
2020年5月2日にバークシャーハサウェイの株主総会が開催されました。
今年はコロナの影響でオンライン開催。例年はバフェットとマンガーの二人による質疑応答ですが、今年はカリフォルニア在住のマンガーは不在(飛行機に乗るのを避けるため)。
会議のハイライトは以下の通りです。
1.2020年第一四半期決算と2020年4月の投資動向 同日朝、バークシャーハサウェイ は2020年第一四半期決算を発表。サマリーは以下の通り。
・純損益は$49.7 billion(約5兆円)の赤字。投資先株価下落に伴い$70.3 billion (約7.5兆円)の評価損が生じたことが主因。
・株式の購入は4,003百万ドル(約4300億円)、売却が2,166百万ドル(約2300億円)。現金及び保有国債は2019年12月末$128 billion(約13兆円) から2020年3月末時点で$137 billion(約14兆円) に増加。
・更に、4月は株式購入が426百万ドル、売却が6,509百万ドルであったことも言及。
従来、バークシャーは株価大暴落時に大規模な投資を行ってきただけあって、どの企業にどれだけの投資が行われたかが注目されましたが、「ほとんど動いていなかった」ことに多くの投資家が驚いたものと思われます。
2.「魅力的な投資は見当たらなかった」2009年の金融危機では、危機に瀕した金融機関を中心に、優先株を通して直接企業に資本注入する形で巨額の投資を行ったバークシャーなるも、今回のコロナショック下では、「魅力的な投資はなかった」と話し、今のところ巨額の投資は行っていないとのこと。
背景には、FRBの巨額の資本供給が、バークシャーの投資機会を奪ってしまったという事実があるようです。
バフェットは、「今はお金を借りるのに非常に良い時期です。つまり、(バークシャーのように)お金を貸す側にとってはそれほど良い時期ではないのです。」とコメント。
3.「今後、株式市場に何が起きるかわからない」 「株式市場に明日何が起きるか私はわからないし、誰もがわからないだろう。」とバフェットは述べた。
「アメリカが時間とともに前進することに関して自信はあるが、2001年9月の同時多発テロや、今回のコロナショックで学んだように、市場に関していえば何が起こっても不思議ではありません。アメリカに賭けることは賛成だが、どのように賭けるかは注意が必要だ」
「感染第2波が来たときに米国社会がどう反応するのか分からない」と彼は付け加えました。
「コロナの影響がどのくらい続くかは誰にもわかりません。ほとんどの人は、ウイルスが夏の数ヶ月で拡散がある程度減少すると思っていますが、多くの人はそれがいつか戻ってくると思っています。」
「ウイルスは私たちの今後の行動を決定します。たくさんの有能な人がいますが、未知のものもあります。そして、健康に関する未知のものは、経済に関する未知のものを生み出します。」とバフェットは付け加えた。
このようにバフェットは、現状に対しとても悲観的であり、今後の見通しがとても不透明であることを述べています。
バーゲンセールとも言われる今の市場において、不気味に積みあがったバークシャーの現金は、更なる大恐慌の到来をバフェットが予期していることを示唆しているのではないかと思わずにはいられません。
4.保有航空株を全売却バフェット氏は、米国の4大航空会社であるアメリカン航空、デルタ航空、サウスウエスト航空およびユナイテッド航空に巨額の投資をしており、2019年末時点で保有時価は$10 billion(約1兆円)を超えました。
但し株主総会にてバフェットは、4月にこれらの航空会社への株式を全て売却したと述べました。
「航空業界には非常に大きな変化が起きました。航空会社にとって世界は変わったのです。今後うまくいくことを願いますが、大きな傷を負う可能性もあります。」
「人々はこのロックダウン期間飛行機に乗らないように要請されました。今後、人々が今までと同じように飛行機に乗ろうと思うかわかりません。」
バフェット氏は、今回の自粛期間を経て、人々が元の行動様式に戻るのか疑問に思っていると語りました。
バフェットは、航空客が70~80%戻ってきたとしても、航空会社が今保有している航空機の数は顧客数に対して過剰であり、この供給過剰状態が価格競争の激化をまねくのではないかと述べています。
また、航空会社は現在政府から巨額の融資を受け、更に将来政府が割引価格での株式購入できる権利を獲得している為、潜在的な巨額の売り圧力があり、これが株価の上値を重くすると見ているとも語りました。
5.オクシデンタルペトロリアムへの投資バークシャーは、2019年4月にオクシデンタルに約$10 billion(約1兆円)の優先株投資を行いました。
一方、2020年4月末にWTI原油先物価格は1バレルあたりマイナス$ 37に急落し、オクシデンタルへの投資も心配されていました。
バフェットは、「オクシデンタルや他の石油会社に投資していた投資家は、原油価格の見通しを間違えたという意味で私と同じですね。」とした上で。
「オクシデンタルへの投資は当時の原油価格では魅力的でしたが、現在の原油価格水準では機能しません。この価格水準では、石油生産は今後数年間減少することでしょう。」と述べました。
6.ボーイングバークシャー自身はボーイングへの投資は行っていないものの、ボーイングについても以下の通り言及。
「ボーイングは、今回のコロナ騒動においてとても状況がひどい会社の1つであり、このような事態はとても重大です。ボーイングは巨大な輸出業者であり、ボーイングの業績は多くの下請け企業に影響を与えるからです」とバフェット氏は述べています。
「航空会社は自身の未来がどうなるかわかっていないし、私自身も航空業界の先行きが見通せません。私たちは、将来的に飛行機に乗るようになるでしょうが、問題は航空会社が新たな航空機を必要とするかどうか、そして必要となるのがいつなのか、です。この問題はボーイングのみならず多くの人々に影響を与えるでしょう。」とも述べました。
7.S&P500指数をアンダーパフォームバフェットは、バークシャーが近年S&P 500に対すしアンダーパフォームしていることに関して、
「実際のところ、私は人々にS&P 500への投資を推奨しています。バークシャーは、時間をかけて妥当な利益を上げる他の単一投資と同じくらい健全ですが、私は今後10年間でS&P 500をアウトパフォームできるかどうかということに人生を賭けたくはないのです。」
規模が巨大化したバークシャーが、市場平均に打ち勝つことは困難ですが、バフェット氏は保険事業によってフロートを活用できるという利点があるとも述べました。
8.「Never bet against America」不確実性が高まっている中で投資は困難な状況にあるものの、バフェットは長期的には株式は依然として米国債よりも優れた投資であると説明しました。
「株式を長期間保有する場合、株式は30年国債よりも優れた結果を生み出します。但し、これは健全な投資についてのみ当てはまります。」と述べました。
ウイルスを評価するのは難しく「想定されうるシナリオの範囲は多少狭まっているものの、経済的な側面でいうと将来のシナリオの幅はまだ非常に広いです。あなたがもし経済活動の多くの部分を自発的にシャットダウンしたときにどのようなことが起こるかわかりません。」
としつつも、過去の大恐慌や南北戦争を乗り越えたことを引き合いに「基本的には誰であってもアメリカの発展を止めることはできないでしょう」と述べました。
「Never bet against America(決して米国の成長に逆らうような賭けをしてはいけない)」ということを強調しました。
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以上
りろんかぶお
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