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世界初!中国でコロナワクチンが限定承認!

ワクチン_20200630

出典:https://answers.ten-navi.com/pharmanews/16470/

中国で、新型コロナウイルス用ワクチンが世界で初めて限定承認されました。

<詳細>

製造:中国カンシノバイオロジクス、中国軍事科学院研究所

対象:軍人向け限定

許可期間:2020年6月25日から1年間

原文:https://www.reuters.com/article/us-health-coronavirus-china-vaccine-idUSKBN2400DZ

<コメント>

・コロナワクチンは、各国の今後の経済を大きく左右するだけあって、米中でワクチン開発競争が激化していましたが先手を打ったのは中国。ただし、軍人限定で一般用にはさらなる許可取得が必要。

・中国は、経済の覇権争いをする米国に対してはワクチンを共有しないのではといわれています。

・いずれにしても、今回のワクチンは効果が限定的のようですし、今後のワクチン開発にも目が離せません。

以上

りろんかぶお

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※当ブログで紹介する理論株価は、いくつかの前提条件をりろんかぶおが独自に設定している為、その前提条件次第では計算結果が異なってきます。また当ブログは、投資に関する情報を掲載していますが、特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。また、読者が当ブログの情報を用いて行う投資判断の一切について責任を負うものではありません。





[ 2020/06/30 10:22 ] 17.米国株 旬の話題 | TB(-) | CM(0)

日本人が労働ではなく資本で稼がなければいけない理由~ソ連に酷似する日本の状況~

ソ連崩壊_20200629


<ソ連崩壊の歴史からの考察>

1991年にソ連が崩壊しました。

なぜか?

1917年にロシア革命がおこり、ソ連が誕生して以降、ソ連経済は社会主義体制でした。

国民は、割り当てられた労働を行い、国が作った経済計画を達成しながら、生活に必要な食量や物資は国から無料で配給され、学費はタダ、医療費もタダ、年金ももらえる、といった万民が等しく暮らす建前の国でした。

一方で、頑張っても頑張らなくてもみな平等という状況下、当然労働者の意欲は低下し、生産性は低下。

そんな中でも、ソ連は米国に対抗して、軍事費に国費の多くを費やし財政状況は悪化。

つまり、人々の生活に必要なモノの生産量が減少しているのに、それらを生活に必要なものを生み出さない軍人に配給し、戦闘機の購入などに充てられてしまうので、当然国民全員が食料やモノが足りない状況に陥っていくわけです。

その結果、ついに行き詰って1991年にソ連が崩壊し、ロシアは共和国となり一気に資本主義化していくわけです。

今まで食料や物資は無料配給され、学費は医療はタダで、年金も支給されていた状況はどのように変わったのでしょうか?

①ハイパーインフレ

まずはハイパーインフレが起こりました。

これはソ連崩壊後、急速に市場経済を導入したためと考えられます。

元々、社会主義の下、供給能力が非常に低かったため、市場経済を導入後は、一気に供給不足・需要過多の状況が浮き彫りになり、市場メカニズムが働き一気にインフレしたのです。

1992年~1995年の間に物価は1000倍以上になったといわれています。

②年金・医療保障などの社会保障制度崩壊

次に、年金や医療保障などの社会保障費の大幅カット或いは全廃が行われました。

元々、国の財政状況が悪く社会保障費を負担する余裕はなかったわけですから、これらは当然カットせざるを得ない状況となりました。

その結果どのようなことがおこったのでしょうか?

高齢者や病人が数百万人死亡したとされています。

1986年と1994年を比べると、平均年齢は男性で約7歳、女性で約3歳も縮まりました。


このように、社会主義による生産性の低下と、軍事費などへのなりふり構わぬ放漫財政のツケは、数百万人の死者をもってして払われたといっても過言ではありません。

<ソ連に酷似する日本の状況>

ソ連のこのような状況、実は今の日本と似ていると思いませんか?

ソ連時代の最後の最高指導者であるゴルバチョフは「日本は最も成功した社会主義国」と表現しました。

日本経済は基本的には資本主義経済です。
企業同士は資本主義システムの下、競争を強いられます。

一方で、企業の中の労働者を見るとどうでしょうか?

古い大企業の多くは、年功序列の賃金で頑張っても頑張らなくても同期はみんな給料が一緒、終身雇用なのでクビになる心配もない。

つまり、労働者は社会主義制度の下で働いているのです。

この結果、日本の生産性はバブル崩壊以降停滞したままで、他国に一気に置いて行かれました。

生産性_20200629


さらに、言わずもがなですが日本の財政状況は非常に厳しいものがあります。(下図は日本の国債残高)

財政赤字_20200629

出典:財務省



そして、少子高齢化という致命的な構造的問題も抱えています。

人口_20200629

出典:総務省



以前MMTを紹介しました。

MMT(現代貨幣理論)とは?

MMTを誤って解釈している人は、

「日本に財政問題はないのだから、お金を刷れば年金や医療費はいくらでも捻出できるんだ!」

といいます。

MMTは簡単に言うと、財政政策の基準を財政均衡からインフレ率に変更するものです。

つまり、MMTでも通貨発行にはインフレ率という制約があるのです。

現在のようなデフレ期は、供給能力に対して需要が不足している状況なので、通貨を発行してもインフレはおきませんが、この供給能力が今後少子高齢化で減少していくことが予見される中、社会保障費を通貨発行に頼るというのはばかげた理論です。


<日本人はどうすればいいのか?>

ではこのような、国で生きていくためにはどうすればいいのでしょうか?

生産性の向上、女性の社会進出などが叫ばれますが、これらは当然必要でしょう。


ただ著者の意見としては、今後定着するであろう超少子高齢化社会においては

「高齢者は生産力の高い若者に支えられる」

という前提を覆す必要があると思っております。

つまり、高齢者であっても自分の面倒は自分でみていかなければならないと思っています。

こういうことを言うと、「体力的に衰えた高齢者に、死ぬまで働けというのは現実的ではない!」という人がいるかもしれません。

但し、モノの生産というのは、「労働」と「資本」の二つの要素で成り立っているのが資本主義の原理です。

労働で生産活動に関与できないのであれば、資本の面で関与すればいいのです。

つまり、若い時にたくさん労働をして資本を築き、年をとったら資本の面で生産活動に携わっていけばいいのです。



年金は破綻しないといえば破綻しないでしょう。

国がお金を刷ればいいわけですから。

但し、国内の供給能力を上げる努力をせずに、そんなことを続ければ長期的に見れば確実にインフレが起こります。

よって将来もらえる年金で生活費が賄えるとは思えません。


世界に先駆けて少子高齢化が急速に進む日本においては、国に頼らず、若者に頼らず、自分自身が生涯にわたって生産活動に携わっていく覚悟を持たなければならないのです。

そしてその第一歩は資本主義を理解することだと思います。

以上

りろんかぶお

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[ 2020/06/29 12:26 ] 14.経済の勉強部屋 | TB(-) | CM(0)

バークシャーが不動産に投資をしない2つの理由

バークシャーハサウェイ


ウォーレンバフェット率いるバークシャーハサウェイは、これまで様々な業種に投資を行ってきましたが、なぜか不動産への投資は行ったことがありません。

この理由を解説した記事がありましたのでご紹介します。

出典:https://finance.yahoo.com/news/warren-buffett-why-berkshire-hathaway-210202230.html?.tsrc=fin-srch

不動産への投資を行ってこなかった理由について、バフェットは以下の2つのポイント挙げています。

1.割安価格になりにくい

・不動産業界は他のアセットと比較してほとんどの場合において適正な価格付けがされている。

・これは、リートを含め多数の不動産投資家が存在し、不動産という単一アセットの価値評価が比較的簡単であるため、ミスプライスが発生しにくいことが理由。

2.税金の問題

・リートの場合、税前利益の90%以上を投資家に分配すれば法人税が免除されます。

・一方で、バークシャーハサウェイは「株式会社」という法人格故に、リートのような法人税免除は適用されません。

・つまり、バークシャーが不動産投資を行うと、バークシャーにおいて法人税が発生し、バークシャーが投資家に配当するときにも配当課税が発生すため二重課税になってしまうのです。

STOP

・ここから得られる考察としては、日本において今まで大手不動産会社が一手に担ってきた不動産の「開発」と「保有」というのは分業されるだろうということです。

・なぜなら、上述した通り、不動産を「保有」して得られる賃料収入には、株式会社であれば法人税がかかるものの、リートにおいては条件をクリアすれば法人税がかからないからです。

・よって、三菱地所や三井不動産などの大手不動産会社は不動産の「開発」に特化するようになり、開発した不動産をリートに売却してリートが「保有」する、というようなスキームに徐々に変化していくことが考えられます。

・なぜこのような変化が今まで起こってこなかったかというと、そもそも日本でリートが解禁されたのが2000年(米国では1960年)なので、現在はビジネスモデル変革の過渡期だからといえるでしょう。

以上

りろんかぶお

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[ 2020/06/25 11:41 ] 12.バフェット関連その他 | TB(-) | CM(0)

日本人の給料が安すぎる理由

実質賃金指数_20200623
出典:全労連

上図は、先進諸国の実質賃金を、1997年を100とした場合の推移を表しています。

このように先進諸国の実質賃金が伸び続ける中、日本では緩やかに下がり続けています。

なぜなのでしょうか?

この疑問に対し、オックスフォード大学で日本学を専攻、ゴールドマン・サックスで日本経済の「伝説のアナリスト」として名をはせたデービッド・アトキンソン氏は「モノプソニー」が原因と指摘しています。

モノプソニーとは「買い手独占」という意味で、労働者に比べて企業の方が立場が強く、本来よりも低い給料で人を雇うことができる状態を指します。

日本は本当にモノプソニーなのでしょうか?

モノプソニーが強い国の特徴が、どの程度日本に当てはまるかを示したものが以下の表です。

モノぷそにーの特徴_20200623
出典:東洋経済
出所:小西美術工藝社社長

これを見ると、日本がモノプソニー大国であることがわかります。

ではなぜ日本ではモノプソニー、つまり労働者よりも企業の方が強いのでしょうか?

アトキンソン氏によると特に以下3つの理由があるとのこと。

①日本では、女性であるとか、高齢者であるとか、そういった理由だけで労働市場での価値が下がるため、そういった労働者は相対的に立場が弱くなりがち。

②労働組合の機能が低下したため。労働組合は、労働者のスキルが明確で企業規模の大きい製造業に適した組織。一方で、近年は産業全体に占める製造業の割合は低下し、労働組合が機能しにくいサービス業が拡大していったことが要因。

③規制緩和により、非正規雇用者が増えたため。

この結果、
企業側の立場が強くなり、
労働賃金が下がり、
給与が低いので生産性の低い小規模企業でも利益が出せるようになり、
日本では大企業の割合が非常に少なく、中小企業が乱立するということがおこりました。(下図)

大企業の割合_20200623
出典:中小企業庁

では、モノプソニーの状況を脱するためにはどうすればよいのでしょうか?

アトキンソン氏は、状況打開のために「最低賃金の引上げ」が必要と訴えます。

最低賃金の引き上げにより、生産性の低い小規模企業が淘汰され、生産性が高く経営効率の良い中堅企業、大企業に労働者が集約されるていくからです。

大企業では、しっかりとした労働組合があるために、労働者側の交渉力が相対的に高く、これによってモノプソニーの状況も改善されるだろうと。

STOP

ここまでがアトキンソン氏の主張の超概略です。

個人的には、給与が安いのは上記の他に、日本型雇用システムも大きく影響していると考えています。

①終身雇用

最近は転職も増えてきましたがそれでもまだまだ最初に就職した会社に勤めあげるという人が大半です。

労働者側がそもそも終身雇用を前提とし転職を考えていないため、企業としては新卒で採用してしまえば、あとは賃金の面で他の企業と競争する必要がないので、必然的に給与は低くなりがちです。

労働者側も給与が安ければ転職するという発想がそもそも希薄なため、企業側の言いなりになりやすい傾向があります。

②新卒一括採用

終身雇用で企業側の立場が強くなりがちとは言え、新卒採用の時は学生側もやはり給与面で待遇がいい会社に行きたいと思うはずで、そこは企業側も選別されてしまいます。

但し、新卒一括採用システムでは、新卒と既卒では圧倒的に新卒が有利であるが故、学生としては卒業までに必ずどこかに就職しなければいけないという意識が働きます。

そうすると、条件が悪い企業でもやむなく就職せざるを得ない学生もたくさんいるので、こういった会社が生き残れてしまうのです。

③年功序列

多くの日本企業では基本的には年を取るごとに給料が上がっていく年功序列型です。

給与を決める要素の大部分が”年齢”に依存しているため、会社の業績が悪くても、個人のパフォーマンスが悪くても、年齢に応じてほとんど固定給のように支払われていくのが普通です。

よって、会社側からすれば業績が悪くても給与を下げることが困難なため、そのような事態に備えて景気がいい時でも給与を上げない傾向があります。これも、給与が低い大きな要因となっています。


このようなことを考えても、やはり日本の経済をがらりと変えていくためには、日本型雇用システムから脱却というのが必須になってくると考えます。

以上

りろんかぶお

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[ 2020/06/23 13:35 ] 13.投資の勉強部屋 | TB(-) | CM(0)

自由貿易と保護貿易について考えてみる

自由貿易と保護貿易_20200622


これまでの世界は、資本主義の最大の特徴である自由市場を世界に広げ、「ヒト・モノ・カネ」の国境を極力取り除くことで世界全体が豊かになっていくことを目指す潮流がありました。

一方現在、米国トランプ大統領や英国のEU離脱などに代表されるように、世界の最先端を走る国が自国第一主義や保護主義を掲げるようになってきました。

ここでは特に「モノ」の流れ、つまり貿易に注目し、自由貿易と保護貿易、どちらが今後の世界の潮流となるかを考えてみます。

<自由貿易>

自由貿易とは簡単に言えば関税などの国家の介入を排除した貿易を指します。

こうすることで、世界規模での分業が進み、適した場所で適したものが生産され、とても生産性が高まり、世界全体が効率的に豊かになっていきます。

例えば、農作物であればそれにあった気候や土壌を持っている地域が生産に適していますし、AIやロボットなどのハイテク分野でいうと地理的な特性は関係なく地域の教育レベルに大きく左右されるでしょう。

一方、デメリットとしては、グローバルで競争が繰り広げられるので、自国に競争優位のない分野はどんどん淘汰されていき、それらの分野に携わっていた人たちは職を失います。

つまり、完全な自由貿易を目指すと、最終的には生産性が高く豊かな世界に到達できる可能性が高いモノの、短期的には各国で大量の失業者が発生するというカオスな期間を経る必要が出てきます。

<保護貿易>

保護貿易は、こういった状態を避けるものです。

保護貿易は、関税をかけることで、海外の安いモノやサービスが流入してくるのを防ぎ、国際的に見れば競争力がない事業でも、国内で生き残っていけるようにするのです。

日本での代表例はお米でしょうか。

日本でコメを買うと、だいたい5kgで約2000円、つまり約400円/kgするわけです。

一方で、国際的なコメ相場は農林水産省によると50円~60円/kg(2020年6月現在)のようです。

日本のコメは国際的には競争力が全くありません。

ただ、現在の日本では海外の米を輸入する場合、402円/kgの関税がかかります。

こうすることで日本の農家さんを守っているわけです。

<自由貿易 vs 保護貿易>

本題に戻ると、自由貿易と保護貿易、どちらが世界の潮流となるか?

世界経済全体を考えれば答えは当然生産性の高い自由貿易でしょう。

但し、自由貿易を徹底してやるためには、「ヒト・モノ・カネ」のヒトとカネについても徹底的に自由化しなければならないと考えます。

例えば、日本の人件費では、農業を行うのは合理的ではなく、日本の強みである自動車産業などで働くことが求められてきます。

一方で日本の中にも、自動車関連の仕事はどうしても苦手だけれども、農作業がとても得意な人だっているわけです。

そのような人が簡単に農業を強みとしている国・地域に移住できるのならばいいかもしれません。

但し、そこは言語や文化の問題でなかなか難しいわけです。

そうなると、やはり自由貿易を突き詰めると、局所的には各国で格差が広がり、生きていくことが困難な人達がたくさん出てきてしまいます。

そして、世界の大半を占める民主主義国家というのは、そういった弱い立場の人を守る傾向が強いので、やはり世界の潮流としては保護貿易が軸足としてあって、部分的に自由貿易を行っていくという方向性にならざるを得ないということになるでしょう。

以上

りろんかぶお

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[ 2020/06/22 14:17 ] 14.経済の勉強部屋 | TB(-) | CM(0)

MMT(現代貨幣理論)とは?

MMT_20200619.png


日本において通貨発行権は日銀にあります。

日銀は政府からは独立した機関で、政府が発行する国債を日銀が直接買い取ることは財政法で禁止されています。

一方で、日銀は市場で国債を購入することは禁止されておらず、発行済国債の約半分ほどを日銀が保有しているのが実態です。

つまり実態としては、政府は日銀の通貨発行に基づいて資金を調達して様々な財政支出を行っていることになります。
(正確には民間銀行でも信用創造を通じて通貨発行をしていることは後述)

そして現在では、政府の債務残高(地方債含む)が1,000兆円を越えていることからも、政府は早期のプライマリーバランス(国債の元利払いなどを除いた基礎的財政収支)黒字化を目標としています。

「借金は返さなければいけない」

というのはごく当たり前のことですから、多くの人がこの「プライマリバランスの黒字化」に疑問に思うことはなかったのですが、MMTはこれに対し異論を唱える理論です。

MMTとは?

MMTとはModern Monetary Theoryの略で、日本語では現代貨幣理論と呼ばれています。

これは経済理論の一つで、ものすごく簡単にいうと

「自国で通貨を発行できる国は、過度なインフレにならない限り、税収によらず、通貨を発行して財政支出を行うことができる」

というもの。

普通に聞いていると、とても違和感を感じませんか?

どこに違和感を感じるのでしょうか?

よく挙がる疑問は以下のようなものです。

①税収によらずお金を発行していいのであれば、それを国民に配れば、もう働かなくていいということ?(そんなおいしい話があるわけない)

②政府は自身の借金残高を減らす努力をする必要はないということ?

③財政支出に財源が不要なら、そもそも国は税収入がいらないのでは?(そんな馬鹿な話がある?)

ここでは、これらの疑問についてのMMTの考え方を見ていくことで、この理論の理解を深めていきます。

①自由にお金を発行していいのであれば、それを国民に配れば、もう働かなくていいということ?(そんなおいしい話があるわけない)

この疑問に対する回答は、”No”です。

もう働かなくていいということはあり得ません。

経済というのは、モノやサービスを生産する人(供給)と消費する人(需要)があって初めて成り立ちます。

お金を刷ってばらまいたところで、供給が変わらないのであれば、増えたお金の分だけ物価が上がる(お金の価値が下がる)だけです。

つまりお金というのは供給と需要の仲介役であるということに変わりはありません。

ではなんでお金を刷るのか?

例えば少し前までの日本のように、デフレに悩んでいる国は、供給が多くて需要が少ないという状態です。

デフレというのは、

物価が下がる→企業業績が下がる→企業は新規投資もせず、給料も下げる→消費が下がる→物価が下がる

という負のスパイラルに落ち込むことです。

デフレは、企業が新規投資を行いにくい環境なので、より良いモノやサービスが生まれにくい社会になります。

つまり、より豊かな状態を求める資本主義にとって、デフレは非常によくない状態なのです。

日本はバブル期に供給能力を拡大しすぎた結果、バブル崩壊以降、需要は冷え込んだものの、供給能力は簡単に引き下げることができずにデフレ状態に陥りました。

企業業績悪化に伴い税収入は下がり、さらに少子高齢化による社会保障費拡大で、財政状態が悪化。

その結果、増税を繰り返すことでさらに消費を冷やして、デフレが泥沼化して現在に至るというような状況です。


MMTの考えにのっとれば、デフレ下では需給ギャップが発生しているので、政府が通貨を発行して、需給ギャップを埋めるように財政支出により需要を創出することで経済を支えることができます。

一方で注意が必要なのが、経済にとって健全な新陳代謝(過剰で無駄な供給能力の淘汰)は必要なので、需給ギャップを完全に埋めるようなことが必ずしも良いこととは限りません。

但しMMTの考えでは、消費が冷え込んでいる時にそれに追い打ちをかけるような増税というのは全く不要なのです。

なぜなら政府の様々な支出に財源は不要だからです。

増税がなかっただけでも今の日本経済は全く違う姿になっていたでしょう。

②政府は自身の借金残高を減らす努力をする必要はないということ?

この疑問に対する回答は、”Yes”です。

MMTでは、国債の発行とは、政府の借金の増加というよりも、通貨の発行ととらえます。

よって借金を返済するということは、通貨の量を減らすということになります。

通貨の総量というのは、経済規模やその時の状況に応じて適した量というのがありますから、政府の借金を返済する=通貨の総量を減らすことを目的とすることはナンセンスなのです。

MMTでは通貨の総量は、通貨の価値を維持するようにコントロールすればよいということになります。
通貨の価値というのは物価に現れるので、指標となるのはやはりインフレ率です。


ちなみに国債発行と通貨発行が同義であるのは、通貨発行権のある日銀が買い取った国債に限定はされるのでは思う方がいるかもしれませんがそんなことはありません。

なぜなら、民間銀行であっても、信用創造によって実質通貨を発行していることになるからです。

例えば、私が民間のA銀行に100万円を預金したとします。

A銀行は政府の国債発行に応じて、政府に100万円を貸し出します。

政府はこの100万円をつかって、私のおじいちゃんに年金を払うべくおじいちゃんの銀行口座に100万円をふりこみました。


整理してみると、私は引き続きA銀行に100万円の預金残高があります。

さらに、私のおじいちゃんの預金口座にも100万円があります。

つまり、元々100万円だったものが200万円に増えているのです。

民間銀行でも、このような信用創造を通して実質通貨を生み出していることがわかります。

③財政支出に財源が不要なら、国は税収入がいらないのでは?そんな馬鹿な話がある?

MMTの考えでは、政府の収入源としての税収というのは不要になります。

但し、通貨の価値を維持する上で徴税は必要になります。

例えば、現在の政府の年間予算はおよそ100兆円ですが、国民から税金はいっさいとらずに、毎年100兆円のお金を刷って財政支出していれば、すぐに需要過多のインフレになるでしょう。

ただここで仮に、消費税を10%から50%に上げたらどうでしょう?

需要は一気に覚めますよね?

つまり、徴税というのは需要をコントロールする力があります。

そういう意味で、MMTの考え方でも、インフレをコントロールする=通貨の価値をコントロールする意味で徴税というのは意味を持ってきます。

また、自国通貨での納税を義務化することで、その通貨に流通通貨としての価値が備わります。

例えば日本円での納税義務がなければ、流通通貨はビットコインでもいいのです。

日本円で税を納めなければいけないからこそ、日本円に皆が価値を感じ、日本円で経済が回るようになるのです。

まとめると、収入源としての税金は不要なるも、通貨価値維持のために徴税というのは必要になってきます。

STOP

ここまで見てきたように、MMTというのは、今までの財政政策の制約を

「財政収支の均衡」から「インフレ率(通貨の価値)」

に変えることであるといえます。

MMTはまだ賛否両論ある理論ですが、通貨の考え方などは単なる事実を述べているもので、そういう意味ではもっともっと広まって議論が深まっていくといいなと思います。

以上

りろんかぶお

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[ 2020/06/19 17:29 ] 14.経済の勉強部屋 | TB(-) | CM(0)

米国マネーストックとFRBバランスシートと株価の関係

<マネーストックとは?>

金融部門から経済全体に供給されている”通貨の総量”のこと。

米国では、M1とM2の統計を公開。(日本ではM1、M2、M3、広義流動性、の4種類)

米国と日本でM1、M2の定義は微妙に異なるが、米国における定義は以下。

M1:一般に支払いのために使われる通貨からなり、現金と当座預金からなる

M2:M1に流動性の高い預金口座(普通預金および小額の定期預金)を足したもの

※米国では当座預金(Checking Account)が日常的な決済に使用される口座で、普通預金(Saving Account)は利息を得るための口座で、当座預金に不足が生じたときは普通預金から補うのが般的な使い方

<米国のM2推移(直近5年間)>

米国M2_20200618
出典:FRED

<FRBバランスシート推移(直近5年間)>

FRBBS_20200618.png
出典:FRB

<S&P500推移(直近5年間)>

米国SP500_20200618

<考察>

米国のマネーストックはコロナ後に急増。(およそ$2,500 billion(100円/ドルだと250兆円))

これは、FRBが大量の資産購入を通じて、主に金融機関に資金を注入し、金融機関が民間に積極的に融資を行ったため。

事実、FRBのバランスシートもコロナ後に急増。(およそ$3,000 billion(100円/ドルだと300兆円))

FRBが金融機関に注入したマネーは、民間に貸出することで初めてM2が増加するので、FRB資産拡大幅の方がM2拡大幅よりも大きい。

M2が急増しているということは、世の中のマネーの総量が急増しているということ。

これは、コロナ不況の中でも、誰かの懐が潤っているということ。

では誰の懐が潤っているのか?

ここでは以下3つに分けて考えてみる。

①ロックダウン下でも必要とされる企業

これらの企業は、ロックダウンによる影響は特に受けず、コロナの前と後で特に変化なし。
むしろ一部のIT企業はコロナ前対比で収支がプラスに。

②ロックダウン下で必要とされない企業

これらの企業は、ロックダウンにより大半の収入がなくなった一方、固定費は継続。
但し、政府およびFRBからの補助及び融資などにより、先数か月分或いは1年以上のキャッシュを確保したことで、キャッシュの面ではプラスになっている可能性あり。

③個人

多くの個人が失業や休業などで、元々の収入はストップしたものの、こちらも手厚い失業・休業手当により収入は維持。(大企業社員も給与維持)
一方で、ロックダウンにより生活必需以外の消費は激減。

収入は維持で、支出が減っているので、個人単位ではコロナ前対比で収支がプラスに。

STOP

これらの考察から、激増したマネーの所在は、②ロックダウン下で必要とされない企業、および③個人、にあると考えられる。

ロックダウン下で必要とされない企業の将来の備えとしてのキャッシュは、経済再開とともに収入が戻ってくると、どこかの時点で”備え”だったものが”余剰”となる企業も現れ、新規の設備投資や株主還元に向かう可能性あり。

但し、これは直接的に株の需給に働きかけるものではない。(間接的には株価にプラスの影響を与えるが)

一方、個人の余剰はどうか?

これは、消費に向かうものと投資に向かうものに分かれるが、投資に向かうものは直接株の需給に働きかけるので、これにより資産価格は通常よりも過剰に買われる傾向になる。

S&P500は既に急回復しており、それには様々な要因があると考えられるが、個人の余剰マネーが投入されたことによる要因もかなり大きいと考えられる。

以上

りろんかぶお

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[ 2020/06/18 11:58 ] 13.投資の勉強部屋 | TB(-) | CM(0)

新型コロナ 治療薬開発状況まとめ(2020年6月17日時点)

kusuri_20200422.png

出典:https://answers.ten-navi.com/pharmanews/16470/

<新型コロナ/治療薬>

1. 開発プロセス

治療薬に関して、一般的な新薬開発には通常以下のステップが踏まれます。

① 基礎研究(2~3年)
薬の候補となる新規物資の発見と創製

② 非臨床試験(3~5年)
新規物質の有効性と安全性の研究

③ 臨床試験(3~7年)
人を対象とした有効性と安全性の確認

・フェーズ1:少数の健康な人を対象に安全性の確認
・フェーズ2:少数の患者さんを対象に投薬量、投薬方法を確認
・フェーズ3:多数の患者さんを対象に安全性と有効性を既存薬と比較

④ 承認申請と審査(1年)
厚生労働省への承認申請と専門家による審査


これらのステップを経て最終的に薬事承認を得た薬が、世の中に販売されるわけですが、これらの過程でかかる年月は一般的に9年~17年程といわれております。

つまり、今回の新型コロナウイルスに対して、まったく新しい治療薬を開発しようとしても、足元の大流行の解決には結び付きません。

実際に、過去コロナウイルスが巻き起こしたSARSやMERSに対する抗ウイルス薬は未だに開発されていません。

そこで期待されるのが、すでにある医薬品の転用です。既存薬から別の病気の薬効を見つけ出す手法は、「ドラッグ・リポジショニング」と呼ばれており、新薬開発でよく見られるものなのです。

既存薬であれば安全性は立証済みなので、後は今回の新型コロナへの有効性を確認するのみで、早期に臨床試験のプロセスに進むことが可能です。

2. 開発状況(2020年6月17日時点)
※主要なもののみ
コロナ 治療薬
薬名
/ 製薬会社
開発時想定
対象疾患
開発状況
レムデシビル
/ 米ギリアド
エボラ出血熱 米国:緊急使用認可取得済。重症患者のみが対象。
日本:特例承認済。重症患者のみが対象。
アビガン
/ 富士フイルム富山化学
新型インフルエンザ 米国:フェーズ2
日本:フェーズ3、8月中に臨床試験を終える予定
シクレソニド(オルベスコ)
/ 帝人ファーマ
気管支喘息 日本:日本感染症学会を中心に多施設共同の臨床試験中
イベルメクチン
/ MSD(メルク日本法人)
腸管糞線虫症等 日本:北里大が医師主導治験を開始予定
ナファモスタット
/ 日医工等
急性膵炎等 日本:東大がナファモスタットとアビガンを併用する臨床試験を開始
カモスタット
/ 小野薬品工業
慢性膵炎
術後逆流性食道炎
日本:フェーズ1


以上

りろんかぶお

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[ 2020/06/17 11:26 ] 17.米国株 旬の話題 | TB(-) | CM(0)

イールドカーブコントロールとは?

イールドカーブ図


現在、日銀の金融緩和政策として導入されているイールドカーブコントロール。

これは日銀が2016年に世界で初めて導入した金融政策ですが、現在のコロナ禍で米国FRBにても導入を検討している手法です。

今回は、イールドカーブコントロールとは何か?ということを徹底解説いたします。

1.イールドカーブとは?

イールドカーブとは、債券の利回り(金利)と償還期間との相関性を示したグラフで、横軸に償還までの期間、縦軸に利回りを用いた曲線グラフのことを指します(下図)。

利回り曲線ともいい、金利の期間構造を表し、債券投資で重要視される指標のひとつです。右上がり(償還までの期間が長いほど利回りが高い)のときを順イールド、右下がり(償還までの期間が短いほど利回りが高い)のときを逆イールドといいいます。

イールドカーブ
出典:大和証券

2.イールドカーブコントロールとは?

長期金利と短期金利の誘導目標を操作し、イールドカーブの形状を人為的にコントロールすることを意味します。

日銀で行われているのは、民間銀行の日銀当座預金金利(付利)の一部をマイナス0.1%(短期金利操作)にし、10年物国債金利を同国債の購入を通してゼロ%に誘導することで、イールドカーブをコントロールしています。

従来の金融政策では、短期金利のみを操作していたので、その点が異なります。

3.イールドカーブコントロールの狙いは?

まず前提知識として、イールドカーブには、経済に中立的な「均衡イールドカーブ」が存在します(金融緩和的でもなく金融引き締め的でもない)。

実際のイールドカーブが、均衡イールドカーブに対してギャップがある場合、金融緩和或いは金融引き締め作用が働き、これが需給ギャップ(※)に作用していきます。

(※)需給ギャップとは、一国の経済全体の総需要と供給力の差のこと。需給ギャップがマイナスになるのは、需要よりも供給力が多いときで、企業の設備や人員が過剰で、物余りの状態。逆に、供給力より需要のほうが多いとプラスになり、物価が上がる原因になります。

均衡イールドカーブ
出典:日銀

さらにイールドカーブの変化は、

①水準(全体が平行に下方シフトする効果)
②傾き(短期金利が低下し傾きが急になる効果)
③曲率(下方に凸の形にたわむ効果)

の3つの要素に分解することが可能で、それぞれに固有の定数をかけて足し合わせたものが需給ギャップになります。

ちなみに、①>②>③の順で、需給ギャップに働きかける効果が大きいことも分かっています。

均衡イールドカーブ ギャップ要素
均衡イールドカーブ ギャップ要素足し算
出典:日銀

また、金利低下が経済・物価与える影響度合いは、金利の年限によって異なることがわかっていて、短期~中期の金利低下による効果がより大きいと考えらています。


このようなことからイールドカーブコントロールでは、その水準、傾き、曲率をしっかりと操作し、さらに金融緩和効果の高い中期ゾーンの金利もしっかりと低下させることで、より効率的な金融緩和を行うことができるというものです。

以上

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りろんかぶお

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[ 2020/06/16 16:23 ] 14.経済の勉強部屋 | TB(-) | CM(0)

ベーシックインカムの財源議論で抜け落ちている点

20200612_ベーシックインカムの財源


コロナ感染拡大による緊急事態宣言発出に伴い国民全員に10万円が支給されました。

これに伴って改めて議論されているのがベーシックインカム(BI)です。

BIとは、政府が全国民に対して最低限の生活を送るのに必要な現金を定期的に支給するという政策です。

一見わくわくするような政策ですが、この議論でいつも抜け落ちているのが「誰が生産するのか?」という点です。


1.生きていくということと生産活動は切っても切れない関係



人間が最低限生きていくためには衣食住が必要です。

まだ狩猟民族だった頃は、自分自身(或いは村自身)の衣食住という需要を満たすために、自分自身(或いは村自身)が生産を行うという自己完結型でした。

一方現代を見てみるとどうでしょうか?

人間社会における需要は幅広くなりましたが、生きていく上で最低限必要なのはやはり衣食住です。数万年前と変わりません。

つまりベースとなる需要は変わっていません。

一方で生産サイドはどうでしょうか?こちらは大きく変わりました。
生産性向上のために、大規模な役割分担がおこりました。

衣服を生産する人は自身の需要以上に大量の衣服を。
食を生産する人は自身の需要以上に大量の食を、といった具合です。

そして、過剰に生産したものを市場でお金と交換します。
このお金と交換する形で、自身が生きていくのに必要な衣食住を手に入れるのです。

つまりお金というのは生産を行った証であるともいえます。

そしてここからわかることは、古代も現代も変わらないのは、自分自身が生きていくための需要と同量或いはそれ以上の生産を行わなければ生きていけないということです。

(産業革命以降、生産効率は大幅に改善されていますので、実は生きていくために必要な需要を満たす生産量というのはものすごく小さな労力で作り出すことができます。つまりみんな必要以上に働きすぎで、必要以上に消費しすぎなのです。)


2.BIの財源案



翻って、現在のBIで議論されている財源案は大きく分けて以下三つがあります。

①税収案

国が税を徴収し国民に配るというものです。

国民は配られたお金を元手に自身の需要を満たしていくことができますが、生産はだれが行うのでしょうか?

これはいわゆる所得再分配で、国民の一部の人が頑張って稼いだお金を政府が取り上げて、全国民に配っていくというもの。

つまり一部の国民が、全国民の需要量を満たすのに十分な量を生産しなければ成り立ちません。

頑張っただけ無駄という空気が蔓延し、頑張って稼ぐ一部の人が減少していくことは、かつての社会主義国家のソ連や中国を見れば明らかでしょう。

②政府紙幣

国が紙幣を発行し国民に配るというものです。

生産はだれが行うのでしょうか?問答無用ですね。これなら①の所得の再分配の方がまだましだと思います。

(現在のようなデフレ下で、経済の軌道修正を行うための紙幣発行を否定するものではありません)

③無税国家論

政府が資本を蓄積し、その運用益を国民に配るというもの。
これは①、②に比べればマシな考え方かもしれません。

生産活動というのは、資本と労働によって行われます。よって資本を通じて生産活動に携わり、そこで生み出した生産物を背景としたお金(運用益)を使って需要を満たしていくというものです。

国家の単位で話していますが、個人の単位にまで狭めていくと、要は「資本家」と同じことです。
資本家は自身で労働はしていませんが、資本を通じて生産活動を行っているので、生きていくことができるのです。

よって国家ごと資本家になるということですね。

但し、ここで注意点があります。

それは、資本は海外に持っておく必要があるということ。

資本主義を前提にすると、国内の資本をすべて国家が保有することはできません。

全て国家が保有するということはもはや社会主義国家と同じで、社会主義が問題があるのはご承知の通り。(労働意欲の低下による生産不足、技術革新の欠如などなど)

資本主義を前提にすれば、国家が国内の資本の40%を握ったとしても、残りの60%は一部の資本家に吸い取られて行ってしまい、通常資本家はその大半を自身の懐に蓄積していってしまうので(消費に回るのは一部)、国民に十分なお金を配ることは不可能です。(詳しい説明は省略しますが)

よって資本は海外に持つ必要があります。

但し、これは海外の労働力を搾取した上に成り立っているモデルであるといえます。

全世界で見れば、全世界の人々が生きていくのに必要な生産量というのがあって、それに必要な労働量が一定と考えれば、日本人が労働しない分、他の国の人たちが余計に頑張らなくてはいけません。

すべての国がこのような状態を目指せば、今度は「労働はだれがやるの?」という状態になります。


以上みてきた通り、①、②、③の財源案は、生産をだれがやるのか、労働をだれがやるのか、という議論が全くもって抜け落ちてしまっており、どれも「実現性に乏しい」です。


2.BIは不可能ではない?



さてここで「実現不可能」ではなく、「実現性に乏しい」といったのには理由があります。

それは、一定の条件が揃えば実現可能だということです。

それは何か?

それはAIやロボットが生産活動を自己完結でできるようになったら、という条件です。

AIが毎年必要な生産量を割り出し、自然災害などの様々なトラブルにも柔軟に対処し、AIの指示に従ってロボットが生産活動を行っていけば、「誰が生産するの?」問題は解決します。

AIとロボットを国が保有し、国は国民に生きていくのに最低限必要なお金を配り、国民は生産・労働を行わずにそのお金を使って生きていくことができます。

これでは社会主義的では?と思うかもしれませんが、そうだと思います。

ただ、社会主義の問題点というのは労働意欲の低下に伴う生産不足や技術革新の欠如だったので、その点AIとロボットは電源さえ確保できていれば労働意欲は関係ありません。

AIに技術革新が起こせるかというと、現時点ではノーだと思いますが、人類はもはや技術革新が不要なほど豊かな生活を手に入れているのでこれ以上の技術革新は不要と割り切ってしまってもいいかもしれません。(実際のところ気候変動など持続可能な世界つくりのための技術革新はまだまだ必要ですが)

以上

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[ 2020/06/12 15:50 ] 13.投資の勉強部屋 | TB(-) | CM(0)

1分で分かるFOMC超概略~5つのポイント~(2020/6/10)

FRB パウエル


<2020年6月10日FOMC 5つのポイント>

1.金利は当面据え置き(0~0.25%)

2.資産購入による資金供給は今後数か月は今のペースを維持

3.メーンストリート貸付プログラム(金融機関の中小企業向融資をFRBが買い取るもの)は当面継続

4.イールドカーブコントロールは議論中

5.FRBメンバー及び連銀総裁の経済予測平均値は以下

202020212022
GDP成長率-6.5%5.0%3.5%
失業率9.3%6.5%5.5%
インフレ率0.8%1.6%1.7%
政策金利0.1%0.1%0.1%


<著者一言コメント>

・経済予測にある通り、FRBは2022年末までのゼロ金利継続を考えていることに強い危機感を感じてることが読み取れます。

・資産購入ペースは以下FRBバランスシート推移にある通り減速気味ではあるも、3月以降爆発的な資金供給をしたことが読み取れます。これが現在の株高の大きな要因ですね。

<FRBバランスシート推移>

FRB BS
出典:FRB

※単位は百万ドル(7M百万ドルは100円/ドル換算で700兆円)

以上

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[ 2020/06/11 12:00 ] 18.FRB | TB(-) | CM(0)

貧富の格差議論に意味はあるのか?

格差_20200610

出典:ダイヤモンド

以下の不等式をご存じの方は多いと思います。

r>g

これは2013年にトマ・ピケティの著した「21世紀の資本」にて示されたもので、資本収益率(r)は経済成長率(g)を常に上回るという歴史的事実を指します。

ここで、「資本収益率(r)」は資本から得られる金利や配当利回りなどを指します。
資本家は資本収入を再投資することで、毎年の資本収入を資本収益率同じ比率で増やしていくことができます。

(例えば、資本収益率が10%であれば、初年度は100の資本から10の収入が、次年度は110の資本から11の収入が得られます。次年度の収入は初年度から資本収益率と同じ10%増えていることがわかります。)


次に、「経済成長率(g)」はGDP成長率です。

GDP構成要素は「労働者賃金+営業余剰+固定資本減耗・その他」です。
実は配当などの資本収入も営業余剰の中に含まれますが、全体に占める割合としては通常労働者賃金が最も大きいので、ここでは「経済成長率」≒「労働者賃金の伸び率」として考えます。


つまり、「資本収益率(r)」>「経済成長率(g)」は、労働者よりも資本家の収益の伸び率の方が大きいことを意味し、資本主義経済においては時間の経過とともに貧富の格差はますます拡大していくことが歴史的な事実であることを暴いたのです。


また、2017年に、国際非政府組織(NGO)オックスファムは、世界で最も裕福な8人と、世界人口の下位半分に当たる36億7500万人の資産額がほぼ同じだとする報告書を発表して話題になりました。


これらによって、現在の富の大部分がほんの一握りのお金持ちに集中しており、貧富の格差は想像を絶するほど広がっているという認識を多くの人が持っていると思います。


一方で、貧富の格差というのは重要でしょうか?


個人的にはあまり重要ではないと思っています。

なぜなら、人間は常に他人との比較を通して自分の現在位置を認識する生き物だからです。

そして自分と他人との間に「差」があるときに、劣等感に浸ったり、優越感に浸ったりするのです。

そしてその「差」の大きさと、劣等感・優越感の大きさは比例しないように思います。

例えば、年収500万円の人の場合、年収600万円の人に対する嫉妬(年収差100万円)よりも、年収800万円の人に対する嫉妬(年収差300万円)の方が3倍大きいのでしょうか?

それはそんなことないと思います。

逆に、差が小さいほうがよりその人との距離が現実的であり、嫉妬が大きいかもしれません。
(年収500万円の人がジェフベゾスやビルゲイツに嫉妬しないのと同じです)

つまり、どんなに頑張って平等な社会を作ったとしても、他人と自分との間に少しでも「差」があれば不満が募るのです。

よって格差への不満の議論というのはとても不毛なように思えます。


では、格差問題は全てが不毛な議論かと言われればそうでもないと思います。


世の中には、貧しい家庭に生まれて子供のころから労働を強いられ、教育を受けられずに、一生貧しい生活を余儀なくされる人々も多く存在します。

このような人たちに、他の人と同じように平等にチャンスが与えられているとは思えません。

つまり生まれた環境に関わらず、努力が報われる社会であるべきとは思います。

では、格差を助長するといわれる資本主義は、このような人々をさらに貧しくするようなシステムなのでしょうか?


このような人たちが世界にどれくらい存在しているかを把握するデータの一つに、世界銀行がまとめる絶対的貧困率データがあります。

絶対的貧困とは、たとえば、食べ物がない、家がないなど人間としての最低限の生存条件を欠くような貧困のことを意味します。
これを世界銀行は「日給1.9ドル以下の人々」と定義しています。(じゃあ日給2ドルあれば生きていけるかというとかなり疑問ですが)

世界人口に占める絶対的貧困率と絶対的貧困者数を現したのが下図です。

絶対的貧困人口比率
絶対的貧困人口
資料:世界銀行のデータを基に著者が作成



これを見れば、絶対的貧困率も貧困者数も年々急速に改善してきていることがわかります。


ピケティの不等式「r>g」だけ見れば、資本主義は格差を拡大させるひどい経済システムだと思うかもしれません。

ただ、資本主義だからこその急速な経済発展の中、資本家は経済発展以上にますますお金持ちになっていっているかもしれませんが、最下層もかなり底上げされていることは事実です。

世の中全体がみな人間的な生活をしていけるようにするという意味では、他の経済システムに比べれば資本主義はかなりマシなシステムといえるかもしれません。

以上

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[ 2020/06/10 16:40 ] 13.投資の勉強部屋 | TB(-) | CM(0)

コロナのパニック相場で感じたこと

投資方針

出典:幻冬舎

今回は自身の備忘も含め、コロナウイルス感染拡大に伴う大暴落相場で、感じたこと、気づいたこと、反省点等を振り返ります。

感染第二波が懸念される中、少々気が早いですが株式市場は落ち着きを取り戻し既にかなり回復してきているので、いったんここで整理しておきたいと思います。

1.パニック相場で感じたこと(心理面)

・含み益があるときはまだ心に余裕あり。どちらかというと絶好の買い場だから買わねばと。

・含み損に突入し、含み損が膨らんでいく状況は正直かなり「怖い」という感情が。その一方で、ここで拾えずにあっという間に元の水準まで戻ってしまったらどうしようという怖さも。

・市場参加者がパニックになっていることはわかっていた。株価が割安なのもわかっていた。ただ、パニック相場でどこまで下がるか全くわからない。

・自分の投資先が倒産することはないという自信はあったが、世の中悲観一色の「資本主義が終わるのでは?」という考えもちらつく。(←今考えればばからしいが)

2.パニック相場で気づいたこと

・暴落相場の最中ではどこが底かがわからないので、買いたい企業の適正株価水準を把握しておくことは重要。(適正株価以下で買えれば、その後どんなに下がってもいいやと思える)

・パニック相場のメカニズム。歴史的に「暴落は買い」というのが常識な中、もう大暴落は来ないのでは?とすら思っていたが、パニック相場では投資知見の浅い投資家が恐怖から投資信託を解約してしまうので、「暴落は買い」という玄人の投資判断を素人の「怖いから売り」という投資判断が飲み込んでしまい、売りが売りを呼ぶ展開に。平常時はプロ(機関投資家)が運用し、パニック相場では素人が運用するイメージ。

・世の中が悲観一色の時は、自分の考え方も悲観的になってしまう。(「資本主義が終わるのでは?」というのもこれが原因)

・テレビコメンテーターは大体てきとうなことを言っている。

・連続増配というのは精神安定剤になる。配当をいつも通り出してくれるなら別に株価が下がってたっていいや、2~3年低迷したっていいやと、ある程度思える。

・生活必需品系の優良企業(P&Gなど)は暴落に強い。(どんなに不景気になっても、「シャンプーを二日に一回にしよう」「子供のおむつ交換は一日一回にしよう」などとは思わない)

3.自身の投資の反省点

・下げ相場の早い段階で保有現金を多く使ってしまった。

・一生持っていたいと思えるかというとそうではない流行銘柄(Zoomやギリアド)に投資してしまった。一儲けしてやりたい、という気持ちで投資してしまった。

4.よかったこと

・(偶然だが)現金を多めに持っていた。

・どの企業を、いくらで買いたいか、準備はできていた。

5.今後に活かしたいこと

・暴落相場こそ自分の投資の目的をしっかり再確認。自分の場合は「資本を通じて社会に貢献したい」というのが目的なので、それに沿った投資行動をすべき。

・具体的には、「どんな状況になっても応援したいと思える企業が今回のように危機に陥っている時こそ喜んで応援の買いを」というマインドで投資をすべき(自分の場合です)。「この暴落相場で一儲けしてやろう」と思ってはうまくいかない。

・企業が苦しい時こそ、応援の投資をするにはいい機会なので、やはりこういうときのためにある程度現金(応援準備金)は持っていたい。

以上

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[ 2020/06/09 11:46 ] 13.投資の勉強部屋 | TB(-) | CM(0)

現代でも示唆に富む「共産党宣言(1848年)」③

共産党宣言_20200602


今回は「資本論」で有名なマルクスとエンゲルスの文書「共産党宣言」(1848年発表)についての第三回です。

現代でも示唆に富む「共産党宣言(1848年)」①
現代でも示唆に富む「共産党宣言(1848年)」②

170年以上前の文書ですが、この文書が指摘する資本主義の構造的な問題などは現在にも通ずるところがあり、資本主義の理解を深めるという意味でも投資家には示唆の多い内容になっていると思います。


3. 共産党宣言の概要


前回までで確認した歴史背景の中で、フランスにおける1830年以降の七月王政時代は産業革命が本格的に進み、資本家(ブルジョアジー)と賃金労働者(プロレタリアート)という階級が明確になり、虐げられたプロレタリアートの不満が爆発して1848年の二月革命に至りました。

「共産党宣言」の発行日は二月革命の直前1848年2月で、しかも場所はロンドン、言語はドイツ語だったので、これが二月革命に直接的な影響を与えたものではありません。

ただし、当時すでに抑圧階級であるブルジョアジーと被抑圧階級であるプロレタリアートという構図が浮き彫りになってきており、プロレタリアートを中心に社会主義・共産主義の考え方が広がっていたのは事実であり、そのような思想を文書にまとめたものが「共産党宣言」といえるでしょう。

ちなみに当時理解されていた「共産主義」とは、教義や思想というより、被抑圧階級であるプロレタリアートを解放する「運動」ととらえられていました。

では、共産党宣言とは何だったのかというのを以下で見ていきます。

・共産党宣言の目的とは?

共産主義者が自己の見解、目的、企図を全世界に表明、宣言すること。
この目的のために、様々な国と民族の共産主義者がロンドンに集まって宣言を起草したもの

・共産主義者の見解とは?

人類の歴史は階級闘争の歴史であり、1848年当時は、搾取され抑圧されている階級がプロレタリアートであり、搾取し支配している階級がブルジョアジーである。

プロレタリアートとは近代労働者のこと。生活の糧を自己の労働の販売から得ている社会階級。

ブルジョアジーとは近代資本家のこと。それまで道具(紡ぎ車や手織り機など)と手作業で行われていた生産過程を、蒸気機関を動力とする巨大な機械に置き換え、労働者を生産主体である機械の付属物のように扱う大工業における資本家を指す。(小工業家、小商人、手工業者とは異なる)

そして被抑圧階級であるプロレタリアートが自身を解放するために、団結し革命を起こし、その結果ブルジョアジーが没落し、プロレタリアートが勝利することは不可避である。

プロレタリアートは革命を通じて、自らが支配階級になり、支配階級としてブルジョアジーの権利を力ずくで廃棄し、階級闘争の社会に代わって、万人の自由の発展のために、各人の自由の発展が条件となるような協同社会(アソシエーション)が登場する。

・プロレタリアートはどのように抑圧されているのか?

プロレタリアートの労働は機械の普及と分業の発達により、機械の単なる付属物と化し、最も単純かつ単調で、最も簡単に覚えることのできる操作だけが求められるようになり、労働のあらゆる魅力が失われた。

このような構造の下、労働はあらゆる他の商品と同じ一個の商品であり、商品の価格が生産費に等しいのと同様、労働の価格(賃金)も生産費に等しい。そして、労働の生産費とは、労働者が働き続けることができ、労働者階級が死滅しない状態を保つのにちょうど必要なだけの生活費である。

他方、莫大な生産力を得たブルジョアジーは私有財産制と自由市場・自由競争の下、野放図な競争を行い、生産過剰に陥り、経済恐慌に至る。恐慌時に過剰となった生産力は破壊されるが、経済の過熱→恐慌→回復、という循環を繰り返す。

絶え間なく続くこの過程で、労働者に対する需要は経済の波ととともにとても不安定であり、さらに競争の激化に伴い生産効率が改善されればされる程、労働の不快が増大し、それに比例して賃金もまた下がっていく。

これが進展するにしたがって、プロレタリアートの不満が増大し、ついにはブルジョアジーに対する闘争が始まるのである。

・このような見解の中、共産主義者はどのような役割を果たすのか?

共産主義は、プロレタリアートを団結させ階級を形成し、民主主義を獲得(プロレタリアートの選挙権を獲得)し、プロレタリアート自らの政治的支配を利用して、ブルジョアジーの支配を打倒し、最終的に階級対立のない協同社会(アソシエーション)を登場させる、という運動全体をさす。

共産主義者はこの運動の結果を洞察した上で、この運動全体の利益を代表し、推進していくものである。

・どのようにプロレタリアートを階級化させるのか?(階級化の企図は?)

不満が爆発したプロレタリアートは、最初は個々のプロレタリアートが自分たちを直接搾取している個々のブルジョアと闘争を開始する。

これらの個々の闘争は、当初は各地域でまったく別個のものとして発生するが、それらはどこでも共通の性格を有していることと、近代工業によって作り出された運輸交通手段の改善により、次第に各地域の闘争が相互に結び付きはじめ、地方的諸闘争が全国闘争に、そしてついにはプロレタリアートという階級が組織され、一個の階級闘争に発展するのである。

この階級闘争を通じて、民主主義(プロレタリアートの選挙権。当時の選挙権は納税額の制限があったため)を勝ち取るのである。

・プロレタリアートは政治的支配を利用して具体的にはどのようにしてブルジョアジーの権利を廃棄するのか?(ブルジョアジー支配打倒の企図は?)

共産党宣言では、私有財産権と自由競争がブルジョアジーをここまで大きなものにし、プロレタリアートをここまで貶めてしまった根本的な問題と考えている。

よって、ブルジョアジーの支配を打倒するためには、主に私有財産権を撤廃し、ブルジョアジーからあらゆる資本、生産用具を奪い取り、主にプロレタリアートで組織された国家の手にそれらを集中すべきと考える。

諸方策は国によって異なるが主な方策としては以下があげられるとしている。

土地所有を収奪し、地代を国家の費用に充当
高度の累進課税
相続権の廃止
亡命者と反逆者の財産没収
国営銀行を通じて国家の手に信用を集中すること
運輸交通手段を国家の手に集中すること
国営工場と生産用具を増大させ、協同の計画に基づいて土地の悔恨と改良を進めること
万人に対する平等の労働義務。
農業経営と工業経営の結合
無償教育、児童労働廃止、教育と生産活動の結合
などなど

・そして宣言の最後に、万国のプロレタリアにこう呼びかける


「支配階級を共産主義革命の前に戦慄せしめよ。プロレタリアはこの革命において鉄鎖以外失うものは何もない。彼らが獲得するのは全世界である。

万国のプロレタリア、団結せよ!」

STOP

・その後共産党宣言は19世紀後半にかけて各国語版に翻訳され大きな影響力を与えました。資本主義に対する深い洞察が含まれており、現代においてもとても示唆に富む内容であると感じたと同時に、ブルジョアジーを打倒した後の世界を具体的にどのように運営していけばよいのか、という点についてはほとんど言及がありません。

・共産党宣言を一通り理解した上で、現代に目を向けてみるとどうでしょうか?日本の大企業では、強い労働組合が存在し、ある程度賃金交渉できる体制が整っていて、解雇に関しては労働基準法でがっちり規制されているので、共産党宣言が発行された当時よりかは資本主義が成熟し、労働者を守るための体制が整備されてきている印象です。

・一方でバブル崩壊後、平均賃金はほとんど上がらず、非正規労働者の割合はますます増大(今や4割に)し、これら非正規社員の賃上げや地位向上はほとんどなされず、少子高齢化に伴い税や保険料負担はますます上がっているのも事実。

・それでも日本の労働者は大規模な犯行を作り出すことなく、これら搾取を従順に受け止めており、世界的に見ても日本の異常さは際立っているという見方もあります。なぜ日本の労働者はここまでおとなしいのでしょうか?

・最近米国で白人警察官が黒人を殺害した事件で大規模な差別反対デモが起こっています。その中で「資本主義は死ね」というのを掲げている人がいました。この言葉は、資本主義の構造的な問題をある程度理解していないとできないコメントだなと思います。

・翻って、日本を眺めてみると、「資本主義」ということを理解している人があまりにも少ないように感じます。日本の労働者がおとなしいのではなく、資本主義がどのような構造になっているかに対して著しく知識が欠如している為に、これが普通と考えているのではないでしょうか?

・著者としては、必ずしも共産主義的な考え方を支持しませんが、人類が発展していくためには、それぞれが現在世界を支配している資本主義について考え、自らの考えを発信していくべきではないかと思います。



以上

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※当ブログで紹介する理論株価は、いくつかの前提条件をりろんかぶおが独自に設定している為、その前提条件次第では計算結果が異なってきます。また当ブログは、投資に関する情報を掲載していますが、特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。また、読者が当ブログの情報を用いて行う投資判断の一切について責任を負うものではありません。

[ 2020/06/05 14:54 ] 13.投資の勉強部屋 | TB(-) | CM(0)

現代でも示唆に富む「共産党宣言(1848年)」②

共産党宣言_20200602


今回は「資本論」で有名なマルクスとエンゲルスの文書「共産党宣言」(1848年発表)についての第二回です。

現代でも示唆に富む「共産党宣言(1848年)」①

170年以上前の文書ですが、この文書が指摘する資本主義の構造的な問題などは現在にも通ずるところがあり、資本主義の理解を深めるという意味でも投資家には示唆の多い内容になっていると思います。


2. 歴史的背景②(フランス革命~ナポレオン)


前回に引き続き、共産党宣言を正しく理解するために、当時の歴史的背景をみていきます。

今回はナポレオン失脚後の歴史です。

④1814年~1830年 「復古王政」

政治:軍事独裁→立憲君主制
経済:私有財産制(資本主義)

・ナポレオン時代のヨーロッパは、イギリスとロシアを除けばそのほとんどが、フランスの服属国、同盟国となっていました。そして、ナポレオン失脚後のヨーロッパの秩序回復を図る目的で行われたのがウィーン会議。

・ウィーン会議はその名の通りオーストリアの首都ウィーンで開催され、ヨーロッパ諸国の君主及び代表が参加しました。もともとナポレオン戦争は、王政廃止を実現したフランスがその革命理念をヨーロッパに拡張しようとしたもので、これに反発した周辺諸国が対仏大同盟を結び、最終的に対仏大同盟側が勝利したものです。

・よって、ウィーン会議はヨーロッパをフランス革命以前の絶対王政の状態に戻すという理念を出発点として議論が行われ、結論として各国の旧君主が復位することで合意。

・一方フランスでは、フランス革命で生まれた市民意識は定着していたので、憲法をはじめ、所有権の不可侵や法の下の平等など、革命の成果は保障(ただし選挙権は一定額の納税者に限定する制限選挙)。よって、王政は戻ったものの、憲法の縛りがある立憲君主制に。

・平等や私有財産権は確保されたものの、フランス市民は選挙権の拡大、より自由主義的な経済を求め、そのような考えを持つ自由主義者が増加。そんな中、1824年に王位に即位したシャルル10世は、かつての絶対王政の状態に戻すような動きを見せ、1830年に、出版の自由の制限や制限選挙のさらなる強化を画策し、これに反発した民衆が蜂起し7月革命が勃発。

・この間に、当時自由主義者が多数派を占めた議会が国王の廃位を宣言し、シャルル10世はイギリスに亡命。

⑤1830年~1848年 「七月王政」

政治:立憲君主制→共和制
経済:私有財産制(資本主義)

・七月革命後、国王に迎えられたのは、それまで王位に就いていたブルボン家の分家筋に当たるルイ=フィリップで、独裁者としてではなくフランス人のための王と称して市民王とも呼ばれた(ただし議会は引き続き制限選挙制)。

・七月王政期のフランスは本格的な産業革命時代となり、機械化が進み鉄道の建設が開始。その結果、資本家(ブルジョワジー)と賃金労働者(プロレタリアート)という階級が明確に形成され現代の資本主義に非常に近い形に。

・資本主義が発展するにしたがって、ブルジョワジーはますます富を増やした。一方でプロレタリアートの労働力は商品と同様に扱われ、その対価はプロレタリアートの維持費用、つまり生活費ぎりぎりの水準まで切り下げられていった。

・さらに、制限選挙故に、いわゆるお金持ちしか選挙権を持たないため、必然的にブルジョワジー寄りの政権に。当時の首相が「選挙権が欲しければ金持ちになり給え」といったのは有名。

・こういう状況の中、プロレタリアートの権利を回復するため、社会主義・共産主義への期待が高まった。さらに一部の市民層が普通選挙を要求する選挙法改正運動を起こした。これを抑え込もうとした政府に激昂したパリ市民、労働者はついに蜂起して二月革命が勃発。その結果、ルイ=フィリップを退位に追い込み七月王政を倒し、共和政を宣言し臨時政府が成立された。

・かつてのフランス革命や七月革命では貴族階級対ブルジョワジーであったが、二月革命はブルジョワジー対プロレタリアートという構図であったことが特徴的。

・二月革命の結果男性普通選挙が実現し、社会主義・共産主義を志向するプロレタリアートも選挙に参加するも、私有財産権を否定する社会主義・共産主義的な思想は、フランス革命でようやく私有地を得た農民からの反発を受け、結局はブルジョワが支持する穏健共和派が政権を握ることに。

・つまり、ブルジョワジー対プロレタリアートの対立関係は二月革命では解消せず、その後も続くことに。

STOP

次回は、二月革命時のプロレタリアートの思想に多大な影響を与えた「共産党宣言」の内容に迫っていきます。

以上

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[ 2020/06/03 12:22 ] 13.投資の勉強部屋 | TB(-) | CM(0)

現代でも示唆に富む「共産党宣言(1848年)」①

共産党宣言_20200602


今回は「資本論」で有名なマルクスとエンゲルスの文書「共産党宣言」(1848年発表)について紹介します。

170年以上前の文書ですが、この文書が指摘する資本主義の構造的な問題などは現在にも通ずるところがあり、資本主義の理解を深めるという意味でも投資家には示唆の多い内容になっていると思います。


1. 歴史的背景①(フランス革命~ナポレオン)


まず、共産党宣言を理解する上では、当時の歴史的背景を理解する必要があります。

18世紀後半、19世紀前半のヨーロッパの歴史はフランスの市民が主導する形で展開されました。

当時のフランス史の概要は大まかに以下のようなものでした。

①~1789年 「フランス革命以前」

政治:絶対王政(王が絶対的な権力を保持)
経済:封建制(王の下の貴族が土地を領有し、その土地の人民を統治)

・国王を頂点に、第一身分:聖職者、第二身分:貴族、第三身分:一般市民、の構成。

・第一・二身分は特権階級で、国土の大半を領有する封建領主として第三身分を支配。

②1789年~1799年 「フランス革命」

政治:絶対王政→立憲君主制(王の権力が憲法により規制されている王政)→共和制(王を持たない政体)
経済:封建制→私有財産制(資本主義)

・国王及び貴族に抑圧されていた第三身分が自身の権利を主張しフランス革命が勃発。

・これにより第三身分のみで組成された国民議会を正式な国の議会であることを国王に認めさせ、最終的に「1791年憲法」を制定。これにより、絶対王政から立憲君主制へ、そして財産制限はあるものの第三身分の選挙権を認め、この制限選挙による立法議会が憲法に続く諸法規の制定することとなった。

・1791年憲法で、第三身分は選挙権を獲得したものの財産制限があったため、1792年、選挙権を持たない一般市民や下層民がこれに反抗し、国王を襲撃するという事件が発生。この結果王政が廃止され、翌年制定された「1993年憲法」では人民主権を明確に打ち出し、財産制限のない男性普通選挙が盛り込まれ、本格的に共和制が開始。

・1793年以降、男性普通選挙で成立した議会では、第三身分の下層民の権利を主張する派閥が台頭し、初期に廃止されていた封建特権に加え、封建地代の無条件無償廃止が実現し、封建制が完全に終了。「1795年憲法でも私有財産の不可侵を明記。長きにわたった領主と濃度の関係に終止符が打たれ、農民が土地所有権を獲得。

③1799年~1814年 「ナポレオンの軍事独裁」

政治:共和制(王を持たない政体)→軍事独裁
経済:私有財産制(資本主義)

・フランス革命期、王政統治をおこなっていた周辺諸国は、フランス革命による王政廃止の波及を恐れ、イギリス、オーストリア、プロイセン、スペインなどを中心に対仏大同盟を結成し、フランスとの戦争に突入(フランス革命戦争)。

・当初、フランス側が敗戦を続けるも、1796年以降、フランス軍をナポレオンが率いるようになって形成が逆転し、対オーストリアでは和平締結に成功。このような実績をひっさげたナポレオンは、当時市民主導の革命の末に混迷を極めた政府に対し、クーデターを起こし、当時の政府を倒し、自身が統領となる政府を樹立。

・その後、ナポレオンは革命理念の全ヨーロッパへの拡張を目指し、ナポレオン戦争といわれる実質的な征服戦争を展開。

・更に国内の幅広い支持を背景に、1804年ナポレオン1世として皇帝に即位。これによってフランス革命によって生み出された共和政は終わりを告げ軍事独裁政権へと移行。

・ナポレオンは1807年までに、イギリス以外のヨーロッパをほぼ征服。ただし、1812年のロシア遠征に失敗したことから急転し、最終的にはパリも陥落し、ナポレオンは1814年に退位。その後まもなく皇帝に復したが1815年にすぐに敗れて1821年に死去。

STOP

次回は、ナポレオン失脚後の歴史を見ていきます。

以上

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[ 2020/06/02 15:42 ] 13.投資の勉強部屋 | TB(-) | CM(0)
プロフィール

りろんかぶお

Author:りろんかぶお
【名前】:りろんかぶお
【生年】:1987年
【出身】:千葉
【性格】:感情の起伏ゼロ。声低め。
【学歴】:東京大学大学院卒
【職業】:現在はセミリタイアし専業投資家。元総合商社勤務(M&A等)
【資格】:証券アナリスト
【趣味】:投資・麻雀・ランニング
【目標】:資本を通じて社会に貢献すること


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