
前回のページで、IPCCの最新の評価報告書を基に、地球温暖化が人為起源であると判断する科学的見解を示しました。
世の中の多くの国際機関や政府はこの報告書を正として今後の政策などを作成しております。
一方で、現在の温暖化は人為起源ではないと主張する温暖化懐疑論も存在します。
温暖化懐疑論は様々ですが、今回はその主要な主張3つを紹介したいと思います。
1. 温室効果ガス原因説への批判・以下のような事実より、温室効果ガスと温暖化の因果関係を断定することはできない。
① 21世紀に入ってからも温室効果ガスは急増し続けているのに、21世紀以降気温は停滞している
② 温室効果ガスは1800年頃から上昇しているにも関わらず、気温上昇は1900年頃から上昇しており、100年のタイムラグが生じている


出典:IPCC 5次報告書
・温室効果としては,大気中の二酸化炭素よりも水蒸気や雲の影響の方がはるかに大きく、IPCCの報告書ではそれらの影響を過小評価したモデルでシミュレーションしている。
・温室効果ガス濃度の上昇が気温を上昇させたのではなく,気温(海水温)が上昇したから海洋がガスを放出して大気中の温室効果ガス濃度が上昇した。
2. 気候変動サイクル説・現在の温暖化は、過去にもあった自然の気候変動の繰り返しの一部である。地球の気温変化は、宇宙を含む自然現象により、1億年、10万年、数千年、数百年の単位周期で大きく変動する。

出典:ウィキペディア
・産業革命前から昇温は起きていて、小氷期からの回復過程(自然由来の因子)が続いている
3. 太陽活動原因説・スペンスマルク効果(まだ正しいとは断定できない説)
①太陽風は強い磁場を持ち,地球にやってくる銀河宇宙線の侵入を妨げる働きがある。
②太陽活動が盛んになると、太陽風が強くなり、それによって地球に来る宇宙線も減少。逆に、太陽活動が弱まると、地球に届く宇宙線も増大。
③宇宙線は冷却効果の大きい低層雲を作るので,太陽活動が弱まると宇宙線が増え,低層雲が増え,地球の気温が低下。太陽活動が強まると宇宙線が減り,低層雲が減り,地球の気温が上昇。
・太陽活動状況を表す太陽の黒点数増減データ(太陽活動が活発化すると黒点が増える)を長期的に見ると,黒点数の変化が気温変化に影響を与えている可能性が高い。
・11年周期の太陽活動は2000年頃にピークを迎え,80〜90年周期の活動もピークをすぎて不活発になりつつあり、それと歩調を合わせるように2000年頃から地球の気温は上昇していないことを鑑みると、近年の気候変動は太陽活動によって説明できる。
・最近の温暖化傾向は、地球だけでなく、火星、木星、海王星、トリトン(海王星の衛星)、冥王星等で観測されている。これは太陽活動説を支持する。
STOP
このように、地球温暖化の人為起源説を否定するもっともらしい主張もあります。
この主張のそれぞれに対して、人為起源説派も反論をしています。
一方、地球温暖化に関しては、人為起源説派に説明責任が生じている構図ですので、人為起源説派が苦しく見えるのはしょうがない部分もあります。
IPCCの論理は、
① 現在地球の気温は上昇している
② 二酸化炭素などは温室効果がある
③ 温室効果ガスの大気中濃度は工業化以降急上昇している
④ 温室効果ガス濃度上昇による理論的な気温上昇と、現在の気温上昇はほぼ同程度
⑤ つまり現在の気温上昇は、温室効果ガス濃度の上昇が原因だ
といったものです。
4の根拠がこの論理をかなりもっともらしいものとしていますし、だからこそ世界的に多くの人が支持する見解となっているのだと思います。
一方、IPCCのレポートでは最初から温室効果ガスに当たりをつけ、それを正当化するような分析になっているようにも見え、それ以外の要素の検証が不十分なように思えます。
こういったことも踏まえると、温暖化人為起源説をまるまる鵜呑みにするのではなく、科学的根拠は未だ不十分な点もあることはしっかり認識し、今後そのような点がどのように解明されていくかを冷静に見ていく必要があるのではと思いました。
以上
りろんかぶお
その他の人気記事はこちら↓
にほんブログ村※当ブログで紹介する理論株価は、いくつかの前提条件をりろんかぶおが独自に設定している為、その前提条件次第では計算結果が異なってきます。また当ブログは、投資に関する情報を掲載していますが、特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。また、読者が当ブログの情報を用いて行う投資判断の一切について責任を負うものではありません。
- 関連記事
-
「低年収・子持ち・投資知識ゼロの人がFIREするためにやるべきたった一つのこと」を、31歳でFIREした僕が自身の実体験をもとにnoteにまとめました。
また僕がFIRE計画時に実際に作成した収支計画表(Excel)も添付してます。必要な資産額や何歳でFIREできるかがわかりますので是非ご覧ください。
興味ある方はここをクリック!