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ボーイング株は買い時なのか?③

737MAX_20200324.png


前回に引き続き「ボーイングは買い時か?」ということについて詳細に調べていきます。

ボーイング株は買い時なのか?①
ボーイング株は買い時なのか?②

3. 737MAXは信頼を回復できるか?

737MAXの信頼を回復できるかを調べる上で、過去の同様ケースでの状況について調べてみました。

2000年以降で見ると、世界中で航空機の一時運航停止となったのは一度だけありました。2013年のボーイング787です。

2013年1月7日、JALのボーイング787がフライトを終えた後、駐機中に機体内部の電池が発火しました。続いて、同年1月16日、今度はANAの同型機の電池が飛行中に発火しました。同機は緊急着陸を行い、幸い人的被害はゼロでした。

この連続したトラブルを受け、アメリカ連邦航空局 (FAA) が耐空性改善命令を発行して同型機に対し、運航の一時停止を命じ、世界各国の航空当局に対し同様の措置をとるように求めたのです。

この時は3か月後の2013年4月には、FAAから運航再開に関する許可が下り、その後世界的に運航が再開されました。

当時は、737MAXの事故とは違って人的被害が出ていなかったので、ボーイングの顧客となる航空会社や、実際の利用者の心理に与える不安は限定的であったとは思うのでその点は留意が必要です。

さて、その後の787の受注状況はどのように変わっていったのでしょうか?

大型民間航空機は実質ボーイングとエアバスの寡占市場になっています。よってここでは、ボーイング787のライバル機といわれるエアバスのA350との新規受注シェアの推移を見ていきたいと思います。

Boeing 787 と A350の新規受注シェア
(ボーイングとエアバスのHPを基に筆者にて作成)

787トラブル前の2012年と、トラブルが発生した2013年を比べると、ボーイングの新規受注シェアが5%程下がっています。

やはり、トラブル発生に伴い、一定程度の需要がライバル機に流れたことがわかります。

但し、翌年の2014年は前年と横ばいですが、2015年にはBoeing 787がシェアを一気に逆転していますね。こう見ると、2013年に傷ついた信頼は2015年には忘れらているかのように見えますね。

以下は、ボーイングとエアバスの全ての機体の受注シェア推移です。
受注シェア_20200324
出典:日本航空機開発協会

近年はおよそ50%ずつのシェアをとっていることがわかりますね。

プレイヤーがほぼボーイングとエアバスに絞られるので、航空会社としてはリスク分散の意味で、両メーカーの機体を保有するという流れがあります。

これらを踏まえると、今回のような737MAXの事故を受けて、一時的にエアバスのライバル機に需要が流れる可能性はあるものの、将来同じような事故がエアバス機で起こる可能性も十分にあるので、リスク分散の意味から航空会社がボーイングとエアバスの両方を保有する体制に再び収束していくのではないかと見込まれます。

つまり、寡占市場ゆえに長期的な737離れということにはならないのではないかと考えられます。(航空会社からしても、航空機メーカーが1社独占になってしまうと航空会社側の価格交渉力がなくなってしまう)

ちなみに以下は、最近10年間の飛行機事故と死者数の推移です。

事故件数_20200324
事故死者数_20200324

(Wikipedia掲載の数字を基に筆者にて作成)

737MAXの事故については、特定の航空機にシステム上の問題があったことで、問題が大きく取り上げられていますが、これを見ると、実は飛行機事故というのは我々が認識していないだけで、1月に1回くらいのペースで起こっており、毎年400人くらいの死者が出ていることがわかります。

飛行機事故はその頻度の多さからディアにもあまり取り上げられていないのが実情で、一般庶民からすると、今回の737MAXのような大勢の死者がでた事故を目にするとかなり敏感に反応してしまいます。

一方で日頃航空機事故のニュースに触れている航空会社の人たちの感じ方はまた少し違ったものであると考えられるでしょう。

つまり航空会社の購買担当者目線でいうと、737MAXの事故は数ある事故の中の一つであり、ボーイングがしっかり対応する限りにおいて、長年のボーイングへの信頼が今回の件で総崩れするということはないのではないでしょうか。

4. コロナショックで考えられる長期的な影響は?

次にコロナショックの影響です。

コロナウイルスの世界的な感染拡大により、国外への渡航が大幅に制限され、航空会社の収入が激減しており、資金繰りの問題から倒産懸念が急浮上しております。

既にイギリスの航空会社フライビーは先日倒産しました。

ボーイングに関しても、昨年から続く737MAX問題でキャッシュフローがかなり細っているはずで資金繰りが心配されています。但し、米政府からの大規模な支援策が盛り込まれた法案が間もなく議会を通過するとのことで、一先ずボーイングの倒産懸念はやや遠ざかりました。

考えてみれば、米国航空産業の頂点にいるボーイングが倒産してしまうとその下請けの企業が全て連鎖倒産ということもありえ、政府はそういった事態を避けるために必ずボーイングを救済するでしょうから、ボーイングの倒産というのはかなり確率の低い話だと思います。(日本でトヨタをつぶすようなもの)

また、コロナウイルスによる旅客需要は一時的なものですから、長期的に考えれば必ず需要は元の水準に戻ってきます。

よって、倒産懸念が低いと考えることができれば、コロナウイルス感染拡大の影響による株価下落分というのは長期的には取り返す確率が高いと思っております。

但し、ボーイングの顧客に当たる航空会社の財務基盤はかなり痛むと思うので、当面は航空機需要の冷え込みもあるでしょうし(需要の先送りですが)、ボーイング株価の戻りはゆったりしたものになるかもしれません。

STOP

以上をまとめると以下のことが言えるでしょうか。

・ボーイング737MAXの信頼回復という点では、一時的にエアバスのライバル機に需要がとられる可能性はあるものの、エアバスとの寡占市場という性質上、航空会社もリスク分散の意味で両メーカーを持っておきたい意向が働き、長期的に見れば737MAXの需要も戻ってくる可能性が高い。

・コロナの影響は、短期的な資金繰り不安を乗り越えられるかという点が焦点。これに関しては、巨大な航空産業の頂点にいるボーイングが仮に倒産した場合、産業全体に与える影響が大きすぎる為必ず米政府が救済するであろうことは容易に想像できる(そして実際にボーイング救済を盛り込んだ法案が議会を通過しようとしている)。これを考えれば、資金繰りに関しては心配しすぎる必要なく、長期的には旅客需要も元に戻ってくるはずなので、コロナに起因する株価下落分は取り返す確率が高いと考える。

以上

りろんかぶお

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※当ブログで紹介する理論株価は、いくつかの前提条件をりろんかぶおが独自に設定している為、その前提条件次第では計算結果が異なってきます。また当ブログは、投資に関する情報を掲載していますが、特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。また、読者が当ブログの情報を用いて行う投資判断の一切について責任を負うものではありません。
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[ 2020/03/26 14:29 ] 7.企業研究 | TB(-) | CM(0)
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プロフィール

りろんかぶお

Author:りろんかぶお
【名前】:りろんかぶお
【生年】:1987年
【出身】:千葉
【性格】:感情の起伏ゼロ。声低め。
【学歴】:東京大学大学院卒
【職業】:現在はセミリタイアし専業投資家。元総合商社勤務(M&A等)
【資格】:証券アナリスト
【趣味】:投資・麻雀・ランニング
【目標】:資本を通じて社会に貢献すること


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