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ベーシックインカムの財源議論で抜け落ちている点

20200612_ベーシックインカムの財源


コロナ感染拡大による緊急事態宣言発出に伴い国民全員に10万円が支給されました。

これに伴って改めて議論されているのがベーシックインカム(BI)です。

BIとは、政府が全国民に対して最低限の生活を送るのに必要な現金を定期的に支給するという政策です。

一見わくわくするような政策ですが、この議論でいつも抜け落ちているのが「誰が生産するのか?」という点です。


1.生きていくということと生産活動は切っても切れない関係



人間が最低限生きていくためには衣食住が必要です。

まだ狩猟民族だった頃は、自分自身(或いは村自身)の衣食住という需要を満たすために、自分自身(或いは村自身)が生産を行うという自己完結型でした。

一方現代を見てみるとどうでしょうか?

人間社会における需要は幅広くなりましたが、生きていく上で最低限必要なのはやはり衣食住です。数万年前と変わりません。

つまりベースとなる需要は変わっていません。

一方で生産サイドはどうでしょうか?こちらは大きく変わりました。
生産性向上のために、大規模な役割分担がおこりました。

衣服を生産する人は自身の需要以上に大量の衣服を。
食を生産する人は自身の需要以上に大量の食を、といった具合です。

そして、過剰に生産したものを市場でお金と交換します。
このお金と交換する形で、自身が生きていくのに必要な衣食住を手に入れるのです。

つまりお金というのは生産を行った証であるともいえます。

そしてここからわかることは、古代も現代も変わらないのは、自分自身が生きていくための需要と同量或いはそれ以上の生産を行わなければ生きていけないということです。

(産業革命以降、生産効率は大幅に改善されていますので、実は生きていくために必要な需要を満たす生産量というのはものすごく小さな労力で作り出すことができます。つまりみんな必要以上に働きすぎで、必要以上に消費しすぎなのです。)


2.BIの財源案



翻って、現在のBIで議論されている財源案は大きく分けて以下三つがあります。

①税収案

国が税を徴収し国民に配るというものです。

国民は配られたお金を元手に自身の需要を満たしていくことができますが、生産はだれが行うのでしょうか?

これはいわゆる所得再分配で、国民の一部の人が頑張って稼いだお金を政府が取り上げて、全国民に配っていくというもの。

つまり一部の国民が、全国民の需要量を満たすのに十分な量を生産しなければ成り立ちません。

頑張っただけ無駄という空気が蔓延し、頑張って稼ぐ一部の人が減少していくことは、かつての社会主義国家のソ連や中国を見れば明らかでしょう。

②政府紙幣

国が紙幣を発行し国民に配るというものです。

生産はだれが行うのでしょうか?問答無用ですね。これなら①の所得の再分配の方がまだましだと思います。

(現在のようなデフレ下で、経済の軌道修正を行うための紙幣発行を否定するものではありません)

③無税国家論

政府が資本を蓄積し、その運用益を国民に配るというもの。
これは①、②に比べればマシな考え方かもしれません。

生産活動というのは、資本と労働によって行われます。よって資本を通じて生産活動に携わり、そこで生み出した生産物を背景としたお金(運用益)を使って需要を満たしていくというものです。

国家の単位で話していますが、個人の単位にまで狭めていくと、要は「資本家」と同じことです。
資本家は自身で労働はしていませんが、資本を通じて生産活動を行っているので、生きていくことができるのです。

よって国家ごと資本家になるということですね。

但し、ここで注意点があります。

それは、資本は海外に持っておく必要があるということ。

資本主義を前提にすると、国内の資本をすべて国家が保有することはできません。

全て国家が保有するということはもはや社会主義国家と同じで、社会主義が問題があるのはご承知の通り。(労働意欲の低下による生産不足、技術革新の欠如などなど)

資本主義を前提にすれば、国家が国内の資本の40%を握ったとしても、残りの60%は一部の資本家に吸い取られて行ってしまい、通常資本家はその大半を自身の懐に蓄積していってしまうので(消費に回るのは一部)、国民に十分なお金を配ることは不可能です。(詳しい説明は省略しますが)

よって資本は海外に持つ必要があります。

但し、これは海外の労働力を搾取した上に成り立っているモデルであるといえます。

全世界で見れば、全世界の人々が生きていくのに必要な生産量というのがあって、それに必要な労働量が一定と考えれば、日本人が労働しない分、他の国の人たちが余計に頑張らなくてはいけません。

すべての国がこのような状態を目指せば、今度は「労働はだれがやるの?」という状態になります。


以上みてきた通り、①、②、③の財源案は、生産をだれがやるのか、労働をだれがやるのか、という議論が全くもって抜け落ちてしまっており、どれも「実現性に乏しい」です。


2.BIは不可能ではない?



さてここで「実現不可能」ではなく、「実現性に乏しい」といったのには理由があります。

それは、一定の条件が揃えば実現可能だということです。

それは何か?

それはAIやロボットが生産活動を自己完結でできるようになったら、という条件です。

AIが毎年必要な生産量を割り出し、自然災害などの様々なトラブルにも柔軟に対処し、AIの指示に従ってロボットが生産活動を行っていけば、「誰が生産するの?」問題は解決します。

AIとロボットを国が保有し、国は国民に生きていくのに最低限必要なお金を配り、国民は生産・労働を行わずにそのお金を使って生きていくことができます。

これでは社会主義的では?と思うかもしれませんが、そうだと思います。

ただ、社会主義の問題点というのは労働意欲の低下に伴う生産不足や技術革新の欠如だったので、その点AIとロボットは電源さえ確保できていれば労働意欲は関係ありません。

AIに技術革新が起こせるかというと、現時点ではノーだと思いますが、人類はもはや技術革新が不要なほど豊かな生活を手に入れているのでこれ以上の技術革新は不要と割り切ってしまってもいいかもしれません。(実際のところ気候変動など持続可能な世界つくりのための技術革新はまだまだ必要ですが)

以上

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りろんかぶお

※当ブログで紹介する理論株価は、いくつかの前提条件をりろんかぶおが独自に設定している為、その前提条件次第では計算結果が異なってきます。また当ブログは、投資に関する情報を掲載していますが、特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。また、読者が当ブログの情報を用いて行う投資判断の一切について責任を負うものではありません。
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プロフィール

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Author:りろんかぶお
【名前】:りろんかぶお
【生年】:1987年
【出身】:千葉
【性格】:感情の起伏ゼロ。声低め。
【学歴】:東京大学大学院卒
【職業】:2019年にセミリタイアし現在は専業投資家。
元総合商社勤務(M&A等)
【資格】:証券アナリスト
【趣味】:投資・麻雀・ランニング
【家族】:妻、子供2人
【目標】:資本を通じて社会に貢献すること
【投資デビュー】:大学3年生(小遣い稼ぎのつもりがぼろ負け。。)

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