
前回に引き続き「ボーイングは買い時か?」ということについて詳細に調べていきます。
ボーイング株は買い時なのか?①2. 737MAXの生産停止がボーイングの業績に与える影響は?① ボーイングの2019年決算まずボーイングには主に以下4つのセグメントがあります。
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1. 民間用航空機
民間用航空機の製造、販売、及びアフターサービスの提供。
2. 軍事、防衛及び宇宙関連
軍事用航空機、防衛関連機器、宇宙航空関連製品(衛星、スペースステーション等)の製造、販売。
3. サービス&サポート
自社製品のメンテナンスやアップグレード等のサービス提供。
4. ファイナンスサポート
自社製品購入顧客に対する融資などを通じたファイナンスソリューションの提供。
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中でも、収益の柱は民間用航空機セグメントで、このセグメントに737MAXも分類されます。
737MAX事故の影響を受ける前の2018年には、全体売上の6割をこのセグメントが占めていました。
そして注目の2019年決算は、売上高が$76,559百万ドルと前年対比24%減、純利益は636百万ドルの赤字に転落(前年は+10,460百万ドル)。
いずれも737MAX事故に伴う737MAXの引き渡し激減及び、同機運航停止に伴う顧客への補償費用(8,259百万ドル)の計上に伴うものです。
2019年業績は、127機の737MAXを引き渡ししており、全ての影響は把握しきれません。
そこで、737MAXがボーイングの中で元々どれくらい売上に貢献していくかを見ていきます。
② 民間航空機部門の商品ラインナップと737MAXの売上比率民間航空機部門にて現在生産中の航空機は以下です。
737(生産中機体:MAX、座席数:126~230、価格:87.7百万ドル~113.3百万ドル)
747(生産中機体:8F、座席数:467~581、価格:332.9百万ドル~333.5百万ドル)
767(生産中機体:300、座席数:200~250程度、価格:143百万ドル~155百万ドル)
777(生産中機体:200LR、300ER、F、X、座席数:200~300、価格:262百万ドル~320百万ドル)
787(生産中機体:8、9、10、座席数:210~300、価格:185.2百万ドル~218.1百万ドル)
出典:Wikipedia
次に、これらの機体の納入実績は以下の通り。

出典:ボーイングAnnual Report
事故が起こる前までのボーイング737MAXの売れ行きは圧倒的No 1です。
上述の価格も合わせて見ると、民間航空機部門売上のおよそ5~6割が737MAXであると考えられます。
ボーイング全体に占める民間航空機部門の売上比率は上述の通り6割程なので、事故前で考えると737MAXの売上はボーイング全体の売上高の3割~4割程度を占めていたと考えることができます。
③ 737MAXの運航停止・生産停止・運航再開時期は?737MAXは2度目の事故の直後である2019年3月13日に、FAAが飛行差止を発表し、それ以降運航停止状態となっています。
未だにFAAによる安全審査が続いておりますが、ボーイングは2020年中旬に運航再開に必要な許可が下りると見込んでいます。
生産自体は、4月以降は52機/月から42機/月にペースを落とすにとどめていましたが、在庫が約400機にも積みあがってきたことから2020年1月から生産を完全に停止しました。
④ 受注キャンセル状況ボーイングのAnnual Reportによると、2018年末時点の737MAX受注残高は4,708機でしたが、2019年末時点では4,398機になっております。
2019年に127機の納入を行っているので、少なくとも183機(4798-127-4398)のキャンセルが発生していることになります(2019年に新規受注もあったはずなので実際のキャンセル数はもっとあるはず)。
4%程キャンセルが出たことになりますが、逆に今のところそこまでの大けがにはなっていない印象です。
STOP
ここまでをまとめると以下の通りでしょうか。
・737MAXの売上比率は全体に対しておよそ3~4割とかなり大きい。
・現在完全に生産停止中なるも、2020年中旬ごろに運航再開のための許可が下りるとのボーイング予想。
・キャンセルは4%程出ているが、依然として4000機以上の受注残があり、これが引き渡されるのであれば今後数年のキャッシュフローは期待できそう。
次回は、737MAXは信頼を回復できるかという点を見ていきたいと思います。
以上
りろんかぶお
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