
日本の資本主義はどのように始まったのか?
前々回、資本主義には以下三つの基本要件が必要であると述べました。
日本の資本主義はどのように始まったのか?①①私有財産権
②貨幣経済
③機械
そして前回、①私有財産権の歴史を見ていきました。
日本の資本主義はどのように始まったのか?②今回は②貨幣経済の歴史についてみていきたいと思います。
②貨幣経済1.日本最初の流通通貨日本における最初の流通通貨は、708年に発行された和同開珎といわれています。
(それ以前に無文銀銭、富本銭が鋳造されていたことがわかっているも、流通通貨として作られたものかどうかは不明)
当時政治の実権を握っていた天皇は、和同開珎を流通させるために、様々な奨励策を講じた。
例えば、価値の基準としての硬貨は、711年(和銅4年)に穀6升(現在の2升4合)=銭1文と定めたり、
物納ではなく和同開珎による納税を認めたりした。
但しその後、貨幣の原材料となる銅不足のために銅含有量を減らした新貨を次々と発行し、708年の和同開珎発行から250年の間に計12種の貨幣が発行された。
度重なる改鋳によって硬貨は価値や信用が低下して、流通の減少も止まらず、民衆の銭離れが起こった。
その結果、支払いや交換には、貨幣発効前の交換方式である物品貨幣(米、絹、布など)が再度流通するようになってしまったのである。
2.中国貨幣の普及しかし、その後再度貨幣経済が戻ってきた。
それが、中国から流入した貨幣である。
平安時代中期以降は、日宋貿易が盛んで、その貿易によって宋銭が国内に流入したのです。
鎌倉幕府は当初、宋銭の使用を禁じていたものの、民衆の間で自然と普及し、最終的には幕府も流通を認めるようになったといわれております。
その後安土桃山時代までは、中国の貨幣が流通の主役を務めるようになりました。
3.江戸時代の三貨制度戦国期には、中国貨幣に加え、米などの物品貨幣、金や銀も流通しており、貨幣状況が複雑となっておりました。
この状況を改善すべく、江戸時代になると貨幣制度が統一され、江戸幕府が金・銀・銭(銅貨)の三貨の鋳造を命じ、全国通用の正貨としたのです。
これにより、全国共通の貨幣流通経済がひとまず確立したといえるかもしれません。
但し、歴史は繰り返します。
経済規模の拡大に伴い貨幣量の増大に迫られるも、そこで貴金属不足という問題に直面するのです。
このため幕府では、計14回の改鋳により、金銀の含有量を徐々に下げていきました。
しかし、当時一部の国とは貿易を行っていたのですが、その貿易相手国の反発を招いてしまったのです。
貿易相手国からしたら、普遍的な価値を持つのは江戸幕府が発行した貨幣ではなく、その貨幣の中に含まれている金や銀の量が重要だったからです。
また、幕末に、日本国内の金銀交換比率(1:5)と、海外の交換比率(1:15)との間に差があったため、外国の貿易商は、
自国で銀を購入し、その銀を日本で金に交換し、手に入れた金を自国で販売するという、取引を行うことで大儲けをしていました。
そしてその結果、日本から大量の金が流出してしまったのです。
元々、金不足のところへさらに金が流出してしまったので、国内の貨幣の金含有量はさらに下がり、貨幣の種類の増加と貴金属含有量の低下による信用の低下により、日本の貨幣経済は危機に追い込まれてしまったのです。
4.明治時代の円登場このような状況から、明治政府も通貨の近代化に踏み切ったのです。
明治政府は現在の造幣局にあたる造幣寮を開設し、その後新貨条例を制定し、誕生したのが円です。
当時の円は金本位制を採用しましたが、金不足もあり、貿易で使用されていた銀貨も正式に認められ、実質的には金銀福保二世を取りました。
しかしその後、戊辰戦争の戦費調達、殖産興業の資金調達目的で、日本で初めて政府紙幣を発行(ただし金や銀と交換できない不換紙幣)。
一方、不換紙幣だった故に政府紙幣が大量に発行され、極度のインフレに陥り、これを解決すべく、もろもろの経緯があって最終的には1882年に中央銀行である日本銀行が設立され、豊富にあった銀との交換ができる日本銀行券が発行され、ひとまず円の信用を保つことに成功。
その後、日清戦争の賠償金で多額の金を手に入れることができ、金本位制としても安定的な円を確立することに成功したのである。
STOP
これらを踏まえると、日本において貨幣経済というのは飛鳥時代から存在していたものの、本当に安定した貨幣を確立することができたのは1882年に日本銀行が設立され、豊富な銀をバッグにした銀本位制がとられてからといえるかもしれません。
次回は、③機械の歴史についてみていきます。
以上
りろんかぶお
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