の投資信託は、一口当たりの基準価格が一日一回、株式市場が閉じた後に更新されます。
一方でETFは、株式市場に上場しており、リアルタイムで価格が変動し、市場が開いている間に自由に売買が可能です。
ETFは一見シンプルな商品ですが、実はその裏にはETFが「20世紀最大の発明の1つ」と言われる複雑な仕組みが存在します。
<ETFの仕組み>例えば投資家が、TOPIXのETFを市場が開いている時に購入したとします。
従来の投資信託のように、投資家からお金を受け取って、そのお金で投資信託会社がTOPIXの組み入れ銘柄、つまり東証一部上場全銘柄を買うとなると、タイムロスが生じ、その間に株価が変動してしまうため、投資家は結局購入したい価格で買えません。
そこで、ETFでは以下のような秀逸な仕組みが採用されているのです。

ETFは上場されているので、価格は需給で決まり、買い手が多ければ上がりますし、売り手が多ければ下がります。
但し、需給で決まるということは実際のS&P500の指数価格から乖離してしまうということがおこります。
そこで、乖離してしまったETF価格を、実際のS&P500の指数価格に調整する仕組みがETFの秀逸なところです。
仮に、ETFの買い手が多く、実際のS&P500よりもETF価格が高くなってしまった時のことを例にとって考えてみます。
そのようなときにはマーケットメイカーは以下のような働きをします。
①マーケットメイカーは株式市場でS&P500組み入れ銘柄を購入。
②マーケットメイカーは購入した株式バスケットを運用会社に拠出し、運用会社からETFを取得。
③マーケットメイカーは取得したETFを株式市場を通じて投資家に売却し、現金を入手。
※実際には①~③がほぼ同時に起こっているイメージ。
つまり、ETF価格が上方乖離している時、マーケットメイカーは、「S&P500現物銘柄をロング」し、「ETFをショート」しているのです。
こうすることで、ETF価格は下落し、実際のS&P500価格は上昇するので、両者の乖離が是正されるのです。
逆もまたしかりです。
株式市場の需給で決まっているはずのETF価格がS&P500指数価格に連動するのはこういったからくりがあります。
<取引価格と基準価格>但しここで一つ疑問がわいてきます。
市場の需給で決まっているはずのETF価格がたまたまきれいにS&P500指数に連動しているとすると、現物の株は購入されないのかという点です。
これはまさにその通りです。
株式市場で取引されているETFの価格は「取引価格」といいます。
一方で、マーケットメイカーと運用会社の間で取引されるETF価格は「(現物株式の総資産価値ー関連経費)÷発行済ETF口数」であらわされこれを「基準価格」といいます。(従来の投資信託の価格はこの基準価格のことです。)
そして、この「取引価格」と「基準価格」が異なるということは、ETFの性質上実際に起こります。
但し、実際には「取引価格」と「基準価格」の乖離というのは1%未満程度に収まるというのが実態のようです。
以上
りろんかぶお
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