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M&Aを手掛けた東大卒元商社マン(証券アナリスト資格有、現在はFIREを達成し専業投資家)が主に米国株の理論株価を全力分析!(平日毎日12時更新)

カテゴリー  [ 14.投資の勉強部屋 ]

決済市場の未来はこうなる!World Payment Report 2021

Capgemini社がWorld Payment Report 2021を公表したので概略を下記します。

・コロナパンデミックが加速させた決済方法の変容により、決済市場には新しくてかつ顧客体験が重要性を増す新しい時代”Payment 4.X”が訪れている。

・使い勝手がよく、ライフスタイルに根付いた決済方法を欲する消費者と、迅速な決済、スムーズな集計、シームレスな国際間取引を欲する小売店が、”Payment 4.X”時代に火をつけたといえる。

・将来有望な新興企業は、優れた顧客体験を提供すべく、”Payment 4.X”の要である、データ、共有インフラ、プラットフォーム、組み込み型金融を、駆使していくことだろう。

・デジタル決済がますます受け入れられる中、伝統的な決済方法(小切手やカード決済等)は厳しい環境にさらされる。

・未来の決済にフォーカスした新興企業は決済による顧客体験を強化するための投資を拡大していっている。

・B2B決済に関する顧客は、決済のデジタル化にあたって、ソリューションプロバイダーではなく、アドバイザリーパートナーを求めている。

・先陣を走る新興企業群は、プロダクトではなく顧客体験をベースにしたソリューションを模索するために、PayTechやシナジーのあるエコシステムを持っているパートナーと協業するだろう。

・新しい顧客習慣、決済方法などは、ポストパンデミックの顕著な回復と成長を後押しする。

・非接触決済、迅速な決済成立、安全なセキュリティ、よりよい顧客体験に対する予期せぬ需要拡大は、デジタル決済を新たな高みに押し上げる。

・コロナパンデミックはB2B決済の転換点となり、2025年にはB2Bのデジタル決済は$200billionに上ると予想する。(図3)

・インスタント決済やEマネーは、世界のNon Cash決済のうち2020年には14.5%を占めたが、2025年には25%に達するだろう。(図4)

・次世代の決済方法である、Buy Now Pay Later、Invisible決済、Biometric決済、仮想通貨決済などが、デジタル決済市場の成長を牽引する。

<参考図>
出典:全てCapgemini社のWorld Payment Report 2021

図1 2016年~2020年の世界のノンキャッシュ決済額推移
決済市場過去_20211013


図2 2020年~2025年の世界のノンキャッシュ決済額推移予想
決済市場よそう_20211013


図3 2020年~2025年の世界のB2Bノンキャッシュ決済額推移予想
決済市場よそうB2B_20211013


図4 伝統的決済方法(小切手、カード等) vs 新しい決済方法(インスタント決済、eMoney)
決済市場内訳_20211013


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りろんかぶお

※当ブログで紹介する理論株価は、いくつかの前提条件をりろんかぶおが独自に設定している為、その前提条件次第では計算結果が異なってきます。また当ブログは、投資に関する情報を掲載していますが、特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。また、読者が当ブログの情報を用いて行う投資判断の一切について責任を負うものではありません。

[ 2021/10/13 12:00 ] 14.投資の勉強部屋 | TB(-) | CM(0)

ガス価格高騰はまだまだ続くのか?IEAが2021年4Qレポートを公表!


IEA(国際エネルギー機関)が2021年4Qのガスマーケットレポートを発表したので要点を記載します。

原文:https://www.iea.org/reports/gas-market-report-q4-2021

ガス価格
・2021年4Qのガス価格は、欧州及びアジアにおいて歴史的な高値で始まった。
・需要期である冬場に向けて既に在庫は少ない。
・原因は、コロナ禍からの需要急回復、弱い風による風力発電量の減少、計画外生産制限による供給減など
・ガス価高騰で、石炭や石油に発電源がシフト傾向

ガスと電気の相互依存
・昨冬、アジアでの寒冬でガス需要増加しLNG価格は急騰。
・今夏は雨が少なく、水力発電に頼るブラジル、米カリフォルニア州、トルコはガス火力にシフトしてガス価格高騰。
・上記は、ガスと電気の相互依存性を示す。

LNG
・LNGは需要のボラティリティ吸収の有力候補だが、2020年に続き2021年も供給停止が多く、量が少ない。
・昨冬に需要のボラティリティ吸収に重要な役割を果たしたLNGは、目的地指定の長期契約が増加傾向。
・LNG基地の開発プロジェクトへの投資は、2019年のレコードハイから減少している。

将来のガスシステム
・2050年の温室効果ガス排出ネットゼロ目標は、低炭素ガスの利用拡大を意味する。
・将来のガスシステムはより複雑で、分散型で、双方向なネットワークになる。規制当局は適切な対応をする必要あり。

STOP

要は、次の冬が寒い冬だと、ガス在庫及びLNG在庫が少なくてやばそう、価格はさらに高騰しそう、ということかと思われます。

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りろんかぶお

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[ 2021/10/12 12:15 ] 14.投資の勉強部屋 | TB(-) | CM(0)

米オイルメジャーがそれでも太陽光や風力発電に投資しない理由

イメージ_20210930


・気候変動問題がますます深刻化する中、巨大石油企業群であるオイルメジャーにも株主から圧力がかかる。

・”欧州”オイルメジャー(英BP、英蘭シェル、仏TOTAL)は2050年以前までに温室効果ガス排出ネットゼロを目標に掲げた。

・彼らは今後油田開発への投資を抑制し、太陽光や風力などの再生可能エネルギー発電への投資を加速させている。

・一方で米オイルメジャー(エクソンモービル、シェブロン等)は太陽光や風力への投資は行っていない。

・代わりに彼らはバイオ燃料や水素、CCS(CO2回収貯留技術)に投資している。

・欧州オイルメジャーが太陽光や風力に注力する理由は、水素やCCSが商業化するためにはさらなる開発、需要拡大、国の補助が必要であるのに対し、太陽光や風力はすぐに活用可能でリターンが出るからだ。

・BPによると太陽光や風力のリターンは年率で8%~10%程度だという。

・一方、シェブロンCEOは「太陽光や風力は比較的成熟した技術。それらへの投資も十分にある。故に投資リターンは低いのが実情だ。シェブロン経営陣は太陽光や風力への投資を通じて株主価値を創造することができないと結論付けた」とコメント。

・一方で、Chevronは再生可能燃料、水素生産、CCS等の低炭素ビジネスに2028年までに10billion投資するといっており、「我々のコアのオイル&ガスビジネスからの力強いキャッシュフローを、配当、自社株買い、低炭素ビジネスへの投資に振り向けていく予定」とのCEOコメント。

・エクソンモービルもシェブロンと同様太陽光や風力への投資は避け、主にCCSに注力する方針。2025年迄に同分野に3billion投資する予定。

・株主から気候変動対策に関する圧力を受けるエクソンモービルとシェブロンだが、今後も太陽光や風力への投資は行わなそうだ。

原文:https://finance.yahoo.com/news/why-chevron-exxon-shun-solar-210000813.html

<コメント>

・さすが米国企業だなと思う。企業の使命は”株主価値の最大化”なのでそれを最優先に資本配分をすべき。

・シェブロンCEOは、「気候変動対策に投資をすべきと思う株主がいるなら、我々が出した配当を使って自身でそのような投資をすればいい」とさえ言っていて本質だなと思う。

・生き残ることが企業の使命ではないので、わざわざ低リターンとわかっている分野に投資する必要はない。

・一方で、欧州オイルメジャーが油田開発投資を今後抑制するということは、供給が減って原油価格は高くなりやすいだろう。

・であれば、エクソンモービルやシェブロンにとって利益を上げやすい時期に突入することになる。

・一方で、原油価格の高止まりは、代替エネルギーへのシフトを加速させるため、「石油の時代」の終焉は早まるかもしれない。

・但し、OPEC等のWorld Oil Outlookなどを見れば、どんなにEV普及や代替エネルギーへのシフトが進んだとしても、少なくとも2045年時点では現在と同程度の原油需要があるのだろうということが読み取れる。

・また、CCS技術がほんとに広く普及するようであれば、原油の使用はある程度許容されるのではないかとも思う。

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[ 2021/09/30 12:00 ] 14.投資の勉強部屋 | TB(-) | CM(0)

EUのガス価格高騰で儲かる企業!


最近EUのガス価格が上昇していることが話題になっています。

以下は欧州ガス価格の代表的指標のオランダTTF先物価格ですが、年初から約5倍に上がっています。
ガス価格_20210928


今回は、このガス高の原因と、ガス価格高騰で恩恵を受ける企業を分析していきます。


1.ガス価格高騰の原因

IEAによると以下の要因とのこと。

①コロナ禍からの経済回復による需要増
②風が弱く風力発電量が低下によるガス火力発電需要増
③昨冬、世界的な厳冬で在庫不足
④LNG基地の操業停止や再開遅延で供給不足

以上のような要因が複合的に絡み合ってガス価格が高騰しているのです。

風力発電が芳しくなかったとのことですが、欧州の電源構成はどのようになっているのでしょうか?

電力構成_20210928

(出所)IEA “Key World Energy Statistics 2019″をもとにニューラル作成

上記の通り、イギリス、ドイツ、スペインなどが風力発電の割合が比較的高く、影響を受けやすそうです。

次に、欧州のガスの調達先についてみていきます。

以下は少し古いデータですが大体の間隔はつかめるでしょう。
ガス調達先_20210928


上記の通り、重要な役割を果たすのがロシアからのパイプラインによる輸入であることがわかります。

また、ガスは発電用のみならず、住宅用、産業用にも多く使われます。

そして、冬が寒ければ寒いほど発電用及び住宅用のガス需要が増え、ガス価格が上がりやすい傾向があります。
(絵アンコン、床暖房、ガスファンヒーター、お風呂等)

よって、まだ冬を迎えていないにも関わらず供給がひっ迫しているわけですから、今後冬に向けてさらにガス価格は底堅さが続くことが考えられます。


2.ガス価格高騰で恩恵を受ける企業

このような状況下で恩恵を受ける企業はどこでしょうか?

それはやはり、ガスの上流権益を持っている企業です。

というのも、既に生産を開始しているガス田では、生産コストは基本的に変わらないまま、ガスの販売価格が上がるので、
ガス価格の高騰分がまるまる利益になるわけです。

最も恩恵を受ける順に記載していきます。


①ロシアのガス国営企業ガスプロム

前述した通り、EUのガス調達方法の29%をロシアからのパイプライン輸入に頼っています。

そしてロシアのガス生産の約9割を占めるのが国営のガスプロムです。

ガスプロムのEU向け天然ガス販売は総売上の約3分の1を占め、その他の商品の販売も含めれば総売上の半分が欧州向けです。

欧州のガス価格高騰は間違いなくガスプロムの業績を大幅に押し上げるでしょう。

ガスプロムはNY市場でも上場(ティッカー:OGZPY)しているので、米国証券口座を持っている日本人でも購入可能です。


②欧州オイルメジャー

次に欧州オイルメジャーの

英蘭ロイヤルタッチシェル
英BP
仏TOTAL

の三社です。

前述の通り、EUのガス調達の最大の割合を占めるのが域内生産です。

つまり、EU域内のガスの上流権益を持っているオイルメジャーにも恩恵があります。

これらの企業は欧州の環境意識の強さも相まって、米国のオイルメジャーよりも売り上げに占めるガスの割合が高いです。

更に、LNGにも積極的なので、LNG輸入の恩恵も受けることができるでしょう。


③米国オイルメジャー

次に米国のオイルメジャー

エクソンモービル
シェブロン

です。

ガスというのは気体なので、石油ほど容易かつ低コストで海を越えて運ぶことができません。

しかし、液化してLNGにしてから輸出することは可能で、近年はLNG市場も活況を呈しているため、

欧州のガス価格高騰

欧州でのLNG需要増加

海外のガス需要増加

海外のガス価格高騰

ということで、現に米国のガス価格も高騰しています。

つまり、全世界で上流権益を持つ米国のオイルメジャーだって大きな恩恵を受けます。

またガス価格が高騰すると、市場の原理で、代替品としての石油の需要が上がります。

すると原油価格が上がってオイルメジャーは二重においしいということになるのです。

STOP

まとめると、
①露ガスプロム
②欧州オイルメジャー(シェル、BP、TOTAL)
③米国オイルメジャー(エクソンモービル、シェブロン)

の順にうまみがあるのではと思います。

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[ 2021/09/28 12:17 ] 14.投資の勉強部屋 | TB(-) | CM(0)

投資の原点に立ち返りたい

社会貢献


私の投資の原点となる考え方は、

「資本を通じて世の中に貢献すること」

を基本理念とし、以下4つを満たす企業への投資を行うことです。

1. 今後も人々の生活に不可欠な事業を行っている企業

2. 業界内で確固とした競争優位性を持っている企業

3. 株主利益の最大化を重視する企業

4. 割安な企業


今、改めてこの原点に立ち返らなければいけないという思いを強くしています。

なぜか?

それは、2020年2月にコロナが世界に蔓延し始めて以降、この原点の考え方をおろそかにし始めてしまっていたからです。

コロナ以降の株式市場はまさにジェットコースターでした。

2020年2月~3月にかけて、連日大幅に下落し続け、各指数は30%以上も下落しました。

そしてそこから、特にハイテク株を中心に、株価は一気に元の水準を突き抜け、現在NYダウ、S&P500、NASDAQともに上場来高値圏を舞っています。

このような市場環境の中、日本においても、強い米国株が今まで以上に注目を浴びたと思います。

そして、テーマやチャート、インフルエンサーが勧める銘柄等を手掛かりにした
中短期志向のトレードをする”投機家”が激増したように思います。

そしてそのような投機家が簡単に利益を上げることができたのが2020年の株式市場でした。

そんな中、自分自身も初めは遊び感覚で資産の1%くらいの金額でそのような”投機”に手を出しました。

すると、面白いように利益が上がりました。

そして、投機先の株価が毎日上がったり下がったりするのを見るのは、
刺激の少ないFIRE生活にアドレナリンを注入してくれました。

2020年は相場全体が良かったこともあっていい思いをしましたが、
2021年はやむなく損切りをすることが増えました。

投機家あるあるの、「買ったら下がり、売ったら上がる」ということも体験しました。笑

投機先の企業に関して、競争優位性や株価が割高か割安かをよく吟味することなく、
目の前の短期的な利益を求めて投機を繰り返してました。

また投資に対する考え方も、「資本を通じて世の中に貢献する」ではなく、
「いかに資産を増やすか」ということにフォーカスしすぎていた気がします。

つい先日も、投機先の銘柄を損切りしたばかりです。


ここへきて、しっかりと原点に立ち返ろうと思います。

投資の本質は、

企業に資本を提供し、
企業がその資本を使って世の中の需要を満たすようなモノやサービスを提供し、
その対価として顧客からお金をもらい、
その利益を資本提供者である株主に還元する

というもの。

投資の利益の源泉は常に「ビジネスを通じた社会貢献」であるべきなのです。

この理念を再確認して、

自分が応援したい企業に投資を通じて応援していくというマインドをもう一度取り戻して、
今後の投資を行っていこうと思います。

そして、周囲の投資家や指数より利益が出ているかどうか、ということよりも、
自分が応援した企業が、世の中への社会貢献の輪を広げていくことを楽しもうと思います。

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[ 2021/09/02 12:00 ] 14.投資の勉強部屋 | TB(-) | CM(0)

ARKキャシーウッドが悲観ムード一色の中国株を再び買い始めた理由!

イメージ_20210827


ARK社を率いるキャシーウッドが、8/25のブルームバーグのインタビューで、
悲観ムード一色の中国株を再び買い始めた理由を明かしているので紹介いたします。

<キャシーウッドの発言内容まとめ>

・ARK社が中国株から投資を引き揚げ始めたのは、アントのIPO延期がなされた昨年11月頃から。

・それは中国政府を脅かすほどの力をつけつつある巨大企業に対して、政府が厳しい姿勢を取っていくだろう懸念が増していったから。

・それ以降、我々は中国株から撤退していったが、そんな中で7月末に中国政府から「学習塾企業の非営利化」が発表された。

・このような衝撃的なことが起こった故に、中国政府リスクが嫌気され、中国株全体に下落圧力がかかった。

・ただ、ここで我々は、「中国政府に好かれそうなビジネスをしている企業はどこか?」ということを考えた。

・我々の出した答えは、低所得者に対するケータリング、宅配サービス、グローセリー等のサービスを行っている企業だ。

・だからこそ、それらのサービスを展開するJD.comやPin duo duoを新規購入した。(その後テンセントも新規購入している)

・我々は上述の企業と、今後も政府の圧力を受けるであろう企業、例えばアリババ等、とは分けて考えている。(アリババの持ち分は減らしている)

<著者コメント>

・今の中国株は恐怖にかられなんでも投げ売りされている状況。このような環境を逆にチャンスととらえ、しっかりと状況を整理し、勇気をもって立ち向かっていくあたりはさすがキャシーさん。

・このようなマーケット全体が恐怖に渦巻く中で、冷静な判断をし、バーゲン価格で優良企業に投資できた人が、大きなリターンを獲得する。ウォーレンバフェットもそうやって富を築いてきた。

・今の中国共産党は確かに、低所得者に寄り添った政策を次々に実行しており、それも鑑みた上でのJD.comやPinduoduoの購入とのこと。

・直近の報道でテンセントを新規購入したとのことだが、それも何かしらの分析に基づくものだろう。

・「アリババは引き続き政府の圧力を受ける」というたぐいのコメントがあるが、アリババホルダーとしてはガックシ。一方でアリババも地方在住の低所得層向けのTaobao Dealsというサービスの展開を急速で進めているので、キャシーの見解が正しければアリババも中国政府の好む企業という判断はできるのではないかと考える。

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[ 2021/08/27 19:00 ] 14.投資の勉強部屋 | TB(-) | CM(0)

レイダリオ:中国の昨今の規制強化の動きについて「メディアは中国で何が起こっているのかを見逃している」

イメージ_20210806


世界最大のヘッジファンドであるブリッジウォーターアソシエイツの創業者でヘッジファンドマネジャーとして有名なレイ・ダリオ。

彼が、昨今の中国政府の規制強化の動きに関して、マーケットは誤解しているという見解を、自身のインスタグラムで述べた。

概略は以下の通り。
原文

・中国政府による、①DiDiのアプリ配信停止命令、②教育関連企業の非営利化、の動きについて、36年間中国の資本市場を見てきた立場から補足する。

・まず、欧米メディアは中国共産党が国家の繫栄のために資本市場を利用している事実を信じない傾向あり。過去40年間、中国は資本市場と共に市場経済を力強く発展させてきたにも関わらず。

・その結果、欧米メディアは中国で何が起こっているのかを見逃してきており、おそらく今後も見逃し続けるだろう。

・①のケースでは、中国の政策立案者はDiDiに、上場することはベストではない可能性があり、データプライバシーの問題に対処したいと考えていることを通知した。

・②のケースでは、政策立案者は民間の教育サービスを公的教育として広く利用できるようにすることで、子供たちの教育格差と家計負担を減らすことを意図した。

・政策立案者の考えとしては、これら二つの動きは、株主にとってBad newsかもしれないが国にとっては良いことだと考えている。

・以前もこれらに類似した誤解はあった。例えば、バブル崩壊時の中国政府の市場介入や、PBOCのバンド拡大による人民元の急落時等。

・これらと同じような動きは、他国の資本市場でも何度も起こってきたし、米国や他の先進国市場での財政・金融政策介入は中国政府の介入よりも巨大であるにも関わらず、一部の投資家は中国政府の動きを反自由市場的な不適切な介入と見なした。

・上記の中国政府の対応により、中国は副次的影響をうまく抑え込んだし、彼らの行動の方向性は決して変わらなかった。そしてそれは、中国の資本市場と起業家精神の迅速かつ着実な発展、および外国投資家からの投資呼び込みの助けとなってきた。

・私からのアドバイスは、細かい動きに注目しすぎて誤解をせずに、大きなトレンドをみることだ。

・まず、中国が国営資本主義であることを理解することだ。つまり、国家は多くの国民の利益に奉仕するために資本主義を運営し、政策立案者は資本家の利益よりも国民の利益を優先する。むしろ、資本家は自身がシステムの下位に位置していることを理解する必要がある。

・また、この急速に発展する中国の資本市場で、中国の規制当局が適切な規制を検討しているため、規制が急速に変化し明確でない場合、冒頭のように反資本主義の動きと誤解されることもしばしばあると理解する必要がある。

・また、外国との政治的なリスクがあることも理解する必要がある。米国政府による、中国企業の米国市場での上場に関する政策の変更や、米国年金基金による中国への投資を禁止しようとする動きがそれに当たる。

・そのようなことが将来起こると想定した上で投資を行うべき。しかし、これらの細かい動きを中国における長期的なトレンドの変化と誤解すべきでない。また、中国の国営資本主義が西洋の資本主義のようになると期待すべきでもない。

・そうは言っても、中国の政策立案者が彼らの動きの背景をより明確に公表していないのは残念。

・アメリカと中国のシステムと市場は両方ともチャンスとリスクがあり、お互いに競争し多様化するだろう。したがって、それらは共に投資ポートフォリオの重要な部分と見なされるべきだ。冒頭のような動きを、中国における過去数十年間の大きなトレンドの逆転と誤解しないように、そしてそれを必要以上に怖がることのないようにすべきだ。

<コメント>

・中国といえば、共産党の一党独裁、人権侵害、というイメージが強烈だが、習近平政権というのは国民のマス層である低所得者や弱い立場の人に寄り添う政策を立案してきた政権でもある。

・現に、個人データの保護や、教育改革に関して、大半の中国国民は歓迎している。

・また、データ保護に関して、ネット企業にとって短期的には悪影響があるも、中国のデジタルマーケットの長期的な発展にとっては欠かせないルールだ。

・中国の政策を一つ一つ見ていくと、至極まっとうな政策である。

・これを、冒頭の「一党独裁」と「人権侵害」という強烈なイメージが邪魔をして、投資家の中で「中国政府は何をするかわからない」という恐怖が広がっている。

・今中国の株式市場では、実際に起こっていることと、マーケットのとらえ方に大きなギャップがある。中国の優良企業がとんでもない安値で売られている。ここに大きなチャンスがあると思う。

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[ 2021/08/06 10:09 ] 14.投資の勉強部屋 | TB(-) | CM(0)

中国ネット企業の規制強化


中国政府は7月26日、ネット企業を対象に以下4分野に関して集中的に取り締まることを発表。
今後半年間の間に、企業には自ら調査をして改善を求める。

①独禁法の順守
優越的な立場を利用して他のネットサービスの利用を妨げるようなことを禁止

②利用者の保護
広告サイトへの不適切な誘導などを認めない

③データ保護
利用者の重要個人情報などの暗号化や、データの外部提供に関して利用者の同意を得ること

④当局の運営許可
ブロードバンドの利用などで当局の適切な許可を得ること

<著者コメント>

・最近また中国政府の規制強化が勢いを増してますね。昨年のアントIPO延期から始まり直近では以下の規制強化イベントが多発。

-Didiに対する「サイバーセキュリティー法」に基づいた立入調査及びアプリダウンロード停止
-海外上場を目指す企業へのサイバーセキュリティー審査義務付け
-小中学生への過剰な宿題と課外学習の負担を減らすため、学習塾の新規上場を禁止、既存の塾は非営利化

・既存学習塾の非営利化を除けば、これらの怒涛の規制強化を見て思うのは、「まあ当然のことだよね」ということ。

・なぜなら、個人データの利用に関する議論は、中国のみならず欧米でも激しく議論されている内容だからである。

・中国でいえばBATH(バイドゥ、アリババ、テンセント、ファーウェイ)に加えDidi等、米国でいえばおなじみのGAFAMは、プラットフォーム企業として大量の個人データを保有しており、それらを基にサービスの改善や利益獲得機械の追求を行うことで、利用者が最も多いプラットフォームがますます利用者を増やすというような勝者総取りの状態が生まれてしまっている。

・このような状態となると、他社との健全な競争が阻害され、最終的には消費者が不利益を被ることになる。

・このような背景からも独禁法やデータ利用の議論は欧米でも頻繁に行われている。

・つまり巷でよく言うような、「中国のネット企業が影響力を持ちすぎてきたから中国政府がいじめている」という理不尽な規制ではなく、健全な市場経済を維持発展させていく上でとてもフェアな規制といえるのではないかと思う。

・中国ではネット企業に対する規制の整備が欧米に比べて遅れていたため、今急いで整備をしているために独裁政府の圧力というように見えるがこれは健全な流れではないかと思う。

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[ 2021/07/27 10:57 ] 14.投資の勉強部屋 | TB(-) | CM(0)

最適なポートフォリオについて、理論的には既に答えが出ている

投資をする人なら誰もが「最適なポートフォリオとは何か?」というのを日々考えるだろう。

そのために、決算書を読み、マクロ経済環境を調査し、中央銀行の一挙手一投足をチェックしたりする。

そんな中、実は「最適なポートフォリオ」は理論的にはほぼ確立されているといっても過言ではない。

その理論が現代ポートフォリオ理論である。

今回はその中核に位置するCAPM(Capital Asset Pricing Model、資本資産評価モデル)について紹介する。

但し難しい説明は省いて結論だけお伝えすることにする。

1.最適なポートフォリオとは何か?

まず、現代ポートフォリオ理論における「最適なポートフォリオ」とは何だろうか?

それは、とっているリスクに対して最も高いリターンを出すポートフォリオである。

全てのリスク資産の組み合わせに関して、右軸にリスク、縦軸にリターンをとった時、
以下のグラフのような曲線であらわされる。


効率的フロンティア
出典:https://equity-investment.info/word/word1/


このような曲線が描けた時、最適ポートフォリオは曲線上の上半分ということになる。

なぜなら曲線上の下半分は、取っているリスク量が同じでもリターンが低いので最適とは言えないからである。


そしてこれらのリスク資産に加えて安全資産(国債などのノーリスク資産)を加えると、
下図のような直線が描ける。

CAPM.png
出典:Investopia


安全資産はノーリスクなので当然縦軸に存在し、その点と曲線の接点を結ぶ直線を描けば、
その接点ポートフォリオと安全資産の組み合わせで直線のようなポートフォリオが作れるということになる。

この直線状のポートフォリオを「効率的ポートフォリオ」と呼ぶ。

直線の下部には個別資産と安全資産の組み合わせが点在しているわけだが、
それらは効率的ポートフォリオに比べてとったリスクに対するリターンが劣るので最適とは言えない。

よって、理論上では効率的ポートフォリオ以外のポートフォリオを組むことはナンセンスなのである。

2.接点ポートフォリオとは何なのか?

上述の通り、効率的ポートフォリオとは安全資産と接点ポートフォリオの組み合わせであると説明した。

つまり接点ポートフォリオさえわかれば、効率的ポートフォリオは自由自在に作れてしまうわけだ。

そして、接点ポートフォリオとは何か?こたえるのがCAPMである。

結論からいうと、CAPMに基づけば、接点ポートフォリオは

「マーケットポートフォリオ」である。

マーケットポートフォリオとは、市場に供給される全ての証券のバスケットを指す。

つまり、全ての証券を時価総額に比例した投資比率で保有することを意味する。

それでは、なぜマーケットポートフォリオが接点ポートフォリオといえるのだろうか?

それに対してCAPMでは次のようにきわめて簡単に論証する。

「市場に参加する投資家が合理的に行動する場合、投資家は安全資産と接点ポートフォリオの組み合わせによって最適ポートフォリオを実現しようとする。

ということは、全ての投資家が投資しようとするリスク資産ポートフォリオは、接点ポートフォリオそのものである。

従って、証券の需要と供給が一致する市場均衡の状態では、マーケットポートフォリオはこの接点ポートフォリオでなければならない。

仮に、マーケットポートフォリオが接点から外れた場所に位置するとしよう。

投資家は接点ポートフォリオを求めているのに、マーケットが違うところで均衡してしまっているということは、
需給のバランスが崩れてしまっていることを意味する。

その結果、需要が供給を上回る証券の価格は上昇し、その逆は下落する。

このように市場メカニズムがマーケットポートフォリオが接点にくるまで続くことになる。

このように、市場はマーケットポートフォリオが接点ポートフォリオに来るようにあらゆる証券の価格を調整している、
ということができる。

従って投資家はマーケットポートフォリオのバスケットを買うことで接点ポートフォリオへの投資を実現できるのである。」

これがCAPMの最も基本的な主張である。


3.マーケットポートフォリオとして具体的に何に投資すればいいの?

それでは、具体的にはマーケットポートフォリオってどうやって投資すればよいの?という疑問がわいてきます。

上述の通り、マーケットポートフォリオとは、市場に供給される全ての証券のバスケットを指します。

よく、全世界株式(例えばVT)、全米株式(例えばVTI)やTOPIXをマーケットポートフォリオと呼ぶ人がいますが厳密には異なります。

なぜなら、証券の中には債権や資産担保証券(住宅ローン証券等)等も含まれるので、株式のバスケットである上述の商品だけでは不十分です。

一方で、厳密に全ての証券をバスケットにしたETFというのは存在しないので、最もバスケットにしやすい株式市場のバスケットを、マーケットポートフォリオとして扱っているのである。

但し、現在のように日本人でも国境を越えて投資できるようになった今、日本人投資家の需要を海外の証券が満たしてくれるということが簡単にできるようになった。

すると、日本の株式市場のバスケットであるTOPIXだけでは、効率的ポートフォリオにはなっていないと考えられる。

投資のグローバル化を踏まえればやはり、最もマーケットポートフォリオに近いのは全世界株式(VT)だろう。


よって、VTと国債(日本人なら日本国債、ただ日本国債は金利ゼロなので現金でもよい)の組み合わせで今日から誰でも理論的に最適なポートフォリオを組めることになる!

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※当ブログで紹介する理論株価は、いくつかの前提条件をりろんかぶおが独自に設定している為、その前提条件次第では計算結果が異なってきます。また当ブログは、投資に関する情報を掲載していますが、特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。また、読者が当ブログの情報を用いて行う投資判断の一切について責任を負うものではありません。

[ 2021/07/20 12:11 ] 14.投資の勉強部屋 | TB(-) | CM(0)

ARKキャシーウッドが「ビットコインは500,000ドルに達する」と考える理由

image_20210528.png


今年に入り、ビットコインは史上最高値の63,000ドルを越えました。

そうかと思いきや、直近では40%以上下げて38,000ドル近辺にあります。

この暴落を見て、多くの人がビットコインに対して悲観的になったと思います。

そんな中で、「ビットコインは近い将来500,000ドルに達する」とコメントしている人がいます。
(50,000ドルではなく500,000ドル)

それが今グロース投資家界隈で有名なARKのキャシーウッドです。

今回はそんな彼女が「500,000ドル」と言っている根拠について、ARK社の「Big Ideas 2021」に基づいて解説していきたいと思います。

出典:https://research.ark-invest.com/hubfs/1_Download_Files_ARK-Invest/White_Papers/ARK%E2%80%93Invest_BigIdeas_2021.pdf?hsCtaTracking=4e1a031b-7ed7-4fb2-929c-072267eda5fc%7Cee55057a-bc7b-441e-8b96-452ec1efe34c

※ちなみに自分はビットコインを投資対象として考えたことはないし、今後もないと思います。

1.ビットコイン投資家の60%は1年以上の中長期保有者で、短期トレードの対象ではなく強い信念に基づいた保有者が増えている。
長期保有者_20210528



2.ビットコイン保有者の取得単価上昇から見て、早期参入者は既に利確し、投資家が成熟してきていることが垣間見える。
コストベース_20210528



3.2017年に高値を付けたときに比べ現在は、熱狂が少ない中で高値を更新しており、単なるバブルとは言えない。
熱狂_20210528



4.SquareやMicrostrategyが保有現金の一部をビットコインに変えているようにビットコインは正当な現金代替物となってきており、S&P500採用企業の全てが、保有現金の1%をビットコインに変えるとすればそれだけでビットコイン価格は$40,000に。
SP500_20210528.png



5.ビットコインへの信用は継続して増加している。

・ビットコインにまつわる規制緩和
・大手銀行も仮想通貨取引所の開設
・著名機関投資家も続々とビットコインに投資を開始
・有名企業もビットコインに投資



6.ビットコインの値動きは、株、債券、金、原油、新興国通貨等、多くの資産価格との相関性が低く、機関投資家のポートフォリオマネジメント上、価値がある。
相関_20210528




7.ビットコインは流動性が非常に高く、アップルなどの巨大企業株式の流動性とそん色ないレベル。

出来高_20210528



8.投資理論のシミュレーションによると、機関投資家のリターンを最大化するビットコインへのアロケーションは6.55%。



9.仮に全機関投資家が保有資産の6.5%をビットコインに割り当てた時、ビットコインは500,000ドルに。
500000ドル_20210528

以上


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[ 2021/05/28 12:14 ] 14.投資の勉強部屋 | TB(-) | CM(0)

今更ですが電子署名ってめちゃくちゃ便利

イメージ_20210324

画像:https://www.holmescloud.com/useful/2983/


今更ですが電子署名ってめちゃくちゃ便利ですよね。

退職後は誰かと契約を締結するということはほとんどなくなったのですが、それでもたまにそういった機会があります。

その時に大抵は電子署名なんです。今のところクラウドサインが多いです。

これですごい便利だなと感じたのは、先方から契約書が送られてきて自分が署名しなければいけない時、自分がクラウドサインのサービスに登録している必要ないということです。

Eメール上で「内容を確認して電子署名してください」と来て、そこで署名ボタンをぽちっとすれば完了なんです。

ほんと便利です。

会社員時代は、契約締結業務がものすごく多かったのですが、とにかくめんどくさかったです。

一応契約の内容は先方とメール上で確認して最終化するのですが、
契約締結の段では、

①まずどちらかで契約書を2部印刷して署名し、
②署名済2部を相手に郵送して、
③相手にも2部署名してもらい、
④相手に双方署名済みの契約書原本を1部返送してもらう

という作業が必要です。

しかも、署名者というのは大体部長とか偉い人で、そういう人たちというのは出張やら会議やらなにやらで大抵席に座っておらず、
スケジュールを確認しながら席に座っているタイミングを見計らって「サインお願いします」といいに行かなければならないわけです。

なので契約締結の締め切りがある場合は、署名者の今後1か月くらいのスケジュールも確認した上で、段取りを決めて、ミスがないように仕事を進める必要があったのです。

ペンでサインしないといけないということは膨大な非効率を生んでいたわけです。

これが電子署名であれば、PCやタブレット上でぽちっとするだけなので、上述の非効率が大幅に削減されます。

ほんとにテクノロジーってすごいです。

電子署名は間違いなく今後必要不可欠なサービスになるでしょう。

プリサイエンス・ストラテジック・インテリジェンス社によると、電子署名の市場規模は2019 年が9,523億ドルだったようです。

そしてこれが、2020 年から 2030 年まで年平均 24.6%で増加すると見込まれているようです。

つまり今後10年で市場規模が8倍以上に拡大すると見込まれているわけです。

そしてそんな魅力的すぎる業界で世界No1シェアはドキュサインです。

同社は、全世界 180 ヵ国以上、50 万社以上、数億人が署名者として利用しています。

今更ですが投資を検討したくなる企業です。今更ですが。

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[ 2021/03/24 11:55 ] 14.投資の勉強部屋 | TB(-) | CM(0)

自動運転タクシーの2030年の予想市場規模がえげつない!

イメージ_20210219


遠い未来の話に思われていた自動運転車の実現が実はすぐそこまで来ています。

今回は、女性版ウォーレンバフェットと呼ばれるキャシーウッド率いる米ARK社の「Big Ideas 2021」に紹介ある、自動運転タクシーの将来について紹介したいと思います。

出典:https://research.ark-invest.com/hubfs/1_Download_Files_ARK-Invest/White_Papers/ARK%E2%80%93Invest_BigIdeas_2021.pdf?hsCtaTracking=4e1a031b-7ed7-4fb2-929c-072267eda5fc%7Cee55057a-bc7b-441e-8b96-452ec1efe34c

1.概略

・ARK社の考えでは、自動運転タクシーは従来のタクシーの平均コストを10分の1まで下げ、これが普及を促進し、将来的に都市交通を牛耳ることになるだろう。

・ARK社の予想では、自動運転タクシーの配車サービスを手掛けるプラットフォーム企業は2030年までに世界合計で年間100兆円以上の利益を生み出すとみている。更に、車体メーカー、車体オーナーはそれぞれ、25兆円、7兆円の利益を生み出すだろう。





2.自動運転タクシーは従来のタクシー運賃を下回るだろう

コスト_20210219





3.自動運転タクシーは50%マージンを獲得し、低運賃が市場規模を拡大させるだろう

コスト構造_20210219





4.テスラはカメラ、グーグルのウェイモはLiDarとHDマッピング、中国勢はインフラセンサー

各社比較_20210219





5.スケーラビリティの点ではテスラが有利

仇ぷしょん_20210219





6.自動運転タクシーによる運賃の低下が著しいのは人件費の高い先進国

コスト低下_20210219





7.2030年までに自動運転タクシー市場では、プラットフォーマーが年間$1,200 billion、車体メーカーが年間$250 billion、車体オーナーが年間$70 billion、の利益を上げ、更にプラットフォーマーの時価総額は3,800 billionに達すると見込む

利益_20210219




STOP

・この調査で面白いのは、自動運転の時代に最も稼ぐのは、自動運転車メーカーではなく、配車サービスを手掛けるプラットフォーマーだということ。つまり今でいうウーバーやリフトのような存在が最も稼ぐとのこと。

・自動運転になると、車は自分で運転するものではなくなります。更に、タクシーのコストが急激に下がるので、自動運転車を購入して保有することの経済合理性が失われます。つまり自動運転社会においては、人々は自動車を保有しなくなり、常時自動運転タクシーを使うようになるのです。

・自動運転車というのは投資の世界でも大きなテーマの一つで、ついつい基幹システムを開発するテスラ、グーグル、バイドゥなどに目が行きがちですが、配車サービスが重要というのは意外ですね。

・といっても、ウーバーやリフトが自動運転社会で大きく伸びるのかといえば恐らくそうではなくて、テスラやグーグルなどの基幹システムを持っている企業が自社で配車サービスを展開するのだとは思います。つまり、優れた自動運転システムを持っているかどうかが、今後の配車サービス企業の大きな差別化要因になるということです。

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[ 2021/02/19 11:48 ] 14.投資の勉強部屋 | TB(-) | CM(0)

今後10年でクレジットカード会社と銀行を破滅に追いやるものとは

DWイメージ_20210218


クレジットカードのVisaとMaster Cardは、2000年以降では最も株価が上昇した銘柄の一つに数えられます。

Visaは2008年の上場から現在までに10倍に、Master Cardは2006年の上場からこれまでに70倍になりました。

世界中どこでも決済可能なVisaとMaster Cardは今後も不滅の企業と思われていましたが、そんな最強の二社を脅かす存在が表れてきているのです。

それがデジタルウォレットです。

今回は、女性版ウォーレンバフェットと呼ばれるキャシーウッド率いる米ARK社の「Big Ideas 2021」に紹介ある、デジタルウォレットの将来について紹介したいと思います。

出典:https://research.ark-invest.com/hubfs/1_Download_Files_ARK-Invest/White_Papers/ARK%E2%80%93Invest_BigIdeas_2021.pdf?hsCtaTracking=4e1a031b-7ed7-4fb2-929c-072267eda5fc%7Cee55057a-bc7b-441e-8b96-452ec1efe34c

1.概略

・ARK社の考えでは、Venmo(Paypal社)やCash App(Square社)などのデジタルウォレット(日本でいうLine PayやPayPay)がスマートフォンによる決済をアクティベートすることで既存の銀行やクレジットカード会社を駆逐すると考えているとのこと。

・今日、デジタルウォレットは仲介業務や融資などを含む伝統的な金融サービスも取り扱い始めていて、商業活動の次世代プラットフォームのリーダーになりうる。

・ARK社の調べでは、今日のデジタルウォレットの価値はユーザー当たり250ドル~1900ドルだが、これが2025年までに20000ドル/ユーザーまで増加し、市場規模は4.6兆ドルまで膨れ上がるとみている。




2.中国のデジタルウォレット決済総額はGDPの2.5倍に

中国のDW_20210218





3.デジタルウォレットは世界の潮流

世界のDW_20210218





4.米デジタルウォレットユーザー数は既に米銀行大手JP Morganの口座数を抜いた

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5.デジタルウォレットの顧客獲得コストは圧倒的に安い

DWの顧客獲得コスト_20210218





6.個人向け信用貸付市場では既存の銀行はピークを過ぎた

DWの貸付_20210218





7.デジタルウォレットが金融サービスのプラットフォームになれば1ユーザー当たりの価値は20,000ドルに

DWの価値_20210218





8.米国のデジタルウォレットユーザーは2025年までに現在の2.3倍ほど、市場規模は40倍に

DWのユーザー推移_20210218




STOP

こう見てみると、既存の銀行やクレジットカードが会社がいかにオワコンか、というのを思い知らされます。

実は個人的にも、Line PayやPayPayなどを最近多用していて、昔に比べるとクレジットカードによる決済金額はかなり少なくなりました。

なぜかというと、クレジットカードって決済するのにほんの数秒ですが「間」(2~3秒?)がありますよね?

一方で、Line Payなどは「ピッ」と一瞬なんです。

このほんの数秒の「間」をめんどくさいと感じてしまい、デジタルウォレットを好んで使うのかもしれません。

またクレジットカードは、今は持っているやつがあるのでいいですが、これ作るときかなりめんどくさいですよね?審査もありますし。

クレジットカードは、銀行口座からの引き落とし日が決済日の1か月くらい後なので、実質その間はカード会社からの信用貸付が行われている状態なので、個人の信用を審査する必要があります。

でも、こんなめんどくさい審査するくらいならデジタルウォレットでいいやというのが若者の発想ではないでしょうか?

実体験としても、クレジットカードの先行き、クレジットカードを通して信用貸付をする銀行の先行きは、少し雲行きが怪しいなと感じざるを得ません。

但し、銀行の法人への大規模な融資という機能はやはり今後も残っていくと思われます。

また上記の見解はあくまでARK社の見方であり、必ずしも将来こうなるとは限りませんのでご注意を。


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[ 2021/02/18 11:15 ] 14.投資の勉強部屋 | TB(-) | CM(0)

「アラブのバフェット」投資家アルワリード王子の投資哲学

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前回、アラブのバフェットと呼ばれ、2000年代前半は世界の億万長者ランキングでTop 5の常連だった世界的投資家アルワリード王子について解説しました。

「アラブのバフェット」投資家アルワリード王子はどのように巨額の富を築いたのか①
「アラブのバフェット」投資家アルワリード王子はどのように巨額の富を築いたのか②

今回はそんな彼の投資戦略を深堀りしていきたいと思います。
参考資料は彼の伝記である以下。



1.アルワリードの投資戦略

彼の投資戦略を一言でいえば、

「極上の投資をすること」

極上の投資とは、”優良企業”を”割安な価格”で購入することです。

彼は、成功するためには、優良資産を買うだけではだめで、それを魅力的な割安価格で買わなければならないと述べます。


2.アルワリードの投資に至るまでのプロセス

アルワリードの投資に至るまでのプロセスはこうです。

①まず目を付けた企業について徹底的に調べ、優良企業かどうかを見極める。

優良企業のポイントは、
優れた経営が行われている
世界的なブランドを保持している
競争優位性を持っている

等といった点。

②次に、魅力的といえる”買いのエントリーポイント”を設定。

③現在の株価がエントリーポイントよりも低ければ即投資、高ければエントリーポイントに達するまでじっと待つ。

⑤一度投資したらそれが優良な企業である限り長期で保有する

というものです。

通常優良企業は割高になっているので、ほとんどの場合はそれらの株価がエントリーポイントに達するまでじっと待っているそうで、エントリーポイントに達さなければ決して投資を行わないのだそうです。


3.所感

アルワリードの投資戦略は何ともウォーレンバフェットと似ていますね。

バフェットやアルワリードのように大きな成功を手にするにはおそらくこの方法が再現性のあるやり方なのだと思います。

ここで得られる教訓はやはり、購入価格へのこだわり。

優良企業かどうかというのはほとんどの人にとってそこまで難しい問題ではないと思います。

例えば今でいえばGAFAMなどは優良企業といえるでしょう。

但しこれらの優良企業に投資しているだけではアルワリードのいう”極上の投資”にはなりません。

なぜなら優良企業というのは大抵の場合既に割高になっているからです。

では優良企業を割安で買える時というのはどのような時か?

それは

①リーマンショックやコロナショックの時のようにマーケット全体が大暴落して、それにつられて優良企業も暴落するような局面

②例えば今の石油企業やリアル店舗メインの小売企業のように、多くの投資家から見向きもされないような業界の中に優良企業を見出して大胆に投資を行っていく

というアプローチになると思います。

おそらく②のほうは、難易度が高く、現実的に考えれば①のアプローチが比較的取り組みやすいのだと思います。

但し、マーケット全体が大暴落するタイミングというのは誰にも分りませんし、その時に備えて大量の現金を積み増して準備をしておくというのは並みの投資家にはなかなかできません。

そこを乗り越えて、大暴落時に大胆に行動できる投資家のみがバフェットやアルワリードの域に達することができるということでしょうか。

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[ 2021/02/09 11:32 ] 14.投資の勉強部屋 | TB(-) | CM(0)

「アラブのバフェット」投資家アルワリード王子はどのように巨額の富を築いたのか②

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アラブのバフェットと呼ばれる世界的投資家アルワリード王子を御存じでしょうか?

サウジアラビアの王家サウード家の一員にして投資家で、なんと2000年代のフォーブズ世界長者番付ではTop10の常連でした。当然アラブ世界ではNo 1のお金持ちでした。

アメリカ人(及びアメリカへの移民)以外で最も成功した投資家といわれており、これまでシティグループ、アップル、ディズニー、ツイッター等、超有名な上場企業への投資で財を成したこともあって、「アラブのバフェット」と呼ばれる男です。

また、2015年には自身の全財産を段階的に寄付することを公表しており、その額なんと約4兆円(当時の為替レート)!

日本ではあまり知られていない規格外の男の人生について分析してみたいと思います。今回は第二回です。

第一回は以下↓

「アラブのバフェット」投資家アルワリード王子はどのように巨額の富を築いたのか①

4.グローバル企業に続々投資(2000年代)

2000年代のアルワリードはフォーブズ世界長者番付でTop10の常連となっておりました。
これは、1990年代に巨額投資を行った、シティグループやアップルが大幅に上昇したのが大きいと思います。

そんな中でもアルワリードの投資意欲は衰えません。

1990年代は高級ホテルや高級スーパーなどに多く投資しました。

2000年代は、AOL(インタネットサービス)、MCI(通信)、Fox(ブロードキャスト)などのメディアや通信会社に投資を行っていきました。

更には、フォードモーターやコカ・コーラなどの毛筋の異なる企業にも投資を実行。

そして投資の対象をさらに世界に広げ、アジアやアフリカにも次々と投資を行っていきました。

5.全財産寄付と拘束(2010年代)

2010年代に入っても彼氏の投資意欲は衰えない。

2011年にツイッターに300百万ドル投資を行ったり、ライドシェアのウーバーやリフト、中国EコマースのJD.comに投資を行ったり、いわゆる今時の企業に大型の投資を行っている。

そんな最中の2015年、アルワリードは個人資産320億ドル(当時の為替レートで約4兆円)の全額を、段階的に慈善事業に寄付すると公表。

資金は自身の名を冠した慈善団体を通じ、医療関連や女性の権利向上などの分野に分配されるとのこと。

また、2017年にはサウジアラビアのムハンマド皇太子が、アルワリード含む少なくとも11人の王子と多数の閣僚らを汚職容疑で拘束したことがニュースになった。

結局3か月ほどで釈放され、アルワリード自身は、拘束は皇太子側の「誤解」によるもので、拘束中はニュースを見たり、散歩したり、泳いだり、エクササイズをして過ごしたと述べ、「まったく問題はない。全て順調だ」とのコメントを残し、事件がそこまで重大なものではなかったことをアピール

6.アルワリードの現在のポートフォリオ

そんなアルワリードの現在の投資先がKingdom HoldingのHPに公開されています。
https://kingdom.com.sa/investment

最終更新日がいつかは不明ですが、HPによると以下の通り。カッコ内はKingdom Holding社の投資時期。

・航空関連
Flynas(2007年)
NasJet

・銀行
シティグループ(1991年)
Banque Saudi Fransi(2017年)

・デジタルサービス
Deezer(2018年)

・Eコマース
JD.com(2010年)

・教育
Kingdom Schools Company(2000年設立)

・ホテル
Kingdom Hotel Investments(2001年設立)
Four Seasons(1994年)
Accor(2016年)
Savoy(2005年)

・ヘルスケア
Kingdom Hospitals and Consulting Clinics(2000年設立)

・石油化学
Tasnee(1995年)

・ファンド
Five Capital Fund(2015年設立)

・不動産
Jeddah Economic Company(2009年)
Kingdom Centre(1998年設立)
Real Estate Investment Company(1997年設立)

・ライドシェアリング
Uber(2017年)
Lyft(2015年)

・ソーシャルメディア
ツイッター(2011年)

7.アルワリードの投資戦略

Kingdom HoldingのHPによると同社の投資戦略は以下です。

①企業価値や投資家の信頼を強固にする確立されたブランド力を保持する企業
②優れた経営陣を持ち、持続的な成長と優れた業績を残してきた企業
③成長力が強く付加価値の高いセグメントにある企業
④他投資家が見落としている割安な企業
⑤我々が持つ中東をはじめとした世界の政府やビジネスリーダーとのネットワークを生かせる企業

優れたブランド力、優れた経営陣、割安、という点で非常にバフェットと似ていますね。
つまりこれこそが投資で成功するために必要な思想なのだと思います。

STOP

アルワリードは、全財産寄付を公表した時点で個人資産が4兆円ほどあったわけですが、これを一代で築いたというのはとても夢がありますね。

例えば、ジェフベゾスやビルゲイツなどは、起業家として、自身の作った会社が興した事業が大きくなって結果的に大金持ちになったのですが、アルワリードやバフェットなどは、株式投資を行って同等程度のお金持ちになっているわけですから、意味合いが異なります。

投資家としては、アルワリードやバフェットなどの投資哲学を学んでいくことが身になるのだと思います。

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[ 2021/02/02 10:59 ] 14.投資の勉強部屋 | TB(-) | CM(0)

「アラブのバフェット」投資家アルワリード王子はどのように巨額の富を築いたのか①

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アラブのバフェットと呼ばれる世界的投資家アルワリード王子を御存じでしょうか?

サウジアラビアの王家サウード家の一員にして投資家で、なんと2000年代のフォーブズ世界長者番付ではTop10の常連でした。当然アラブ世界ではNo 1のお金持ちでした。

アメリカ人(及びアメリカへの移民)以外で最も成功した投資家といわれており、これまでシティグループ、アップル、ディズニー、ツイッター等、超有名な上場企業への投資で財を成したこともあって、「アラブのバフェット」と呼ばれる男です。

また、2015年には自身の全財産を段階的に寄付することを公表しており、その額なんと約4兆円(当時の為替レート)!

日本ではあまり知られていない規格外の男の人生について分析してみたいと思います。


1.生誕から大学卒業まで(~1970年代)

1955年3月7日に生まれ、祖父はサウジアラビアの初代国王アブドゥルアズィーズ・イブン・サウード、父は王位継承権を放棄したタラール王子、母はモナ・アッ=スルフ(父はレバノンの初代首相リヤード・アッ=スルフ)。

アルワリードの両親は早くに離婚し、アルワリードは母と共に母の母国であるレバノンで少年期を過ごした。

大学では渡米し、カリフォルニア州のメンローカレッジを1979年(24歳)に卒業。


2.起業(1980年代)

大学卒業後はサウジに帰国し、父からもらった3万ドルを元手に1980年(25歳)、Kingdom Establishment社を設立(後にKingdom Holding Companyに改名)。

アルワリードは会社設立当初は、契約締結などの仲介などを行い、手数料を取る代わりに株式を受け取っていた。

彼の最初の成功は1982年(27歳)で、韓国の建設会社との提携で、そこから得た報酬をひたすら不動産と株式への投資にあてた。

1986年(31歳)に、オイルブームが終焉し業績の悪化していたUnited Saudi Commercial Bankを買収。同社はその後幾度かの合併を繰り返し、後に中東を代表する銀行となった。

そして、1989年(34歳)には彼の資産は14億ドルまで膨れ上がった。

彼の投資哲学はこうだ

厳しい時期を経て確立された強力なブランドを保持する企業に対し、割安になったタイミングで投資をするというもの。

その後彼の投資対象の中心は米国企業にシフトし、1989年に彼の代表銘柄であるシティグループへ全体の4.9%の株式を取得する巨額の投資を行った。

当時、不良債権に苦しんでいたシティグループはアルワリードの投資後もなかなか業績が回復しなかったものの、アルワリードはその後もシティへの投資を積み増し、1991年には全資産の半分ほどに当たる797百万ドル迄投資をつみまし、持ち分は15%にまで達し筆頭株主となった。

シティグループの現在もコア投資先として保有中。まさに永久投資先だ。


3.グローバル企業に続々投資(1990年代)

1990年代前半は、 Saks Fifth Avenue(高級デパートチェーン)、Fairmont(高級ホテル)、Four Seasons(高級ホテル)、ユーロディズニーなど、強力なブランドを持つ企業に、数百万ドル単位の投資を続けた。

更に1995年(40歳)には、Kingdom社の社名を冠した超高層ビル、病院、学校などをサウジ国内に建設することを発表。

1997年(42歳)には、スティーブジョブズが復帰する直前のアップル株を5%取得し、筆頭株主に。

当時、倒産寸前とまで言われたアップルをスティーブジョブズが立て直し、その後iPodを発売し再び息を吹き返した。

アルワリードは2005年にアップルを売却したとされ投資額を15倍程に増やした。


STOP

次回は2000年代以降のアルワリードと彼の現在のポートフォリオについてみていきます。

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りろんかぶお

※当ブログで紹介する理論株価は、いくつかの前提条件をりろんかぶおが独自に設定している為、その前提条件次第では計算結果が異なってきます。また当ブログは、投資に関する情報を掲載していますが、特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。また、読者が当ブログの情報を用いて行う投資判断の一切について責任を負うものではありません。


[ 2021/02/01 11:36 ] 14.投資の勉強部屋 | TB(-) | CM(0)

投資とギャンブルを見分けるたった1つのポイント!

イメージ_20210126


最近、世界各国での大規模な金融緩和も相まって各国で投資ブームが巻き起こっています。

またこれに乗じて投資詐欺なども横行しており、投資に詳しくない人達が被害にあっています。

今回は、投資とギャンブルを見分けるたった1つのポイントを解説します。

1.投資とギャンブルを見分けるたった1つのポイント

結論から述べますとそのポイントは、

「自分が投じた資本によって他の誰かが喜んでくれているか?」

という点です。

他の誰かが喜んでくれているのならそれは投資、
そうでないならそれは投資ではありません。

具体的に見ていきましょう。

2.投資対象の観点

例えば不動産投資。ここでは中古マンション投資をイメージしてみます。

自分の資本で中古マンションを購入し、そこに住みたい人に住居サービスを提供し、お客さんに喜んでもらいその対価として家賃をもらっています。

よってこれは立派な投資です。

次に株式投資。例えばトヨタ自動車への投資をイメージしてみます。

自分がトヨタ自動車に投じた資本によってトヨタは自動車をつくり、自動車を買いたいお客さんに買ってもらい、お客さんに喜んでもらうことでその対価を得ます。

よってこれも立派な投資です。

ちなみに株式投資をよく知っている人からすると

「株式市場で投資をしても、自分が投じたお金はもともと株を持っていた人に移転するだけで、直接会社に届く資本にはならないのでは?」

と疑問に思うかもしれません。

これはまさにその通りです。

但し、株式というのは、企業が資本調達する際に発行されたものであり、いわば会社に資本を投じた証といえるものです。

株式を持っているということは、企業に資本を投じた証を持っているということと同義であり、これはやはり立派な投資といえるでしょう。

つまり投資というのは、自分の投じた資本によって何か商品やサービスをお客さんに提供し、お客さんに喜んでもらった代わりにその対価を得る、という事業活動を伴うものなので、基本的には資本は増えていくものです。


それではFXはどうでしょう?例えばFX口座でドル買いをすることは投資でしょうか?

ドルを購入するために支払った円が、その先の先で誰か喜ばしてますでしょうか?
なかなか喜ぶ人の顔は想像できません。

ドルや円というのは通貨であり、単に商品と商品の交換を仲介するものです。
つまり通貨を交換するということは、商品を購入する手段を交換すること、もっと言えば単に商品を交換しているだけなので、その先に必ずしも事業活動を行うという目的は存在しておらず、これは投資とは言えません。


最近盛り上がっているビットコインも同様に投資とは言えません。

ビットコインはそもそも現時点では通貨の役割もかなり限定的なので、極端なことを言えば、ゲームセンターのコインが数百万円で売買されているのと大差ありません。

仮に今後ビットコインが通貨の役割を果たすようになってきたとしても、通貨の機能を持つこととビットコインの値段が上がるのとは何の相関もありません。(但しビットコインには供給量に制約があるので、通貨としての機能を持った場合の妥当な金額が今より高いかもしれないというのはあるかもですが)

その他にも、金や銀、原油なども単なるモノであり、これらを購入することでその先に誰かを喜ばすような事業活動が存在するわけではないのでこれらも投資とは言えません。

こう考えると、本当の投資と呼べるものは株式、債券、不動産などの伝統的な資産がほとんどということになります。
(当然これらを投資対象とする投資信託やファンドなども投資といえます)


3.投資期間の観点

次に、対象が株式だとしてもデイトレードなどの短期売買は投資と呼べるでしょうか?

結論として、これは投資とは呼べません。

例えば、1000万円の中古マンションを購入して、次の日にその地域に巨大テーマパークができることになったため不動産価格が暴騰し、1500万円でその中古マンションを他の誰かに売却する、というのがデイトレードだと言えます。

この過程で、誰にもサービスは提供していませんし、自分以外の誰にも喜んでもらっていません。

株式市場では常に株価が刻々と変動していますのでついこういったことをやってしまいがちです。

株価が次の日に上がるようなイベントがおこるかどうかは純粋に運なのであくまで勝率は50%です。

投資とは、自分の投じた資本が事業活動に使われ、その事業によって収益が生み出されて初めて投資であり、株であれば株式を保有していること、不動産であれば不動産を保有していることが投資といえるでしょう。

つまり期間という観点で見ると投資とは、「売買」といった行動でなく「保有」している状態をさします。

具体的にどれくらいの期間を持てば投資といえるかについて、明確な基準はないのですが少なくとも数年単位であることは間違いありません。

4.まとめ

日本では「投資=デイトレード=ギャンブル=悪」というイメージが浸透してしまって多くの人が投資を毛嫌いしています。

一方で、正しい投資は世の中を良い方向に後押しするものであり、ものすごくポジティブなものです。

更に、昨今のようにグローバル経済が浸透した世の中、多くの労働が賃金の安い国に委託され、人件費の高い先進国の人々から仕事がなくなっています。

そういった中、先進国の国民には付加価値の高い労働が求められますが、それに加え我々が発展する過程で積み上げてきた富を使って国境をまたいで投資をすればいいと思っています。

我々は、経済発展の過程でたくさん働き多くの余剰(富)を蓄えてきました。

その余剰を世界のイケてる企業に、正しく投資できれば日本はもっと幸せになるのではと思います。

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[ 2021/01/26 12:05 ] 14.投資の勉強部屋 | TB(-) | CM(0)

最後の超巨大市場 宇宙ビジネス

イメージ_20210118


経済のパイを拡大し続けることで発展してきた資本主義。

その最後の巨大市場が宇宙といわれています。

とは言え、我々一般人が「宇宙」と聞いても、宇宙旅行などのイメージしかわかず、ずいぶん先の話のような気がしますが、
現在既に巨大市場となりつつある宇宙ビジネスの全貌について分析してみます。

1.宇宙市場の規模

Bryce Space and Technology社によると、2019年の宇宙ビジネスの市場規模はUS$ 366 billion(約38兆円)とのことで、これが2040年ごろには2倍近くまで成長するといわれています。

産業分野は、人工衛星と非人工衛星の二つの分野に大別でき、市場規模はそれぞれUS$ 271 billion(約28兆円)、US$ 95 billion(約10兆円)となっているようです。

市場規模_20210118
出典:Bryce Space and Technology

2.人工衛星分野

Bryceによると現在、稼働している人工衛星は約2500機(2019年)とのこと。

人工衛星が提供できるサービスは主に以下三つです。

①通信サービス

衛星放送や衛星携帯電話、衛星インターネットなどに代表される通信サービス。
これは、地上から人工衛星に電波を送信し、人工衛星を中継地点として地上の利用者に宇宙から電波を送信するサービスです。
これにより、地上での電波ケーブルの敷設が不要になり、効率的に電波を利用者に届けることができるようになります。

②位置情報サービス

カーナビやGoogleマップなどに代表される位置情報サービス。
これにより、人工衛星が受信した位置情報を地上の利用者に送信するものです。今後、カーナビやGoogleマップが既に欠かせないサービスになっていますが、今後自動運転車などが普及していく過程でさらに精緻な位置情報が必要になってきます。

③画像サービス

天気予報など使われる画像サービス。
天気予報の他に、海洋や地形の把握、更に今後制度が上がっていけば、インフラ設備のモニタリングや農作物の生育状況把握などにも使われる見込み。

STOP

人口衛星によるサービスを提供するビジネスが大きく成長していけば、
人工衛星、ロケット、地上局、等、サービス提供に欠かせない機器・設備などのハード面にも大規模な投資がさらに行われていきます。


3.非人工衛星分野

非人工衛星の分野では、我々がイメージしやすい宇宙旅行に加え、非営利的ではあるものの研究の観点での宇宙探査、惑星探査などがあります。

4.まとめ

宇宙ビジネスは1900年代は、国主導で開発が行われてきましたが、昨今では民間企業が続々と参入しています。

民間企業が健全な競争を行う過程で、機器の開発コストや、ロケットの打ち上げコストなども低下し、今後更に産業が成長していくことが見込まれます。

このように、将来確実に盛り上がっていく分野に投資を行い、資本をどんどん投じていくことで、産業の発展に貢献していく気持ちが投資家として欠かせない要素の一つでもあります。

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[ 2021/01/18 12:25 ] 14.投資の勉強部屋 | TB(-) | CM(0)

資本の国境がなくなった中、日本企業に投資する意味を考える

イメージ_20210108


1900年代、日本の個人投資家が海外の個別銘柄に投資することは困難でした。

一方、21世紀に入り特に米国や中国の個別銘柄への投資はとても簡単になりました。

ネット証券の米国株取り扱い開始時期は以下の通り。

楽天証券:1999年
SBI:2003年
マネックス:2008年

また、米国の株式市場ではADR(米国預託証券)というものがあり、これを通じて米国以外の海外の企業に投資することができます。
※ADRの詳細はこちら

つまり、21世紀を生きる我々個人投資家にとって、海外の個別企業への投資は容易であり、もはや資本に国境はありません。

このような状況下、我々が資産運用しようとするときに、日本企業に投資する意味はあるのでしょうか?


結論としては「ない」と思っています。

なぜか?

それは、今後企業価値をあげていける日本企業がほとんどないと思うからです。

日本では既に人口減少が始まっており国内経済が飽和してしまっているため、日本企業が企業価値を上げていくためには海外の需要を取り込んでいく必要があります。

一方で、日本企業で国際競争力があるといえるのは自動車メーカーや一部のB to Bメーカー(信越化学、日本電産等)くらいで、大部分の企業が国際競争力があるとは言えません。

1900年代後半に世界を席巻した日本企業は、なぜ凋落してしまったのでしょうか?

これは、日本も先進国の仲間入りをし、人件費が高騰した中、商品の安さではもはや国際競争には勝てず、価格以外の付加価値を追求する必要があった中、付加価値の高いといわれるIT、バイオ、半導体プロセッサーなどの分野で大きく後れを取ってしまったことが主因といえるでしょう。

このような原因で国際競争力を失った日本企業が海外の需要を取り込むことは難しく、企業価値を上げることが難しいのです。

つまり、日本の株式市場への投資は非常に難易度が高いと言えます。


であれば、国際競争力を持った海外の企業に投資したほうが、投資リターンを出すうえでは簡単です。

海外の企業というと、投資するのに必要な情報が英語ということもあり確かに若干ハードルが高いのはそうですが、企業の競争力というのは財務報告書を見るよりも、実際に消費者としてその企業の商品を使っていれば大体わかるはずです。

例えば自分の生活の中でも、

検索ではグーグル、買い物ではアマゾン、パソコンのOSはマイクロソフト、スマホはアイフォン、カフェに行くときはスタバ、クレジットカードはVISA、靴はナイキ、髭剃りはジレット(P&G)、コーヒーはネスカフェ、休日のランチはマクドナルド、etc..

を使います。

もう我々の生活の大部分に海外の企業がどっぷりと入り込んでいます。

そして、消費者として我々がなぜこれらの企業のサービスや商品を無意識のうちに使っているかをじっくり考えれば、その企業の強さが見えてきます。

その強さがわかれば、あとは投資のタイミングにこだわらずある程度時間を分散させて投資を行い、あとは自分がそのサービスを使い続けたいと思える限り、株を保有していればいいのです。

このような考えの下、長期的な投資を心がければ、ほとんどの人が投資で失敗するようなことはないように思います。

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[ 2021/01/08 11:38 ] 14.投資の勉強部屋 | TB(-) | CM(1)

アップル共同創業者ウォズニアック氏のブロックチェーンプラットフォーム徹底分析

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アップルの共同創業者スティーブ・ウォズニアック氏が共同創業者を務めるEfforce社が、12月3日に「WOZX」という仮想通貨を世界で初めてシンガポールのHBTC取引所に上場しました。

上場後わずか13分でその時価総額を上場価格の10倍となる9億5000万ドル(988億円相当)に達したことから関心が非常に高まっています。

Efforceが提供するサービスは、企業内のエネルギー効率化プロジェクトの資金調達を合理化するためのブロックチェーンプラットフォームなのですが、かなり複雑でどの記事を見てもしっくりくるものがなかったので徹底分析してみました。

参考にしたのはEfforceのHPに掲載あるWhite Paper

ただ正直、説明不十分感が否めず、米国のサイトなどを見ても「仕組みがよくわからない」とのコメントも多いです。
仕組みが不透明な部分もあるのですが、わかる範囲で説明していきたいと思います。

1.背景知識

EU域内では排出量取引制度があり、対象の企業に一定の排出枠が定められ、その排出枠を超えてしまった企業は、排出枠が余っている企業から、超過分の排出枠を購入しなければならないという制度。

これによって二酸化炭素排出量を抑制させるインセンティブを働かせる取組です。

Efforceのビジネスモデルはこの排出量取引制度を基にするもので、EUの規制当局からも承認を得ている模様。

2.Efforceとは?

簡単に言うと、以下3者を効率よく、かつ低コストに結び付けるプラットフォーム

Contributor: エネルギー効率化プロジェクトに資金を投じ、そこで得られた排出枠を売買して利益をあげたい投資家

Saver: エネルギー効率化プロジェクトを実行することで、エネルギーコストを削減できる企業

Consumer: 排出枠を購入したい企業


3.プラットフォームの仕組み

まず前提の理解として、Efforceプラットフォーム上では二つの仮想通貨が用いられます。

1つ目は冒頭でも紹介したWOZX。
WOZXはEfforceプラットフォーム取引に参加できる「権利」として扱われ、実際のプロジェクトへの投資などには用いられません。

2つ目はステーブルコイン。これは法定通貨にリンクした仮想通貨でほぼ現実のお金として扱えるもの。
ステーブルコインはプロくジェクトへの投資の際に使われます。


これを踏まえた上で、Efforceプラットフォーム上の流れは以下の通り。

1. Saverが自社のエネルギー効率化プロジェクトをEfforceプラットフォームに登録申請

2. Efforceチームによるリクエストの検証・選定

3. 両社協力により必要な投資額、リターン、期間等を評価し、エネルギー効率化プロジェクトを立案。

4. SaverとContributor間の契約関係をまとめたエネルギーパフォーマンス契約(EPC)を作成

5. SaverがEFFORCEプラットフォーム上で資金調達開始

6. Contributorは自身の選定したプロジェクトに投資(ステーブルコインによって)し、Saverとの間でEPC契約を締結

7. Saverが調達した資金によりプロジェクトを実行。実際のエネルギ削減幅はスマートメーターでモニター

8. Saverはエネルギー効率化によるコスト削減メリットを享受、Contributorは投資の対価として排出枠(kWh)を入手、更にコスト削減額の少なくとも1%がWOZX保有者全体に分配される(ステーブルコインで)。

9. Contributorは得られた排出枠を自身で使用してもよいし、Efforceプラットフォーム上で売却することも可能。

10. ConsumerはEfforceプラットフォーム上でEU規制当局に承認されている排出枠を購入可能


4.なぜブロックチェーン?

Efforceプラットフォームにおけるブロックチェーンの役割は、スマートメーターとリンクすることでエネルギ削減データを正確に記録することを保証することです。

ブロックチェーン技術による記録の正確性が、正確な排出枠を手に入れたい投資家に安心感をもたらすものとなるのです。


5.既存の排出権取引市場がある中なぜEfforce?

Efforceを手掛けるAitherCO2社は、エネルギー効率化に関して過去8年間に2000社以上をコンサルし、合計700百万ドル以上のコスト削減に貢献してきた実績があります。

エネルギー効率化に関しての全てを知るEfforceが、投資の必要性の評価、予想されるリターンの計算、企業と投資家のための節約量とリターンの期間を詳細に分析した、いわば厳選されたプロジェクトがリストアップされるので、投資家にとっても信頼のおけるプラットフォームとなりうる点が特徴。

<感想>

環境問題を解決するためのプロジェクトに資本が流れやすくするための仕組みということでとても素敵な取組。

但し概要書を見る限り、上記説明とは別に、かなり複雑な仕組みが多く、正直所見では解読がかなり困難。

練り上げられた仕組みだとは思うのですが、そもそもブロックチェーン、仮想通貨というわかりずらいフィールドの上で、更にわかりづらい仕組みになっていることから、参加者が集まるかどうかがポイントだなと思いました。

以上

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[ 2020/12/18 18:01 ] 14.投資の勉強部屋 | TB(-) | CM(0)

共産党独裁の中国の実態

中国ネット規制_20201027


中国は、中国共産党の一党独裁制の、社会主義国家といわれます。

今回は、民主主義で資本主義国家の我々日本人には理解しがたい中国の統治形態についてみていきたいと思います。

まず、中国の憲法の前文では、「4つの基本原則」というものが規程されています。
それは以下のようなものです。

1.社会主義の道
2.人民民主独裁
3.中国共産党の指導
4.マルクス・レーニン主義、毛沢東思想

3にあるように、憲法には「中国共産党による人民の指導」が明記されているのです。

これが中国共産党の一党独裁といわれるゆえんです。

日本のような民主主義国家では、立法府である国会の議員は、国民の代表として選挙で選ばれ、そこで選ばれた人達(国会議員)が法律を作り、その法律にのっとって行政府である政府が国家を運営していきます。

一方中国では、中国共産党が国家を優越するという政治構造から、中国共産党の最高指導者が中国の最高権力者であり、中国共産党の指導に基づいて国家が運営されていく、ということになります。

そしてもはや超憲法的存在ともいえる中国共産党の下に「国家機構」がぶら下がっています。

主要なものは以下です。

1.全国人民代表大会

全国人民代表大会は日本でいう国会(立法府)に当たり、中国では最高権力機関でもあり、行政権・司法権・検察権などに優越する機関。

その行使する職務は主要なものを挙げると以下。

①憲法の改正および監督
②刑事・民事・国家機構およびその他基本的法律等の立法権
③国家主席、国務院総理、国家中央軍事委員会主席、最高人民法院長、最高人民検察院長等の人事権
④その他国家の重大事項の審議・決定


日本であれば国会議員は直接選挙で選ばれるが、中国での人民代表選挙は中国共産党によって指名された候補に対する、国民の信任投票となる。

このような面からも主権が国民にあるとは言えないのである。

2.国務院

国務院は、日本でいう内閣(行政府) に当たる最高国家行政機関である。

活動の全ては全国人民代表大会に従属しており、行政機関として、全国の地方人民政府を統一的に指導する。

3.中央軍事委員会

中国人民解放軍、中国人民武装警察部隊等の全国の武装力を指揮・統帥する国家機関

4.人民法院

日本でいう裁判所(司法府)に当たり、最高人民法院と下級人民法院に分かれており、下級人民法院には高等人民法院と中級人民法院があります。

STOP

欧米や日本などでは、三権分立が確立されており、立法、司法、行政がそれぞれ独立した機関となっているため、互いにけん制しあうことで均衡が保たれていますが、中国では、中国共産党が全体を統治するために、中国共産党の意思によって国家の行方が大きく左右されるのです。

しかし、民主主義だからよくて、一党独裁だから悪い、ということはないのです。
(中国の少数民族問題や、人権問題は確かに問題ありと思いますが)

現に独裁政治でうまくいっている国もたくさんありますし、指導層が有能であれば一党独裁の方が国家運営はうまくいくかもしれません。

よって、我々民主主義とは違うから、という変な色眼鏡で見ずに投資判断していくことが重要になっていきます。

以上

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りろんかぶお

[ 2020/10/28 17:55 ] 14.投資の勉強部屋 | TB(-) | CM(0)

中国でGoogle、Facebook、Twitterなどがビジネスできない理由

中国ネット規制_20201027


中国では、Google、Facebook、Twitter等、海外のネット検索やSNS関連サービスのビジネス展開がされていません。

中国と米国は仲が悪いために中国が外資規制を強化しているのかと勘違いする人も多いようですが、Appleやスターバックス、ナイキなどの米国企業にとって、中国での売上比率は大きくとても重要なマーケットとなっています。

ではなぜ、GoogleやFacebookなどの一部の企業のみがあからさまに中国市場から排除されているのでしょうか?

これは、中国にはグレートファイアーウォールと呼ばれる強力なネット規制があるためです。

グレートファイアーウォールとは、中国本土のインターネットに存在している大規模情報検閲システムとその関連行政機関の通称です。

このシステムにより、中国ではインターネット上では常に監視の目が働いており、中国政府にとって不都合な文章や動画・画像など(例えば民主化や少数民族問題など)は全て削除されるようになっています。

本システムは1998年に運用開始され、当初は10万人から200万人ともされるネット警察が人海戦術を駆使して24時間体制で監視していたものの、現在ではAIなどを駆使して自動検閲されるようになっているようです。

ご存じの通り、中国は実質的に一党独裁政治体制を築いており、主権が人民に属しておりません。(憲法上は人民民主独裁とうたっておりますが)

よって、国民に表現の自由は認められていませんし、国家運営を担う中国共産党は自身の都合のいいように立法や政策を打ち立てることができます。

テレビやラジオ、インターネットなどのメディアは、人々の思想を形作っていく重要な情報源になるため、中国共産党はこの情報源をしっかりと規制して、国民が反政府的な思想を持たないように徹底しているのです。

逆に言えば、メディアをコントロールすることで人為的に国民の思想を形作っていっているとも言えます。

Googleは、このような中国のネット規制を受け入れて、2006年に中国に参入したものの、米国内同業他社からの批判や中国国内からと見られるハッカー攻撃などを理由に,2010年に中国市場から撤退しました。

Facebookも中国参入を模索しているようですが、厳しい規制に準拠する必要があり、いまだに参入できていないというのが現状です。

正直、Facebookのように表現の自由を体現したようなSNS企業が、中国のネット規制に従ってしまえば、そもそもユーザーにっとってあまり価値のないサービスになってしまう気もします。

このように、中国でビジネスができる企業とできない企業の境界線は、グレートファイアーウォールに引っかかるか否かという視点で見ていくとわかりやすいかもしれません。

以上

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りろんかぶお

[ 2020/10/27 11:16 ] 14.投資の勉強部屋 | TB(-) | CM(0)

世界最強のS&P500投資!日本の投資信託(SBIバンガードS&P500)と米国ETF(VOO)で実際にどれくらいのリターン差があるのか徹底比較!

SBIとVOO_20200814

出典:SBIバンガードS&P500目論見書



今日本でも注目され始めているのが、世界で最も有名な株式指標である米国のS&P500への長期投資!

S&P500に投資するには、大きく以下2つの方法があります!

1.米国株式市場に上場されているS&P500ETF(米ドル建て)に直接投資する方法!

主要なものでいうと以下3つがあります。手数料面で考えるとVOOかIVVがよさそうです。

ETF list_20200814
出典:S&P 500 ETF Channel

ETFの解説は以下ご参照
20世紀最大の発明の一つ!ETFの仕組み

2.S&P500に連動する日本の投資信託(円建て)に投資する方法!

これもいくつかありますが、手数料が安い2社を挙げます。

今のところ日本の投資信託では手数料最安はSBIバンガードS&P500です。

純資産総額信託報酬補足
SBI・バンガード
S&P500インデックスファンド
237.39億円
(2020年3月末時点)
0.0938%VOOに投資
eMAXIS Slim
米国株式(S&P500)
883.4億円
(2020年4月末時点)
0.0968%自身でポートフォリオを組成し、
個別株に直接投資



上述2つの投資方法の内、手数料のところを見て頂ければわかる通り、基本的には米国ETFに直接投資する方が中間コストがない分手数料が安いです。

ここでは、実際にどの程度のリターンの差があるのかを検証してみました。
(手数料最安のSBIバンガードS&P500とVOOを比較しています)


SBIバンガードS&P500とVOOのリターン格差



前提条件

期間:2019年9月26日(SBIバンガードの設定日)~2020年8月12日

その他:VOOの場合、購入から売却までの過程で為替両替手数料(往復)と売買手数料(往復)がかかるのでそれも考慮(マネックス証券で売買する前提で手数料を計算)。

結果

上記の前提で、円建てのリターンを年率ベース(分配金込)で比較すると結果は以下の通りとなりました。

SBIバンガードS&P500:年率13.57%
VOO:年率15.03%
リターン格差:年率1.46%




ここで疑問に思うのは、両者の目に見える手数料の格差はSBIバンガードが0.0938%/年に対しVOOは0.03%/年なので、リターン格差は0.0638%になるべきでは?という点。

リターン格差が1.46%/年にまで開いてしまっているのはなぜか?


SBIバンガードS&P500とVOOのリターン格差が想定以上に大きい理由



これには大きく以下2つの理由があります。

①信託報酬以外の手数料

SBIバンガードの目論見書の中で、手数料に関して説明しているページを見ると、信託報酬以外に”その他の費用及び手数料”という項目があります。

これは、監査報酬、信託事務諸費用、法定書類関連費用、売買委託手数料、外貨建資産保管費用等の費用です。

これらは運用状況などにより変動するので、事前に料率を示すことができないため、パーセンテージでは明示されていません。

この費用の一部は、純資産総額と連動しないので、純資産が増えれば増えるほど一人一人の負担率は低減していく可能性があります。

②眠っている現金

SBIバンガードの目論見書を見ると、信託財産を全て投資できているわけではなく0.3%程度が現金として温存されています。

投資信託ゆえに、新規契約や解約などで一定の現金が日々出入りするので、100%めいっぱいに投資することがその仕組み上できないのです。

ここは、ほとんど無視できる範囲ではありますが、実態として投資信託にはこういったロスがあります。


1.46%/年のリターン格差がいかに大きいか



とは言え、リターン格差が1.46%/年であれば大したことない!と思う人がいるかもしれません。

ただ、長期投資において1.46%/年のリターン格差がいかに致命的かを以下に示します。

ここではSBIバンガードS&P500の年率13.57%、VOOの年率15.03%が毎年続くものとして(実際には毎年こんな良くないと思いますが)、両者に100を投資した時に10年後、30年後、50年後にどのような差が出ているかを見てみます。

結果は以下です。

SBIバンガードVOO
年率13.57%15.07%
0年目100100
10年目357407
30年目45496743
50年目57967111713


50年後を見てみると、SBIは580倍、VOOはなんと1117倍になっています。

たった1.46%/年のリターン格差が50年後にはここまでの格差になってしまうのです。これが複利の効果です。


それでもSBIバンガードS&P500に投資するメリット



手数料の面でいえば、VOOの圧勝であり、長期で見ると恐ろしいリターンの格差があるのは事実ですが、投資初心者にはやはり日本の投資信託(SBIバンガードS&P500)への投資をお勧めします。

なぜかというと日本の投資信託には以下のメリットがあるからです。

1.定期自動積立が可能(VOOは自動積立不可)

2.定額積立が可能(VOOは日々変動する額面価格×口数での購入しかできない)

3.100円から投資が可能(VOOの現在価格は300ドル超/口なので、額面価格以下での投資は不可)

投資というのは、長期で定期定額積み立て(ドルコスト平均法)で投資するのが最強の投資方法です。

そういう意味では、最初に設定してしまえば後はほったらかしでOKな投資信託というのは、投資に多くの時間を費やしたくない人にとっては魅力的な商品であることは間違いないと思います。

多少の手間をいとわない人は、手数料の安いVOOに直接投資するのもいいかもしれません。

以上

りろんかぶお

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※当ブログで紹介する理論株価は、いくつかの前提条件をりろんかぶおが独自に設定している為、その前提条件次第では計算結果が異なってきます。また当ブログは、投資に関する情報を掲載していますが、特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。また、読者が当ブログの情報を用いて行う投資判断の一切について責任を負うものではありません。



[ 2020/08/14 11:17 ] 14.投資の勉強部屋 | TB(-) | CM(0)

20世紀最大の発明の一つ!ETFの仕組み

ETF_20200728.png

出典:Getty Image

<ETFとは>

ETFとはExchange Traded Fund の略で、日本語では「上場投資信託」といいます。

ETFは日経平均株価やTOPIX(東証株価指数)、S&P500等の指数に連動するように運用されている投資信託の一種ですが、従来の投資信託と違い”上場されている”という点に大きな違いがあります。

従来の投資信託は、一口当たりの基準価格が一日一回、株式市場が閉じた後に更新されます。

一方でETFは、株式市場に上場しており、リアルタイムで価格が変動し、市場が開いている間に自由に売買が可能です。

ETFは一見シンプルな商品ですが、実はその裏にはETFが「20世紀最大の発明の1つ」と言われる複雑な仕組みが存在します。

<ETFの仕組み>

例えば投資家が、TOPIXのETFを市場が開いている時に購入したとします。

従来の投資信託のように、投資家からお金を受け取って、そのお金で投資信託会社がTOPIXの組み入れ銘柄、つまり東証一部上場全銘柄を買うとなると、タイムロスが生じ、その間に株価が変動してしまうため、投資家は結局購入したい価格で買えません。

そこで、ETFでは以下のような秀逸な仕組みが採用されているのです。
ETFの仕組み_20200728

ETFは上場されているので、価格は需給で決まり、買い手が多ければ上がりますし、売り手が多ければ下がります。

但し、需給で決まるということは実際のS&P500の指数価格から乖離してしまうということがおこります。

そこで、乖離してしまったETF価格を、実際のS&P500の指数価格に調整する仕組みがETFの秀逸なところです。


仮に、ETFの買い手が多く、実際のS&P500よりもETF価格が高くなってしまった時のことを例にとって考えてみます。

そのようなときにはマーケットメイカーは以下のような働きをします。

①マーケットメイカーは株式市場でS&P500組み入れ銘柄を購入。

②マーケットメイカーは購入した株式バスケットを運用会社に拠出し、運用会社からETFを取得。

③マーケットメイカーは取得したETFを株式市場を通じて投資家に売却し、現金を入手。

※実際には①~③がほぼ同時に起こっているイメージ。

つまり、ETF価格が上方乖離している時、マーケットメイカーは、「S&P500現物銘柄をロング」し、「ETFをショート」しているのです。

こうすることで、ETF価格は下落し、実際のS&P500価格は上昇するので、両者の乖離が是正されるのです。
逆もまたしかりです。

株式市場の需給で決まっているはずのETF価格がS&P500指数価格に連動するのはこういったからくりがあります。

<取引価格と基準価格>

但しここで一つ疑問がわいてきます。

市場の需給で決まっているはずのETF価格がたまたまきれいにS&P500指数に連動しているとすると、現物の株は購入されないのかという点です。

これはまさにその通りです。

株式市場で取引されているETFの価格は「取引価格」といいます。

一方で、マーケットメイカーと運用会社の間で取引されるETF価格は「(現物株式の総資産価値ー関連経費)÷発行済ETF口数」であらわされこれを「基準価格」といいます。(従来の投資信託の価格はこの基準価格のことです。)

そして、この「取引価格」と「基準価格」が異なるということは、ETFの性質上実際に起こります。

但し、実際には「取引価格」と「基準価格」の乖離というのは1%未満程度に収まるというのが実態のようです。

以上

りろんかぶお

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[ 2020/07/28 17:17 ] 14.投資の勉強部屋 | TB(-) | CM(0)

日本人の給料が安すぎる理由

実質賃金指数_20200623
出典:全労連

上図は、先進諸国の実質賃金を、1997年を100とした場合の推移を表しています。

このように先進諸国の実質賃金が伸び続ける中、日本では緩やかに下がり続けています。

なぜなのでしょうか?

この疑問に対し、オックスフォード大学で日本学を専攻、ゴールドマン・サックスで日本経済の「伝説のアナリスト」として名をはせたデービッド・アトキンソン氏は「モノプソニー」が原因と指摘しています。

モノプソニーとは「買い手独占」という意味で、労働者に比べて企業の方が立場が強く、本来よりも低い給料で人を雇うことができる状態を指します。

日本は本当にモノプソニーなのでしょうか?

モノプソニーが強い国の特徴が、どの程度日本に当てはまるかを示したものが以下の表です。

モノぷそにーの特徴_20200623
出典:東洋経済
出所:小西美術工藝社社長

これを見ると、日本がモノプソニー大国であることがわかります。

ではなぜ日本ではモノプソニー、つまり労働者よりも企業の方が強いのでしょうか?

アトキンソン氏によると特に以下3つの理由があるとのこと。

①日本では、女性であるとか、高齢者であるとか、そういった理由だけで労働市場での価値が下がるため、そういった労働者は相対的に立場が弱くなりがち。

②労働組合の機能が低下したため。労働組合は、労働者のスキルが明確で企業規模の大きい製造業に適した組織。一方で、近年は産業全体に占める製造業の割合は低下し、労働組合が機能しにくいサービス業が拡大していったことが要因。

③規制緩和により、非正規雇用者が増えたため。

この結果、
企業側の立場が強くなり、
労働賃金が下がり、
給与が低いので生産性の低い小規模企業でも利益が出せるようになり、
日本では大企業の割合が非常に少なく、中小企業が乱立するということがおこりました。(下図)

大企業の割合_20200623
出典:中小企業庁

では、モノプソニーの状況を脱するためにはどうすればよいのでしょうか?

アトキンソン氏は、状況打開のために「最低賃金の引上げ」が必要と訴えます。

最低賃金の引き上げにより、生産性の低い小規模企業が淘汰され、生産性が高く経営効率の良い中堅企業、大企業に労働者が集約されるていくからです。

大企業では、しっかりとした労働組合があるために、労働者側の交渉力が相対的に高く、これによってモノプソニーの状況も改善されるだろうと。

STOP

ここまでがアトキンソン氏の主張の超概略です。

個人的には、給与が安いのは上記の他に、日本型雇用システムも大きく影響していると考えています。

①終身雇用

最近は転職も増えてきましたがそれでもまだまだ最初に就職した会社に勤めあげるという人が大半です。

労働者側がそもそも終身雇用を前提とし転職を考えていないため、企業としては新卒で採用してしまえば、あとは賃金の面で他の企業と競争する必要がないので、必然的に給与は低くなりがちです。

労働者側も給与が安ければ転職するという発想がそもそも希薄なため、企業側の言いなりになりやすい傾向があります。

②新卒一括採用

終身雇用で企業側の立場が強くなりがちとは言え、新卒採用の時は学生側もやはり給与面で待遇がいい会社に行きたいと思うはずで、そこは企業側も選別されてしまいます。

但し、新卒一括採用システムでは、新卒と既卒では圧倒的に新卒が有利であるが故、学生としては卒業までに必ずどこかに就職しなければいけないという意識が働きます。

そうすると、条件が悪い企業でもやむなく就職せざるを得ない学生もたくさんいるので、こういった会社が生き残れてしまうのです。

③年功序列

多くの日本企業では基本的には年を取るごとに給料が上がっていく年功序列型です。

給与を決める要素の大部分が”年齢”に依存しているため、会社の業績が悪くても、個人のパフォーマンスが悪くても、年齢に応じてほとんど固定給のように支払われていくのが普通です。

よって、会社側からすれば業績が悪くても給与を下げることが困難なため、そのような事態に備えて景気がいい時でも給与を上げない傾向があります。これも、給与が低い大きな要因となっています。


このようなことを考えても、やはり日本の経済をがらりと変えていくためには、日本型雇用システムから脱却というのが必須になってくると考えます。

以上

りろんかぶお

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[ 2020/06/23 13:35 ] 14.投資の勉強部屋 | TB(-) | CM(0)

米国マネーストックとFRBバランスシートと株価の関係

<マネーストックとは?>

金融部門から経済全体に供給されている”通貨の総量”のこと。

米国では、M1とM2の統計を公開。(日本ではM1、M2、M3、広義流動性、の4種類)

米国と日本でM1、M2の定義は微妙に異なるが、米国における定義は以下。

M1:一般に支払いのために使われる通貨からなり、現金と当座預金からなる

M2:M1に流動性の高い預金口座(普通預金および小額の定期預金)を足したもの

※米国では当座預金(Checking Account)が日常的な決済に使用される口座で、普通預金(Saving Account)は利息を得るための口座で、当座預金に不足が生じたときは普通預金から補うのが般的な使い方

<米国のM2推移(直近5年間)>

米国M2_20200618
出典:FRED

<FRBバランスシート推移(直近5年間)>

FRBBS_20200618.png
出典:FRB

<S&P500推移(直近5年間)>

米国SP500_20200618

<考察>

米国のマネーストックはコロナ後に急増。(およそ$2,500 billion(100円/ドルだと250兆円))

これは、FRBが大量の資産購入を通じて、主に金融機関に資金を注入し、金融機関が民間に積極的に融資を行ったため。

事実、FRBのバランスシートもコロナ後に急増。(およそ$3,000 billion(100円/ドルだと300兆円))

FRBが金融機関に注入したマネーは、民間に貸出することで初めてM2が増加するので、FRB資産拡大幅の方がM2拡大幅よりも大きい。

M2が急増しているということは、世の中のマネーの総量が急増しているということ。

これは、コロナ不況の中でも、誰かの懐が潤っているということ。

では誰の懐が潤っているのか?

ここでは以下3つに分けて考えてみる。

①ロックダウン下でも必要とされる企業

これらの企業は、ロックダウンによる影響は特に受けず、コロナの前と後で特に変化なし。
むしろ一部のIT企業はコロナ前対比で収支がプラスに。

②ロックダウン下で必要とされない企業

これらの企業は、ロックダウンにより大半の収入がなくなった一方、固定費は継続。
但し、政府およびFRBからの補助及び融資などにより、先数か月分或いは1年以上のキャッシュを確保したことで、キャッシュの面ではプラスになっている可能性あり。

③個人

多くの個人が失業や休業などで、元々の収入はストップしたものの、こちらも手厚い失業・休業手当により収入は維持。(大企業社員も給与維持)
一方で、ロックダウンにより生活必需以外の消費は激減。

収入は維持で、支出が減っているので、個人単位ではコロナ前対比で収支がプラスに。

STOP

これらの考察から、激増したマネーの所在は、②ロックダウン下で必要とされない企業、および③個人、にあると考えられる。

ロックダウン下で必要とされない企業の将来の備えとしてのキャッシュは、経済再開とともに収入が戻ってくると、どこかの時点で”備え”だったものが”余剰”となる企業も現れ、新規の設備投資や株主還元に向かう可能性あり。

但し、これは直接的に株の需給に働きかけるものではない。(間接的には株価にプラスの影響を与えるが)

一方、個人の余剰はどうか?

これは、消費に向かうものと投資に向かうものに分かれるが、投資に向かうものは直接株の需給に働きかけるので、これにより資産価格は通常よりも過剰に買われる傾向になる。

S&P500は既に急回復しており、それには様々な要因があると考えられるが、個人の余剰マネーが投入されたことによる要因もかなり大きいと考えられる。

以上

りろんかぶお

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[ 2020/06/18 11:58 ] 14.投資の勉強部屋 | TB(-) | CM(0)

ベーシックインカムの財源議論で抜け落ちている点

20200612_ベーシックインカムの財源


コロナ感染拡大による緊急事態宣言発出に伴い国民全員に10万円が支給されました。

これに伴って改めて議論されているのがベーシックインカム(BI)です。

BIとは、政府が全国民に対して最低限の生活を送るのに必要な現金を定期的に支給するという政策です。

一見わくわくするような政策ですが、この議論でいつも抜け落ちているのが「誰が生産するのか?」という点です。


1.生きていくということと生産活動は切っても切れない関係



人間が最低限生きていくためには衣食住が必要です。

まだ狩猟民族だった頃は、自分自身(或いは村自身)の衣食住という需要を満たすために、自分自身(或いは村自身)が生産を行うという自己完結型でした。

一方現代を見てみるとどうでしょうか?

人間社会における需要は幅広くなりましたが、生きていく上で最低限必要なのはやはり衣食住です。数万年前と変わりません。

つまりベースとなる需要は変わっていません。

一方で生産サイドはどうでしょうか?こちらは大きく変わりました。
生産性向上のために、大規模な役割分担がおこりました。

衣服を生産する人は自身の需要以上に大量の衣服を。
食を生産する人は自身の需要以上に大量の食を、といった具合です。

そして、過剰に生産したものを市場でお金と交換します。
このお金と交換する形で、自身が生きていくのに必要な衣食住を手に入れるのです。

つまりお金というのは生産を行った証であるともいえます。

そしてここからわかることは、古代も現代も変わらないのは、自分自身が生きていくための需要と同量或いはそれ以上の生産を行わなければ生きていけないということです。

(産業革命以降、生産効率は大幅に改善されていますので、実は生きていくために必要な需要を満たす生産量というのはものすごく小さな労力で作り出すことができます。つまりみんな必要以上に働きすぎで、必要以上に消費しすぎなのです。)


2.BIの財源案



翻って、現在のBIで議論されている財源案は大きく分けて以下三つがあります。

①税収案

国が税を徴収し国民に配るというものです。

国民は配られたお金を元手に自身の需要を満たしていくことができますが、生産はだれが行うのでしょうか?

これはいわゆる所得再分配で、国民の一部の人が頑張って稼いだお金を政府が取り上げて、全国民に配っていくというもの。

つまり一部の国民が、全国民の需要量を満たすのに十分な量を生産しなければ成り立ちません。

頑張っただけ無駄という空気が蔓延し、頑張って稼ぐ一部の人が減少していくことは、かつての社会主義国家のソ連や中国を見れば明らかでしょう。

②政府紙幣

国が紙幣を発行し国民に配るというものです。

生産はだれが行うのでしょうか?問答無用ですね。これなら①の所得の再分配の方がまだましだと思います。

(現在のようなデフレ下で、経済の軌道修正を行うための紙幣発行を否定するものではありません)

③無税国家論

政府が資本を蓄積し、その運用益を国民に配るというもの。
これは①、②に比べればマシな考え方かもしれません。

生産活動というのは、資本と労働によって行われます。よって資本を通じて生産活動に携わり、そこで生み出した生産物を背景としたお金(運用益)を使って需要を満たしていくというものです。

国家の単位で話していますが、個人の単位にまで狭めていくと、要は「資本家」と同じことです。
資本家は自身で労働はしていませんが、資本を通じて生産活動を行っているので、生きていくことができるのです。

よって国家ごと資本家になるということですね。

但し、ここで注意点があります。

それは、資本は海外に持っておく必要があるということ。

資本主義を前提にすると、国内の資本をすべて国家が保有することはできません。

全て国家が保有するということはもはや社会主義国家と同じで、社会主義が問題があるのはご承知の通り。(労働意欲の低下による生産不足、技術革新の欠如などなど)

資本主義を前提にすれば、国家が国内の資本の40%を握ったとしても、残りの60%は一部の資本家に吸い取られて行ってしまい、通常資本家はその大半を自身の懐に蓄積していってしまうので(消費に回るのは一部)、国民に十分なお金を配ることは不可能です。(詳しい説明は省略しますが)

よって資本は海外に持つ必要があります。

但し、これは海外の労働力を搾取した上に成り立っているモデルであるといえます。

全世界で見れば、全世界の人々が生きていくのに必要な生産量というのがあって、それに必要な労働量が一定と考えれば、日本人が労働しない分、他の国の人たちが余計に頑張らなくてはいけません。

すべての国がこのような状態を目指せば、今度は「労働はだれがやるの?」という状態になります。


以上みてきた通り、①、②、③の財源案は、生産をだれがやるのか、労働をだれがやるのか、という議論が全くもって抜け落ちてしまっており、どれも「実現性に乏しい」です。


2.BIは不可能ではない?



さてここで「実現不可能」ではなく、「実現性に乏しい」といったのには理由があります。

それは、一定の条件が揃えば実現可能だということです。

それは何か?

それはAIやロボットが生産活動を自己完結でできるようになったら、という条件です。

AIが毎年必要な生産量を割り出し、自然災害などの様々なトラブルにも柔軟に対処し、AIの指示に従ってロボットが生産活動を行っていけば、「誰が生産するの?」問題は解決します。

AIとロボットを国が保有し、国は国民に生きていくのに最低限必要なお金を配り、国民は生産・労働を行わずにそのお金を使って生きていくことができます。

これでは社会主義的では?と思うかもしれませんが、そうだと思います。

ただ、社会主義の問題点というのは労働意欲の低下に伴う生産不足や技術革新の欠如だったので、その点AIとロボットは電源さえ確保できていれば労働意欲は関係ありません。

AIに技術革新が起こせるかというと、現時点ではノーだと思いますが、人類はもはや技術革新が不要なほど豊かな生活を手に入れているのでこれ以上の技術革新は不要と割り切ってしまってもいいかもしれません。(実際のところ気候変動など持続可能な世界つくりのための技術革新はまだまだ必要ですが)

以上

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[ 2020/06/12 15:50 ] 14.投資の勉強部屋 | TB(-) | CM(0)

貧富の格差議論に意味はあるのか?

格差_20200610

出典:ダイヤモンド

以下の不等式をご存じの方は多いと思います。

r>g

これは2013年にトマ・ピケティの著した「21世紀の資本」にて示されたもので、資本収益率(r)は経済成長率(g)を常に上回るという歴史的事実を指します。

ここで、「資本収益率(r)」は資本から得られる金利や配当利回りなどを指します。
資本家は資本収入を再投資することで、毎年の資本収入を資本収益率同じ比率で増やしていくことができます。

(例えば、資本収益率が10%であれば、初年度は100の資本から10の収入が、次年度は110の資本から11の収入が得られます。次年度の収入は初年度から資本収益率と同じ10%増えていることがわかります。)


次に、「経済成長率(g)」はGDP成長率です。

GDP構成要素は「労働者賃金+営業余剰+固定資本減耗・その他」です。
実は配当などの資本収入も営業余剰の中に含まれますが、全体に占める割合としては通常労働者賃金が最も大きいので、ここでは「経済成長率」≒「労働者賃金の伸び率」として考えます。


つまり、「資本収益率(r)」>「経済成長率(g)」は、労働者よりも資本家の収益の伸び率の方が大きいことを意味し、資本主義経済においては時間の経過とともに貧富の格差はますます拡大していくことが歴史的な事実であることを暴いたのです。


また、2017年に、国際非政府組織(NGO)オックスファムは、世界で最も裕福な8人と、世界人口の下位半分に当たる36億7500万人の資産額がほぼ同じだとする報告書を発表して話題になりました。


これらによって、現在の富の大部分がほんの一握りのお金持ちに集中しており、貧富の格差は想像を絶するほど広がっているという認識を多くの人が持っていると思います。


一方で、貧富の格差というのは重要でしょうか?


個人的にはあまり重要ではないと思っています。

なぜなら、人間は常に他人との比較を通して自分の現在位置を認識する生き物だからです。

そして自分と他人との間に「差」があるときに、劣等感に浸ったり、優越感に浸ったりするのです。

そしてその「差」の大きさと、劣等感・優越感の大きさは比例しないように思います。

例えば、年収500万円の人の場合、年収600万円の人に対する嫉妬(年収差100万円)よりも、年収800万円の人に対する嫉妬(年収差300万円)の方が3倍大きいのでしょうか?

それはそんなことないと思います。

逆に、差が小さいほうがよりその人との距離が現実的であり、嫉妬が大きいかもしれません。
(年収500万円の人がジェフベゾスやビルゲイツに嫉妬しないのと同じです)

つまり、どんなに頑張って平等な社会を作ったとしても、他人と自分との間に少しでも「差」があれば不満が募るのです。

よって格差への不満の議論というのはとても不毛なように思えます。


では、格差問題は全てが不毛な議論かと言われればそうでもないと思います。


世の中には、貧しい家庭に生まれて子供のころから労働を強いられ、教育を受けられずに、一生貧しい生活を余儀なくされる人々も多く存在します。

このような人たちに、他の人と同じように平等にチャンスが与えられているとは思えません。

つまり生まれた環境に関わらず、努力が報われる社会であるべきとは思います。

では、格差を助長するといわれる資本主義は、このような人々をさらに貧しくするようなシステムなのでしょうか?


このような人たちが世界にどれくらい存在しているかを把握するデータの一つに、世界銀行がまとめる絶対的貧困率データがあります。

絶対的貧困とは、たとえば、食べ物がない、家がないなど人間としての最低限の生存条件を欠くような貧困のことを意味します。
これを世界銀行は「日給1.9ドル以下の人々」と定義しています。(じゃあ日給2ドルあれば生きていけるかというとかなり疑問ですが)

世界人口に占める絶対的貧困率と絶対的貧困者数を現したのが下図です。

絶対的貧困人口比率
絶対的貧困人口
資料:世界銀行のデータを基に著者が作成



これを見れば、絶対的貧困率も貧困者数も年々急速に改善してきていることがわかります。


ピケティの不等式「r>g」だけ見れば、資本主義は格差を拡大させるひどい経済システムだと思うかもしれません。

ただ、資本主義だからこその急速な経済発展の中、資本家は経済発展以上にますますお金持ちになっていっているかもしれませんが、最下層もかなり底上げされていることは事実です。

世の中全体がみな人間的な生活をしていけるようにするという意味では、他の経済システムに比べれば資本主義はかなりマシなシステムといえるかもしれません。

以上

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[ 2020/06/10 16:40 ] 14.投資の勉強部屋 | TB(-) | CM(0)

コロナのパニック相場で感じたこと

投資方針

出典:幻冬舎

今回は自身の備忘も含め、コロナウイルス感染拡大に伴う大暴落相場で、感じたこと、気づいたこと、反省点等を振り返ります。

感染第二波が懸念される中、少々気が早いですが株式市場は落ち着きを取り戻し既にかなり回復してきているので、いったんここで整理しておきたいと思います。

1.パニック相場で感じたこと(心理面)

・含み益があるときはまだ心に余裕あり。どちらかというと絶好の買い場だから買わねばと。

・含み損に突入し、含み損が膨らんでいく状況は正直かなり「怖い」という感情が。その一方で、ここで拾えずにあっという間に元の水準まで戻ってしまったらどうしようという怖さも。

・市場参加者がパニックになっていることはわかっていた。株価が割安なのもわかっていた。ただ、パニック相場でどこまで下がるか全くわからない。

・自分の投資先が倒産することはないという自信はあったが、世の中悲観一色の「資本主義が終わるのでは?」という考えもちらつく。(←今考えればばからしいが)

2.パニック相場で気づいたこと

・暴落相場の最中ではどこが底かがわからないので、買いたい企業の適正株価水準を把握しておくことは重要。(適正株価以下で買えれば、その後どんなに下がってもいいやと思える)

・パニック相場のメカニズム。歴史的に「暴落は買い」というのが常識な中、もう大暴落は来ないのでは?とすら思っていたが、パニック相場では投資知見の浅い投資家が恐怖から投資信託を解約してしまうので、「暴落は買い」という玄人の投資判断を素人の「怖いから売り」という投資判断が飲み込んでしまい、売りが売りを呼ぶ展開に。平常時はプロ(機関投資家)が運用し、パニック相場では素人が運用するイメージ。

・世の中が悲観一色の時は、自分の考え方も悲観的になってしまう。(「資本主義が終わるのでは?」というのもこれが原因)

・テレビコメンテーターは大体てきとうなことを言っている。

・連続増配というのは精神安定剤になる。配当をいつも通り出してくれるなら別に株価が下がってたっていいや、2~3年低迷したっていいやと、ある程度思える。

・生活必需品系の優良企業(P&Gなど)は暴落に強い。(どんなに不景気になっても、「シャンプーを二日に一回にしよう」「子供のおむつ交換は一日一回にしよう」などとは思わない)

3.自身の投資の反省点

・下げ相場の早い段階で保有現金を多く使ってしまった。

・一生持っていたいと思えるかというとそうではない流行銘柄(Zoomやギリアド)に投資してしまった。一儲けしてやりたい、という気持ちで投資してしまった。

4.よかったこと

・(偶然だが)現金を多めに持っていた。

・どの企業を、いくらで買いたいか、準備はできていた。

5.今後に活かしたいこと

・暴落相場こそ自分の投資の目的をしっかり再確認。自分の場合は「資本を通じて社会に貢献したい」というのが目的なので、それに沿った投資行動をすべき。

・具体的には、「どんな状況になっても応援したいと思える企業が今回のように危機に陥っている時こそ喜んで応援の買いを」というマインドで投資をすべき(自分の場合です)。「この暴落相場で一儲けしてやろう」と思ってはうまくいかない。

・企業が苦しい時こそ、応援の投資をするにはいい機会なので、やはりこういうときのためにある程度現金(応援準備金)は持っていたい。

以上

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[ 2020/06/09 11:46 ] 14.投資の勉強部屋 | TB(-) | CM(0)

現代でも示唆に富む「共産党宣言(1848年)」③

共産党宣言_20200602


今回は「資本論」で有名なマルクスとエンゲルスの文書「共産党宣言」(1848年発表)についての第三回です。

現代でも示唆に富む「共産党宣言(1848年)」①
現代でも示唆に富む「共産党宣言(1848年)」②

170年以上前の文書ですが、この文書が指摘する資本主義の構造的な問題などは現在にも通ずるところがあり、資本主義の理解を深めるという意味でも投資家には示唆の多い内容になっていると思います。


3. 共産党宣言の概要


前回までで確認した歴史背景の中で、フランスにおける1830年以降の七月王政時代は産業革命が本格的に進み、資本家(ブルジョアジー)と賃金労働者(プロレタリアート)という階級が明確になり、虐げられたプロレタリアートの不満が爆発して1848年の二月革命に至りました。

「共産党宣言」の発行日は二月革命の直前1848年2月で、しかも場所はロンドン、言語はドイツ語だったので、これが二月革命に直接的な影響を与えたものではありません。

ただし、当時すでに抑圧階級であるブルジョアジーと被抑圧階級であるプロレタリアートという構図が浮き彫りになってきており、プロレタリアートを中心に社会主義・共産主義の考え方が広がっていたのは事実であり、そのような思想を文書にまとめたものが「共産党宣言」といえるでしょう。

ちなみに当時理解されていた「共産主義」とは、教義や思想というより、被抑圧階級であるプロレタリアートを解放する「運動」ととらえられていました。

では、共産党宣言とは何だったのかというのを以下で見ていきます。

・共産党宣言の目的とは?

共産主義者が自己の見解、目的、企図を全世界に表明、宣言すること。
この目的のために、様々な国と民族の共産主義者がロンドンに集まって宣言を起草したもの

・共産主義者の見解とは?

人類の歴史は階級闘争の歴史であり、1848年当時は、搾取され抑圧されている階級がプロレタリアートであり、搾取し支配している階級がブルジョアジーである。

プロレタリアートとは近代労働者のこと。生活の糧を自己の労働の販売から得ている社会階級。

ブルジョアジーとは近代資本家のこと。それまで道具(紡ぎ車や手織り機など)と手作業で行われていた生産過程を、蒸気機関を動力とする巨大な機械に置き換え、労働者を生産主体である機械の付属物のように扱う大工業における資本家を指す。(小工業家、小商人、手工業者とは異なる)

そして被抑圧階級であるプロレタリアートが自身を解放するために、団結し革命を起こし、その結果ブルジョアジーが没落し、プロレタリアートが勝利することは不可避である。

プロレタリアートは革命を通じて、自らが支配階級になり、支配階級としてブルジョアジーの権利を力ずくで廃棄し、階級闘争の社会に代わって、万人の自由の発展のために、各人の自由の発展が条件となるような協同社会(アソシエーション)が登場する。

・プロレタリアートはどのように抑圧されているのか?

プロレタリアートの労働は機械の普及と分業の発達により、機械の単なる付属物と化し、最も単純かつ単調で、最も簡単に覚えることのできる操作だけが求められるようになり、労働のあらゆる魅力が失われた。

このような構造の下、労働はあらゆる他の商品と同じ一個の商品であり、商品の価格が生産費に等しいのと同様、労働の価格(賃金)も生産費に等しい。そして、労働の生産費とは、労働者が働き続けることができ、労働者階級が死滅しない状態を保つのにちょうど必要なだけの生活費である。

他方、莫大な生産力を得たブルジョアジーは私有財産制と自由市場・自由競争の下、野放図な競争を行い、生産過剰に陥り、経済恐慌に至る。恐慌時に過剰となった生産力は破壊されるが、経済の過熱→恐慌→回復、という循環を繰り返す。

絶え間なく続くこの過程で、労働者に対する需要は経済の波ととともにとても不安定であり、さらに競争の激化に伴い生産効率が改善されればされる程、労働の不快が増大し、それに比例して賃金もまた下がっていく。

これが進展するにしたがって、プロレタリアートの不満が増大し、ついにはブルジョアジーに対する闘争が始まるのである。

・このような見解の中、共産主義者はどのような役割を果たすのか?

共産主義は、プロレタリアートを団結させ階級を形成し、民主主義を獲得(プロレタリアートの選挙権を獲得)し、プロレタリアート自らの政治的支配を利用して、ブルジョアジーの支配を打倒し、最終的に階級対立のない協同社会(アソシエーション)を登場させる、という運動全体をさす。

共産主義者はこの運動の結果を洞察した上で、この運動全体の利益を代表し、推進していくものである。

・どのようにプロレタリアートを階級化させるのか?(階級化の企図は?)

不満が爆発したプロレタリアートは、最初は個々のプロレタリアートが自分たちを直接搾取している個々のブルジョアと闘争を開始する。

これらの個々の闘争は、当初は各地域でまったく別個のものとして発生するが、それらはどこでも共通の性格を有していることと、近代工業によって作り出された運輸交通手段の改善により、次第に各地域の闘争が相互に結び付きはじめ、地方的諸闘争が全国闘争に、そしてついにはプロレタリアートという階級が組織され、一個の階級闘争に発展するのである。

この階級闘争を通じて、民主主義(プロレタリアートの選挙権。当時の選挙権は納税額の制限があったため)を勝ち取るのである。

・プロレタリアートは政治的支配を利用して具体的にはどのようにしてブルジョアジーの権利を廃棄するのか?(ブルジョアジー支配打倒の企図は?)

共産党宣言では、私有財産権と自由競争がブルジョアジーをここまで大きなものにし、プロレタリアートをここまで貶めてしまった根本的な問題と考えている。

よって、ブルジョアジーの支配を打倒するためには、主に私有財産権を撤廃し、ブルジョアジーからあらゆる資本、生産用具を奪い取り、主にプロレタリアートで組織された国家の手にそれらを集中すべきと考える。

諸方策は国によって異なるが主な方策としては以下があげられるとしている。

土地所有を収奪し、地代を国家の費用に充当
高度の累進課税
相続権の廃止
亡命者と反逆者の財産没収
国営銀行を通じて国家の手に信用を集中すること
運輸交通手段を国家の手に集中すること
国営工場と生産用具を増大させ、協同の計画に基づいて土地の悔恨と改良を進めること
万人に対する平等の労働義務。
農業経営と工業経営の結合
無償教育、児童労働廃止、教育と生産活動の結合
などなど

・そして宣言の最後に、万国のプロレタリアにこう呼びかける


「支配階級を共産主義革命の前に戦慄せしめよ。プロレタリアはこの革命において鉄鎖以外失うものは何もない。彼らが獲得するのは全世界である。

万国のプロレタリア、団結せよ!」

STOP

・その後共産党宣言は19世紀後半にかけて各国語版に翻訳され大きな影響力を与えました。資本主義に対する深い洞察が含まれており、現代においてもとても示唆に富む内容であると感じたと同時に、ブルジョアジーを打倒した後の世界を具体的にどのように運営していけばよいのか、という点についてはほとんど言及がありません。

・共産党宣言を一通り理解した上で、現代に目を向けてみるとどうでしょうか?日本の大企業では、強い労働組合が存在し、ある程度賃金交渉できる体制が整っていて、解雇に関しては労働基準法でがっちり規制されているので、共産党宣言が発行された当時よりかは資本主義が成熟し、労働者を守るための体制が整備されてきている印象です。

・一方でバブル崩壊後、平均賃金はほとんど上がらず、非正規労働者の割合はますます増大(今や4割に)し、これら非正規社員の賃上げや地位向上はほとんどなされず、少子高齢化に伴い税や保険料負担はますます上がっているのも事実。

・それでも日本の労働者は大規模な犯行を作り出すことなく、これら搾取を従順に受け止めており、世界的に見ても日本の異常さは際立っているという見方もあります。なぜ日本の労働者はここまでおとなしいのでしょうか?

・最近米国で白人警察官が黒人を殺害した事件で大規模な差別反対デモが起こっています。その中で「資本主義は死ね」というのを掲げている人がいました。この言葉は、資本主義の構造的な問題をある程度理解していないとできないコメントだなと思います。

・翻って、日本を眺めてみると、「資本主義」ということを理解している人があまりにも少ないように感じます。日本の労働者がおとなしいのではなく、資本主義がどのような構造になっているかに対して著しく知識が欠如している為に、これが普通と考えているのではないでしょうか?

・著者としては、必ずしも共産主義的な考え方を支持しませんが、人類が発展していくためには、それぞれが現在世界を支配している資本主義について考え、自らの考えを発信していくべきではないかと思います。



以上

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[ 2020/06/05 14:54 ] 14.投資の勉強部屋 | TB(-) | CM(0)

現代でも示唆に富む「共産党宣言(1848年)」②

共産党宣言_20200602


今回は「資本論」で有名なマルクスとエンゲルスの文書「共産党宣言」(1848年発表)についての第二回です。

現代でも示唆に富む「共産党宣言(1848年)」①

170年以上前の文書ですが、この文書が指摘する資本主義の構造的な問題などは現在にも通ずるところがあり、資本主義の理解を深めるという意味でも投資家には示唆の多い内容になっていると思います。


2. 歴史的背景②(フランス革命~ナポレオン)


前回に引き続き、共産党宣言を正しく理解するために、当時の歴史的背景をみていきます。

今回はナポレオン失脚後の歴史です。

④1814年~1830年 「復古王政」

政治:軍事独裁→立憲君主制
経済:私有財産制(資本主義)

・ナポレオン時代のヨーロッパは、イギリスとロシアを除けばそのほとんどが、フランスの服属国、同盟国となっていました。そして、ナポレオン失脚後のヨーロッパの秩序回復を図る目的で行われたのがウィーン会議。

・ウィーン会議はその名の通りオーストリアの首都ウィーンで開催され、ヨーロッパ諸国の君主及び代表が参加しました。もともとナポレオン戦争は、王政廃止を実現したフランスがその革命理念をヨーロッパに拡張しようとしたもので、これに反発した周辺諸国が対仏大同盟を結び、最終的に対仏大同盟側が勝利したものです。

・よって、ウィーン会議はヨーロッパをフランス革命以前の絶対王政の状態に戻すという理念を出発点として議論が行われ、結論として各国の旧君主が復位することで合意。

・一方フランスでは、フランス革命で生まれた市民意識は定着していたので、憲法をはじめ、所有権の不可侵や法の下の平等など、革命の成果は保障(ただし選挙権は一定額の納税者に限定する制限選挙)。よって、王政は戻ったものの、憲法の縛りがある立憲君主制に。

・平等や私有財産権は確保されたものの、フランス市民は選挙権の拡大、より自由主義的な経済を求め、そのような考えを持つ自由主義者が増加。そんな中、1824年に王位に即位したシャルル10世は、かつての絶対王政の状態に戻すような動きを見せ、1830年に、出版の自由の制限や制限選挙のさらなる強化を画策し、これに反発した民衆が蜂起し7月革命が勃発。

・この間に、当時自由主義者が多数派を占めた議会が国王の廃位を宣言し、シャルル10世はイギリスに亡命。

⑤1830年~1848年 「七月王政」

政治:立憲君主制→共和制
経済:私有財産制(資本主義)

・七月革命後、国王に迎えられたのは、それまで王位に就いていたブルボン家の分家筋に当たるルイ=フィリップで、独裁者としてではなくフランス人のための王と称して市民王とも呼ばれた(ただし議会は引き続き制限選挙制)。

・七月王政期のフランスは本格的な産業革命時代となり、機械化が進み鉄道の建設が開始。その結果、資本家(ブルジョワジー)と賃金労働者(プロレタリアート)という階級が明確に形成され現代の資本主義に非常に近い形に。

・資本主義が発展するにしたがって、ブルジョワジーはますます富を増やした。一方でプロレタリアートの労働力は商品と同様に扱われ、その対価はプロレタリアートの維持費用、つまり生活費ぎりぎりの水準まで切り下げられていった。

・さらに、制限選挙故に、いわゆるお金持ちしか選挙権を持たないため、必然的にブルジョワジー寄りの政権に。当時の首相が「選挙権が欲しければ金持ちになり給え」といったのは有名。

・こういう状況の中、プロレタリアートの権利を回復するため、社会主義・共産主義への期待が高まった。さらに一部の市民層が普通選挙を要求する選挙法改正運動を起こした。これを抑え込もうとした政府に激昂したパリ市民、労働者はついに蜂起して二月革命が勃発。その結果、ルイ=フィリップを退位に追い込み七月王政を倒し、共和政を宣言し臨時政府が成立された。

・かつてのフランス革命や七月革命では貴族階級対ブルジョワジーであったが、二月革命はブルジョワジー対プロレタリアートという構図であったことが特徴的。

・二月革命の結果男性普通選挙が実現し、社会主義・共産主義を志向するプロレタリアートも選挙に参加するも、私有財産権を否定する社会主義・共産主義的な思想は、フランス革命でようやく私有地を得た農民からの反発を受け、結局はブルジョワが支持する穏健共和派が政権を握ることに。

・つまり、ブルジョワジー対プロレタリアートの対立関係は二月革命では解消せず、その後も続くことに。

STOP

次回は、二月革命時のプロレタリアートの思想に多大な影響を与えた「共産党宣言」の内容に迫っていきます。

以上

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[ 2020/06/03 12:22 ] 14.投資の勉強部屋 | TB(-) | CM(0)

現代でも示唆に富む「共産党宣言(1848年)」①

共産党宣言_20200602


今回は「資本論」で有名なマルクスとエンゲルスの文書「共産党宣言」(1848年発表)について紹介します。

170年以上前の文書ですが、この文書が指摘する資本主義の構造的な問題などは現在にも通ずるところがあり、資本主義の理解を深めるという意味でも投資家には示唆の多い内容になっていると思います。


1. 歴史的背景①(フランス革命~ナポレオン)


まず、共産党宣言を理解する上では、当時の歴史的背景を理解する必要があります。

18世紀後半、19世紀前半のヨーロッパの歴史はフランスの市民が主導する形で展開されました。

当時のフランス史の概要は大まかに以下のようなものでした。

①~1789年 「フランス革命以前」

政治:絶対王政(王が絶対的な権力を保持)
経済:封建制(王の下の貴族が土地を領有し、その土地の人民を統治)

・国王を頂点に、第一身分:聖職者、第二身分:貴族、第三身分:一般市民、の構成。

・第一・二身分は特権階級で、国土の大半を領有する封建領主として第三身分を支配。

②1789年~1799年 「フランス革命」

政治:絶対王政→立憲君主制(王の権力が憲法により規制されている王政)→共和制(王を持たない政体)
経済:封建制→私有財産制(資本主義)

・国王及び貴族に抑圧されていた第三身分が自身の権利を主張しフランス革命が勃発。

・これにより第三身分のみで組成された国民議会を正式な国の議会であることを国王に認めさせ、最終的に「1791年憲法」を制定。これにより、絶対王政から立憲君主制へ、そして財産制限はあるものの第三身分の選挙権を認め、この制限選挙による立法議会が憲法に続く諸法規の制定することとなった。

・1791年憲法で、第三身分は選挙権を獲得したものの財産制限があったため、1792年、選挙権を持たない一般市民や下層民がこれに反抗し、国王を襲撃するという事件が発生。この結果王政が廃止され、翌年制定された「1993年憲法」では人民主権を明確に打ち出し、財産制限のない男性普通選挙が盛り込まれ、本格的に共和制が開始。

・1793年以降、男性普通選挙で成立した議会では、第三身分の下層民の権利を主張する派閥が台頭し、初期に廃止されていた封建特権に加え、封建地代の無条件無償廃止が実現し、封建制が完全に終了。「1795年憲法でも私有財産の不可侵を明記。長きにわたった領主と濃度の関係に終止符が打たれ、農民が土地所有権を獲得。

③1799年~1814年 「ナポレオンの軍事独裁」

政治:共和制(王を持たない政体)→軍事独裁
経済:私有財産制(資本主義)

・フランス革命期、王政統治をおこなっていた周辺諸国は、フランス革命による王政廃止の波及を恐れ、イギリス、オーストリア、プロイセン、スペインなどを中心に対仏大同盟を結成し、フランスとの戦争に突入(フランス革命戦争)。

・当初、フランス側が敗戦を続けるも、1796年以降、フランス軍をナポレオンが率いるようになって形成が逆転し、対オーストリアでは和平締結に成功。このような実績をひっさげたナポレオンは、当時市民主導の革命の末に混迷を極めた政府に対し、クーデターを起こし、当時の政府を倒し、自身が統領となる政府を樹立。

・その後、ナポレオンは革命理念の全ヨーロッパへの拡張を目指し、ナポレオン戦争といわれる実質的な征服戦争を展開。

・更に国内の幅広い支持を背景に、1804年ナポレオン1世として皇帝に即位。これによってフランス革命によって生み出された共和政は終わりを告げ軍事独裁政権へと移行。

・ナポレオンは1807年までに、イギリス以外のヨーロッパをほぼ征服。ただし、1812年のロシア遠征に失敗したことから急転し、最終的にはパリも陥落し、ナポレオンは1814年に退位。その後まもなく皇帝に復したが1815年にすぐに敗れて1821年に死去。

STOP

次回は、ナポレオン失脚後の歴史を見ていきます。

以上

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[ 2020/06/02 15:42 ] 14.投資の勉強部屋 | TB(-) | CM(0)

現代企業の競争優位性とは?

競争優位性_20200518


長期投資する上で、投資対象企業がいかほどの競争優位性を有しているか、というのは非常に重要です。

なぜなら、資本主義社会において企業は市場を通じて常に競合他社との競争にさらされているからです。

今後10年、30年と、他社との競争を勝ち抜いていける確かな根拠(競争優位性)を持った企業に投資することが、成功の条件であることは間違いありません。


それでは競争優位性とは何なのでしょうか?

それは消費者が他の商品ではなく自社商品を選ぶ「理由」が、長期的に見ても他社にはまねできなそうなものかどうか、という点に集約されそうです。

自社商品が選ばれる理由が安さであったとしたら、それは他の誰かがもっと利益を削って更に安い価格を提示できそうです。

では技術面での差別化はどうでしょうか?

これだけ科学技術が発展し、情報と人材の流動性が高まった現代において、今後何十年も誰にもまねできない技術というのはほぼ皆無でしょう。

では、長期的に見て他社にまねできなそうな競争優位性とは何でしょうか?

ここでは、NYダウ30銘柄を中心に企業の定性評価をし続けてきて、筆者自身が感じた以下4つの競争優位性を記載してみます。

1. 強固なブランド(P&G、Nike等)

※Wikipediaでのブランドの説明は以下

QTE
ブランドとは、ある財・サービスを、他の同カテゴリーの財やサービスと区別するためのあらゆる概念。当該財サービスと消費者の接触点で接する当該財サービスのあらゆる角度からの情報と、それらを伝達するメディア特性、消費者の経験、意思思想なども加味され、結果として消費者の中で当該財サービスに対して出来上がるイメージ総体。
UNQTE

ブランドに関しては、いくつかのとらえ方ができると思いますが、ここでは2つの具体例を挙げてみます。

① イメージの刷り込み

例えば、PCや洗濯機、テレビなどの電気製品の多くは性能や質を定量化できるため、比較が簡単で優劣が明確になってしまいます。

一方、洗剤、シャンプー、消臭剤などは質を定量化することが困難です。

性能や質を定量化できない商品の場合、消費者の判断基準として「みんなが使っているもの」が浮上します。

質がいいものは多くの人が使っている、つまりみんなが使っているものは質もいい、という考えです。

では、みんなが使っているものとは何か、というのはその商品名に触れた回数の多さで決まることが多いのです。

つまり、大量のCMなどで何度も何度も商品名を消費者の頭に刷り込めば、多くの人にとって、その商品が一般的に使われているもの、みんなに使われているものというイメージを作り出すことができます。

そしてそのイメージが実際に商品を買う時の強力な判断基準となるのです。

そして、一度このようなイメージをつくってしまえば、それを大事に育てていけばそれ自体が強力な競争優勢になることでしょう。

例えばP&Gや花王などの生活必需品を扱っている企業はこの戦略を使っていて、実際に皆さんの多くが、商品選びで迷った時にこれらの企業の商品を自然と選んでしまっていると思われます。

② 信仰

商品自体やメーカー自体が、「好き」であれば、そもそも他社の商品を買おうとは思いません。

これはファッションブランドに多いと思います。

服や靴、時計などの身に着けるアイテムは、自分を表現する手段でもあり、このアイテムを身に着けることで他の人にこう思ってもらいたい、というのが重要になってきます。

男性であればかっこいいと思ってもらいたいし、女性であればかわいい・きれいと思ってもらいたいはずです。

では、「かっこいい」「かわいい」「きれい」の基準は何か?

商品自体のクオリティはどこも似たり寄ったり(デザインはマネできてしまうので)だとすれば、多くの人は、かっこいい人が身に着けているものはかっこよく見えるし、かわいい人が身に着けているものはかわいく見えてくるものです。

よって、雑誌などで、有名俳優が身に着けているアイテムというのは、それを見た人の心の中に「かっこいい」「かわいい」「きれい」というイメージが形成されてきて、このイメージが商品を購入するときの判断基準になっていきます。

例えば、私はナイキが大好きです。スニーカーやスポーツウェアを買うときは大抵ナイキです。

なぜ大好きかといえば、靴のデザインというよりも、ナイキのロゴ自体をかっこいいと思っているからです。

では自分の中で「ナイキはかっこいい」というのがどのように形成されていったのか?

自分はスポーツ観戦が大好きです。その時に見るスポーツ界のスーパースター達(たとえばバスケのレブロンジェームズ、サッカーのメッシ、テニスのフェデラー等)の多くはナイキのロゴを身に着けています。

それを目にする機会が増えれば増える程、自分の中で「ナイキはかっこいい」という感情が形成されていき、この感情が自分自身が商品を買う時に重要な役割を果たしているのです。


2. みんなが使っている(Facebook、Visa、Microsoft等)

商品やサービスの中には、多くの人が使えば使うほど利便性が増すものがあります。

これらの商品やサービスは、多くの人が使っているから選ばれる、すると更に多くの人が使うことになるので、更に多くの人に選ばれる、という正の自動ループに入り、他社のサービスを全く寄せ付けないようになります。

一般的にはプラットフォーマーと呼ばれるような企業ですね。

例えば、FacebookやTwitterのように友達や多くの人とつながるSNSアプリでいうと、何のアプリを使うか選ぶ時に当然、「みんなが使っているもの」である必要があるのです。みんなが使っていないと「つながる」という目的を達成できないからです。

よって、このようなアプリの場合、みんなが使っていないと選ばれない、選ばれないとみんなが使えない、というように「みんなが使う」と「選ばれる」が鶏と卵の関係になっているので、新規参入企業がシェアを獲得していくのは非常に困難です。

また、クレジットカードのVisaやマスターカードなども、世界中どこでも使えるからみんなに選ばれるわけです。
みんなに使われていなければ加盟店を増やすことはできず世界中どこでも使えるようになりません。

つまりこれも、「みんなが使う」と「世界中どこでも使える」は鶏と卵の関係になっていて、もはやクレジットカード業界での新規参入は難しそうです。

もう一つ例を挙げると、マイクロソフトのWord、Excel、PowerPointなどのOfficeアプリは市場を完全に牛耳っています。
多くの企業は業務を行う上で、Microsoft Officeを使用しており、これらのアプリは既に業務プロセスに完全に溶け込んでしまっています。「エクセルを止めれば世界が止まる」とも言われたりしますね。

業務プロセスに完全に組み込まれてしまっているということは、互換性の観点でみんなが同じものを使っている必要性があります。もっと言えば、社外にも共有される可能性のあるものなので、この点でもみんなが使っているものを選ぶのが最も便利であり、自分だけ全く違うアプリを使っていたらとても不便なのです。

このように、「みんなが使っている」ということ自体が、選ばれる理由になると、そもそもその業界が亡くならない限り競争優位性を発揮し続ける可能性が高いです。


3. 重厚長大産業における実績(Boeing、GE等)

航空機や発電所、製油所などは、超巨額で、長期に渡って使用され、人の安全性にも深く関わるものなので、とにかく不良品があってはなりません。

失敗が許されないものを作ったり使う時、人々は十分な実績がある企業のモノを選ばざるを得なくなります。

よってこのような分野では、実績がないと受注できない、但し受注できなければ実績が作れない、つまり「実績」と「受注」が鶏と卵の関係になっており、新規参入が非常に困難です。

例えば、大型航空機におけるBoeingや、航空機の心臓ともいえる航空機エンジンのGEなどが挙げられます。


4. 巨大インフラ(AT&T、Verizon、American States Waterなど)

鉄道や水道、通信等、巨大なインフラが必要な分野では、新規参入が困難で、既にその分野で活躍している企業は競争にさらされにくいといえます。

このような分野でサービス提供のためには、超巨額の資金を調達し、巨大な設備を造ることでようやくスタートラインに立ち、そこから既存のプレイヤーと競争を始めなければなりません。

スタートラインに立つだけでも莫大なリスクを背負い、勝てるかわからない競争をしようとする人がいるでしょうか?

そもそも、そのような巨大なリスクがあるからこそ、鉄道や水道、通信等は当初国家主導で行われてきた公共事業だったのです。

民間企業が一から立ち向かえる分野とは言いにくいですし、それは10年後も30年後も変わらないでしょう。

STOP

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[ 2020/05/18 16:21 ] 14.投資の勉強部屋 | TB(-) | CM(0)

日銀の刷ったお金はどこにいった?

お金_20200515


2013年3月に黒田氏が日銀総裁就任後、日銀は日本経済の至上命題であるデフレ脱却を目的としてインフレ率2%を目標に掲げ、現在に至るまで異次元の金融緩和を行ってきました。

日銀は、以下の量的質的金融緩和を行うことで世の中のお金の量を増やし、それによって消費を刺激し、2%のインフレ率目標を達成しようとしました。

・大量の国債を買い取ることで金融機関にマネーを注入
・金利引き下げにより、金融機関に注入したマネーを民間企業や家計に行きわたらせる

ところが、2%インフレ目標は一向に達成されていないのが現状です。

インフレ率_20200515
出典:世界経済のネタ帳

ここでは、なぜ異次元の金融緩和をやっても、インフレ目標を達成できないのかを見ていきましょう。

まずは、マネタリーベースとマネーストック(M3)を見ていきます。

マネタリーベースとマネーストックの定義は日銀HPによると以下。

QTE

マネタリーベース:「日本銀行が供給する通貨」のこと。具体的には「マネタリーベース=日本銀行券発行高+貨幣流通高+日銀当座預金」

マネーストック:「金融部門から経済全体に供給されている通貨の総量」のこと。具体的には、一般法人、個人、地方公共団体などの通貨保有主体(金融機関・中央政府を除いた経済主体)が保有する通貨(現金通貨や預金通貨など)の残高を集計しています。

UNQTE

ここで典型的な疑問となるのが、「日本銀行が供給する通貨の合計=経済に供給されている通貨の合計」ではないの?というものです。

例えば

AさんがX銀行に100万円の預金をしました。

仮に預金準備率が1%として、X銀行は1%に当たる1万円を日銀に預け入れ、残りの99万円をBさん貸付けました。

その99万円は、Bさんが保有するA銀行口座に振り込まれます。

この時、X銀行はBさんに99万円をかしつけている一方で、その99万円は未だ手元にある状況です。

X銀行は更に、99万円の1%に当たる0.99万円を日銀に預け、残りの98.01万円をCさんに貸し付けました。

その98.01万円は、Cさんが保有するA銀行口座に振り込まれます。

この時点で区切ってみると、Aさんは100万円、Bさんは99万円、Cさんは98.01万円の預金残高があり、元々100万円だったものが、貸付を繰り返すことで合計297.01万円に増えていることになります。このような現象を信用創造といいます。

仮に、A銀行がこれを無限に繰り返していくと、証明は割愛するも最終的には100万円÷1%=1億円のお金が世の中に出回ることになります。

マネタリーベースとは、ここでいう最初の100万円のことで、マネーストックはここでいう1億円のことで、世の中に出回っているマネーの総量を表します。

ちなみに「マネーストック÷マネタリーベース=信用乗数」とあわされ、信用乗数が大きいほど、貸し出しによる信用創造が活発に行われてマネーの総量(マネーストック)が増えていることになります。

では実際にマネタリーベース、マネーストック、信用乗数の推移を見ていきましょう。

マネタリーベース_20200515

出典:日銀のデータを基に作成

まず、マネタリーベースを見ると黒田総裁が就任し、異次元の金融緩和が始まった2013年から目に見えて上昇しています。

次にマネーストックはどうでしょうか?増えてはいるのですが、マネタリーベース程の急激な伸びは見られません。

信用乗数(マネーストック÷マネタリーベース)を見ると、こちらは2013年頃から急激に下がって低迷しています。


ここからわかることは、日銀はお金を大量に注入しているものの、銀行の貸出が思うように行われていないために、マネーストックがあまり伸びていないのです。異次元緩和で2013年~2019年で日銀は380兆円のマネーを注入したにも関わらず、実際のマネーの総量は240兆円しか伸びていないというお粗末な結果になっています。

これは、どんなに金利が低くても、デフレの状況下、借入を行って新規の投資をしていこうという企業が少ないことが原因として挙げられます。

民間企業借入残高_20200515
出典:財務省

民間企業が全く借入を増やさない中、やっとこさマネーストックが増えているのは、民間に代わって政府が大量に借入残高(国債残高)を増やしているからといえます。

国債残高推移_20200515
出典:財務省

2013年~2019年でマネーストックが240兆円増加した中、同期間に国債残高が190兆円ふえているので、マネーストック増加の大半を政府の借入が担ったことになります。

マネーストックの増加が鈍いとはいえ、異次元緩和前の2012年末から2019年末にかけて、マネーストックは20%程上昇しているので、GDPもある程度伸びているのではないか、ということでマネーストックと名目GDPの関係を見てみましょう。

ちなみにGDPの解説は以下ご参照。

GDPとは?

名目GDPはいわば、経済活動でお金がどの程度回転したかを表すものなので、以下のような式が成り立ちます。

名目GDP=マネーストック×流通速度

流通速度とは、1年間でお金が平均何回転したかを表すものです。

マネーストックvsGDP_20200515
出典:日銀のデータを基に作成

これを見ると、マネーストックの伸びに対してGDPの伸びが非常に鈍いことがわかります。

実際に流通速度も、ここ10年以上下落傾向にあります。

つまり、マネーの総量は増えているのに、GDP=消費の総量、はたいして増えていないということです。

2019年末では流通速度が0.4まで下落していますので、1年間経済活動に全く使われず眠ったままのお金が6割も存在していることがわかります。

では、この眠っているお金はどこにあるのでしょうか?

先ほどの説明で、近年のマネーストックの増加の担い手が政府の国債発行にあることを説明しました。

政府は調達した資金を、社会保障費として個人へ支払い、公共事業等を通じて民間企業に支払っています。

では、ここで異次元緩和が開始される2013年3月を起点にして、マネーストック、及びその内訳である個人、民間企業の保有するお金がどのように伸びてきたかをみてみます。

マネーストックvs企業個人_20200515
出典:日銀のデータを基に作成

これを見ると、民間企業の保有するお金の伸びが、個人のそれを大きく上回っています。

つまり、増えたマネーストックは企業の内部留保として、企業内で眠ってしまっているのです。

政府が個人に支払う社会保障費でさえ、それが生活費にあてられればそのお金は企業に移ります。

その企業が、その儲けを、株主や労働者に配分せず、内部留保してしまうがために、それが個人に戻ってこず、最終消費の担い手である個人の消費意欲が活性化されないのです。

STOP

まとめ


・日銀は確かに大量の資金を民間金融機関に注入するも、デフレの状況下、民間企業の借り入れが全く伸びず、マネーの総量を表すマネーストックは思うように増加していない。

・政府が借入残高を増やしたことで多少マネーストックは伸びるも、結局単に眠っているお金が増えているだけで、GDP=消費の総量はほとんど増えていない。

・眠っているお金がどこにあるかというと、民間企業の内部留保によってせき止められてしまっているのが現状。

上記を踏まえれば、インフレ率2%目標を達成するには、マネタリーベースを増加させるのではなく、政策により、民間企業に滞留している内部留保を、(新規投資に回さないのであれば)株主や労働者にもっともっと還元することを促していく他ない、ということが言えると思います。
(株主や労働者などの個人が潤えば、消費が刺激され、そうすると企業も新規投資をしやすい環境になるという、好循環が生まれる)

以上

りろんかぶお

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[ 2020/05/15 17:46 ] 14.投資の勉強部屋 | TB(-) | CM(2)

人口減少は本当にまずいことなのか?②

人口減少_20200511


前回に引き続き、日本の人口減少・少子高齢化問題について書いていきたいと思います。

前回記事↓
人口減少は本当にまずいことなのか?①

前回の記事では、女性の社会進出が顕著になった今、女性にとって「結婚をして子供を産む」というのは、人生の選択肢の一つでしかなくなり、晩婚化、晩産化も相まって少子化の波を止めることは難しいという話をしました。

このような社会構造の中、国(民主主義国家)の目的である「全国民が豊かに暮らせる社会をつくる」ことを達成する手段として、「子供を増やす」ということは無理筋な方法です。

では、「全国民が豊かに暮らせる社会をつくる」為に、他にどのような策があるのか?

具体的には以下のようなことが挙げられるかと。

1. 労働力人口を増やす

「産出量(生産量)=投入(労働力や資源、エネルギー等)×生産性」

なので、生産量最大化の為にまずは「投入」量を増やすべく、労働力人口を増やすことが挙げられるかと思います。

ちなみに労働力人口と非労働力人口の定義は以下の通り。

労働力人口:満15歳以上の人口のうち、労働の意思と能力をもつ者の人口。就業者(休業者も含む)と完全失業者の合計。アルバイトをしている学生やパートの主婦も含む。

非労働力人口:満15歳以上の人口のうち、病気などの理由で就業できない者と就業能力があるにも関わらず働く意思がない者を合計した人口。ニートや高齢者、専業主婦等。

① 女性の活躍促進

総務省の調べによると、生産年齢の15歳~64歳における労働力人口は以下の通り。

(2020年3月時点)
生産年齢人口:7,478万人
労働力人口:5,960万人
労働人口比率:79.7%(米国は60%台なので日本は比較的高い)
男性労働力人口比率:86.3%
女性労働力人口比率:72.9%

労働力人口比率は79.7%と比較的高いですが、女性の労働力人口比率はもう少し高められる余地があります。

また、女性が仕事で活躍することを、雇用主である企業などが推進することを義務づけた女性活躍推進法が2016年に施行され、女性の労働力人口比率は今後上昇していくことでしょう。

現に下図の通り、専業主婦世帯と共働き世帯を比べると、現時点で既に共働き世帯が圧倒的マジョリティであることがわかり、この傾向は今後も続き、それに伴って女性の労働力人口比率は上昇していくことが望めます。

共働きと専業主婦_20200511
出典:厚生労働省

② 定年撤廃

労働力人口のパイを増やす意味では、定年の撤廃も有効だと思われます。(例えば米国では定年はありません。)

現在、多くの企業が定年を60歳に設定しておりますが、自分の親(60代半ば)を見ていても、まだまだ元気ですし、十分に働ける年齢(現に母親はパートで働いてます)だと思います。

仮にみんなが70歳くらいまで働くとしたらどれくらいの働き手が増えるのでしょうか?

総務省の調べでは2020年4月1日現在で、総人口1億2,596万人に対し、60~69歳人口は1,588万人、総人口の12.6%に上ります。(更に70~74歳は899万人もいる)

つまり定年を撤廃するだけで、潜在的にはそれくらいの規模の労働力人口が増えるわけです。(当然その中には生産活動に従事できない人もいますが)

但し、企業の生産性向上も合わせて考えれば、労働者の新陳代謝も重要ですので、定年を撤廃するのであれば、従来の年功序列制度の撤廃もセットでなければなりません。

2. 労働生産性の向上

「産出量(生産量)=投入(労働力や資源、エネルギー等)×生産性」

次に、生産量最大化の為に「生産性」を向上する必要があります。

生産性向上のために、デジタル化推進などもありますが、個人的には「雇用システムを社会主義から資本主義に」というのが最も重要と考えています。

日本の雇用システムが社会主義から脱却すべき詳細については以下の記事ご参照ください。
日本企業への投資がうまくいかない理由

簡単に言うと、日本の古くからの大企業の多くは、「お金をあげるから頑張って」「定年まで雇用を保証してあげるから頑張って」というものですが、これは「頑張ったらその分お金を支払うよ」「頑張ったら雇用を継続するよ」という風に順番を変える必要があります。

前者は非常に社会主義的で後者は資本主義的ですね。

社会主義が人間を怠惰にし、活力を生み出さないことは、1900年代のソ連と中国などの社会主義国家が証明しましたね。

日本企業の生産性が、世界と比較して低いといわれているのは、日本企業の従業員は別に生産性を上げる必要性に迫られていないのです。生産性をあげようが、生産性が悪いままでいようが給料が変わらないからです。

日本企業も、もっともっと、従業員個々人をモチベートするシステムを再構築する必要があります。

そうすれば生産性はおのずと改善してくるでしょう。

3. 高齢者は資本所得を

現在の年金制度は、生産年齢世代が稼いだ所得を、高齢者に再分配するという賦課方式です。

これでは、生産年齢人口比率の低下とともに、若い人の負担が増すばかりなので、もはや賦課方式の年金制度は持続不可能です。

個人的な意見としては、年金制度は完全に撤廃し、老後の面倒は国民の自助努力に任せていいと思っています。
(今現在、年金をもらっている人、途中まで払っている人は当初予定通りもらえるようにする。財源は国債発行。)

というのも、政府が手厚く守るから国民は、老後は国が面倒を見てくれると、思考停止になってしまうのです。

老後も各個人の自助努力に任せれば、国民は自らどうすべきかということを真剣に考えるでしょう。

自分の子供に仕送りをしてもらうという文化ができれば、みんな子供を産むようになるでしょう。

また、多くの人が労働せずに収入を得られる資本所得に注目し、真剣に資産運用を学ぶことでしょう。

そして、政府は義務教育の中で、もっと資産運用について、更には資本主義について、盛り込むべきだと思います。

今の義務教育では、資本主義に対する教育、資産運用に対する教育がとても不足しているように感じます。


但し、教育をしたからといって、国民全員が資産運用をできるわけではないということも正論だと思います。

そういう人は、民間保険会社による積立年金を活用すればいいのです。(公的年金制度がなくなれば、民間が提供する年金が充実することは火を見るより明らかです)

これは、賦課方式とは違い、自分の老後のために自分で資産を積み立てる方式です。

若いうちから、少しずつ資産を積立て、安全運用を行っていき、体力的に労働が困難になった段階で、資産収入に切り替えればいいわけです。

現在年収400万円の会社員は、毎月23,427.2円の厚生年金を払っています。会社も半分負担しているので合計では毎月46,854.4円積み立てていることになります。

厚生年金制度がなくなって、会社側の積み立て分も給料として支払われるようになり、各個人が毎月46,854.4円の積立、年間562,253円の積立てが可能になる場合、これを23歳~70歳まで続け、運用リターンを年率3%とすれば、70歳の時点で5870万円の資産がたまっていることになります。

5870万円の資産から毎年、3%のリターンとして176万円がえられますし、老後田舎で質素な暮らしで毎年200万円で暮らすとしても、十分100歳まで生きていけます。

このように、もっともっと資産運用の教育を充実させた上で、政府の手厚い補助は排除し、各個人の自助努力にまかせるようにすれば、実はもっと豊かな生活ができるようになるのではないかと考えます。

まとめ

・国の大きな目的は「全ての国民が豊かに暮らせる社会」を作り、持続すること

・人口減少・少子高齢化よって引き起こされる生産年齢人口比率の低下は、非生産年齢人口の豊かさを奪う可能性があり問題。

・現在の政策で最も力点が置かれているのは、生産年齢人口比率を増加させるためにもっと子供を増やすことであるが、女性の社会進出が一般化した中、かなり無理筋。

・よって、生産年齢人口比率は長期低迷するということを受け入れた上で、以下の対策にもっと力点を置くべき。

①生産年齢人口に占める労働力人口を増やす(女性の活躍促進、定年撤廃)
②生産性向上のために、日本型雇用システムを社会主義から資本主義に
③国民の自助努力を最大化するために、資産運用教育を充実させた上での公的年金制度撤廃(これにより高齢者が支えられる側でなくなる)

以上

りろんかぶお

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[ 2020/05/12 12:26 ] 14.投資の勉強部屋 | TB(-) | CM(0)

人口減少は本当にまずいことなのか?①

人口減少_20200511



日本では下図のように、人口減少、少子高齢化が問題視されていて、政府は何とか子供を増やそうと躍起になっています。

人口減少現状_20200511
出典:内閣府

そもそも、なぜ人口減少・少子高齢化はまずいのでしょうか?

それは、人口減少・少子高齢化の結果、全人口に占める生産年齢人口(今の定義では15歳~64歳)の比率が減少していくことがまずいのです。

上図を見ると、生産年齢人口比率は以下の通り減少し続けています。

1980年:67%
2017年:60%
2065年(予想):51%

なぜ生産年齢人口比率が減少することがまずいのでしょうか?

国・政府の大きな存在意義の一つとして、全国民が豊かに暮らしていくことがあります。

一方、国民の中にはまだ社会的な活動が難しい未熟な子供もいれば、体力的に生産活動を行うのが難しい高齢者もいます。

よって、子供や高齢者も含めた全国民が豊かに暮らしていくためには、いわゆる働き盛りの生産年齢の人達が、子供や高齢者も含めた全国民の衣食住を生産していく必要があるのです。
(ちなみに生産年齢層の人でも専業主婦やフリーター等、生産活動に従事していない人もいるので、実際に生産活動に従事している人口を労働力人口といいます。)

但し、生産年齢人口比率が減少すると、当然ですが生産年齢層の一人当たりが支えなければいけない非生産年齢の人が増えてしまいます。

生産性向上などで、非生産年齢の人達を支えられるうちはいいですが、生産年齢人口比率が減少し続けると、いつかは支えきれなくなる時が訪れるでしょう。

そうすると非生産年齢層の内、生活に必要な衣食住を満たせなくなってくる人が出てきてしまいます。
(現実的な制度でいうと、高齢者の場合十分な年金がもらえなくなる)

こういった理由から、生産年齢人口比率の継続的な減少というのは非常にまずい状況なのです。

ではなぜ、人口減少が生産年齢人口比率減少につながるのでしょうか?

仮に、寿命と出生率がずっと一定だとすると、長期的に見れば生産年齢人口比率はある水準に収束します。

しかし問題は、日本では長期にわたって出生率は下落傾向、寿命は長寿化傾向にあるため、いっきに生産年齢人口比率が減少してしまったのです。(下図)

出生率_20200511
寿命_20200511
出典:厚生労働省

出生率は底を打った感がありますが、今後も長寿化が進めば、生産年齢人口比率は下落していくことでしょう。

長寿化は医療が発達したからというシンプルな理由で納得できますが、なぜ出生率は下がったのでしょうか?

これはいろいろな理由が挙げられますが、やはり一番大きいのは「女性の社会進出」ではないでしょうか。

第二次世界大戦後、それまでの家父長制的な家族構造が変化し、欧米で既に普及しつつあった男女平等の概念が日本に持ち込まれました。

当然それまでの家父長制であったのが、突然主婦の人もバリバリ働きだすという風にはなりませんでしたが、時代を経て徐々に徐々にこの考え方が浸透していくのです。

更に、1972年に勤労婦人福祉法が制定・施行され、主に産休や育休など制度が整備され、それまで出産と同時に退職せざるを得なかった女性が、退職しなくてもよくなりました(当然これもそれまでの文化は急に変わらないので時間をかけて普及していくことになります)。

そして極めつけは1986年施行された男女雇用機会均等法で、 雇用に関する分野において、性別を理由にした差別を禁止することなどが定められました。

戦後のこのような男女平等の歴史を経て、文化的にも、女性が働くことが一般的となり、最近では子供を産んでも働く女性というのが一般的になってきました。

働く女性が増え、経済的に自立する女性が増えると、結婚をして子供を産むというのは、女性にとって一つの選択肢にすぎなくなります。

当然、仕事に生きがいを見つけて生涯独身を貫く人も出てきます。

また、結婚しても仕事との両立の兼ね合いで、子供を産まない女性、子供を産んだとしても一人までにしようと思う女性が増えるので出生率が下がります。

また、専業主婦志向の女性だとしても学校卒業後は、企業に就職し、数年は働くというのが一般化したため、晩婚化、晩産化が進んだことで、年齢的な問題で子供の人数が圧迫されます。

世界の先進国を見渡してみても、つい最近までは男性が働き、女性が家事育児を行うという社会構造だったので、人口は増える傾向にありましたが、男女平等というのがグローバルスタンダードになった現在において、人口減少というのは避けられないのです。

働きたい女性が増えた中、保育園の待機児童を減らしたり、保育料無償化をしたりして、どんなに子育て環境を整えたとしても、子育ての大変さというのはその程度のことで緩和されるものではないですし、そもそも結婚しない人が増えているので、出生率を劇的に上げることはできないでしょう。

今の政治では、子供を増やすことが目的化してしまっている気がします。

本来の目的は、国民が皆豊かに暮らしていく社会を作ることです。

子供を増やすというのは手段の一つでしかありません。

どのような理由であれ、子供を産みたくないのであれば産まなくていいではないか。

もし子供を産みたくても経済的に厳しい人がいたとして、国がやるべきは、子供を産んでもらうためにそのような人達を手厚く補助するのではなく、努力した人が経済的にも報われる社会の構築にもっと力を注ぐべきなのではないか。


そして、女性の社会進出が不可逆的な流れであることを考えれば、国民が皆豊かに暮らしていく社会を作る手段として、子供を増やすということは、非常にいい結果を望めない手段であるといえます。

よって、我々がもっと考えなければいけないのは、無理に子供を増やすように働きかけることではなく、人口減少・少子高齢化が進んでいくことを受け入れた上で、どのように持続的な社会を作り上げていくかということだと考えられます。

(続く)

以上

りろんかぶお

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[ 2020/05/11 14:28 ] 14.投資の勉強部屋 | TB(-) | CM(0)

世界恐慌(1929年~)で起こっていたこと

世界恐慌_20200508

出典:ウィキペディア

<世界恐慌で起こっていたことまとめ(超概略)>

NYダウチャート
ダウチャート_20200508

出典:https://tunenohikampo.com/2020/03/29/1929/

世界恐慌の背景・経緯

1. 1914年~1918年の第一次世界大戦で、主戦場とならなかった米国は戦争特需、戦後藤樹で経済が大きく活性化。


2. 米国では、企業業績好調⇒個人の所得向上⇒消費拡大⇒企業業績向上・・・の好スパイラルに突入。この時期に自動車、電気製品、マイホームなどが大量に売れ、消費者ローンも拡大。


3. 投資信託の普及で株式投資が大衆化し、信用取引や投機も流行し1920年代の株式市場は絶好調。


4. 企業は生産設備を増強させ続ける一方、1920年代半ば~後半には需要が飽和状態に達し、農業不況(供給過多による農産物下落で農家が打撃を受け購買力低下)も手伝って、供給と需要が急速に乖離を始める。(つまり実体経済は1929年の株価大暴落以前にすでに下降していた)


5. 一方、株式市場は投機熱が増し上昇を続け、1929年9月3日にNYダウは最高値381.17を付け、6年間で約5倍に。


6. 1929年9月3日以降、市場参加者は実態経済とかけ離れた株価にようやく気付き、徐々に売り圧力が増し株価は下落。売りが売りを呼ぶ展開となり、ついにパニック状態に陥ったのが1929年10月24日(木)のBlack Thursdayと同年10月29日(火)のTragedy Tuesday、(火))で、NYダウは230ドル迄大暴落。


7. この株価大暴落が世界大恐慌のきっかけといわれるが、具体的には以下の理由があったとされている。


① 当時は商業銀行でも、株式保有と自己勘定売買が認められていた為、株価暴落→銀行の損失→不安になった預金者から大量の預金取付騒ぎ→銀行倒産→他行への取付→銀行の連鎖倒産→実体経済への信用収縮→実体経済の倒産や失業→銀行の損失、という最悪の負のスパイラルに入ってしまったこと。

② 当時金本位制を採用していた英国では、世界恐慌による債務急増、国際収支悪化により金融不安が強まり、ポンドが売られ金が大量に流出(金本位制ゆえポンドは一定のレートで金と交換可能)。これが急速に進んだことで金本位制が立ち行かなくなり、英国は1931年9月に金本位制を離脱。米国もいずれ金本位制を離脱するのではないか,という推測が市場に流れ,欧州諸国はドルを金に交換し始め、米国でも大量に金が流出。金流出を防ぐために、連邦準備銀行は1931年10月、大恐慌の真っただ中で、経済を冷やす効果のある金利引上げをせざるを得ない状況に。これが大恐慌に追い打ちをかけた。

③ 恐慌の中、米国は自国経済を守るために、関税を高め保護貿易政策をとったことで世界経済を悪化させた。


8. 多くの指標がボトムを付けた1933年は、

NYダウは1929年高値:381.17ドル⇒1933年底値:41.22ドル
GDPは1929年:1,044億ドル⇒1933年:560億ドル
失業率は1929年:3.2%⇒1933年:24.9%、


9. GDPが1929年の水準を回復したのは1940年なので、11年も経済低迷が続いたことになります。


STOP



ここまで見ていったとき、現在のコロナショックで果たして世界恐慌のように、長期停滞が訪れるでしょうか?

世界恐慌の対比でいうと以下のように考えられると思います。

・現在、商業銀行による株式の自己勘定売買は大幅に規制されている為、銀行はコロナショックによる株価大暴落で直接的な影響は受けていない(景気後退による融資の貸し倒れリスクはあるものの)。

・1929年当時は、「最後の貸し手」の役割を果たすものがいなかったために大量の企業倒産を招いたが、昨今は政府やFRBがその役割を担うため、大量倒産という事態にはならない。(特にロックダウンという政府命令によって経済を人為的にストップしている状況なので、企業に痛みを強いる代わりに政府は企業を守るのが当然)

・金本位制ではない昨今では、不況時に金利を上げざるを得ない状況というのはあり得ない。

・但し、失業者の急増、自粛マインドの定着などによって、消費減少⇒企業業績悪化⇒個人所得減少⇒消費減少・・・という負のスパイラルに陥るリスクはある。

以上

りろんかぶお

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[ 2020/05/08 10:59 ] 14.投資の勉強部屋 | TB(-) | CM(0)

財政破綻はウソだった

財政破綻_20200430


<財政破綻論者の言い分>

日本の平成30年度末の国債残高は、以下財務省資料の通り874兆円となっており、これに地方債残高144兆円(総務省)を合わせると1018兆円となります。

国債残高推移
出典:財務省HP

平成30年の日本のGDPは547兆円(内閣府)ですので、借金はGDPのおよそ2倍になります。(GDP対比借金は世界で一番大きい)

更に悪いことに、以下の通り毎年の国の租税収入などで歳出をまかないきれず、毎年国債残高は増加傾向をたどっております。

歳入出
出典:財務省HP

リーマンショック以降、日本銀行は2%インフレを目標に大規模な金融緩和を続け、国債買い入れを続けてきて平成30年度末の保有国債残高は470兆円(日銀HP)となりました。

このような一見いびつな財政状況下、多くの経済学者や文化人などが、「そのうち日本は財政破破綻する」と叫んでおります。

財政破綻とは、資金繰りに行き詰まり、借入金の返済や資金調達が正常にできなくなる状態をいいます。

財政破綻論者の言い分としては、財政赤字を垂れ流し続ける現在の状況では、いつか「日本政府は国債を返済できないのでは?」と信用を失い、新規国債の買い手が見つからず、既存国債の元利金返済もできない状況(国債のデフォルト状態)に陥るというものです。

例えていえば、赤字を垂れ流し続けている企業には、いずれ誰もお金を貸してくれなくなり、そのうち倒産するだろう、というものです。

<財政破綻はウソだった>

但し、このような財政破綻論というのは全くのウソなのです。

事実、財政破綻論というプロパガンダを主導する財務省でさえ、国際格付企業が日本国債を格下げした時に以下のような意見書を出しています。

https://www.mof.go.jp/about_mof/other/other/rating/p140430.htm

ポイントは「日・米など先進国の自国通貨建て国債のデフォルトは考えられない」と財務省が明言していることです。

そうなのです、財務省も正式に認めていますが、円建て国債のデフォルトは現実的にはあり得ないのです。

ここで理由として、「日本政府は通貨発行権を持っているから」とよく言われますがこれは正しくありません。

日本では、日本銀行券(紙幣)は日銀に、貨幣(硬貨)は政府に発行権があります。

但し、貨幣は、額面価格の20倍迄が法貨として通用する、と法律で定められているので、例えば1万円の代金をもらうときに、相手が100円玉100枚で支払ってきたら、受け取りを拒否することができます。(100円玉で払えるのは20倍の2000円まで)

つまり、政府が発行できる貨幣では、1000兆円をこえる国債の返済は不可能です。

とは言っても、紙幣の発行ができる日銀は政府の子会社(55%保有)なのだから、日銀から資金調達できるのでは?という声が聞こえてきそうですがこれもできません。

財政法第5条で、日本政府は日本銀行から直接資金調達することは原則禁じられているからです。

(引用)
財政法
第五条 すべて、公債の発行については、日本銀行にこれを引き受けさせ、又、借入金の借入については、日本銀行からこれを借り入れてはならない。但し、特別の事由がある場合において、国会の議決を経た金額の範囲内では、この限りでない。

(終わり)

このような法律があるのは、政府が実質的な通貨発行権を有し、予算に応じて自由に通貨を発行できてしまうと、市場での適切な通貨量の管理が難しくなりインフレをコントロールできなくなってしまうから、というのが建前です。

よって、政府は現在のように財政赤字の中、自身の国債を返済するときには、日銀以外の外部から資金調達をする必要があります。

<なぜ円建て国債のデフォルトがありえないのか?>

そのような中、国債のデフォルトがありえないというのはなぜなのでしょうか?

理由は以下二つです。

理由①

新規国債の買い手がいなくなるということは現実的にはあり得ないといえます。

政府が発行する国債の直接の買い手は、一義的には財務省に登録された金融機関で、その金融機関を通じて個人なども国債を買うことが可能になります。

そして国債には流通市場があるため、これらの銀行は保有している国債をこの流通市場で売却可能です。

つまり、銀行が国債を買いたくないと思うケースというのは、この流通市場において適正な価格での買い手が見つからない状態(国債の市場価格が暴落している状態)です。

但し、日銀は国債を直接買うことはできませんが、流通市場において買うことは認められています。

(引用)
日銀法
第三十三条 日本銀行は、第一条の目的を達成するため、次に掲げる業務を行うことができる。
三 商業手形その他の手形(日本銀行の振出しに係るものを含む。)、国債その他の債券又は電子記録債権の売買

(引用終わり)

つまり国債の流通市場では、通貨発行権のある日銀がいわば無制限に国債を買い支えることができるので、日銀が日本をつぶそうと思わない限り国債の流通市場で買い手がいなくなるというのは現実的にはあり得ないわけです。

更に、民間銀行が国債を抱えすぎても、流通市場を通じて日銀が吸収してくれるので、新たに国債を買う余地が生まれてくるのです。

まとめると、国債市場価格が暴落するということはありえず、このような流通市場が存在する限り銀行は安心して国債を購入できますから(基本的には銀行は安全資産である国債を買いたい)、政府が発行する国債の買い手がいなくなるということは、現実的にはあり得ないといえるでしょう。

理由②

上述の取り組みにもかかわらず、万万が一、政府に誰も貸してくれなくなったという特殊なケースが生じた場合でも、政府が破綻することになるとは考えがたいです。

なぜなら、政府が日銀から直接資金調達することは上で見た財政法で「原則」禁じられているものの、国会の議決を経た範囲内で政府が日銀から直接資金調達することは可能なのです。

(引用)
財政法
第五条 すべて、公債の発行については、日本銀行にこれを引き受けさせ、又、借入金の借入については、日本銀行からこれを借り入れてはならない。但し、特別の事由がある場合において、国会の議決を経た金額の範囲内では、この限りでない。

(引用終わり)

これは日銀法にも書かれています。

(引用)
第三十四条 日本銀行は、我が国の中央銀行として、前条第一項に規定する業務のほか、国との間で次に掲げる業務を行うことができる。
一 財政法(昭和二十二年法律第三十四号)第五条ただし書の規定による国会の議決を経た金額の範囲内において担保を徴求することなく行う貸付け
二 財政法その他の国の会計に関する法律の規定により国がすることが認められる一時借入金について担保を徴求することなく行う貸付け
三 財政法第五条ただし書の規定による国会の議決を経た金額の範囲内において行う国債の応募又は引受け
四 財務省証券その他の融通証券の応募又は引受け

(引用終わり)

更に、日銀法では、信用秩序の維持に重大な支障が生じるおそれがあると認めるとき、政府の要請に応じて、日銀は、信用秩序維持に必要な業務を行うことが認められています。

(引用)
第三十八条 
2 日本銀行は、前項の規定による内閣総理大臣及び財務大臣の要請があったときは、第三十三条第一項に規定する業務のほか、当該要請に応じて特別の条件による資金の貸付けその他の信用秩序の維持のために必要と認められる業務を行うことができる。

(引用終わり)

つまり、政府に対しても、日銀が最後の貸し手になることはできるのです。

以上のようなことからも、日本政府が資金繰りに行き詰まり、借入金の返済や資金調達が正常にできなくなる財政破綻というのは、現実的にはあり得ないといえるでしょう。

<国債発行の制約は?>

では財政破たんがありえないのであれば、政府が無制限に国債発行できるのか?いずれにしても国債とは政府の借金なのだからいつかは誰かが返済しなければいけないんじゃないか?という疑問が出てきそうです。

無制限に国債発行ができるかという点については、理論的には可能ですが、国債を発行して政府がお金を使いまくり、政府が作り出したこの需要が供給をはるかに上回ってしまうと当然需給の関係でインフレが起こります。

当然ですが、ハイパーインフレのようなことが起こってしまうと経済というのは正常な状態を保てなくなりますので、国債発行に際しては適正なインフレ率を保たなければいけないという制約は生じてきます。

また、国債は誰かが返済しなければいけないんじゃないか?という疑問ですが、これはそんなことありません。

政府が国債を発行して予算執行を通じて、民間経済にお金を支払うという行為は、要はお金を発行しているということです。

逆に国債を返済するということは、お金の量を減らすということになります。仮に、政府が1000兆円の国債を全額返済できたとしたら、民間経済から1000兆円のお金が消失するということなので大変なことになります。

つまり、世の中に適切な通貨量が存在しており、適切な需給環境が存在していれば、政府は無理に国債残高を減らす努力をする必要はなく、世界破滅の日まで、政府のバランスシートに負債として乗っけておけばいいだけの話なのです。

このような話は以下の動画がとても分かりやすいです。

https://www.youtube.com/watch?v=CMLYpWlQp1E

STOP

日本では、2019年に消費増税を国民に問うというお題目の下、参議院選挙がなされ、見事に消費増税を謡う自民党が勝利しました。

つまり、国民も現在の日本の財政状態を考えれば消費増税はやむなしと考えているのです。
経済学的にはこれは全くの間違いだったのです。

日本国民の過半数をこう思いこませた財務省のプロパガンダとメディアの力は本当に恐ろしいなと思いました。

財政破たんというはあり得ません。

これは財務省も認めることです。

国債残高の大小も関係ありません。

財政赤字が行き過ぎて困るのは、極度のインフレだけなので、インフレ率を指標に財政計画を立てていけばよいのです。

よって、「財源がないから○○できない」というのは、単なる嘘です。

コロナウイルスによる自粛で、日本経済がストップしてしまい、多くの中小企業や個人事業主が収入の減少に陥っています。

国の要請に基づいて経済がストップしてしまってるので、それによって経済的に困っている人に国が補助するのは当然です。

財源の問題など鼻からないのですから、政府からしっかり補助をもらえるよう我々個人個人が声を上げていくのが、民主主義の本来の姿だと思います。

以上

りろんかぶお

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※当ブログで紹介する理論株価は、いくつかの前提条件をりろんかぶおが独自に設定している為、その前提条件次第では計算結果が異なってきます。また当ブログは、投資に関する情報を掲載していますが、特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。また、読者が当ブログの情報を用いて行う投資判断の一切について責任を負うものではありません。

[ 2020/04/30 16:11 ] 14.投資の勉強部屋 | TB(-) | CM(0)

二番底形成の裏の投資家心理

二番底_20200409


1. 二番底形成の裏の投資家心理

景気や相場が悪化している時に、一度底を打って好転した後に、再度下落して底を打つことを二番底といいます。



平常時であれば、株価は企業のファンダメンタルズを反映して形成されます。

一方、暴落時は市場参加者が理性を失っており、ファンダメンタルズに関係なく、株に対する需給(買いたい人と売りたい人のバランス)によって株価が決定されます。

ここでは、①一番底、②底値間高値、③二番底、の順で、投資家心理を追ってみます。

① 一番底

市場心理を一気に冷やすようなイベントが発生すると、株価が一気に下落し、以下のようなことを連鎖的に誘発し大暴落を起こします。

・短期筋の損切ラインのヒット連鎖により売りが売りを呼ぶ
・信用買いしていた投資家に追加証拠金が求められ、信用買い勢のポジションクローズによる売りが重なる
・投資信託やETFを購入していた一般投資家が暴落の恐怖に耐えられず撤退

これらの売りが連鎖すると、ファンダメンタルズを無視して、思いがけない安値水準まで売り込まれます。

そして、これらの売りがある程度出尽くし、さすがに安すぎると思って買いを入れる人が増えてくると株価は上昇に転じ、一番底を付けるのです。

② 底値間高値

一方、株価が上昇に転じてくると、今度は以下のような投資家心理が働きます。

・一番底を付けるまで結局最後まで損切りできなかった投資家が、ちょっと上がったところで今のうちにポジションをクローズしようとして保有株を売却。
・一番底を付けるまでの過程で買い向かっていた投資家が、含み損の恐怖を一通り味わった後、含み損から解放される段階(買値まで戻った段階)で売却。

このような売り圧力がある中、相場環境が好転しているわけではないので買いの力も弱く、徐々に下落に転じ、底値間高値を形成します。

③ 二番底

その後はだらだらと下落をはじめ、一番底と同水準くらいまで下がってくると、そろそろ冷静さを取り戻した本物の長期投資家が再度来たチャンスで買い仕込みをはじめ、本格的な上昇に転じていき、二番底を形成します。

STOP

このように、二番底形成の過程では、短期トレーダーの思惑がもろに反映され、短期筋の激しい戦いが繰り広げられてい過程とも言えます。

これは市場参加者が冷静さを失い、ファンダメンタルズに基づかない売買の結果形成されるものなので、二番底というのは投資家が冷静さを取り戻すまでの、せいぜい1~3か月の間に起こる出来事だと考えられます。

2. 二番底の過去の例

次に具体的に、ブラックマンデー(1987年10月19日)とリーマンショック(2008年9月15日)の時、NYダウの危機直後3か月のチャートを見ていきましょう。

ブラックマンデー(1987年)
ブラックマンデー時の二番底

直近高値:10月5日 2640ドル
ブラックマンデーかつ一番底:10月19日 1739ドル(直近高値から34%下落)
底値間高値:10月21日 2028ドル(一番底から17%上昇)
二番底:12月4日 1766ドル

一番底から二番底までの期間:46日間

リーマンショック(2008年)
リーマンショック時の二番底

直近高値:8月28日 11715ドル
リーマンブラザーズ破綻:9月15日
一番底:10月10日 8451ドル(直近高値から28%下落)
底値間高値:11月14日 9625ドル(一番底から14%上昇)
二番底:11月20日 7552ドル(※)

一番底から二番底までの期間:41日間

(※)但し、リーマンショック時の大底は2009年3月9日の6547ドルです。二番底は市場参加者が冷静さを失っている1~3か月に形成されるものとの前提で、上記計測期間は危機イベント後3か月間で見ている。

これらの例を見ると、一番底から二番底の期間は1か月半程度ということがわかります。

では今回のコロナショックではどうでしょうか?

コロナショック(2020年)
コロナショック時の二番底

直近高値:2月12日 29551ドル
暴落開始:2月24日
一番底(おそらく):3月23日 18592ドル(直近高値から37%下落)

ブラックマンデーとリーマンショックの統計から言うと、二番底は5月頭あたりが怪しいのかもしれません。

3. 二番底に関するりろんかぶおの考え方

りろんかぶおとしては、こういった過去の経験則というのは全く信じていません。

例えば、現在多くの方が次の二番底で仕込もうと鼻息を荒くしていますが、多くの人が二番底が来ると思っていると二番底は永遠に来ません。

なぜなら買い圧力が下にたまっているので、株価は下げづらくなっているからです。

但し、このままするすると上がっていくのに耐えられず、もう「二番底なんか来ない、今買わなきゃこの歴史的な買い場を逃す」といって飛びつく人が多く出てきたとしたら、過去の経験則通り、二番底が形成される可能性が高まります。

なぜなら、そのように飛びついた人たちの多くは自分の投資に信念があるわけではないので、ちょっと含み損が生じただけですぐ怖くなって売却してしまい、その売りが結果的に二番底を形成するための一手になってしまうからです。

このような暴落時は、みんなが短期で儲けてやろうと思っているゼロサムゲームとなっており、「過去のチャートがこう動いたから、今回もこう動く」といっている時点でゲームに勝つことはできません。過去のチャートがどう動いたかはライバルたちも知っているからです。

よってこのような時は粛々と、自分が信じる企業を、適正株価と思う水準よりも安ければ買い、長期で応援していく、という長期投資の基本精神が大事になってくるのです。

以上

りろんかぶお

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[ 2020/04/09 16:11 ] 14.投資の勉強部屋 | TB(-) | CM(0)

コロナショックの状況下、自分はどのような投資をしたいか?

投資方針

出典:幻冬舎

1. 投資方針

自分が投資をやる目的は、「資本市場を通じて世の中に貢献できるようなことがしたい」というのものです。

自分が応援したい企業に資本を提供し(流通市場で株式を購入することは直接的な資本提供にはなりませんが、資本を提供した証を手に入れることであり間接的な資本提供だと考えています)、その資本を元手に企業がビジネスを展開し世の中に貢献していくことを自分も一緒に体感したいというもの。

という意味では、現在のように、企業のファンダメンタルズに基づかず、パニック的に株価が大暴落している時こそ、自分が消費者としても大好きで、現時点で確信をもって一生応援したいと思える企業に応援投資をするべきと考えています。

一方、このような暴落相場で改めて学んだことは配当の重要性です。

本来投資のリターンは、「株価の値上がり+配当」なので、配当だけを重視しすぎるのはナンセンスです。

但し、このような暴落時に自分がある程度平静を保てているのは、自分の投資先はそのほとんどが連続増配企業であり、株価が下がっても、しっかり配当を出してくれるだろうという信頼があるからです。

仮に、株価が元の水準に戻るまでに5年かかるとしても、その間に配当がもらえるので株価の回復をゆっくり待っていられます。

現在の暴落相場における人間の心理として、「もし今日が底値で明日から爆上げしてしまったらどうしよう、今買っておかなくていいのか?」ということを思うのが普通だと思います(自分自身もそうです)。

但し、こう思ってしまうのはやはり株価の変動で利益を狙おうという魂胆があるからで、仮にうまくいったとしても、将来再び来るであろう暴落相場で「今売っておかなくていいか?」という風に思ってしまうのは目に見えており、本来自分がやりたい投資(資本市場を通じて世の中に貢献する)からはかけ離れてしまいます。

このように考えると、自分がしっかりと自身の投資理念に基づいて投資を行っていくには、どのようなことが起こっても一生安心して持っていられる企業というのが重要で、特に以下の2点がキーワードであり、できれば両方を満たしているのが好ましいと考えています。

・自分が消費者としても大好きな企業(マイクロソフト、グーグル、ナイキ、VISA)

・安定したビジネスモデルを持ち、安定して配当を出す企業(J&J、3M、ディズニー等。ボーイングは少し調べてみようと思います)

2. 投資余力の問題

現在、自分の保有銘柄のうちで最も大好きな企業であるP&Gは、NYダウやS&P500等の指数と比較して下げ幅がかなり小さいです。

本来であればこのような下げ相場の時に、P&Gのような一生安心して持っていられる企業に投資をしていきたいと思います。

但し、この暴落相場始まる時点において幸いにも割と多くの現金を持っていましたが、2月後半から現在までの下げ相場で積極的に買い向かっていったため、生活費数年分のためにとっておいている現金を除くと投資余力がなくなりつつあります。(振り返ってみれば投資理念から踏み外した投資もしてしまっておりそこは反省)

その過程で、投資余力を増やす為にあまり下げていないP&Gを少し売って現金化しました。

というのも、自分のポートフォリオの中のあまり気に入っていない銘柄は、指数と同程度下げている為、これを売って現金化して自分の好きな銘柄に入れ換えることは、結局は安値で買えていることにはならないからです。(30%下落したA株を売って、同じように30%下落したB株を買っても、どちらの株も全く下落していない状況下で買い替えるのと変わらない)

つまり、相場全体と比較してほとんど下げていないP&Gを現金化して、相場と同程度下げている企業に投資することで、初めて本当の意味で安値で買えたことになるのです。

問題は、今後さらに投資していくために、この大好きな銘柄をもう少し売ることは、本来自分のやりたいことなのか?

確かにP&Gの現在の株価水準は正直少し割高だとは思っています(実際に半年以上ほとんど株価は頭打ちの状況)。

応援投資という意味では、応援の必要のないP&Gを一部手放し、応援の必要な企業に回していくというのは、ある程度の筋が通るのではないかと思っています。

但し、P&Gは一生手放さないと決めていた企業でもあるので葛藤はありますが、必要な時には少しずつ投資余力の補充をしていこうと思います。(今のところまだ大丈夫ですが)

3. どの水準で投資を行うか?

毎日、乱高下を繰り返しながらも、急速に下げてきている状況下、どのような水準で投資していくべきか?

一つは、本サイトのTOPページに掲載している、自身で計算した理論株価を一つの指標としています。

一方、この理論株価はDiscounted Cash Flow (DCF)法で計算したもので、マイクロソフト、グーグル、ナイキ、VISAのようなまだまだ成長が見込めるような企業のバリュエーション方法としては適していないというのも事実です。(適切な成長率を設定することが困難な為)

ではこのような企業群は何を指標とするべきか?

これは、意見が分かれるところですが、自分としては予想EPSに対するPERを見ていこうと思っています。

実は、マイクロソフト、グーグル、ナイキ、VISAは、高値から30%前後下落しているものの、未だに予想PERは20倍をこえている状況です。

自分の心理としては、昔から「大暴落相場で絶対に投資したい企業」として、リストアップしていた企業群なので、毎日のように「今投資しないと一生買うチャンスを逃すのではないか?」という不安との葛藤があります。

しかしここでもやはり自分の投資理念に立ち返ってみたいと思います。

自分のやりたいことは、資本市場を通じて世の中に貢献したい、ということなので、このようなパニック相場においては、不当に過小評価された企業に応援の投資をしたいというもののはず。

更に、一生安心して持っていられるという観点でいっても、やはり適正な価格で買うべきと思っています。

実際のところ、このような成長企業に関して言うと、適正なPER水準というのは誰にも分らないことですが、自分の中ではこのような成長株でもPER20倍を目途にしたい(例えばナイキなどは、消費者マインドの冷え込みで業績が思うように回復しない可能性はある)という思いがあるので、やはりそこを目途にすべきではないかと考えました。

自分の思っている水準まで下がらないのであれば、そもそも応援の買いを入れる必要がないということでもあり、今回は縁がなかったと割り切るしかないと思うようにします。(本当は買いたいけど。。)

4. まとめ

現在のようなパニック相場では、自分の中でいろんな思いが錯綜したりしますが(自分の場合は「今買っておかなくて大丈夫か?」というもの)、こういう時こそ、「自分はなんで投資をしているのか」という自身の投資理念に立ち返ることが重要だなと感じました。

自分の場合は、あまり「稼ぎたい」と思わずに、「投資家として世の中に貢献したい」という思いを忘れずに投資していきたいと思います。

以上

りろんかぶお

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[ 2020/03/19 11:30 ] 14.投資の勉強部屋 | TB(-) | CM(0)

石油会社の未来

石油会社


現在、地球温暖化の解決に向け世界は躍起になっています。

地球温暖化は本当に人為起源?①

2016年、気候変動枠組条約に加盟する国々によってパリ協定が発効し、産業革命前からの世界の平均気温上昇を「2度未満」に抑えること、「1.5度未満」を目指すこと、をその目的としました。

気候変動に対する国際的な取組~京都議定書からパリ協定まで~

また、2015年、国連サミットにおいては「Sustainable Development Goals(SDGs、持続可能な開発目標)」が採択されました。

これは、持続可能な世界にするための17の大きな目標と、それらを達成するための具体的な169のターゲットで構成されて、国連加盟193か国が2016年から2030年の15年間で達成するために掲げた目標です。

このように、工業化によって大量の地球資源を費消し、大量の化石燃料を燃焼することで大気中のCO2濃度を激増させ、ようやく我々は地球が悲鳴を上げていることに気づきました。

そしてそのつけは、何百年も先ではなく、我々の子供・孫世代、或いは我々が生きているうち払わなければいけない程、差し迫った状況にあります。

こうした中、化石燃料が国際的な悪者にされ、再生可能エネルギーや電気自動車がその救世主として見られています。

このような国際的な取り組みの中、悪者の代表格である石油会社は今後どうなってしまうのでしょうか?

石油の世紀とも言われた20世紀。その次の21世紀に、そんなに簡単に我々は石油から脱却できるのか?

今回は、国際エネルギー機関(IEA)がシナリオ別に予測する今後のエネルギー需要を以下で見ていきたいと思います。

Stated Policies Senario:今後気候変動に対する新たな政策や規制が施行されず、既存の枠組みのままで経済活動が行われると仮定したシナリオ

Sustainable Development Scenario:SDGsで設定されたエネルギー関連目標やパリ協定の目標を達成するために新たな政策や規制が施行され、温室効果ガス排出量を2070年までにNet ゼロにするための適切な行動がとられると仮定したシナリオ

<石油需要>

石油需要予測

Stated Policies Senarioでは、石油需要は2025年までは堅調なるも、その後ゆるやかになり、2040年には2018年対比で8%増加していることになります。

このシナリオでは、石油の主要用途である自動車ガソリン需要は2020年後半にピークアウトするものの、石油化学品、船舶、航空用の需要が増加し続けていくために、結果的に微増を続けるという結果となっております。

一方、Sustainable Development Scenarioでは、石油需要のピークは今後数年間で到来し、2040年には2018年対比で32%減少していることになります。

このシナリオでは、自動車、船舶、航空用など輸送用途向け需要の顕著な減少を想定しており、自動車に至ってはEVの普及率が2040年に50%に達していることを前提としている。一方、リサイクルの取り組みが加速する中でも石油化学品需要は増加せざるを得ない想定となっている。

以下は、Stated Policies Senarioにおける年間新車販売対数の予測です。

自動車需要予測

現在、世界の新車販売台数は年間8700万台(EVの割合は1%台)ですが、Stated Policies Senarioでは、2040年には年間3300万台のEVが販売されている見通しで、道路を走っているEVは全世界で3億3000万台にのぼると予測されています。


個人的には、Sustainable Development Scenarioはかなりアグレッシブなケースだと思うので、実際には同シナリオ程、極端に石油需要は落ちないのではないかと思っております。

石油の用途の大半はやはり自動車なので、今後EVがどこまでシェアを拡大できるかがポイントとなりそうです。

<ガス需要>

ガス需要予測

天然ガスは、同じ化石燃料である石油や石炭と比較して、温室効果ガス排出量が少ないため、近年相対的にクリーンなエネルギー源とされ、需要が急増しており一時期、時代は“ガスの黄金時代”に突入したとまで言われました。

Stated Policies Senarioでは、ガス需要は2040年まで一貫して増加し続け、2040年には2018年対比で35%増加していることになります。

一方、Sustainable Development Scenarioでは、ガス需要は2020年代は年率平均0.9%で増加していき、2020年代末にはピークに達するとの見通し。その後は、再生可能エネルギーやエネルギー効率の改善なども相まって、消費量の減少が始まり、2040年のガス需要は2018年対比で微減となりそうです。

ちなみに、以下はシナリオ別に2040年の発電方法の割合を示したものです。

電源予測

Sustainable Development Scenarioはかなりアグレッシブなケースだと考えれば、ガスの需要は今後も堅調に推移していくことが予想されますね。

<まとめ>

石油需要は今後20年間でやはり減少しそうですね。

EVは今後普及を加速させそうだが、発展途上国などでの新たな自動車需要が出てくることもあって、ガソリン車の需要は今よりかは増えそうであることが確認できました。(但し、2020年代末にはピークアウト)

これらも考えれば、やはり石油の需要というのは、急に大崩れするものではなく、今後も底堅いものがありそうだなと思いました。

ガスに限っては、相対的にクリーンなエネルギーと認識されていることもあって、再生可能エネルギー供給が確立するまでのつなぎ期間の主役として、今後20年は需要が増加しそう。

これらを踏まえると、石油会社は今後100年間必要とされるかといわれればそうではなさそうだが、今後30年間は底堅い需要があり、それに見合ったそこそこの業績を上げていくのではないかと考えられます。


以上

りろんかぶお

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[ 2020/02/25 12:00 ] 14.投資の勉強部屋 | TB(-) | CM(0)

気候変動に対する国際的な取組~京都議定書からパリ協定まで~

COP.png


現在、国際的な重要課題の一つとして気候変動に対する危機感がますます増大してきております。

今回は、この気候変動に対して国際的にどのような取り組みが行われていて、我々でも一度は耳にしたことのある京都議定書とは何だったのか、パリ協定とは何なのか、ということを詳しく見ていきたいと思います。

1. 気候変動に対する国際的な取り組み

1972年6月、ストックホルムで国際連合人間環境会議開催。環境問題に関する会合で、国連環境計画(UNEP)設立を決定

1979年2月、ジュネーヴにて世界気象機関(WMO)主導の世界気候会議を開催。気候変動全般について学術的な話し合いが行われるとともに、気候変動研究をさらに推進する「世界気候計画」を採択

1984年、国連の「環境と開発に関する世界委員会」(WCED)が発足

1988年8月、国連環境計画(UNEP)と世界気象機関(WMO)により、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が設立。人為起源による気候変化、影響、適応及び緩和方策に関し、科学的、技術的、社会経済学的な見地から包括的な評価を行うことが目的。

1988年10月、トロント会議において「先進国が2005年の二酸化炭素排出量を1988年より20%減らす」という数値目標(トロント目標)を提示。行政レベルでの活動のきっかけに。

1992年6月、リオ・デ・ジャネイロで環境と開発に関する国際連合会議(地球サミット)が開催され、気候変動枠組条約(UNFCCC)を採択。UNFCCCでは定期的な会合(気候変動枠組条約締約国会議、COP)の開催を規定

1995年にCOP1、1996年にCOP2を開催。地球温暖化対策の必要性が合意されるとともに、温室効果ガスの削減目標や削減手法について協議。

1997年、COP3において、初めて具体的に排出量の削減を義務づける内容を盛り込んだ京都議定書が議決。

2005年、京都議定書が発効条件を満たし発効、法的にも削減義務が発生。

2007年、ハイリゲンダムサミットにおいて、「温室効果ガスを2050年までに半減する」との合意が為されたが、どの温室効果ガスをいつを基準に半減させるのかなど、詳細規定なし。

2009年、COP15においてコペンハーゲン合意がなされ、先進国・途上国の2020年までの削減目標・行動をリスト化し条約事務局へ提出することを合意。

2010年、COP16においてカンクン合意がなされ、コペンハーゲン合意に基づいて提出された先進国の削減目標と途上国の緩和行動をCOPの公式文書化し留意することで合意。

2015年、COP21において、パリ協定を採択。2020年以降の気候変動対策の枠組みとして,史上初めて全ての国が参加する制度の構築に合意。同協定では、「世界の平均気温上昇を工業化以前から2度以内に抑える」という長期的な目標を規定。

2016年以降、COP22以降で、2020年以降のパリ協定の本格運用に向けて、詳細議論を行い、パリ協定の実施指針を採択。

2. 京都議定書

対象国:先進国
対象期間:2008年~2012年
法的拘束力:あり
概要:各国別に、1990年を基準とした温室効果ガス削減目標を定め、対象期間内に先進国全体で5.2%削減することを約束。
各国削減目標:EU -8%、米国(離脱) -7%、日本 -6%、等

京都メカニズム:他国と協力しコストを低く抑える3つのしくみを導入

① 共同実施:先進国が共同で温暖化対策事業を行い、それによって生まれた排出削減量をの削減目標の達成に算入できる制度。

② クリーン開発メカニズム:先進国が技術や資金を提供し、開発途上国でその国の持続可能な発展を助ける温暖化対策事業を行い、それによって生まれた排出削減量を削減目標の達成に算入できる制度。

③ 排出量取引:先進国間で、排出割当量の一部を取引することができる制度

3. コペンハーゲン合意・カンクン合意

対象国:先進国、発展途上国
対象期間:~2020年
法的拘束力:なし
概要:コペンハーゲン合意によって、先進国・途上国の2020年までの削減目標・行動を条約事務局へ提出することを合意し、カンクン合意によって、提出された文書を公式文書として留意することを合意したもの。
各国目標:
コペンハーゲン合意先進国
コペンハーゲン合意途上国

4. パリ協定

対象国:気候変動枠組条約に加盟する全196カ国
対象期間: 2020年~
法的拘束力:あり
概要:世界の平均気温上昇を工業化以前から2度以内に抑えることを目的とする。各国が、削減目標を作成・提出・維持する義務と、当該削減目標の目的を達成するための国内対策をとる義務を負う。(但し、目標の達成自体は義務とされていない)
各国目標:
※米国はその後協定離脱
パリ協定

出典:全国地球温暖化防止活動推進センター
https://www.jccca.org/trend_world/conference_report/cop21/2-1204.html

STOP

以上

りろんかぶお

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※当ブログで紹介する理論株価は、いくつかの前提条件をりろんかぶおが独自に設定している為、その前提条件次第では計算結果が異なってきます。また当ブログは、投資に関する情報を掲載していますが、特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。また、読者が当ブログの情報を用いて行う投資判断の一切について責任を負うものではありません。


[ 2020/02/21 11:57 ] 14.投資の勉強部屋 | TB(-) | CM(0)

地球温暖化は本当に人為起源?③

地球温暖化20200217


前回のページで、IPCCの最新の評価報告書を基に、地球温暖化が人為起源であると判断する科学的見解を示しました。

世の中の多くの国際機関や政府はこの報告書を正として今後の政策などを作成しております。

一方で、現在の温暖化は人為起源ではないと主張する温暖化懐疑論も存在します。

温暖化懐疑論は様々ですが、今回はその主要な主張3つを紹介したいと思います。

1. 温室効果ガス原因説への批判

・以下のような事実より、温室効果ガスと温暖化の因果関係を断定することはできない。

① 21世紀に入ってからも温室効果ガスは急増し続けているのに、21世紀以降気温は停滞している

② 温室効果ガスは1800年頃から上昇しているにも関わらず、気温上昇は1900年頃から上昇しており、100年のタイムラグが生じている

地球気温上昇20200217
温室効果ガス20200217
出典:IPCC 5次報告書

・温室効果としては,大気中の二酸化炭素よりも水蒸気や雲の影響の方がはるかに大きく、IPCCの報告書ではそれらの影響を過小評価したモデルでシミュレーションしている。

・温室効果ガス濃度の上昇が気温を上昇させたのではなく,気温(海水温)が上昇したから海洋がガスを放出して大気中の温室効果ガス濃度が上昇した。

2. 気候変動サイクル説

・現在の温暖化は、過去にもあった自然の気候変動の繰り返しの一部である。地球の気温変化は、宇宙を含む自然現象により、1億年、10万年、数千年、数百年の単位周期で大きく変動する。

過去の気温変化
出典:ウィキペディア

・産業革命前から昇温は起きていて、小氷期からの回復過程(自然由来の因子)が続いている

3. 太陽活動原因説

・スペンスマルク効果(まだ正しいとは断定できない説)
 
①太陽風は強い磁場を持ち,地球にやってくる銀河宇宙線の侵入を妨げる働きがある。
②太陽活動が盛んになると、太陽風が強くなり、それによって地球に来る宇宙線も減少。逆に、太陽活動が弱まると、地球に届く宇宙線も増大。
③宇宙線は冷却効果の大きい低層雲を作るので,太陽活動が弱まると宇宙線が増え,低層雲が増え,地球の気温が低下。太陽活動が強まると宇宙線が減り,低層雲が減り,地球の気温が上昇。

・太陽活動状況を表す太陽の黒点数増減データ(太陽活動が活発化すると黒点が増える)を長期的に見ると,黒点数の変化が気温変化に影響を与えている可能性が高い。

・11年周期の太陽活動は2000年頃にピークを迎え,80〜90年周期の活動もピークをすぎて不活発になりつつあり、それと歩調を合わせるように2000年頃から地球の気温は上昇していないことを鑑みると、近年の気候変動は太陽活動によって説明できる。

・最近の温暖化傾向は、地球だけでなく、火星、木星、海王星、トリトン(海王星の衛星)、冥王星等で観測されている。これは太陽活動説を支持する。

STOP

このように、地球温暖化の人為起源説を否定するもっともらしい主張もあります。
この主張のそれぞれに対して、人為起源説派も反論をしています。

一方、地球温暖化に関しては、人為起源説派に説明責任が生じている構図ですので、人為起源説派が苦しく見えるのはしょうがない部分もあります。

IPCCの論理は、

① 現在地球の気温は上昇している
② 二酸化炭素などは温室効果がある
③ 温室効果ガスの大気中濃度は工業化以降急上昇している
④ 温室効果ガス濃度上昇による理論的な気温上昇と、現在の気温上昇はほぼ同程度
⑤ つまり現在の気温上昇は、温室効果ガス濃度の上昇が原因だ

といったものです。

4の根拠がこの論理をかなりもっともらしいものとしていますし、だからこそ世界的に多くの人が支持する見解となっているのだと思います。

一方、IPCCのレポートでは最初から温室効果ガスに当たりをつけ、それを正当化するような分析になっているようにも見え、それ以外の要素の検証が不十分なように思えます。

こういったことも踏まえると、温暖化人為起源説をまるまる鵜呑みにするのではなく、科学的根拠は未だ不十分な点もあることはしっかり認識し、今後そのような点がどのように解明されていくかを冷静に見ていく必要があるのではと思いました。

以上

りろんかぶお

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[ 2020/02/19 11:50 ] 14.投資の勉強部屋 | TB(-) | CM(0)

地球温暖化は本当に人為起源?②

地球温暖化20200217


前回のページで、地球温暖化は今や世界的課題として資産運用の分野にも大きく影響を与えている中、地球温暖化懐疑論を主張する人もいることを説明しました。

そんな中、①地球温暖化は本当に人間活動に起因するものなのか?②地球温暖化懐疑論はどれだけ信憑性があるのか?といった疑問が浮かび上がってきましたので、今回はまず①について詳しく見ていきたいと思います。

現在、地球温暖化に対して、最も科学的な評価を行っているとされているのがIPCCの評価報告書です。

IPCCは、国際的な専門家でつくる、地球温暖化についての科学的な研究の収集、整理のための国際的な政府間機構を指します。

このIPCCが、1990年に公表した第1次評価報告書から、数年おきに報告書を公表し、2014年の第5次評価報告書が最新のものとなります。

IPCC第5次評価報告書で、「地球温暖化は本当に人間活動に起因するものなのか?」という問いに対して、どのような説明がなされているのか以下で見ていきます。

<IPCC第5次評価報告書>
※グラフの出典は全てIPCC第5次評価報告書

1. 気候システムの観測された変化

まずは客観的事実として、地球の平均気温は過去どのように推移していきたのかを確かめたものが以下のグラフです。

地球気温上昇20200217

これを見ると、地球表面では、最近30年の各10年間はいずれも、1850年以降の各々に先立つどの10年間よりも高温であり続け、長期にわたる評価が可能な北半球では、最近30年は過去1400年において最も高温の30年間であった可能性が高い (確信度が中程度)とされております。

陸域と海上を合わせた世界平均地上気温は、1880~2012年の期間に0.85度上昇していることが見て取れます。

これらの結果より、IPCCの見解としては、気候システムの温暖化には疑う余地がなく、また 1950 年代以降観測された変化の多くは、数十年から数千年間にわたり「前例のないもの」である、としております。

つまり、現在の地球温暖化は、長期的に見ても、自然に起こる気温変化ではなく、特別な何かしらの要因が寄与している可能性が高いとみていることになります。

(一方で、地球は46億年の歴史があるといわれていて、その間に数千万年以上の単位の氷河期と温暖期のサイクルを繰り返してきている中、たった数百年、数千年の気温変化を切り取って、過去に前例のない気候変動が起こっているといえるのかというとかなり疑問な気もします。)

2. 気候変動の原因

次に、上記の前例のない気温上昇を引き起こした「特別な何かしらの要因」が何かについて見ていきます。

まず、温室効果という現象について説明します。

二酸化炭素などの温室効果ガスと呼ばれる気体は赤外線を吸収し、再び放出する性質があります。

この性質のため、太陽からの光で暖められた地球の表面から地球の外に向かう赤外線の多くが、熱として大気に蓄積され、再び地球の表面に戻ってきます。この戻ってきた赤外線が、地球の表面付近の大気を暖めるので、これを温室効果と呼びます。

二酸化炭素などの温室効果ガスは、近年の工業化以降、化石燃料の燃焼によって大量に排出されるているので「特別な何かしらの要因」である可能性が高いと容易に想像できるので、まずは、温室効果ガスの空気中の濃度及び排出量の推移について以下のグラフで見てみます。

温室効果ガス20200217

これを見ると、工業化以降(産業革命は1700年代後半ごろ)温室効果ガス濃度と排出量は増加し続け、特に1950年ごろを境に急速に増加していることがわかります。

これは主に経済成長と人口増加からもたらされており、そして、今やその排出量は史上最高で、このような排出によって、二酸化炭素、メタン、一酸化二窒素の大気中濃度は、少なくとも過去80万年間で前例のない水準にまで増加したとされています。

次に、このような温室効果ガスの増加が、本当に現在の地球温暖化の主要な原因となっているのかについて見ていきます。

というのも、気候変動は、大気の組成、プレートの動き、太陽の出力変化、火山活動などの自然起源の要因もあるからです。

下の図では、1951年~2010年の間で、人為起源の温暖化効果がどの程度気温上昇を招いたか、自然起源の温暖化効果がどの程度気温上昇を招いたか、そして実際に観測された気温上昇幅はどの程度であったかを見ることで、近年の気温上昇の内、人為起源の割合がどの程度あるかを見たものです。

人為起源強制力20200217

上図よりわかることは、「人為起源強制力の合計」と「観測された気温上昇」がほぼ同程度であり、自然起源の気温上昇はこの間、ほぼゼロであったことがわかります。

これを根拠に、IPCCとしては人為的要因が20 世紀半ば以降に観測された温暖化の支配的な原因であった可能性が極めて高い、との見解を示しております。

3. 気候変動の将来予測

IPCCでは以下4つのシナリオを想定し、これらのケースで2100年までにどのような気温変化が予測されるかを調べております。

RCP2.6シナリオ:温室効果ガス排出の厳しい抑制を行うシナリオ
RCP4.5シナリオ:ある程度の排出抑制努力を行う中間シナリオ
RCP6.0シ ナリオ:ある程度の排出抑制努力を行う中間シナリオ
RCP8.5シナリオ:温室効果ガス排出を抑制する追加的努力のないシナリオ

ちなみに、工業化以前に対する世界平均の気温上昇を2°C未満に維持する(パリ協定の目標)可能性が高いのがRCP2.6です。

各シナリオの、温室効果ガス排出量前提は以下の通りです。

シナリオ別排出量前提20200217

つまり、パリ協定の目標を達成するには、温室効果ガス排出量を2000年代後半ごろにゼロ以下にする必要があるということです。。

このようなシナリオの下、予測された気温変化は以下の通りです。

気温変化予測20200217

21世紀末(2081~2100年)までの世界平均地上気温の1986~2005年平均に対する上昇量は、RCP2.6シナリオでは0.3~1.7°C、RCP4.5シナリオでは1.1~2.6°C、RCP6.0シナリオでは1.4~3.1°C、RCP8.5シナリオでは2.6~4.8°Cの範囲に入る可能性が高いことがわかります。

極度の温暖化においては、多 くの生物種が絶滅リスクの増大に直面し、食料の安全保障を低下させ、健康上の問題を悪化させることで人間の健康に 影響を与えることなどが予測されています。

若い世代であれば、本当に生きているうちにこのような地球規模での大問題が顕在化している可能性が十分にあるのです。

このようなことからも、我々自身、地球温暖化問題を他人事と思わず、将来の自分及び自分の子供に直接かかわってくる大きな問題として、各個人が真剣に考えていく必要があります。

STOP

以上

りろんかぶお

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[ 2020/02/18 12:22 ] 14.投資の勉強部屋 | TB(-) | CM(0)

地球温暖化は本当に人為起源?①

地球温暖化20200217


現在の世界において、最も主要な課題の一つが地球温暖化です。

1992年、大気中の温室効果ガスの濃度を安定化させることを究極の目標とする「国連気候変動枠組条約」が採択され、世界は地球温暖化対策に世界全体で取り組んでいくことに合意しました。

同条約に基づき、国連気候変動枠組条約締約国会議(COP)が1995年から毎年開催されています。日本からは全てのCOPに環境大臣が出席しています。

また、2015年9月、国連 持続可能な開発サミットで「持続可能な開発目標(SDGs)」が採択されました。

SDGsは持続可能な世界を作るために、国連加盟193か国が2016年から2030年の15年間で達成するために掲げた17つの大きな目標のことです。

貧困や飢餓をなくし、健康や教育を充実させようといった目標の他、「気候変動に具体的な対策を」といった目標も掲げられております。

近年はSDG投資という言葉に見られるように、地球温暖化問題が資産運用の世界にも影響を見せ始めております。

国際的な機運の高まりから、世界中の大手機関投資家が、温室効果ガス排出に大きく関与する企業(石炭会社や石油会社等)への投資を引き揚げており、銀行からそれらの企業に対する融資も引き締まっていくことが予想されます。

りろんかぶおとしては、エネルギー関連会社への投資の引き上げが実際のエネルギー消費の減少には直接的には結びつかないと思うので、エネルギー会社の業績が変わらないのに株価だけが下がるというのはエネルギー会社への投資妙味があるととらえることもできると考えます。

一方、銀行がエネルギー会社への融資を引き締めて、金利が上がったりすると、エネルギー会社の業績を圧迫し、これにより化石燃料系のエネルギー価格が上がると消費も減少するので、エネルギー会社に投資する場合は、借入金利の動向はしっかりと見ておいた方がいいと思います。

このように、資産運用業界においても、地球温暖化というのは重要なテーマとなってきている中、「地球温暖化懐疑論」というものもあります。

地球温暖化懐疑論では、人間活動の温室効果ガス排出増と地球温暖化の間には因果関係がない、或いは因果関係があるとする科学的根拠が非常に希薄であり、その正当性を断定するには不十分である、といった主張です。

各国のかなりのお偉いさんでもこの懐疑論を支持する人は結構おりますので、本当に地球温暖化が人為起源でないとすれば今頑張っていることは全部無駄なことになってしまいます。

こうした中、地球温暖化は本当に人間活動に起因するものなのか?地球温暖化懐疑論はどれだけ信憑性があるのか?といった点について、最新の科学的な見解について次回以降詳しく見ていきたいと思います。

以上

りろんかぶお

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[ 2020/02/17 10:23 ] 14.投資の勉強部屋 | TB(-) | CM(0)

NYダウ 直近20年間の各銘柄リターン比較

ダウリターン20200207


<NYダウ銘柄 直近20年間の各銘柄年率リターン(配当込)>

Untitled spreadsheet
順位 記号 1/3/2000
調整後株価(※)
12/31/2019 年率リターン
(配当込)
当時ダウ銘柄
1 AAPL 3.48 293.65 24.82%
2 NKE 1.84 101.31 22.18%
3 UNH 5.67 293.98 21.82%
4 BA 25.89 325.76 13.49%
5 CAT 11.95 146.65 13.35%
6 MCD 23.97 197.61 11.12%
7 UTX 19.22 149.76 10.81%
8 TRV 19.75 136.95 10.16%
9 CVX 17.62 120.51 10.09%
10 MMM 26.59 176.42 9.92%
11 DIS 23.09 144.63 9.61%
12 JNJ 27.14 145.87 8.77%
13 JPM 26.68 138.51 8.58%
14 HD 43.84 218.38 8.36%
15 KO 12.12 55.35 7.89%
16 PG 28.58 124.16 7.62%
17 MSFT 37.5 157.7 7.44%
18 ダウ30種平均 72.4 284.97 7.09%
19 AXP 34.39 124.06 6.62%
20 GS 70.76 229.93 6.07%
21 XOM 21.86 69.78 5.97%
22 VZ 20.72 60.77 5.53%
23 MRK 31.95 90.95 5.37%
24 WBA 21.17 58.96 5.25%
25 WMT 46.39 118.84 4.81%
26 PFE 16.17 38.78 4.47%
27 INTC 28.01 59.85 3.87%
28 IBM 76.41 134.04 2.85%
29 CSCO 41.83 47.61 0.65%








5/20/2019 12/31/2019 リターン
(配当込)


DOW 47.67 54.73 25.11%








3/19/2008 12/31/2019 リターン
(配当込)


V 11.18 187.9 27.04%








1/3/2001 12/31/2019 リターン
(配当込)


BRK.A 54800 339,590 10.07%







※配当及び株式分割がリターンに適切に反映されるよう調整



<筆者コメント>

・トップ3のアップル、ナイキ、ユナイテッドヘルスの年率リターンはいずれも20%越えで株価が20年間で50倍以上に。一方、いずれの銘柄も2000年当時は新興企業で、2000年以降に成熟していった企業なので、当時からの成熟企業とはステージが違うため、比較的良いパフォーマンスが得られていると考えられる。

・また、ボーイング(航空機)、キャタピラー(重機)、ユナイテッドテクノロジーズ(航空宇宙等)などの、メーカー群がトップ10入りしていることは意外。いずれも古くからのメーカーで、業界トップクラスのシェアを保持。参入障壁が高く、プレイヤー数が少ない業界で強力なブランド力を持っていることが高いリターンを実現している源泉かと思われる。

・一方、ワースト3はシスコ、IBM、インテルといずれもIT企業。2000年の年初はまさにITバブル真っただ中でシスコは一時期時価総額世界1位にも上り詰めたほど、IT企業の株価が高騰していたことが悪いパフォーマンスの原因。
これを見てもわかる通り、バブル真っただ中の銘柄を高値づかみしてしまうと、20年の長期投資をしてもひどいパフォーマンスになってしまう。適正株価で投資することの重要性がうかがえます。

以上

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[ 2020/02/07 10:21 ] 14.投資の勉強部屋 | TB(-) | CM(0)

リーマンショックで具体的に起こっていたこと③

リーマンショック


前回記事までで、リーマンブラザーズ破綻までに実際起こっていたことを説明しました。

リーマンショックで具体的に起こっていたこと①
リーマンショックで具体的に起こっていたこと②

今回は、なぜ米国第四位の投資銀行の破たんが世界的な大恐慌に繋がってしまったのか?について見ていきます。

結論から言いますと以下二点が大きな要因として挙げられます。

① 米国経済の大幅な冷え込みにより、米国向輸出に大きく依存していた国々に大打撃

② 金融機関のリスク許容度の急低下により、新興国や途上国に流入していた資金が一気に引き上げられ、各国で急速な資金不足、金利上昇が進んでしまったこと。

順序だてて見ていきます。

1. 政府スタンスへの不透明感

前回記事でも説明しましたが、リーマン破綻の道を選んだ米国政府・FRBの決断はほんとに正しかったのか?という点は未だに議論があるようです。

米国第5位のベアスターンズが2008年3月に経営危機に陥った時に救済されているのだから、米国第4位のリーマンブラザーズも当然救済されるだろうというのが市場参加者の見方だったのです。

この市場の期待を大きく裏切られてリーマンが破たんすることで、金融界には大きな衝撃が走りました。

これを契機に、政府のスタンスについての不透明感が高まり、大手銀行でも破たんさせられるかもしれないという懸念が急速に広がっていったのです。

2. 銀行貸出の大幅抑制

このように、資金繰りに窮した場合の最後の貸し手として絶大なる存在感があった政府が信用できなくなった当時、銀行は自己資本比率を引き上げるために、資本増強を図りながら、他方では急速に信用収縮を進めました。
そしてこれは欧州の銀行でも同じ対応がとられたのです。

この結果、国内向貸出が大幅に減少。大規模な金融危機の中、銀行はリスクに敏感になり、家計向けの住宅ローン、自動車ローン、学士ローンなどはもちろんのこと、法人向けの貸出も大幅に抑制していきました。

また対外貸出も大幅に減少しました。高金利を背景に多額の資金が新興国や途上国に流入していましたが、この流れが巻き戻されたのです。

この結果ドル買い現地通貨売りが激増し、現地の通貨価値が大幅に下落すると同時に、新興国や途上国の中には資金不足に陥り、急速な金利上昇がみられた国も出てきました。

3. 米国経済の冷え込みが貿易を介して世界に伝染

銀行の貸し出しの大幅な抑制により、住宅投資や自動車購入などの個人消費が制約を受けました。

また先行き不透明感から設備投資も先送りされ、このような経済活動の落ち込みが、雇用にも影響を及ぼし、雇用者の削減と失業率の上昇をもたらし、これが更に家計支出を圧迫しました。

このように世界最大の経済国である米国において極度に消費が冷え込んだことで、その輸入が大きく落ち込み、米国への輸出に大きく依存している日本やその他新興国、発展途上国などは大きな打撃を受けました。

STOP

上記で見てきた通り、米国のような経済大国で大不況が起こると、「貿易」を介して、一瞬にしてその不況が世界に伝搬してしまうことがわかります。

これがいわゆる「アメリカがくしゃみをすると日本は風邪をひく」ということの意味ですね。

国によっては当事者のアメリカより大きな打撃を受けてしまうとこ炉も出てきてしまいます。

そして、今や米国のGDPは世界第三位の日本の4倍程迄拡大しており(2020年2月現在)、その影響力は年々増しているのが現状です。。




最後に、当時のFRB議長であるバーナンキが、事後のヒアリングで以下の通り率直に述べているそうです。

「リーマン破綻の経済への影響についての見解は様々であり、0から100までのスケールで表すと、一部の人は『軽微な混乱』が起こる程度であるとみていたが、自分は90~95ぐらいの影響があると思っていた。しかし、実際には、140ぐらいにもなった。誰の予想よりも深刻だった。」

恐らくあれほど迄の世界的な恐慌になることがわかっていればFRBはリーマン救済を強行したのでしょうが、その影響を見誤ったことは間違いないようです。


以上

りろんかぶお

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[ 2020/02/05 10:50 ] 14.投資の勉強部屋 | TB(-) | CM(0)

リーマンショックで具体的に起こっていたこと②

リーマンショック


前回に引き続きリーマンショックで具体的に起こっていたことについて調べていきます。

今回はリーマンブラザーズが破たんした真相について。

<リーマンブラザーズ破綻の真相>

前回記事の通り、2007年夏頃にサブプライム危機が起こり、サブプライムローン証券化商品流通価格の暴落が起こりました。

一方で、リーマン自身は同商品の販売は行っていたものの、自分自身そこまでサブプライムローンを抱え込んでいたのかという疑問がありました。

実際にリーマン破たん直前である、2018年5月31日時点の財務報告書からバランスシートを確認してみましょう。(以下)

Untitled spreadsheet
リーマンブラザーズBS(2018年5月31日時点)(百万ドル)
資産 負債・純資産
現金・現金同等物 6,513 短期有利子負債 35,302
金融商品ロングポジション 269,409 長期有利子負債 128,182
担保付債権 294,526 金融商品ショートポジション 141,507
その他 68,984 担保付借入 183,266


その他負債 124,899






純資産 26,276
合計 639432
639,432


上記バランスシートの内、金融商品ロングポジションが金融投資に当たるところですが、バランスシート全体に占める割合も多く、これを見るだけでも、金融商品販売のみならず、自身でもかなりの金融投資ポジションを持っていることがわかります。

さて、この金融商品のロングポジションの中にどれだけサブプライムローンという爆弾が含まれているかを見てみました。以下がサブプライムローン残高です。

Untitled spreadsheet

5/2008 11/2007 11/2006
サブプライムローン(百万ドル) 2,755 5,276 6,849
金融商品ポジションに占める比率 1.02% 1.68% 3.02%


実は、サブプライムローン残高は金融商品ロングポジションの中でたったの1%程度、サブプライムローン価格が暴落する前の2016年11月末時点でも3%程度を占めているにすぎないことがわかりました。

つまり、リーマンは積極的にサブプライムローン証券化商品販売を行っていたものの、同ローンの在庫(自社保有ポジション)はかなり限定しており、サブプライムローン証券化商品価格の暴落はリーマンにはほとんど影響を与えていなかったことがわかります。

(但し、サブプライム危機に端を発して、多くの資産価格が下がりましたので、そういった意味ではもちろんリーマンも打撃を受けております。)

では、リーマン破綻はなぜおこったのか?

直接的な原因は資金繰りが立ち行かなくなったためですが、なぜ資金繰りが立ち行かなっくなったかというと、過度にレバレッジがきいた財務体質が本質的な原因といわれています。

バランスシートを見てもわかる通り、自己資本に当たる純資産に対して過度な債務を抱えております(自己資本比率は4.1%)。

金融機関は一般的に、借入と貸出の少ない利ザヤで稼ぐため、バランスシートが大きくなりがち(自己資本比率は小さくなりがち)ですが、資産側はあくまで安全資産であることが大前提です。資産価格の変動が激しいものだとすぐに債務超過になってしまうからです。

一方でリーマンの場合、サブプライムローンのような高リスク資産は限定的なるも、多くのリスク資産を抱えており、住宅バブル崩壊という外部環境も相まって債務超過するかしないかギリギリのところまでいってしまったといわれております。(債務超過したかどうかは正確には公表されていない?)

2018年9月10日に、リーマンが8月末締めの四半期決算が赤字になることを発表するとリーマン破綻懸念が一気に広まり、格付け会社は週末までに資本増強を行わないと格下げすると通告しました。

破たん懸念や格下げ懸念から、急速に資金流出が起こり、資金繰りが立ち行かなくなり9月15日に破産申請することになったのです。

ここでもう一点不思議なのが、なぜFRBはリーマンのような巨大投資銀行を救済しなかったのかという疑問です。

というのも、金融機関の場合、倒産した場合の負の影響が大きいため「大きくてつぶせない」という考え方があり、実際にリーマン以前にも、経営危機に陥った大手企業や金融機関は政府やFRBの支援を受けて救済されるケースが多かったのです。

実際に、全米第五位の大手投資銀行であったベアスターンズ(リーマンは第四位)が2008年3月に経営危機に陥った時には、財務省やFRBの支援の下に、JPモルガンチェース銀行への吸収合併が行われ大きな影響は回避されていました。

ではなぜリーマンは政府・FRBに見捨てられたのか?

ここの真相は未だにはっきりとせず諸説あるのですが、当時の当事者である、ガイトナーNY連銀総裁、ポールソン財務長官、バーナンキFRB議長の発言によると、

「FRBには担保不足の金融機関を救済する法的な権限はなく、救済は不可能であった」

「当然リーマン破たん回避のために全力を尽くしたが、バンク・オブ・アメリカはリーマンではなくメリルリンチを救済した。バークレイズは(英国)当局の介入でリーマンの買収を見送った」

「リーマンからは顧客、取引先のみならず従業員も逃げ出しており、手の打ちようがなかった」

といったことが述べられています。

実際のところ、リーマン救済を強行することはできたのは事実ですが、さまざまな要素を検討して政府・FRBは救済という道を選ばなかったということになります。

STOP

次回は、リーマンブラザーズという、米国第四位の投資銀行の破たんが、なぜ全世界的な大恐慌に発展してしまったのかというのを見ていきたいと思います。

以上

りろんかぶお

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※当ブログで紹介する理論株価は、いくつかの前提条件をりろんかぶおが独自に設定している為、その前提条件次第では計算結果が異なってきます。また当ブログは、投資に関する情報を掲載していますが、特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。また、読者が当ブログの情報を用いて行う投資判断の一切について責任を負うものではありません。


[ 2020/02/04 13:52 ] 14.投資の勉強部屋 | TB(-) | CM(0)

リーマンショックで具体的に起こっていたこと①

リーマンショック

出典:トウシル

2008年9月のリーマンブラザーズ破綻に伴う世界大恐慌であるリーマンショック。

リーマンショックというと、信用の低い人達に対する住宅ローンであるサブプライムローンが暴落して、それを大量に抱えていたリーマンブラザーズも破綻してしまった、となんとなく理解している人が多いのではないでしょうか?

でも、そもそも、リーマンのような投資銀行は、自身で投資エクスポージャーを大量にとるわけではなく、投資家に金融商品を販売したり、M&Aの助言を行うはずなのに、なんでそんなにサブプライムローンを保有していたの?

リーマンのような巨大な金融機関は、「大きくてつぶせない」企業であり、それまでは国からの救済措置で救われてきたのに、なぜリーマンは見捨てられたの?

リーマンブラザーズという、言ってみればただの米国第四位の投資銀行の破たんがなぜ世界的な大恐慌を招いたの?

と、考えてみれば様々な疑問があります。

現在、米国株は史上最高値付近にあり、いつ暴落が来てもおかしくないといわれていますが、そんな時だからこそ、前回の大暴落であるリーマンショックに学べることはないか?という視点で、当時実際に何が起きていたかを詳しく見ていきたいと思います。

リーマンショックを語るにあたっては、まずサブプライム危機について知る必要があり、本日はそれに就いて調べていきたいと思います。

<2007年夏のサブプライム危機>

2000年代前半の米国ではサブプライムローンというものが流行りました。

サブプライムローンとは、米国の信用度の低い借り手向け住宅ローンのことです。

銀行からしたら、もちろんお金を貸す相手は信用度が高い方がいいに決まっているのですが、当時の米国は住宅価格が毎年上がり続けていたこともあり、借り手からしたら「借金の返済が難しい」となれば、家を売って(しかも元値より高く)借金を返済、或いは銀行が担保である住宅を召し上げてそれを売却すれば解決したので、住宅価格の上昇が続く局面においては問題がなかったのです。

そのような時期にサブプライムローンに目を付けたのが当時全米第四位の投資銀行であったリーマンブラザーズです。

通常の投資銀行の本業はM&Aアドバイザリーサービス等ですが、当時投資銀行業界で米国第四位に甘んじていたリーマンは、競合他社を追いつき追い越す手段としてサブプライムローン証券化商品の販売に目を付けたのです。

ここでリーマンがやろうとしたサブプライムローン証券化商品の販売の仕組みは以下です。

まず銀行が信用度の低い借り手に対して住宅ローン(サブプライムローン)を貸し付けます。

リーマンブラザーズはこのサブプライムローンを銀行から大量に買い取ります。

そして複数のサブプライムローンを束ねたり、他の証券を組み合わせたりして、証券化します。

サブプライムローン自体は信用度の低い人へのローンですが、他の証券と組み合わせ、利払いの不確実性を薄め、複雑な証券とすることで、リスクがあいまいとなり、なんと格付け会社から高格付けを取得します。

ものによっては最高格付けのAAAを取得したりしていて、そもそもこれがありえませんでした。

世の中の年金基金や巨額資金を運用する機関投資家は、格付を基に運用を行うため、海外の投資家含めサブプライムローン証券化商品の本来のリスクをしっかり把握しないままこれらを購入しました。

このようにして、サブプライムローンという、リスクの大きい、爆弾のようなものが、リーマンなどの投資銀行による証券化を通じて、米国内全体及び海外にもばらまかれて行ったのです。

ここでサブプライムローンの特性を振り返りますが、これは住宅価格の上昇というのが大前提としてありました。

但し、当然ですが価格というのは需要と供給で決まるので、需要が無限ではない限り過剰な供給が続けばいつかは価格上昇は止まるのです。

当然、米国でもサブプライムローンが住宅建設をあおったこともあり、いつしか、見渡してみれば、需要以上の家が大量にある状態となり、住宅価格の上昇が止まりました(下図ご参照)。

ケースシラー米住宅価格指数
住宅価格

住宅価格が上がるという前提が崩れた瞬間、ローン返済に困って住宅を高値で売ろうと思っても思ったような価格で売れない人、というのが急増し、サブプライムローンの延滞率も増加していきました。これが2006年後半ごろです。

延滞率

そしてこのような状況を察知した格付会社は、世界中にばらまかれていたサブプライムローン証券化商品を次々に格下げしていきました。

すると、高リスク資産への運用が規制されている年金基金や安定運用ファンドなどは、サブプライムローン証券化商品を処分せざるを得なくなる事態が一斉に起こり、これにより同商品の流通価格は2007年夏ごろに大暴落を始めたのです。

サブプライムローン証券化商品の流通価格
証券価格

安定運用を掲げている世界中の機関投資家が大打撃を受けてしまったのです。つまり、ばらまかれた爆弾が爆発した形となりました。

これが世に有名なサブプライム危機です。

さて、リーマンブラザーズはサブプライムローン証券化商品を世界中にばらまくという点において、重大な役割を果たしてしまいました。

但し、サブプライムローンのリスクは販売が完了した時点で買い手側の投資家に移転していることになるにも関わらず、リーマンブラザーズはなぜ倒産してしまったのでしょうか?

STOP

次回はリーマン破綻に続きます。

以上

りろんかぶお

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[ 2020/02/01 14:12 ] 14.投資の勉強部屋 | TB(-) | CM(0)

ショックの前兆を読む低格付債投資の現状

Baa 利回り


<低格付債投資状況把握の重要性>

・金融緩和で金余りの状態が長期化し、株や高格付債への投資が加熱し価格が高くなると、投資家はより高い利回りを求めて低格付債に資金を投じます。

・一方、低格付企業はビジネスや財務基盤の信用が低いため、中には事業がうまくいかず債務不履行になる企業も出てきます。

・債務不履行が起こると、投資家心理を冷やし、投資家は低格付債への投資を引き揚げ、その結果金利が上がる。

・金利が上がると、低金利で何とかやっていた企業も債務不履行が続発し、このような連鎖が経済全体に波及し、ショックを引き起こす。

・よってショックの前兆を察知する上では、低格付債利回りの状況をチェックしておくことも重要なのです。

・低格付債への投資状況を判断するには、低格付債(S&PでBBB、Moody’sでBaa等)と無リスク資産である国債の利回り格差(スプレッド)の推移をみるのが便利です。

・低格付債と国債のスプレッドが小さいときは、低格付債利回りが相対的に低いことを示しており、つまり低格付債への投資が活発であることが読み取れます。

<低格付債(Moody's Baa債)と国債の利回り格差推移>

Baa 10年債スプレッド_20200130


・リーマンブラザーズが経営破綻したのは2008年9月ですが、それ以前に低格付債利回りが急上昇していることが見て取れます。
これを見ても低格付債利回りがショックの前兆を察知する上で重要であることがわかります。

・これを踏まえて、現在の低格付債と国債の利回りスプレッドを見るとおよそ2%前後で、かなりの低水準まで下がっており、低格付債への投資が活発であることが見て取れます。

・今のところスプレッドは安定しているように見えますが、既にかなりの低水準まで来ているので、定期的に見ていく必要がありそうです。

以上

りろんかぶお

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[ 2020/01/29 11:22 ] 14.投資の勉強部屋 | TB(-) | CM(0)
プロフィール

りろんかぶお

Author:りろんかぶお
【名前】:りろんかぶお
【生年】:1987年
【出身】:千葉
【性格】:感情の起伏ゼロ。声低め。
【学歴】:東京大学大学院卒
【職業】:現在はセミリタイアし専業投資家。元総合商社勤務(M&A等)
【資格】:証券アナリスト
【趣味】:投資・麻雀・ランニング
【目標】:資本を通じて社会に貢献すること


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