
現在、日銀の金融緩和政策として導入されているイールドカーブコントロール。
これは日銀が2016年に世界で初めて導入した金融政策ですが、現在のコロナ禍で米国FRBにても導入を検討している手法です。
今回は、イールドカーブコントロールとは何か?ということを徹底解説いたします。
1.イールドカーブとは?イールドカーブとは、債券の利回り(金利)と償還期間との相関性を示したグラフで、横軸に償還までの期間、縦軸に利回りを用いた曲線グラフのことを指します(下図)。
利回り曲線ともいい、金利の期間構造を表し、債券投資で重要視される指標のひとつです。右上がり(償還までの期間が長いほど利回りが高い)のときを順イールド、右下がり(償還までの期間が短いほど利回りが高い)のときを逆イールドといいいます。

出典:大和証券
2.イールドカーブコントロールとは?長期金利と短期金利の誘導目標を操作し、イールドカーブの形状を人為的にコントロールすることを意味します。
日銀で行われているのは、民間銀行の日銀当座預金金利(付利)の一部をマイナス0.1%(短期金利操作)にし、10年物国債金利を同国債の購入を通してゼロ%に誘導することで、イールドカーブをコントロールしています。
従来の金融政策では、短期金利のみを操作していたので、その点が異なります。
3.イールドカーブコントロールの狙いは?まず前提知識として、イールドカーブには、経済に中立的な「均衡イールドカーブ」が存在します(金融緩和的でもなく金融引き締め的でもない)。
実際のイールドカーブが、均衡イールドカーブに対してギャップがある場合、金融緩和或いは金融引き締め作用が働き、これが需給ギャップ(※)に作用していきます。
(※)需給ギャップとは、一国の経済全体の総需要と供給力の差のこと。需給ギャップがマイナスになるのは、需要よりも供給力が多いときで、企業の設備や人員が過剰で、物余りの状態。逆に、供給力より需要のほうが多いとプラスになり、物価が上がる原因になります。

出典:日銀
さらにイールドカーブの変化は、
①水準(全体が平行に下方シフトする効果)
②傾き(短期金利が低下し傾きが急になる効果)
③曲率(下方に凸の形にたわむ効果)
の3つの要素に分解することが可能で、それぞれに固有の定数をかけて足し合わせたものが需給ギャップになります。
ちなみに、①>②>③の順で、需給ギャップに働きかける効果が大きいことも分かっています。


出典:日銀
また、金利低下が経済・物価与える影響度合いは、金利の年限によって異なることがわかっていて、短期~中期の金利低下による効果がより大きいと考えらています。
このようなことからイールドカーブコントロールでは、その水準、傾き、曲率をしっかりと操作し、さらに金融緩和効果の高い中期ゾーンの金利もしっかりと低下させることで、より効率的な金融緩和を行うことができるというものです。
以上
いつもありがとうございます。参考になったと思って頂けた方は応援ボタンを押して頂けますと励みになります。
にほんブログ村りろんかぶお
※当ブログで紹介する理論株価は、いくつかの前提条件をりろんかぶおが独自に設定している為、その前提条件次第では計算結果が異なってきます。また当ブログは、投資に関する情報を掲載していますが、特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。また、読者が当ブログの情報を用いて行う投資判断の一切について責任を負うものではありません。
- 関連記事
-