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現代でも示唆に富む「共産党宣言(1848年)」③

共産党宣言_20200602


今回は「資本論」で有名なマルクスとエンゲルスの文書「共産党宣言」(1848年発表)についての第三回です。

現代でも示唆に富む「共産党宣言(1848年)」①
現代でも示唆に富む「共産党宣言(1848年)」②

170年以上前の文書ですが、この文書が指摘する資本主義の構造的な問題などは現在にも通ずるところがあり、資本主義の理解を深めるという意味でも投資家には示唆の多い内容になっていると思います。


3. 共産党宣言の概要


前回までで確認した歴史背景の中で、フランスにおける1830年以降の七月王政時代は産業革命が本格的に進み、資本家(ブルジョアジー)と賃金労働者(プロレタリアート)という階級が明確になり、虐げられたプロレタリアートの不満が爆発して1848年の二月革命に至りました。

「共産党宣言」の発行日は二月革命の直前1848年2月で、しかも場所はロンドン、言語はドイツ語だったので、これが二月革命に直接的な影響を与えたものではありません。

ただし、当時すでに抑圧階級であるブルジョアジーと被抑圧階級であるプロレタリアートという構図が浮き彫りになってきており、プロレタリアートを中心に社会主義・共産主義の考え方が広がっていたのは事実であり、そのような思想を文書にまとめたものが「共産党宣言」といえるでしょう。

ちなみに当時理解されていた「共産主義」とは、教義や思想というより、被抑圧階級であるプロレタリアートを解放する「運動」ととらえられていました。

では、共産党宣言とは何だったのかというのを以下で見ていきます。

・共産党宣言の目的とは?

共産主義者が自己の見解、目的、企図を全世界に表明、宣言すること。
この目的のために、様々な国と民族の共産主義者がロンドンに集まって宣言を起草したもの

・共産主義者の見解とは?

人類の歴史は階級闘争の歴史であり、1848年当時は、搾取され抑圧されている階級がプロレタリアートであり、搾取し支配している階級がブルジョアジーである。

プロレタリアートとは近代労働者のこと。生活の糧を自己の労働の販売から得ている社会階級。

ブルジョアジーとは近代資本家のこと。それまで道具(紡ぎ車や手織り機など)と手作業で行われていた生産過程を、蒸気機関を動力とする巨大な機械に置き換え、労働者を生産主体である機械の付属物のように扱う大工業における資本家を指す。(小工業家、小商人、手工業者とは異なる)

そして被抑圧階級であるプロレタリアートが自身を解放するために、団結し革命を起こし、その結果ブルジョアジーが没落し、プロレタリアートが勝利することは不可避である。

プロレタリアートは革命を通じて、自らが支配階級になり、支配階級としてブルジョアジーの権利を力ずくで廃棄し、階級闘争の社会に代わって、万人の自由の発展のために、各人の自由の発展が条件となるような協同社会(アソシエーション)が登場する。

・プロレタリアートはどのように抑圧されているのか?

プロレタリアートの労働は機械の普及と分業の発達により、機械の単なる付属物と化し、最も単純かつ単調で、最も簡単に覚えることのできる操作だけが求められるようになり、労働のあらゆる魅力が失われた。

このような構造の下、労働はあらゆる他の商品と同じ一個の商品であり、商品の価格が生産費に等しいのと同様、労働の価格(賃金)も生産費に等しい。そして、労働の生産費とは、労働者が働き続けることができ、労働者階級が死滅しない状態を保つのにちょうど必要なだけの生活費である。

他方、莫大な生産力を得たブルジョアジーは私有財産制と自由市場・自由競争の下、野放図な競争を行い、生産過剰に陥り、経済恐慌に至る。恐慌時に過剰となった生産力は破壊されるが、経済の過熱→恐慌→回復、という循環を繰り返す。

絶え間なく続くこの過程で、労働者に対する需要は経済の波ととともにとても不安定であり、さらに競争の激化に伴い生産効率が改善されればされる程、労働の不快が増大し、それに比例して賃金もまた下がっていく。

これが進展するにしたがって、プロレタリアートの不満が増大し、ついにはブルジョアジーに対する闘争が始まるのである。

・このような見解の中、共産主義者はどのような役割を果たすのか?

共産主義は、プロレタリアートを団結させ階級を形成し、民主主義を獲得(プロレタリアートの選挙権を獲得)し、プロレタリアート自らの政治的支配を利用して、ブルジョアジーの支配を打倒し、最終的に階級対立のない協同社会(アソシエーション)を登場させる、という運動全体をさす。

共産主義者はこの運動の結果を洞察した上で、この運動全体の利益を代表し、推進していくものである。

・どのようにプロレタリアートを階級化させるのか?(階級化の企図は?)

不満が爆発したプロレタリアートは、最初は個々のプロレタリアートが自分たちを直接搾取している個々のブルジョアと闘争を開始する。

これらの個々の闘争は、当初は各地域でまったく別個のものとして発生するが、それらはどこでも共通の性格を有していることと、近代工業によって作り出された運輸交通手段の改善により、次第に各地域の闘争が相互に結び付きはじめ、地方的諸闘争が全国闘争に、そしてついにはプロレタリアートという階級が組織され、一個の階級闘争に発展するのである。

この階級闘争を通じて、民主主義(プロレタリアートの選挙権。当時の選挙権は納税額の制限があったため)を勝ち取るのである。

・プロレタリアートは政治的支配を利用して具体的にはどのようにしてブルジョアジーの権利を廃棄するのか?(ブルジョアジー支配打倒の企図は?)

共産党宣言では、私有財産権と自由競争がブルジョアジーをここまで大きなものにし、プロレタリアートをここまで貶めてしまった根本的な問題と考えている。

よって、ブルジョアジーの支配を打倒するためには、主に私有財産権を撤廃し、ブルジョアジーからあらゆる資本、生産用具を奪い取り、主にプロレタリアートで組織された国家の手にそれらを集中すべきと考える。

諸方策は国によって異なるが主な方策としては以下があげられるとしている。

土地所有を収奪し、地代を国家の費用に充当
高度の累進課税
相続権の廃止
亡命者と反逆者の財産没収
国営銀行を通じて国家の手に信用を集中すること
運輸交通手段を国家の手に集中すること
国営工場と生産用具を増大させ、協同の計画に基づいて土地の悔恨と改良を進めること
万人に対する平等の労働義務。
農業経営と工業経営の結合
無償教育、児童労働廃止、教育と生産活動の結合
などなど

・そして宣言の最後に、万国のプロレタリアにこう呼びかける


「支配階級を共産主義革命の前に戦慄せしめよ。プロレタリアはこの革命において鉄鎖以外失うものは何もない。彼らが獲得するのは全世界である。

万国のプロレタリア、団結せよ!」

STOP

・その後共産党宣言は19世紀後半にかけて各国語版に翻訳され大きな影響力を与えました。資本主義に対する深い洞察が含まれており、現代においてもとても示唆に富む内容であると感じたと同時に、ブルジョアジーを打倒した後の世界を具体的にどのように運営していけばよいのか、という点についてはほとんど言及がありません。

・共産党宣言を一通り理解した上で、現代に目を向けてみるとどうでしょうか?日本の大企業では、強い労働組合が存在し、ある程度賃金交渉できる体制が整っていて、解雇に関しては労働基準法でがっちり規制されているので、共産党宣言が発行された当時よりかは資本主義が成熟し、労働者を守るための体制が整備されてきている印象です。

・一方でバブル崩壊後、平均賃金はほとんど上がらず、非正規労働者の割合はますます増大(今や4割に)し、これら非正規社員の賃上げや地位向上はほとんどなされず、少子高齢化に伴い税や保険料負担はますます上がっているのも事実。

・それでも日本の労働者は大規模な犯行を作り出すことなく、これら搾取を従順に受け止めており、世界的に見ても日本の異常さは際立っているという見方もあります。なぜ日本の労働者はここまでおとなしいのでしょうか?

・最近米国で白人警察官が黒人を殺害した事件で大規模な差別反対デモが起こっています。その中で「資本主義は死ね」というのを掲げている人がいました。この言葉は、資本主義の構造的な問題をある程度理解していないとできないコメントだなと思います。

・翻って、日本を眺めてみると、「資本主義」ということを理解している人があまりにも少ないように感じます。日本の労働者がおとなしいのではなく、資本主義がどのような構造になっているかに対して著しく知識が欠如している為に、これが普通と考えているのではないでしょうか?

・著者としては、必ずしも共産主義的な考え方を支持しませんが、人類が発展していくためには、それぞれが現在世界を支配している資本主義について考え、自らの考えを発信していくべきではないかと思います。



以上

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りろんかぶお

※当ブログで紹介する理論株価は、いくつかの前提条件をりろんかぶおが独自に設定している為、その前提条件次第では計算結果が異なってきます。また当ブログは、投資に関する情報を掲載していますが、特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。また、読者が当ブログの情報を用いて行う投資判断の一切について責任を負うものではありません。
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[ 2020/06/05 14:54 ] 13.投資の勉強部屋 | TB(-) | CM(0)
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プロフィール

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Author:りろんかぶお
【名前】:りろんかぶお
【生年】:1987年
【出身】:千葉
【性格】:感情の起伏ゼロ。声低め。
【学歴】:東京大学大学院卒
【職業】:現在はセミリタイアし専業投資家。元総合商社勤務(M&A等)
【資格】:証券アナリスト
【趣味】:投資・麻雀・ランニング
【目標】:資本を通じて社会に貢献すること


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