<マネーストックとは?>金融部門から経済全体に供給されている”通貨の総量”のこと。
米国では、M1とM2の統計を公開。(日本ではM1、M2、M3、広義流動性、の4種類)
米国と日本でM1、M2の定義は微妙に異なるが、米国における定義は以下。
M1:一般に支払いのために使われる通貨からなり、現金と当座預金からなる
M2:M1に流動性の高い預金口座(普通預金および小額の定期預金)を足したもの
※米国では当座預金(Checking Account)が日常的な決済に使用される口座で、普通預金(Saving Account)は利息を得るための口座で、当座預金に不足が生じたときは普通預金から補うのが般的な使い方
<米国のM2推移(直近5年間)>
出典:FRED
<FRBバランスシート推移(直近5年間)>
出典:FRB
<S&P500推移(直近5年間)>
<考察>米国のマネーストックはコロナ後に急増。(およそ$2,500 billion(100円/ドルだと250兆円))
これは、FRBが大量の資産購入を通じて、主に金融機関に資金を注入し、金融機関が民間に積極的に融資を行ったため。
事実、FRBのバランスシートもコロナ後に急増。(およそ$3,000 billion(100円/ドルだと300兆円))
FRBが金融機関に注入したマネーは、民間に貸出することで初めてM2が増加するので、FRB資産拡大幅の方がM2拡大幅よりも大きい。
M2が急増しているということは、世の中のマネーの総量が急増しているということ。
これは、コロナ不況の中でも、誰かの懐が潤っているということ。
では誰の懐が潤っているのか?
ここでは以下3つに分けて考えてみる。
①ロックダウン下でも必要とされる企業これらの企業は、ロックダウンによる影響は特に受けず、コロナの前と後で特に変化なし。
むしろ一部のIT企業はコロナ前対比で収支がプラスに。
②ロックダウン下で必要とされない企業これらの企業は、ロックダウンにより大半の収入がなくなった一方、固定費は継続。
但し、政府およびFRBからの補助及び融資などにより、先数か月分或いは1年以上のキャッシュを確保したことで、キャッシュの面ではプラスになっている可能性あり。
③個人多くの個人が失業や休業などで、元々の収入はストップしたものの、こちらも手厚い失業・休業手当により収入は維持。(大企業社員も給与維持)
一方で、ロックダウンにより生活必需以外の消費は激減。
収入は維持で、支出が減っているので、個人単位ではコロナ前対比で収支がプラスに。
STOP
これらの考察から、激増したマネーの所在は、②ロックダウン下で必要とされない企業、および③個人、にあると考えられる。
ロックダウン下で必要とされない企業の将来の備えとしてのキャッシュは、経済再開とともに収入が戻ってくると、どこかの時点で”備え”だったものが”余剰”となる企業も現れ、新規の設備投資や株主還元に向かう可能性あり。
但し、これは直接的に株の需給に働きかけるものではない。(間接的には株価にプラスの影響を与えるが)
一方、個人の余剰はどうか?
これは、消費に向かうものと投資に向かうものに分かれるが、投資に向かうものは直接株の需給に働きかけるので、これにより資産価格は通常よりも過剰に買われる傾向になる。
S&P500は既に急回復しており、それには様々な要因があると考えられるが、個人の余剰マネーが投入されたことによる要因もかなり大きいと考えられる。
以上
りろんかぶお
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