1. 二番底形成の裏の投資家心理景気や相場が悪化している時に、一度底を打って好転した後に、再度下落して底を打つことを二番底といいます。
平常時であれば、株価は企業のファンダメンタルズを反映して形成されます。
一方、暴落時は市場参加者が理性を失っており、ファンダメンタルズに関係なく、株に対する需給(買いたい人と売りたい人のバランス)によって株価が決定されます。
ここでは、①一番底、②底値間高値、③二番底、の順で、投資家心理を追ってみます。
① 一番底市場心理を一気に冷やすようなイベントが発生すると、株価が一気に下落し、以下のようなことを連鎖的に誘発し大暴落を起こします。
・短期筋の損切ラインのヒット連鎖により売りが売りを呼ぶ
・信用買いしていた投資家に追加証拠金が求められ、信用買い勢のポジションクローズによる売りが重なる
・投資信託やETFを購入していた一般投資家が暴落の恐怖に耐えられず撤退
これらの売りが連鎖すると、ファンダメンタルズを無視して、思いがけない安値水準まで売り込まれます。
そして、これらの売りがある程度出尽くし、さすがに安すぎると思って買いを入れる人が増えてくると株価は上昇に転じ、一番底を付けるのです。
② 底値間高値一方、株価が上昇に転じてくると、今度は以下のような投資家心理が働きます。
・一番底を付けるまで結局最後まで損切りできなかった投資家が、ちょっと上がったところで今のうちにポジションをクローズしようとして保有株を売却。
・一番底を付けるまでの過程で買い向かっていた投資家が、含み損の恐怖を一通り味わった後、含み損から解放される段階(買値まで戻った段階)で売却。
このような売り圧力がある中、相場環境が好転しているわけではないので買いの力も弱く、徐々に下落に転じ、底値間高値を形成します。
③ 二番底その後はだらだらと下落をはじめ、一番底と同水準くらいまで下がってくると、そろそろ冷静さを取り戻した本物の長期投資家が再度来たチャンスで買い仕込みをはじめ、本格的な上昇に転じていき、二番底を形成します。
STOP
このように、二番底形成の過程では、短期トレーダーの思惑がもろに反映され、短期筋の激しい戦いが繰り広げられてい過程とも言えます。
これは市場参加者が冷静さを失い、ファンダメンタルズに基づかない売買の結果形成されるものなので、二番底というのは投資家が冷静さを取り戻すまでの、せいぜい1~3か月の間に起こる出来事だと考えられます。
2. 二番底の過去の例次に具体的に、ブラックマンデー(1987年10月19日)とリーマンショック(2008年9月15日)の時、NYダウの危機直後3か月のチャートを見ていきましょう。
ブラックマンデー(1987年)
直近高値:10月5日 2640ドル
ブラックマンデーかつ一番底:10月19日 1739ドル(直近高値から34%下落)
底値間高値:10月21日 2028ドル(一番底から17%上昇)
二番底:12月4日 1766ドル
一番底から二番底までの期間:46日間
リーマンショック(2008年)
直近高値:8月28日 11715ドル
リーマンブラザーズ破綻:9月15日
一番底:10月10日 8451ドル(直近高値から28%下落)
底値間高値:11月14日 9625ドル(一番底から14%上昇)
二番底:11月20日 7552ドル(※)
一番底から二番底までの期間:41日間
(※)但し、リーマンショック時の大底は2009年3月9日の6547ドルです。二番底は市場参加者が冷静さを失っている1~3か月に形成されるものとの前提で、上記計測期間は危機イベント後3か月間で見ている。
これらの例を見ると、一番底から二番底の期間は1か月半程度ということがわかります。
では今回のコロナショックではどうでしょうか?
コロナショック(2020年)
直近高値:2月12日 29551ドル
暴落開始:2月24日
一番底(おそらく):3月23日 18592ドル(直近高値から37%下落)
ブラックマンデーとリーマンショックの統計から言うと、二番底は5月頭あたりが怪しいのかもしれません。
3. 二番底に関するりろんかぶおの考え方りろんかぶおとしては、こういった過去の経験則というのは全く信じていません。
例えば、現在多くの方が次の二番底で仕込もうと鼻息を荒くしていますが、多くの人が二番底が来ると思っていると二番底は永遠に来ません。
なぜなら買い圧力が下にたまっているので、株価は下げづらくなっているからです。
但し、このままするすると上がっていくのに耐えられず、もう「二番底なんか来ない、今買わなきゃこの歴史的な買い場を逃す」といって飛びつく人が多く出てきたとしたら、過去の経験則通り、二番底が形成される可能性が高まります。
なぜなら、そのように飛びついた人たちの多くは自分の投資に信念があるわけではないので、ちょっと含み損が生じただけですぐ怖くなって売却してしまい、その売りが結果的に二番底を形成するための一手になってしまうからです。
このような暴落時は、みんなが短期で儲けてやろうと思っているゼロサムゲームとなっており、「過去のチャートがこう動いたから、今回もこう動く」といっている時点でゲームに勝つことはできません。過去のチャートがどう動いたかはライバルたちも知っているからです。
よってこのような時は粛々と、自分が信じる企業を、適正株価と思う水準よりも安ければ買い、長期で応援していく、という長期投資の基本精神が大事になってくるのです。
以上
りろんかぶお
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