
前回に引き続き、ライドシェア界のパイオニアであるUberについて研究していきます。
前回記事↓
Uberの企業研究①今回はUberの現状を知るという意味で、業績と競合状況について簡単に記載してみます。
<Uberの業績(2019年3Q時点)>(出典:Uber IR)
1. 損益計算書
・2019年1Q~3Qの純損失は▲7,410百万ドルと巨額の赤字。
・売上は堅調に伸びているものの、ドライバーを囲い込むためのインセンティブ費用(紹介料やボーナスなど)がかなりかさんでいることと、自動運転などへの研究開発費が膨らんでいることが主要因。
・損益計算書を見る限り、ドライバーへのインセンティブを除いたドライバーの取り分は売上の半分程度。ドライバー目線では、なかなか稼げないということでドライバーの離職率が非常に高くそのつなぎ止めに苦戦しているようですね。
・今後規模をどんどん大きくしていく過程で、ドライバーの取り分を増やしていく必要がありそうです。
2. セグメント別業績セグメント概要以下
Ride:配車サービス
Eats:食事宅配サービス
Freights:輸送業者と荷送人のマッチング
Other Bet:電動バイク・電動キックボードのシェアサービス、他
ATG & Other Technology Program:自動運転や航空機チャーターの研究開発

※Adjusted Net Revenueは売上からドライバーの取り分及びドライバーへのインセンティブを差し引いたもの。
・やはり収入の中核は配車サービスなるもやや売上の伸びが鈍いのが心配。
・EatsやFreightsもまだ規模は小さいものの、急激に売上を伸ばしており将来に期待。

・配車サービス単独(コーポレート費用などは除く)で見ると、既に黒字化していることは好材料。
・EatsやFreightsは初期段階ということでマーケティング費用がかさんでいてEBITDAがマイナスなのはやむなし。ニーズはあるので今後の収益化に期待。
3. 地域別売上高
・Uberは既に70か国、700都市ほどで事業を展開しており、急速にグローバル化をしております。
・配車サービスのようなビジネスモデルでは、技術的な難易度が低いため、大きなライバルが出てくる前に市場を押さえてしまうことが重要。現時点では赤字覚悟で規模の拡大を優先させているがこれは戦略として間違っていないかと。
<競合他社>
・現在Uberの株価下落に伴い、時価総額は減少しておりますがいずれにしても業界トップの企業でしょう。(米国ではシェア70%程)
・Uberは2012年から世界進出をしており、各国で上記にリストされている地元企業との激しい競争を展開。
・既にUberの中国事業は滴滴出行(DiDi)に売却(DiDiの18%持分取得)、東南アジア事業はGrabに売却(Grabの27.5%持分取得)、ロシア、アルメニア、アゼルバイジャン、ベラルーシ、ジョージア、カザフスタンでの事業をロシアのYandex Taxの配車事業と統合して新会社設立(新会社の36.6%持分取得)しており、巨大ライバルがいるエリアでは、ライバルの株式取得と引き換えに既に撤退済み。
・ライバルの株式と引き換えに、同エリアの収益は享受できるので、最低限のことはできているイメージ。
STOP
次回は、ライドシェア業界の今後、Uberの今後について見ていきたいと思います。
以上
りろんかぶお
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