バフェット部 セミリタイアした東大卒元商社マンの米国株情報サイト

M&Aを手掛けた東大卒元商社マン(証券アナリスト資格有、現在はセミリタイアし専業投資家)が主に米国株の理論株価を全力分析!

カテゴリー  [ 13.投資の勉強部屋 ]

共産党独裁の中国の実態

中国ネット規制_20201027


中国は、中国共産党の一党独裁制の、社会主義国家といわれます。

今回は、民主主義で資本主義国家の我々日本人には理解しがたい中国の統治形態についてみていきたいと思います。

まず、中国の憲法の前文では、「4つの基本原則」というものが規程されています。
それは以下のようなものです。

1.社会主義の道
2.人民民主独裁
3.中国共産党の指導
4.マルクス・レーニン主義、毛沢東思想

3にあるように、憲法には「中国共産党による人民の指導」が明記されているのです。

これが中国共産党の一党独裁といわれるゆえんです。

日本のような民主主義国家では、立法府である国会の議員は、国民の代表として選挙で選ばれ、そこで選ばれた人達(国会議員)が法律を作り、その法律にのっとって行政府である政府が国家を運営していきます。

一方中国では、中国共産党が国家を優越するという政治構造から、中国共産党の最高指導者が中国の最高権力者であり、中国共産党の指導に基づいて国家が運営されていく、ということになります。

そしてもはや超憲法的存在ともいえる中国共産党の下に「国家機構」がぶら下がっています。

主要なものは以下です。

1.全国人民代表大会

全国人民代表大会は日本でいう国会(立法府)に当たり、中国では最高権力機関でもあり、行政権・司法権・検察権などに優越する機関。

その行使する職務は主要なものを挙げると以下。

①憲法の改正および監督
②刑事・民事・国家機構およびその他基本的法律等の立法権
③国家主席、国務院総理、国家中央軍事委員会主席、最高人民法院長、最高人民検察院長等の人事権
④その他国家の重大事項の審議・決定


日本であれば国会議員は直接選挙で選ばれるが、中国での人民代表選挙は中国共産党によって指名された候補に対する、国民の信任投票となる。

このような面からも主権が国民にあるとは言えないのである。

2.国務院

国務院は、日本でいう内閣(行政府) に当たる最高国家行政機関である。

活動の全ては全国人民代表大会に従属しており、行政機関として、全国の地方人民政府を統一的に指導する。

3.中央軍事委員会

中国人民解放軍、中国人民武装警察部隊等の全国の武装力を指揮・統帥する国家機関

4.人民法院

日本でいう裁判所(司法府)に当たり、最高人民法院と下級人民法院に分かれており、下級人民法院には高等人民法院と中級人民法院があります。

STOP

欧米や日本などでは、三権分立が確立されており、立法、司法、行政がそれぞれ独立した機関となっているため、互いにけん制しあうことで均衡が保たれていますが、中国では、中国共産党が全体を統治するために、中国共産党の意思によって国家の行方が大きく左右されるのです。

しかし、民主主義だからよくて、一党独裁だから悪い、ということはないのです。
(中国の少数民族問題や、人権問題は確かに問題ありと思いますが)

現に独裁政治でうまくいっている国もたくさんありますし、指導層が有能であれば一党独裁の方が国家運営はうまくいくかもしれません。

よって、我々民主主義とは違うから、という変な色眼鏡で見ずに投資判断していくことが重要になっていきます。

以上

いつもありがとうございます。参考になったと思って頂けた方は応援ボタンを押して頂けますと励みになります。
にほんブログ村 株ブログ 米国株へ
にほんブログ村

りろんかぶお

[ 2020/10/28 17:55 ] 13.投資の勉強部屋 | TB(-) | CM(0)

中国でGoogle、Facebook、Twitterなどがビジネスできない理由

中国ネット規制_20201027


中国では、Google、Facebook、Twitter等、海外のネット検索やSNS関連サービスのビジネス展開がされていません。

中国と米国は仲が悪いために中国が外資規制を強化しているのかと勘違いする人も多いようですが、Appleやスターバックス、ナイキなどの米国企業にとって、中国での売上比率は大きくとても重要なマーケットとなっています。

ではなぜ、GoogleやFacebookなどの一部の企業のみがあからさまに中国市場から排除されているのでしょうか?

これは、中国にはグレートファイアーウォールと呼ばれる強力なネット規制があるためです。

グレートファイアーウォールとは、中国本土のインターネットに存在している大規模情報検閲システムとその関連行政機関の通称です。

このシステムにより、中国ではインターネット上では常に監視の目が働いており、中国政府にとって不都合な文章や動画・画像など(例えば民主化や少数民族問題など)は全て削除されるようになっています。

本システムは1998年に運用開始され、当初は10万人から200万人ともされるネット警察が人海戦術を駆使して24時間体制で監視していたものの、現在ではAIなどを駆使して自動検閲されるようになっているようです。

ご存じの通り、中国は実質的に一党独裁政治体制を築いており、主権が人民に属しておりません。(憲法上は人民民主独裁とうたっておりますが)

よって、国民に表現の自由は認められていませんし、国家運営を担う中国共産党は自身の都合のいいように立法や政策を打ち立てることができます。

テレビやラジオ、インターネットなどのメディアは、人々の思想を形作っていく重要な情報源になるため、中国共産党はこの情報源をしっかりと規制して、国民が反政府的な思想を持たないように徹底しているのです。

逆に言えば、メディアをコントロールすることで人為的に国民の思想を形作っていっているとも言えます。

Googleは、このような中国のネット規制を受け入れて、2006年に中国に参入したものの、米国内同業他社からの批判や中国国内からと見られるハッカー攻撃などを理由に,2010年に中国市場から撤退しました。

Facebookも中国参入を模索しているようですが、厳しい規制に準拠する必要があり、いまだに参入できていないというのが現状です。

正直、Facebookのように表現の自由を体現したようなSNS企業が、中国のネット規制に従ってしまえば、そもそもユーザーにっとってあまり価値のないサービスになってしまう気もします。

このように、中国でビジネスができる企業とできない企業の境界線は、グレートファイアーウォールに引っかかるか否かという視点で見ていくとわかりやすいかもしれません。

以上

いつもありがとうございます。参考になったと思って頂けた方は応援ボタンを押して頂けますと励みになります。
にほんブログ村 株ブログ 米国株へ
にほんブログ村

りろんかぶお

[ 2020/10/27 11:16 ] 13.投資の勉強部屋 | TB(-) | CM(0)

世界最強のS&P500投資!日本の投資信託(SBIバンガードS&P500)と米国ETF(VOO)で実際にどれくらいのリターン差があるのか徹底比較!

SBIとVOO_20200814

出典:SBIバンガードS&P500目論見書



今日本でも注目され始めているのが、世界で最も有名な株式指標である米国のS&P500への長期投資!

S&P500に投資するには、大きく以下2つの方法があります!

1.米国株式市場に上場されているS&P500ETF(米ドル建て)に直接投資する方法!

主要なものでいうと以下3つがあります。手数料面で考えるとVOOかIVVがよさそうです。

ETF list_20200814
出典:S&P 500 ETF Channel

ETFの解説は以下ご参照
20世紀最大の発明の一つ!ETFの仕組み

2.S&P500に連動する日本の投資信託(円建て)に投資する方法!

これもいくつかありますが、手数料が安い2社を挙げます。

今のところ日本の投資信託では手数料最安はSBIバンガードS&P500です。

純資産総額信託報酬補足
SBI・バンガード
S&P500インデックスファンド
237.39億円
(2020年3月末時点)
0.0938%VOOに投資
eMAXIS Slim
米国株式(S&P500)
883.4億円
(2020年4月末時点)
0.0968%自身でポートフォリオを組成し、
個別株に直接投資



上述2つの投資方法の内、手数料のところを見て頂ければわかる通り、基本的には米国ETFに直接投資する方が中間コストがない分手数料が安いです。

ここでは、実際にどの程度のリターンの差があるのかを検証してみました。
(手数料最安のSBIバンガードS&P500とVOOを比較しています)


SBIバンガードS&P500とVOOのリターン格差



前提条件

期間:2019年9月26日(SBIバンガードの設定日)~2020年8月12日

その他:VOOの場合、購入から売却までの過程で為替両替手数料(往復)と売買手数料(往復)がかかるのでそれも考慮(マネックス証券で売買する前提で手数料を計算)。

結果

上記の前提で、円建てのリターンを年率ベース(分配金込)で比較すると結果は以下の通りとなりました。

SBIバンガードS&P500:年率13.57%
VOO:年率15.03%
リターン格差:年率1.46%




ここで疑問に思うのは、両者の目に見える手数料の格差はSBIバンガードが0.0938%/年に対しVOOは0.03%/年なので、リターン格差は0.0638%になるべきでは?という点。

リターン格差が1.46%/年にまで開いてしまっているのはなぜか?


SBIバンガードS&P500とVOOのリターン格差が想定以上に大きい理由



これには大きく以下2つの理由があります。

①信託報酬以外の手数料

SBIバンガードの目論見書の中で、手数料に関して説明しているページを見ると、信託報酬以外に”その他の費用及び手数料”という項目があります。

これは、監査報酬、信託事務諸費用、法定書類関連費用、売買委託手数料、外貨建資産保管費用等の費用です。

これらは運用状況などにより変動するので、事前に料率を示すことができないため、パーセンテージでは明示されていません。

この費用の一部は、純資産総額と連動しないので、純資産が増えれば増えるほど一人一人の負担率は低減していく可能性があります。

②眠っている現金

SBIバンガードの目論見書を見ると、信託財産を全て投資できているわけではなく0.3%程度が現金として温存されています。

投資信託ゆえに、新規契約や解約などで一定の現金が日々出入りするので、100%めいっぱいに投資することがその仕組み上できないのです。

ここは、ほとんど無視できる範囲ではありますが、実態として投資信託にはこういったロスがあります。


1.46%/年のリターン格差がいかに大きいか



とは言え、リターン格差が1.46%/年であれば大したことない!と思う人がいるかもしれません。

ただ、長期投資において1.46%/年のリターン格差がいかに致命的かを以下に示します。

ここではSBIバンガードS&P500の年率13.57%、VOOの年率15.03%が毎年続くものとして(実際には毎年こんな良くないと思いますが)、両者に100を投資した時に10年後、30年後、50年後にどのような差が出ているかを見てみます。

結果は以下です。

SBIバンガードVOO
年率13.57%15.07%
0年目100100
10年目357407
30年目45496743
50年目57967111713


50年後を見てみると、SBIは580倍、VOOはなんと1117倍になっています。

たった1.46%/年のリターン格差が50年後にはここまでの格差になってしまうのです。これが複利の効果です。


それでもSBIバンガードS&P500に投資するメリット



手数料の面でいえば、VOOの圧勝であり、長期で見ると恐ろしいリターンの格差があるのは事実ですが、投資初心者にはやはり日本の投資信託(SBIバンガードS&P500)への投資をお勧めします。

なぜかというと日本の投資信託には以下のメリットがあるからです。

1.定期自動積立が可能(VOOは自動積立不可)

2.定額積立が可能(VOOは日々変動する額面価格×口数での購入しかできない)

3.100円から投資が可能(VOOの現在価格は300ドル超/口なので、額面価格以下での投資は不可)

投資というのは、長期で定期定額積み立て(ドルコスト平均法)で投資するのが最強の投資方法です。

そういう意味では、最初に設定してしまえば後はほったらかしでOKな投資信託というのは、投資に多くの時間を費やしたくない人にとっては魅力的な商品であることは間違いないと思います。

多少の手間をいとわない人は、手数料の安いVOOに直接投資するのもいいかもしれません。

以上

りろんかぶお

その他の人気記事はこちら↓
にほんブログ村 株ブログ 米国株へ
にほんブログ村

※当ブログで紹介する理論株価は、いくつかの前提条件をりろんかぶおが独自に設定している為、その前提条件次第では計算結果が異なってきます。また当ブログは、投資に関する情報を掲載していますが、特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。また、読者が当ブログの情報を用いて行う投資判断の一切について責任を負うものではありません。



[ 2020/08/14 11:17 ] 13.投資の勉強部屋 | TB(-) | CM(0)

20世紀最大の発明の一つ!ETFの仕組み

ETF_20200728.png

出典:Getty Image

<ETFとは>

ETFとはExchange Traded Fund の略で、日本語では「上場投資信託」といいます。

ETFは日経平均株価やTOPIX(東証株価指数)、S&P500等の指数に連動するように運用されている投資信託の一種ですが、従来の投資信託と違い”上場されている”という点に大きな違いがあります。

従来の投資信託は、一口当たりの基準価格が一日一回、株式市場が閉じた後に更新されます。

一方でETFは、株式市場に上場しており、リアルタイムで価格が変動し、市場が開いている間に自由に売買が可能です。

ETFは一見シンプルな商品ですが、実はその裏にはETFが「20世紀最大の発明の1つ」と言われる複雑な仕組みが存在します。

<ETFの仕組み>

例えば投資家が、TOPIXのETFを市場が開いている時に購入したとします。

従来の投資信託のように、投資家からお金を受け取って、そのお金で投資信託会社がTOPIXの組み入れ銘柄、つまり東証一部上場全銘柄を買うとなると、タイムロスが生じ、その間に株価が変動してしまうため、投資家は結局購入したい価格で買えません。

そこで、ETFでは以下のような秀逸な仕組みが採用されているのです。
ETFの仕組み_20200728

ETFは上場されているので、価格は需給で決まり、買い手が多ければ上がりますし、売り手が多ければ下がります。

但し、需給で決まるということは実際のS&P500の指数価格から乖離してしまうということがおこります。

そこで、乖離してしまったETF価格を、実際のS&P500の指数価格に調整する仕組みがETFの秀逸なところです。


仮に、ETFの買い手が多く、実際のS&P500よりもETF価格が高くなってしまった時のことを例にとって考えてみます。

そのようなときにはマーケットメイカーは以下のような働きをします。

①マーケットメイカーは株式市場でS&P500組み入れ銘柄を購入。

②マーケットメイカーは購入した株式バスケットを運用会社に拠出し、運用会社からETFを取得。

③マーケットメイカーは取得したETFを株式市場を通じて投資家に売却し、現金を入手。

※実際には①~③がほぼ同時に起こっているイメージ。

つまり、ETF価格が上方乖離している時、マーケットメイカーは、「S&P500現物銘柄をロング」し、「ETFをショート」しているのです。

こうすることで、ETF価格は下落し、実際のS&P500価格は上昇するので、両者の乖離が是正されるのです。
逆もまたしかりです。

株式市場の需給で決まっているはずのETF価格がS&P500指数価格に連動するのはこういったからくりがあります。

<取引価格と基準価格>

但しここで一つ疑問がわいてきます。

市場の需給で決まっているはずのETF価格がたまたまきれいにS&P500指数に連動しているとすると、現物の株は購入されないのかという点です。

これはまさにその通りです。

株式市場で取引されているETFの価格は「取引価格」といいます。

一方で、マーケットメイカーと運用会社の間で取引されるETF価格は「(現物株式の総資産価値ー関連経費)÷発行済ETF口数」であらわされこれを「基準価格」といいます。(従来の投資信託の価格はこの基準価格のことです。)

そして、この「取引価格」と「基準価格」が異なるということは、ETFの性質上実際に起こります。

但し、実際には「取引価格」と「基準価格」の乖離というのは1%未満程度に収まるというのが実態のようです。

以上

りろんかぶお

その他の人気記事はこちら↓
にほんブログ村 株ブログ 米国株へ
にほんブログ村

※当ブログで紹介する理論株価は、いくつかの前提条件をりろんかぶおが独自に設定している為、その前提条件次第では計算結果が異なってきます。また当ブログは、投資に関する情報を掲載していますが、特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。また、読者が当ブログの情報を用いて行う投資判断の一切について責任を負うものではありません。

[ 2020/07/28 17:17 ] 13.投資の勉強部屋 | TB(-) | CM(0)

日本人の給料が安すぎる理由

実質賃金指数_20200623
出典:全労連

上図は、先進諸国の実質賃金を、1997年を100とした場合の推移を表しています。

このように先進諸国の実質賃金が伸び続ける中、日本では緩やかに下がり続けています。

なぜなのでしょうか?

この疑問に対し、オックスフォード大学で日本学を専攻、ゴールドマン・サックスで日本経済の「伝説のアナリスト」として名をはせたデービッド・アトキンソン氏は「モノプソニー」が原因と指摘しています。

モノプソニーとは「買い手独占」という意味で、労働者に比べて企業の方が立場が強く、本来よりも低い給料で人を雇うことができる状態を指します。

日本は本当にモノプソニーなのでしょうか?

モノプソニーが強い国の特徴が、どの程度日本に当てはまるかを示したものが以下の表です。

モノぷそにーの特徴_20200623
出典:東洋経済
出所:小西美術工藝社社長

これを見ると、日本がモノプソニー大国であることがわかります。

ではなぜ日本ではモノプソニー、つまり労働者よりも企業の方が強いのでしょうか?

アトキンソン氏によると特に以下3つの理由があるとのこと。

①日本では、女性であるとか、高齢者であるとか、そういった理由だけで労働市場での価値が下がるため、そういった労働者は相対的に立場が弱くなりがち。

②労働組合の機能が低下したため。労働組合は、労働者のスキルが明確で企業規模の大きい製造業に適した組織。一方で、近年は産業全体に占める製造業の割合は低下し、労働組合が機能しにくいサービス業が拡大していったことが要因。

③規制緩和により、非正規雇用者が増えたため。

この結果、
企業側の立場が強くなり、
労働賃金が下がり、
給与が低いので生産性の低い小規模企業でも利益が出せるようになり、
日本では大企業の割合が非常に少なく、中小企業が乱立するということがおこりました。(下図)

大企業の割合_20200623
出典:中小企業庁

では、モノプソニーの状況を脱するためにはどうすればよいのでしょうか?

アトキンソン氏は、状況打開のために「最低賃金の引上げ」が必要と訴えます。

最低賃金の引き上げにより、生産性の低い小規模企業が淘汰され、生産性が高く経営効率の良い中堅企業、大企業に労働者が集約されるていくからです。

大企業では、しっかりとした労働組合があるために、労働者側の交渉力が相対的に高く、これによってモノプソニーの状況も改善されるだろうと。

STOP

ここまでがアトキンソン氏の主張の超概略です。

個人的には、給与が安いのは上記の他に、日本型雇用システムも大きく影響していると考えています。

①終身雇用

最近は転職も増えてきましたがそれでもまだまだ最初に就職した会社に勤めあげるという人が大半です。

労働者側がそもそも終身雇用を前提とし転職を考えていないため、企業としては新卒で採用してしまえば、あとは賃金の面で他の企業と競争する必要がないので、必然的に給与は低くなりがちです。

労働者側も給与が安ければ転職するという発想がそもそも希薄なため、企業側の言いなりになりやすい傾向があります。

②新卒一括採用

終身雇用で企業側の立場が強くなりがちとは言え、新卒採用の時は学生側もやはり給与面で待遇がいい会社に行きたいと思うはずで、そこは企業側も選別されてしまいます。

但し、新卒一括採用システムでは、新卒と既卒では圧倒的に新卒が有利であるが故、学生としては卒業までに必ずどこかに就職しなければいけないという意識が働きます。

そうすると、条件が悪い企業でもやむなく就職せざるを得ない学生もたくさんいるので、こういった会社が生き残れてしまうのです。

③年功序列

多くの日本企業では基本的には年を取るごとに給料が上がっていく年功序列型です。

給与を決める要素の大部分が”年齢”に依存しているため、会社の業績が悪くても、個人のパフォーマンスが悪くても、年齢に応じてほとんど固定給のように支払われていくのが普通です。

よって、会社側からすれば業績が悪くても給与を下げることが困難なため、そのような事態に備えて景気がいい時でも給与を上げない傾向があります。これも、給与が低い大きな要因となっています。


このようなことを考えても、やはり日本の経済をがらりと変えていくためには、日本型雇用システムから脱却というのが必須になってくると考えます。

以上

りろんかぶお

その他の人気記事はこちら↓
にほんブログ村 株ブログ 米国株へ
にほんブログ村

※当ブログで紹介する理論株価は、いくつかの前提条件をりろんかぶおが独自に設定している為、その前提条件次第では計算結果が異なってきます。また当ブログは、投資に関する情報を掲載していますが、特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。また、読者が当ブログの情報を用いて行う投資判断の一切について責任を負うものではありません。






[ 2020/06/23 13:35 ] 13.投資の勉強部屋 | TB(-) | CM(0)

米国マネーストックとFRBバランスシートと株価の関係

<マネーストックとは?>

金融部門から経済全体に供給されている”通貨の総量”のこと。

米国では、M1とM2の統計を公開。(日本ではM1、M2、M3、広義流動性、の4種類)

米国と日本でM1、M2の定義は微妙に異なるが、米国における定義は以下。

M1:一般に支払いのために使われる通貨からなり、現金と当座預金からなる

M2:M1に流動性の高い預金口座(普通預金および小額の定期預金)を足したもの

※米国では当座預金(Checking Account)が日常的な決済に使用される口座で、普通預金(Saving Account)は利息を得るための口座で、当座預金に不足が生じたときは普通預金から補うのが般的な使い方

<米国のM2推移(直近5年間)>

米国M2_20200618
出典:FRED

<FRBバランスシート推移(直近5年間)>

FRBBS_20200618.png
出典:FRB

<S&P500推移(直近5年間)>

米国SP500_20200618

<考察>

米国のマネーストックはコロナ後に急増。(およそ$2,500 billion(100円/ドルだと250兆円))

これは、FRBが大量の資産購入を通じて、主に金融機関に資金を注入し、金融機関が民間に積極的に融資を行ったため。

事実、FRBのバランスシートもコロナ後に急増。(およそ$3,000 billion(100円/ドルだと300兆円))

FRBが金融機関に注入したマネーは、民間に貸出することで初めてM2が増加するので、FRB資産拡大幅の方がM2拡大幅よりも大きい。

M2が急増しているということは、世の中のマネーの総量が急増しているということ。

これは、コロナ不況の中でも、誰かの懐が潤っているということ。

では誰の懐が潤っているのか?

ここでは以下3つに分けて考えてみる。

①ロックダウン下でも必要とされる企業

これらの企業は、ロックダウンによる影響は特に受けず、コロナの前と後で特に変化なし。
むしろ一部のIT企業はコロナ前対比で収支がプラスに。

②ロックダウン下で必要とされない企業

これらの企業は、ロックダウンにより大半の収入がなくなった一方、固定費は継続。
但し、政府およびFRBからの補助及び融資などにより、先数か月分或いは1年以上のキャッシュを確保したことで、キャッシュの面ではプラスになっている可能性あり。

③個人

多くの個人が失業や休業などで、元々の収入はストップしたものの、こちらも手厚い失業・休業手当により収入は維持。(大企業社員も給与維持)
一方で、ロックダウンにより生活必需以外の消費は激減。

収入は維持で、支出が減っているので、個人単位ではコロナ前対比で収支がプラスに。

STOP

これらの考察から、激増したマネーの所在は、②ロックダウン下で必要とされない企業、および③個人、にあると考えられる。

ロックダウン下で必要とされない企業の将来の備えとしてのキャッシュは、経済再開とともに収入が戻ってくると、どこかの時点で”備え”だったものが”余剰”となる企業も現れ、新規の設備投資や株主還元に向かう可能性あり。

但し、これは直接的に株の需給に働きかけるものではない。(間接的には株価にプラスの影響を与えるが)

一方、個人の余剰はどうか?

これは、消費に向かうものと投資に向かうものに分かれるが、投資に向かうものは直接株の需給に働きかけるので、これにより資産価格は通常よりも過剰に買われる傾向になる。

S&P500は既に急回復しており、それには様々な要因があると考えられるが、個人の余剰マネーが投入されたことによる要因もかなり大きいと考えられる。

以上

りろんかぶお

その他の人気記事はこちら↓
にほんブログ村 株ブログ 米国株へ
にほんブログ村

※当ブログで紹介する理論株価は、いくつかの前提条件をりろんかぶおが独自に設定している為、その前提条件次第では計算結果が異なってきます。また当ブログは、投資に関する情報を掲載していますが、特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。また、読者が当ブログの情報を用いて行う投資判断の一切について責任を負うものではありません。


[ 2020/06/18 11:58 ] 13.投資の勉強部屋 | TB(-) | CM(0)

ベーシックインカムの財源議論で抜け落ちている点

20200612_ベーシックインカムの財源


コロナ感染拡大による緊急事態宣言発出に伴い国民全員に10万円が支給されました。

これに伴って改めて議論されているのがベーシックインカム(BI)です。

BIとは、政府が全国民に対して最低限の生活を送るのに必要な現金を定期的に支給するという政策です。

一見わくわくするような政策ですが、この議論でいつも抜け落ちているのが「誰が生産するのか?」という点です。


1.生きていくということと生産活動は切っても切れない関係



人間が最低限生きていくためには衣食住が必要です。

まだ狩猟民族だった頃は、自分自身(或いは村自身)の衣食住という需要を満たすために、自分自身(或いは村自身)が生産を行うという自己完結型でした。

一方現代を見てみるとどうでしょうか?

人間社会における需要は幅広くなりましたが、生きていく上で最低限必要なのはやはり衣食住です。数万年前と変わりません。

つまりベースとなる需要は変わっていません。

一方で生産サイドはどうでしょうか?こちらは大きく変わりました。
生産性向上のために、大規模な役割分担がおこりました。

衣服を生産する人は自身の需要以上に大量の衣服を。
食を生産する人は自身の需要以上に大量の食を、といった具合です。

そして、過剰に生産したものを市場でお金と交換します。
このお金と交換する形で、自身が生きていくのに必要な衣食住を手に入れるのです。

つまりお金というのは生産を行った証であるともいえます。

そしてここからわかることは、古代も現代も変わらないのは、自分自身が生きていくための需要と同量或いはそれ以上の生産を行わなければ生きていけないということです。

(産業革命以降、生産効率は大幅に改善されていますので、実は生きていくために必要な需要を満たす生産量というのはものすごく小さな労力で作り出すことができます。つまりみんな必要以上に働きすぎで、必要以上に消費しすぎなのです。)


2.BIの財源案



翻って、現在のBIで議論されている財源案は大きく分けて以下三つがあります。

①税収案

国が税を徴収し国民に配るというものです。

国民は配られたお金を元手に自身の需要を満たしていくことができますが、生産はだれが行うのでしょうか?

これはいわゆる所得再分配で、国民の一部の人が頑張って稼いだお金を政府が取り上げて、全国民に配っていくというもの。

つまり一部の国民が、全国民の需要量を満たすのに十分な量を生産しなければ成り立ちません。

頑張っただけ無駄という空気が蔓延し、頑張って稼ぐ一部の人が減少していくことは、かつての社会主義国家のソ連や中国を見れば明らかでしょう。

②政府紙幣

国が紙幣を発行し国民に配るというものです。

生産はだれが行うのでしょうか?問答無用ですね。これなら①の所得の再分配の方がまだましだと思います。

(現在のようなデフレ下で、経済の軌道修正を行うための紙幣発行を否定するものではありません)

③無税国家論

政府が資本を蓄積し、その運用益を国民に配るというもの。
これは①、②に比べればマシな考え方かもしれません。

生産活動というのは、資本と労働によって行われます。よって資本を通じて生産活動に携わり、そこで生み出した生産物を背景としたお金(運用益)を使って需要を満たしていくというものです。

国家の単位で話していますが、個人の単位にまで狭めていくと、要は「資本家」と同じことです。
資本家は自身で労働はしていませんが、資本を通じて生産活動を行っているので、生きていくことができるのです。

よって国家ごと資本家になるということですね。

但し、ここで注意点があります。

それは、資本は海外に持っておく必要があるということ。

資本主義を前提にすると、国内の資本をすべて国家が保有することはできません。

全て国家が保有するということはもはや社会主義国家と同じで、社会主義が問題があるのはご承知の通り。(労働意欲の低下による生産不足、技術革新の欠如などなど)

資本主義を前提にすれば、国家が国内の資本の40%を握ったとしても、残りの60%は一部の資本家に吸い取られて行ってしまい、通常資本家はその大半を自身の懐に蓄積していってしまうので(消費に回るのは一部)、国民に十分なお金を配ることは不可能です。(詳しい説明は省略しますが)

よって資本は海外に持つ必要があります。

但し、これは海外の労働力を搾取した上に成り立っているモデルであるといえます。

全世界で見れば、全世界の人々が生きていくのに必要な生産量というのがあって、それに必要な労働量が一定と考えれば、日本人が労働しない分、他の国の人たちが余計に頑張らなくてはいけません。

すべての国がこのような状態を目指せば、今度は「労働はだれがやるの?」という状態になります。


以上みてきた通り、①、②、③の財源案は、生産をだれがやるのか、労働をだれがやるのか、という議論が全くもって抜け落ちてしまっており、どれも「実現性に乏しい」です。


2.BIは不可能ではない?



さてここで「実現不可能」ではなく、「実現性に乏しい」といったのには理由があります。

それは、一定の条件が揃えば実現可能だということです。

それは何か?

それはAIやロボットが生産活動を自己完結でできるようになったら、という条件です。

AIが毎年必要な生産量を割り出し、自然災害などの様々なトラブルにも柔軟に対処し、AIの指示に従ってロボットが生産活動を行っていけば、「誰が生産するの?」問題は解決します。

AIとロボットを国が保有し、国は国民に生きていくのに最低限必要なお金を配り、国民は生産・労働を行わずにそのお金を使って生きていくことができます。

これでは社会主義的では?と思うかもしれませんが、そうだと思います。

ただ、社会主義の問題点というのは労働意欲の低下に伴う生産不足や技術革新の欠如だったので、その点AIとロボットは電源さえ確保できていれば労働意欲は関係ありません。

AIに技術革新が起こせるかというと、現時点ではノーだと思いますが、人類はもはや技術革新が不要なほど豊かな生活を手に入れているのでこれ以上の技術革新は不要と割り切ってしまってもいいかもしれません。(実際のところ気候変動など持続可能な世界つくりのための技術革新はまだまだ必要ですが)

以上

いつもありがとうございます。参考になったと思って頂けた方は応援ボタンを押して頂けますと励みになります。
にほんブログ村 株ブログ 米国株へ
にほんブログ村

りろんかぶお

※当ブログで紹介する理論株価は、いくつかの前提条件をりろんかぶおが独自に設定している為、その前提条件次第では計算結果が異なってきます。また当ブログは、投資に関する情報を掲載していますが、特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。また、読者が当ブログの情報を用いて行う投資判断の一切について責任を負うものではありません。

[ 2020/06/12 15:50 ] 13.投資の勉強部屋 | TB(-) | CM(0)

貧富の格差議論に意味はあるのか?

格差_20200610

出典:ダイヤモンド

以下の不等式をご存じの方は多いと思います。

r>g

これは2013年にトマ・ピケティの著した「21世紀の資本」にて示されたもので、資本収益率(r)は経済成長率(g)を常に上回るという歴史的事実を指します。

ここで、「資本収益率(r)」は資本から得られる金利や配当利回りなどを指します。
資本家は資本収入を再投資することで、毎年の資本収入を資本収益率同じ比率で増やしていくことができます。

(例えば、資本収益率が10%であれば、初年度は100の資本から10の収入が、次年度は110の資本から11の収入が得られます。次年度の収入は初年度から資本収益率と同じ10%増えていることがわかります。)


次に、「経済成長率(g)」はGDP成長率です。

GDP構成要素は「労働者賃金+営業余剰+固定資本減耗・その他」です。
実は配当などの資本収入も営業余剰の中に含まれますが、全体に占める割合としては通常労働者賃金が最も大きいので、ここでは「経済成長率」≒「労働者賃金の伸び率」として考えます。


つまり、「資本収益率(r)」>「経済成長率(g)」は、労働者よりも資本家の収益の伸び率の方が大きいことを意味し、資本主義経済においては時間の経過とともに貧富の格差はますます拡大していくことが歴史的な事実であることを暴いたのです。


また、2017年に、国際非政府組織(NGO)オックスファムは、世界で最も裕福な8人と、世界人口の下位半分に当たる36億7500万人の資産額がほぼ同じだとする報告書を発表して話題になりました。


これらによって、現在の富の大部分がほんの一握りのお金持ちに集中しており、貧富の格差は想像を絶するほど広がっているという認識を多くの人が持っていると思います。


一方で、貧富の格差というのは重要でしょうか?


個人的にはあまり重要ではないと思っています。

なぜなら、人間は常に他人との比較を通して自分の現在位置を認識する生き物だからです。

そして自分と他人との間に「差」があるときに、劣等感に浸ったり、優越感に浸ったりするのです。

そしてその「差」の大きさと、劣等感・優越感の大きさは比例しないように思います。

例えば、年収500万円の人の場合、年収600万円の人に対する嫉妬(年収差100万円)よりも、年収800万円の人に対する嫉妬(年収差300万円)の方が3倍大きいのでしょうか?

それはそんなことないと思います。

逆に、差が小さいほうがよりその人との距離が現実的であり、嫉妬が大きいかもしれません。
(年収500万円の人がジェフベゾスやビルゲイツに嫉妬しないのと同じです)

つまり、どんなに頑張って平等な社会を作ったとしても、他人と自分との間に少しでも「差」があれば不満が募るのです。

よって格差への不満の議論というのはとても不毛なように思えます。


では、格差問題は全てが不毛な議論かと言われればそうでもないと思います。


世の中には、貧しい家庭に生まれて子供のころから労働を強いられ、教育を受けられずに、一生貧しい生活を余儀なくされる人々も多く存在します。

このような人たちに、他の人と同じように平等にチャンスが与えられているとは思えません。

つまり生まれた環境に関わらず、努力が報われる社会であるべきとは思います。

では、格差を助長するといわれる資本主義は、このような人々をさらに貧しくするようなシステムなのでしょうか?


このような人たちが世界にどれくらい存在しているかを把握するデータの一つに、世界銀行がまとめる絶対的貧困率データがあります。

絶対的貧困とは、たとえば、食べ物がない、家がないなど人間としての最低限の生存条件を欠くような貧困のことを意味します。
これを世界銀行は「日給1.9ドル以下の人々」と定義しています。(じゃあ日給2ドルあれば生きていけるかというとかなり疑問ですが)

世界人口に占める絶対的貧困率と絶対的貧困者数を現したのが下図です。

絶対的貧困人口比率
絶対的貧困人口
資料:世界銀行のデータを基に著者が作成



これを見れば、絶対的貧困率も貧困者数も年々急速に改善してきていることがわかります。


ピケティの不等式「r>g」だけ見れば、資本主義は格差を拡大させるひどい経済システムだと思うかもしれません。

ただ、資本主義だからこその急速な経済発展の中、資本家は経済発展以上にますますお金持ちになっていっているかもしれませんが、最下層もかなり底上げされていることは事実です。

世の中全体がみな人間的な生活をしていけるようにするという意味では、他の経済システムに比べれば資本主義はかなりマシなシステムといえるかもしれません。

以上

いつもありがとうございます。参考になったと思って頂けた方は応援ボタンを押して頂けますと励みになります。
にほんブログ村 株ブログ 米国株へ
にほんブログ村

りろんかぶお

※当ブログで紹介する理論株価は、いくつかの前提条件をりろんかぶおが独自に設定している為、その前提条件次第では計算結果が異なってきます。また当ブログは、投資に関する情報を掲載していますが、特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。また、読者が当ブログの情報を用いて行う投資判断の一切について責任を負うものではありません。


[ 2020/06/10 16:40 ] 13.投資の勉強部屋 | TB(-) | CM(0)

コロナのパニック相場で感じたこと

投資方針

出典:幻冬舎

今回は自身の備忘も含め、コロナウイルス感染拡大に伴う大暴落相場で、感じたこと、気づいたこと、反省点等を振り返ります。

感染第二波が懸念される中、少々気が早いですが株式市場は落ち着きを取り戻し既にかなり回復してきているので、いったんここで整理しておきたいと思います。

1.パニック相場で感じたこと(心理面)

・含み益があるときはまだ心に余裕あり。どちらかというと絶好の買い場だから買わねばと。

・含み損に突入し、含み損が膨らんでいく状況は正直かなり「怖い」という感情が。その一方で、ここで拾えずにあっという間に元の水準まで戻ってしまったらどうしようという怖さも。

・市場参加者がパニックになっていることはわかっていた。株価が割安なのもわかっていた。ただ、パニック相場でどこまで下がるか全くわからない。

・自分の投資先が倒産することはないという自信はあったが、世の中悲観一色の「資本主義が終わるのでは?」という考えもちらつく。(←今考えればばからしいが)

2.パニック相場で気づいたこと

・暴落相場の最中ではどこが底かがわからないので、買いたい企業の適正株価水準を把握しておくことは重要。(適正株価以下で買えれば、その後どんなに下がってもいいやと思える)

・パニック相場のメカニズム。歴史的に「暴落は買い」というのが常識な中、もう大暴落は来ないのでは?とすら思っていたが、パニック相場では投資知見の浅い投資家が恐怖から投資信託を解約してしまうので、「暴落は買い」という玄人の投資判断を素人の「怖いから売り」という投資判断が飲み込んでしまい、売りが売りを呼ぶ展開に。平常時はプロ(機関投資家)が運用し、パニック相場では素人が運用するイメージ。

・世の中が悲観一色の時は、自分の考え方も悲観的になってしまう。(「資本主義が終わるのでは?」というのもこれが原因)

・テレビコメンテーターは大体てきとうなことを言っている。

・連続増配というのは精神安定剤になる。配当をいつも通り出してくれるなら別に株価が下がってたっていいや、2~3年低迷したっていいやと、ある程度思える。

・生活必需品系の優良企業(P&Gなど)は暴落に強い。(どんなに不景気になっても、「シャンプーを二日に一回にしよう」「子供のおむつ交換は一日一回にしよう」などとは思わない)

3.自身の投資の反省点

・下げ相場の早い段階で保有現金を多く使ってしまった。

・一生持っていたいと思えるかというとそうではない流行銘柄(Zoomやギリアド)に投資してしまった。一儲けしてやりたい、という気持ちで投資してしまった。

4.よかったこと

・(偶然だが)現金を多めに持っていた。

・どの企業を、いくらで買いたいか、準備はできていた。

5.今後に活かしたいこと

・暴落相場こそ自分の投資の目的をしっかり再確認。自分の場合は「資本を通じて社会に貢献したい」というのが目的なので、それに沿った投資行動をすべき。

・具体的には、「どんな状況になっても応援したいと思える企業が今回のように危機に陥っている時こそ喜んで応援の買いを」というマインドで投資をすべき(自分の場合です)。「この暴落相場で一儲けしてやろう」と思ってはうまくいかない。

・企業が苦しい時こそ、応援の投資をするにはいい機会なので、やはりこういうときのためにある程度現金(応援準備金)は持っていたい。

以上

いつもありがとうございます。参考になったと思って頂けた方は応援ボタンを押して頂けますと励みになります。
にほんブログ村 株ブログ 米国株へ
にほんブログ村

りろんかぶお

※当ブログで紹介する理論株価は、いくつかの前提条件をりろんかぶおが独自に設定している為、その前提条件次第では計算結果が異なってきます。また当ブログは、投資に関する情報を掲載していますが、特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。また、読者が当ブログの情報を用いて行う投資判断の一切について責任を負うものではありません。

[ 2020/06/09 11:46 ] 13.投資の勉強部屋 | TB(-) | CM(0)

現代でも示唆に富む「共産党宣言(1848年)」③

共産党宣言_20200602


今回は「資本論」で有名なマルクスとエンゲルスの文書「共産党宣言」(1848年発表)についての第三回です。

現代でも示唆に富む「共産党宣言(1848年)」①
現代でも示唆に富む「共産党宣言(1848年)」②

170年以上前の文書ですが、この文書が指摘する資本主義の構造的な問題などは現在にも通ずるところがあり、資本主義の理解を深めるという意味でも投資家には示唆の多い内容になっていると思います。


3. 共産党宣言の概要


前回までで確認した歴史背景の中で、フランスにおける1830年以降の七月王政時代は産業革命が本格的に進み、資本家(ブルジョアジー)と賃金労働者(プロレタリアート)という階級が明確になり、虐げられたプロレタリアートの不満が爆発して1848年の二月革命に至りました。

「共産党宣言」の発行日は二月革命の直前1848年2月で、しかも場所はロンドン、言語はドイツ語だったので、これが二月革命に直接的な影響を与えたものではありません。

ただし、当時すでに抑圧階級であるブルジョアジーと被抑圧階級であるプロレタリアートという構図が浮き彫りになってきており、プロレタリアートを中心に社会主義・共産主義の考え方が広がっていたのは事実であり、そのような思想を文書にまとめたものが「共産党宣言」といえるでしょう。

ちなみに当時理解されていた「共産主義」とは、教義や思想というより、被抑圧階級であるプロレタリアートを解放する「運動」ととらえられていました。

では、共産党宣言とは何だったのかというのを以下で見ていきます。

・共産党宣言の目的とは?

共産主義者が自己の見解、目的、企図を全世界に表明、宣言すること。
この目的のために、様々な国と民族の共産主義者がロンドンに集まって宣言を起草したもの

・共産主義者の見解とは?

人類の歴史は階級闘争の歴史であり、1848年当時は、搾取され抑圧されている階級がプロレタリアートであり、搾取し支配している階級がブルジョアジーである。

プロレタリアートとは近代労働者のこと。生活の糧を自己の労働の販売から得ている社会階級。

ブルジョアジーとは近代資本家のこと。それまで道具(紡ぎ車や手織り機など)と手作業で行われていた生産過程を、蒸気機関を動力とする巨大な機械に置き換え、労働者を生産主体である機械の付属物のように扱う大工業における資本家を指す。(小工業家、小商人、手工業者とは異なる)

そして被抑圧階級であるプロレタリアートが自身を解放するために、団結し革命を起こし、その結果ブルジョアジーが没落し、プロレタリアートが勝利することは不可避である。

プロレタリアートは革命を通じて、自らが支配階級になり、支配階級としてブルジョアジーの権利を力ずくで廃棄し、階級闘争の社会に代わって、万人の自由の発展のために、各人の自由の発展が条件となるような協同社会(アソシエーション)が登場する。

・プロレタリアートはどのように抑圧されているのか?

プロレタリアートの労働は機械の普及と分業の発達により、機械の単なる付属物と化し、最も単純かつ単調で、最も簡単に覚えることのできる操作だけが求められるようになり、労働のあらゆる魅力が失われた。

このような構造の下、労働はあらゆる他の商品と同じ一個の商品であり、商品の価格が生産費に等しいのと同様、労働の価格(賃金)も生産費に等しい。そして、労働の生産費とは、労働者が働き続けることができ、労働者階級が死滅しない状態を保つのにちょうど必要なだけの生活費である。

他方、莫大な生産力を得たブルジョアジーは私有財産制と自由市場・自由競争の下、野放図な競争を行い、生産過剰に陥り、経済恐慌に至る。恐慌時に過剰となった生産力は破壊されるが、経済の過熱→恐慌→回復、という循環を繰り返す。

絶え間なく続くこの過程で、労働者に対する需要は経済の波ととともにとても不安定であり、さらに競争の激化に伴い生産効率が改善されればされる程、労働の不快が増大し、それに比例して賃金もまた下がっていく。

これが進展するにしたがって、プロレタリアートの不満が増大し、ついにはブルジョアジーに対する闘争が始まるのである。

・このような見解の中、共産主義者はどのような役割を果たすのか?

共産主義は、プロレタリアートを団結させ階級を形成し、民主主義を獲得(プロレタリアートの選挙権を獲得)し、プロレタリアート自らの政治的支配を利用して、ブルジョアジーの支配を打倒し、最終的に階級対立のない協同社会(アソシエーション)を登場させる、という運動全体をさす。

共産主義者はこの運動の結果を洞察した上で、この運動全体の利益を代表し、推進していくものである。

・どのようにプロレタリアートを階級化させるのか?(階級化の企図は?)

不満が爆発したプロレタリアートは、最初は個々のプロレタリアートが自分たちを直接搾取している個々のブルジョアと闘争を開始する。

これらの個々の闘争は、当初は各地域でまったく別個のものとして発生するが、それらはどこでも共通の性格を有していることと、近代工業によって作り出された運輸交通手段の改善により、次第に各地域の闘争が相互に結び付きはじめ、地方的諸闘争が全国闘争に、そしてついにはプロレタリアートという階級が組織され、一個の階級闘争に発展するのである。

この階級闘争を通じて、民主主義(プロレタリアートの選挙権。当時の選挙権は納税額の制限があったため)を勝ち取るのである。

・プロレタリアートは政治的支配を利用して具体的にはどのようにしてブルジョアジーの権利を廃棄するのか?(ブルジョアジー支配打倒の企図は?)

共産党宣言では、私有財産権と自由競争がブルジョアジーをここまで大きなものにし、プロレタリアートをここまで貶めてしまった根本的な問題と考えている。

よって、ブルジョアジーの支配を打倒するためには、主に私有財産権を撤廃し、ブルジョアジーからあらゆる資本、生産用具を奪い取り、主にプロレタリアートで組織された国家の手にそれらを集中すべきと考える。

諸方策は国によって異なるが主な方策としては以下があげられるとしている。

土地所有を収奪し、地代を国家の費用に充当
高度の累進課税
相続権の廃止
亡命者と反逆者の財産没収
国営銀行を通じて国家の手に信用を集中すること
運輸交通手段を国家の手に集中すること
国営工場と生産用具を増大させ、協同の計画に基づいて土地の悔恨と改良を進めること
万人に対する平等の労働義務。
農業経営と工業経営の結合
無償教育、児童労働廃止、教育と生産活動の結合
などなど

・そして宣言の最後に、万国のプロレタリアにこう呼びかける


「支配階級を共産主義革命の前に戦慄せしめよ。プロレタリアはこの革命において鉄鎖以外失うものは何もない。彼らが獲得するのは全世界である。

万国のプロレタリア、団結せよ!」

STOP

・その後共産党宣言は19世紀後半にかけて各国語版に翻訳され大きな影響力を与えました。資本主義に対する深い洞察が含まれており、現代においてもとても示唆に富む内容であると感じたと同時に、ブルジョアジーを打倒した後の世界を具体的にどのように運営していけばよいのか、という点についてはほとんど言及がありません。

・共産党宣言を一通り理解した上で、現代に目を向けてみるとどうでしょうか?日本の大企業では、強い労働組合が存在し、ある程度賃金交渉できる体制が整っていて、解雇に関しては労働基準法でがっちり規制されているので、共産党宣言が発行された当時よりかは資本主義が成熟し、労働者を守るための体制が整備されてきている印象です。

・一方でバブル崩壊後、平均賃金はほとんど上がらず、非正規労働者の割合はますます増大(今や4割に)し、これら非正規社員の賃上げや地位向上はほとんどなされず、少子高齢化に伴い税や保険料負担はますます上がっているのも事実。

・それでも日本の労働者は大規模な犯行を作り出すことなく、これら搾取を従順に受け止めており、世界的に見ても日本の異常さは際立っているという見方もあります。なぜ日本の労働者はここまでおとなしいのでしょうか?

・最近米国で白人警察官が黒人を殺害した事件で大規模な差別反対デモが起こっています。その中で「資本主義は死ね」というのを掲げている人がいました。この言葉は、資本主義の構造的な問題をある程度理解していないとできないコメントだなと思います。

・翻って、日本を眺めてみると、「資本主義」ということを理解している人があまりにも少ないように感じます。日本の労働者がおとなしいのではなく、資本主義がどのような構造になっているかに対して著しく知識が欠如している為に、これが普通と考えているのではないでしょうか?

・著者としては、必ずしも共産主義的な考え方を支持しませんが、人類が発展していくためには、それぞれが現在世界を支配している資本主義について考え、自らの考えを発信していくべきではないかと思います。



以上

いつもありがとうございます。参考になったと思って頂けた方は応援ボタンを押して頂けますと励みになります。
にほんブログ村 株ブログ 米国株へ
にほんブログ村

りろんかぶお

※当ブログで紹介する理論株価は、いくつかの前提条件をりろんかぶおが独自に設定している為、その前提条件次第では計算結果が異なってきます。また当ブログは、投資に関する情報を掲載していますが、特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。また、読者が当ブログの情報を用いて行う投資判断の一切について責任を負うものではありません。

[ 2020/06/05 14:54 ] 13.投資の勉強部屋 | TB(-) | CM(0)

現代でも示唆に富む「共産党宣言(1848年)」②

共産党宣言_20200602


今回は「資本論」で有名なマルクスとエンゲルスの文書「共産党宣言」(1848年発表)についての第二回です。

現代でも示唆に富む「共産党宣言(1848年)」①

170年以上前の文書ですが、この文書が指摘する資本主義の構造的な問題などは現在にも通ずるところがあり、資本主義の理解を深めるという意味でも投資家には示唆の多い内容になっていると思います。


2. 歴史的背景②(フランス革命~ナポレオン)


前回に引き続き、共産党宣言を正しく理解するために、当時の歴史的背景をみていきます。

今回はナポレオン失脚後の歴史です。

④1814年~1830年 「復古王政」

政治:軍事独裁→立憲君主制
経済:私有財産制(資本主義)

・ナポレオン時代のヨーロッパは、イギリスとロシアを除けばそのほとんどが、フランスの服属国、同盟国となっていました。そして、ナポレオン失脚後のヨーロッパの秩序回復を図る目的で行われたのがウィーン会議。

・ウィーン会議はその名の通りオーストリアの首都ウィーンで開催され、ヨーロッパ諸国の君主及び代表が参加しました。もともとナポレオン戦争は、王政廃止を実現したフランスがその革命理念をヨーロッパに拡張しようとしたもので、これに反発した周辺諸国が対仏大同盟を結び、最終的に対仏大同盟側が勝利したものです。

・よって、ウィーン会議はヨーロッパをフランス革命以前の絶対王政の状態に戻すという理念を出発点として議論が行われ、結論として各国の旧君主が復位することで合意。

・一方フランスでは、フランス革命で生まれた市民意識は定着していたので、憲法をはじめ、所有権の不可侵や法の下の平等など、革命の成果は保障(ただし選挙権は一定額の納税者に限定する制限選挙)。よって、王政は戻ったものの、憲法の縛りがある立憲君主制に。

・平等や私有財産権は確保されたものの、フランス市民は選挙権の拡大、より自由主義的な経済を求め、そのような考えを持つ自由主義者が増加。そんな中、1824年に王位に即位したシャルル10世は、かつての絶対王政の状態に戻すような動きを見せ、1830年に、出版の自由の制限や制限選挙のさらなる強化を画策し、これに反発した民衆が蜂起し7月革命が勃発。

・この間に、当時自由主義者が多数派を占めた議会が国王の廃位を宣言し、シャルル10世はイギリスに亡命。

⑤1830年~1848年 「七月王政」

政治:立憲君主制→共和制
経済:私有財産制(資本主義)

・七月革命後、国王に迎えられたのは、それまで王位に就いていたブルボン家の分家筋に当たるルイ=フィリップで、独裁者としてではなくフランス人のための王と称して市民王とも呼ばれた(ただし議会は引き続き制限選挙制)。

・七月王政期のフランスは本格的な産業革命時代となり、機械化が進み鉄道の建設が開始。その結果、資本家(ブルジョワジー)と賃金労働者(プロレタリアート)という階級が明確に形成され現代の資本主義に非常に近い形に。

・資本主義が発展するにしたがって、ブルジョワジーはますます富を増やした。一方でプロレタリアートの労働力は商品と同様に扱われ、その対価はプロレタリアートの維持費用、つまり生活費ぎりぎりの水準まで切り下げられていった。

・さらに、制限選挙故に、いわゆるお金持ちしか選挙権を持たないため、必然的にブルジョワジー寄りの政権に。当時の首相が「選挙権が欲しければ金持ちになり給え」といったのは有名。

・こういう状況の中、プロレタリアートの権利を回復するため、社会主義・共産主義への期待が高まった。さらに一部の市民層が普通選挙を要求する選挙法改正運動を起こした。これを抑え込もうとした政府に激昂したパリ市民、労働者はついに蜂起して二月革命が勃発。その結果、ルイ=フィリップを退位に追い込み七月王政を倒し、共和政を宣言し臨時政府が成立された。

・かつてのフランス革命や七月革命では貴族階級対ブルジョワジーであったが、二月革命はブルジョワジー対プロレタリアートという構図であったことが特徴的。

・二月革命の結果男性普通選挙が実現し、社会主義・共産主義を志向するプロレタリアートも選挙に参加するも、私有財産権を否定する社会主義・共産主義的な思想は、フランス革命でようやく私有地を得た農民からの反発を受け、結局はブルジョワが支持する穏健共和派が政権を握ることに。

・つまり、ブルジョワジー対プロレタリアートの対立関係は二月革命では解消せず、その後も続くことに。

STOP

次回は、二月革命時のプロレタリアートの思想に多大な影響を与えた「共産党宣言」の内容に迫っていきます。

以上

いつもありがとうございます。参考になったと思って頂けた方は応援ボタンを押して頂けますと励みになります。
にほんブログ村 株ブログ 米国株へ
にほんブログ村

りろんかぶお

※当ブログで紹介する理論株価は、いくつかの前提条件をりろんかぶおが独自に設定している為、その前提条件次第では計算結果が異なってきます。また当ブログは、投資に関する情報を掲載していますが、特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。また、読者が当ブログの情報を用いて行う投資判断の一切について責任を負うものではありません。

[ 2020/06/03 12:22 ] 13.投資の勉強部屋 | TB(-) | CM(0)

現代でも示唆に富む「共産党宣言(1848年)」①

共産党宣言_20200602


今回は「資本論」で有名なマルクスとエンゲルスの文書「共産党宣言」(1848年発表)について紹介します。

170年以上前の文書ですが、この文書が指摘する資本主義の構造的な問題などは現在にも通ずるところがあり、資本主義の理解を深めるという意味でも投資家には示唆の多い内容になっていると思います。


1. 歴史的背景①(フランス革命~ナポレオン)


まず、共産党宣言を理解する上では、当時の歴史的背景を理解する必要があります。

18世紀後半、19世紀前半のヨーロッパの歴史はフランスの市民が主導する形で展開されました。

当時のフランス史の概要は大まかに以下のようなものでした。

①~1789年 「フランス革命以前」

政治:絶対王政(王が絶対的な権力を保持)
経済:封建制(王の下の貴族が土地を領有し、その土地の人民を統治)

・国王を頂点に、第一身分:聖職者、第二身分:貴族、第三身分:一般市民、の構成。

・第一・二身分は特権階級で、国土の大半を領有する封建領主として第三身分を支配。

②1789年~1799年 「フランス革命」

政治:絶対王政→立憲君主制(王の権力が憲法により規制されている王政)→共和制(王を持たない政体)
経済:封建制→私有財産制(資本主義)

・国王及び貴族に抑圧されていた第三身分が自身の権利を主張しフランス革命が勃発。

・これにより第三身分のみで組成された国民議会を正式な国の議会であることを国王に認めさせ、最終的に「1791年憲法」を制定。これにより、絶対王政から立憲君主制へ、そして財産制限はあるものの第三身分の選挙権を認め、この制限選挙による立法議会が憲法に続く諸法規の制定することとなった。

・1791年憲法で、第三身分は選挙権を獲得したものの財産制限があったため、1792年、選挙権を持たない一般市民や下層民がこれに反抗し、国王を襲撃するという事件が発生。この結果王政が廃止され、翌年制定された「1993年憲法」では人民主権を明確に打ち出し、財産制限のない男性普通選挙が盛り込まれ、本格的に共和制が開始。

・1793年以降、男性普通選挙で成立した議会では、第三身分の下層民の権利を主張する派閥が台頭し、初期に廃止されていた封建特権に加え、封建地代の無条件無償廃止が実現し、封建制が完全に終了。「1795年憲法でも私有財産の不可侵を明記。長きにわたった領主と濃度の関係に終止符が打たれ、農民が土地所有権を獲得。

③1799年~1814年 「ナポレオンの軍事独裁」

政治:共和制(王を持たない政体)→軍事独裁
経済:私有財産制(資本主義)

・フランス革命期、王政統治をおこなっていた周辺諸国は、フランス革命による王政廃止の波及を恐れ、イギリス、オーストリア、プロイセン、スペインなどを中心に対仏大同盟を結成し、フランスとの戦争に突入(フランス革命戦争)。

・当初、フランス側が敗戦を続けるも、1796年以降、フランス軍をナポレオンが率いるようになって形成が逆転し、対オーストリアでは和平締結に成功。このような実績をひっさげたナポレオンは、当時市民主導の革命の末に混迷を極めた政府に対し、クーデターを起こし、当時の政府を倒し、自身が統領となる政府を樹立。

・その後、ナポレオンは革命理念の全ヨーロッパへの拡張を目指し、ナポレオン戦争といわれる実質的な征服戦争を展開。

・更に国内の幅広い支持を背景に、1804年ナポレオン1世として皇帝に即位。これによってフランス革命によって生み出された共和政は終わりを告げ軍事独裁政権へと移行。

・ナポレオンは1807年までに、イギリス以外のヨーロッパをほぼ征服。ただし、1812年のロシア遠征に失敗したことから急転し、最終的にはパリも陥落し、ナポレオンは1814年に退位。その後まもなく皇帝に復したが1815年にすぐに敗れて1821年に死去。

STOP

次回は、ナポレオン失脚後の歴史を見ていきます。

以上

いつもありがとうございます。参考になったと思って頂けた方は応援ボタンを押して頂けますと励みになります。
にほんブログ村 株ブログ 米国株へ
にほんブログ村

りろんかぶお

※当ブログで紹介する理論株価は、いくつかの前提条件をりろんかぶおが独自に設定している為、その前提条件次第では計算結果が異なってきます。また当ブログは、投資に関する情報を掲載していますが、特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。また、読者が当ブログの情報を用いて行う投資判断の一切について責任を負うものではありません。

[ 2020/06/02 15:42 ] 13.投資の勉強部屋 | TB(-) | CM(0)

現代企業の競争優位性とは?

競争優位性_20200518


長期投資する上で、投資対象企業がいかほどの競争優位性を有しているか、というのは非常に重要です。

なぜなら、資本主義社会において企業は市場を通じて常に競合他社との競争にさらされているからです。

今後10年、30年と、他社との競争を勝ち抜いていける確かな根拠(競争優位性)を持った企業に投資することが、成功の条件であることは間違いありません。


それでは競争優位性とは何なのでしょうか?

それは消費者が他の商品ではなく自社商品を選ぶ「理由」が、長期的に見ても他社にはまねできなそうなものかどうか、という点に集約されそうです。

自社商品が選ばれる理由が安さであったとしたら、それは他の誰かがもっと利益を削って更に安い価格を提示できそうです。

では技術面での差別化はどうでしょうか?

これだけ科学技術が発展し、情報と人材の流動性が高まった現代において、今後何十年も誰にもまねできない技術というのはほぼ皆無でしょう。

では、長期的に見て他社にまねできなそうな競争優位性とは何でしょうか?

ここでは、NYダウ30銘柄を中心に企業の定性評価をし続けてきて、筆者自身が感じた以下4つの競争優位性を記載してみます。

1. 強固なブランド(P&G、Nike等)

※Wikipediaでのブランドの説明は以下

QTE
ブランドとは、ある財・サービスを、他の同カテゴリーの財やサービスと区別するためのあらゆる概念。当該財サービスと消費者の接触点で接する当該財サービスのあらゆる角度からの情報と、それらを伝達するメディア特性、消費者の経験、意思思想なども加味され、結果として消費者の中で当該財サービスに対して出来上がるイメージ総体。
UNQTE

ブランドに関しては、いくつかのとらえ方ができると思いますが、ここでは2つの具体例を挙げてみます。

① イメージの刷り込み

例えば、PCや洗濯機、テレビなどの電気製品の多くは性能や質を定量化できるため、比較が簡単で優劣が明確になってしまいます。

一方、洗剤、シャンプー、消臭剤などは質を定量化することが困難です。

性能や質を定量化できない商品の場合、消費者の判断基準として「みんなが使っているもの」が浮上します。

質がいいものは多くの人が使っている、つまりみんなが使っているものは質もいい、という考えです。

では、みんなが使っているものとは何か、というのはその商品名に触れた回数の多さで決まることが多いのです。

つまり、大量のCMなどで何度も何度も商品名を消費者の頭に刷り込めば、多くの人にとって、その商品が一般的に使われているもの、みんなに使われているものというイメージを作り出すことができます。

そしてそのイメージが実際に商品を買う時の強力な判断基準となるのです。

そして、一度このようなイメージをつくってしまえば、それを大事に育てていけばそれ自体が強力な競争優勢になることでしょう。

例えばP&Gや花王などの生活必需品を扱っている企業はこの戦略を使っていて、実際に皆さんの多くが、商品選びで迷った時にこれらの企業の商品を自然と選んでしまっていると思われます。

② 信仰

商品自体やメーカー自体が、「好き」であれば、そもそも他社の商品を買おうとは思いません。

これはファッションブランドに多いと思います。

服や靴、時計などの身に着けるアイテムは、自分を表現する手段でもあり、このアイテムを身に着けることで他の人にこう思ってもらいたい、というのが重要になってきます。

男性であればかっこいいと思ってもらいたいし、女性であればかわいい・きれいと思ってもらいたいはずです。

では、「かっこいい」「かわいい」「きれい」の基準は何か?

商品自体のクオリティはどこも似たり寄ったり(デザインはマネできてしまうので)だとすれば、多くの人は、かっこいい人が身に着けているものはかっこよく見えるし、かわいい人が身に着けているものはかわいく見えてくるものです。

よって、雑誌などで、有名俳優が身に着けているアイテムというのは、それを見た人の心の中に「かっこいい」「かわいい」「きれい」というイメージが形成されてきて、このイメージが商品を購入するときの判断基準になっていきます。

例えば、私はナイキが大好きです。スニーカーやスポーツウェアを買うときは大抵ナイキです。

なぜ大好きかといえば、靴のデザインというよりも、ナイキのロゴ自体をかっこいいと思っているからです。

では自分の中で「ナイキはかっこいい」というのがどのように形成されていったのか?

自分はスポーツ観戦が大好きです。その時に見るスポーツ界のスーパースター達(たとえばバスケのレブロンジェームズ、サッカーのメッシ、テニスのフェデラー等)の多くはナイキのロゴを身に着けています。

それを目にする機会が増えれば増える程、自分の中で「ナイキはかっこいい」という感情が形成されていき、この感情が自分自身が商品を買う時に重要な役割を果たしているのです。


2. みんなが使っている(Facebook、Visa、Microsoft等)

商品やサービスの中には、多くの人が使えば使うほど利便性が増すものがあります。

これらの商品やサービスは、多くの人が使っているから選ばれる、すると更に多くの人が使うことになるので、更に多くの人に選ばれる、という正の自動ループに入り、他社のサービスを全く寄せ付けないようになります。

一般的にはプラットフォーマーと呼ばれるような企業ですね。

例えば、FacebookやTwitterのように友達や多くの人とつながるSNSアプリでいうと、何のアプリを使うか選ぶ時に当然、「みんなが使っているもの」である必要があるのです。みんなが使っていないと「つながる」という目的を達成できないからです。

よって、このようなアプリの場合、みんなが使っていないと選ばれない、選ばれないとみんなが使えない、というように「みんなが使う」と「選ばれる」が鶏と卵の関係になっているので、新規参入企業がシェアを獲得していくのは非常に困難です。

また、クレジットカードのVisaやマスターカードなども、世界中どこでも使えるからみんなに選ばれるわけです。
みんなに使われていなければ加盟店を増やすことはできず世界中どこでも使えるようになりません。

つまりこれも、「みんなが使う」と「世界中どこでも使える」は鶏と卵の関係になっていて、もはやクレジットカード業界での新規参入は難しそうです。

もう一つ例を挙げると、マイクロソフトのWord、Excel、PowerPointなどのOfficeアプリは市場を完全に牛耳っています。
多くの企業は業務を行う上で、Microsoft Officeを使用しており、これらのアプリは既に業務プロセスに完全に溶け込んでしまっています。「エクセルを止めれば世界が止まる」とも言われたりしますね。

業務プロセスに完全に組み込まれてしまっているということは、互換性の観点でみんなが同じものを使っている必要性があります。もっと言えば、社外にも共有される可能性のあるものなので、この点でもみんなが使っているものを選ぶのが最も便利であり、自分だけ全く違うアプリを使っていたらとても不便なのです。

このように、「みんなが使っている」ということ自体が、選ばれる理由になると、そもそもその業界が亡くならない限り競争優位性を発揮し続ける可能性が高いです。


3. 重厚長大産業における実績(Boeing、GE等)

航空機や発電所、製油所などは、超巨額で、長期に渡って使用され、人の安全性にも深く関わるものなので、とにかく不良品があってはなりません。

失敗が許されないものを作ったり使う時、人々は十分な実績がある企業のモノを選ばざるを得なくなります。

よってこのような分野では、実績がないと受注できない、但し受注できなければ実績が作れない、つまり「実績」と「受注」が鶏と卵の関係になっており、新規参入が非常に困難です。

例えば、大型航空機におけるBoeingや、航空機の心臓ともいえる航空機エンジンのGEなどが挙げられます。


4. 巨大インフラ(AT&T、Verizon、American States Waterなど)

鉄道や水道、通信等、巨大なインフラが必要な分野では、新規参入が困難で、既にその分野で活躍している企業は競争にさらされにくいといえます。

このような分野でサービス提供のためには、超巨額の資金を調達し、巨大な設備を造ることでようやくスタートラインに立ち、そこから既存のプレイヤーと競争を始めなければなりません。

スタートラインに立つだけでも莫大なリスクを背負い、勝てるかわからない競争をしようとする人がいるでしょうか?

そもそも、そのような巨大なリスクがあるからこそ、鉄道や水道、通信等は当初国家主導で行われてきた公共事業だったのです。

民間企業が一から立ち向かえる分野とは言いにくいですし、それは10年後も30年後も変わらないでしょう。

STOP

いつもありがとうございます。参考になったと思って頂けた方は応援ボタンを押して頂けますと励みになります。
にほんブログ村 株ブログ 米国株へ
にほんブログ村

以上

りろんかぶお

※当ブログで紹介する理論株価は、いくつかの前提条件をりろんかぶおが独自に設定している為、その前提条件次第では計算結果が異なってきます。また当ブログは、投資に関する情報を掲載していますが、特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。また、読者が当ブログの情報を用いて行う投資判断の一切について責任を負うものではありません。



[ 2020/05/18 16:21 ] 13.投資の勉強部屋 | TB(-) | CM(0)

日銀の刷ったお金はどこにいった?

お金_20200515


2013年3月に黒田氏が日銀総裁就任後、日銀は日本経済の至上命題であるデフレ脱却を目的としてインフレ率2%を目標に掲げ、現在に至るまで異次元の金融緩和を行ってきました。

日銀は、以下の量的質的金融緩和を行うことで世の中のお金の量を増やし、それによって消費を刺激し、2%のインフレ率目標を達成しようとしました。

・大量の国債を買い取ることで金融機関にマネーを注入
・金利引き下げにより、金融機関に注入したマネーを民間企業や家計に行きわたらせる

ところが、2%インフレ目標は一向に達成されていないのが現状です。

インフレ率_20200515
出典:世界経済のネタ帳

ここでは、なぜ異次元の金融緩和をやっても、インフレ目標を達成できないのかを見ていきましょう。

まずは、マネタリーベースとマネーストック(M3)を見ていきます。

マネタリーベースとマネーストックの定義は日銀HPによると以下。

QTE

マネタリーベース:「日本銀行が供給する通貨」のこと。具体的には「マネタリーベース=日本銀行券発行高+貨幣流通高+日銀当座預金」

マネーストック:「金融部門から経済全体に供給されている通貨の総量」のこと。具体的には、一般法人、個人、地方公共団体などの通貨保有主体(金融機関・中央政府を除いた経済主体)が保有する通貨(現金通貨や預金通貨など)の残高を集計しています。

UNQTE

ここで典型的な疑問となるのが、「日本銀行が供給する通貨の合計=経済に供給されている通貨の合計」ではないの?というものです。

例えば

AさんがX銀行に100万円の預金をしました。

仮に預金準備率が1%として、X銀行は1%に当たる1万円を日銀に預け入れ、残りの99万円をBさん貸付けました。

その99万円は、Bさんが保有するA銀行口座に振り込まれます。

この時、X銀行はBさんに99万円をかしつけている一方で、その99万円は未だ手元にある状況です。

X銀行は更に、99万円の1%に当たる0.99万円を日銀に預け、残りの98.01万円をCさんに貸し付けました。

その98.01万円は、Cさんが保有するA銀行口座に振り込まれます。

この時点で区切ってみると、Aさんは100万円、Bさんは99万円、Cさんは98.01万円の預金残高があり、元々100万円だったものが、貸付を繰り返すことで合計297.01万円に増えていることになります。このような現象を信用創造といいます。

仮に、A銀行がこれを無限に繰り返していくと、証明は割愛するも最終的には100万円÷1%=1億円のお金が世の中に出回ることになります。

マネタリーベースとは、ここでいう最初の100万円のことで、マネーストックはここでいう1億円のことで、世の中に出回っているマネーの総量を表します。

ちなみに「マネーストック÷マネタリーベース=信用乗数」とあわされ、信用乗数が大きいほど、貸し出しによる信用創造が活発に行われてマネーの総量(マネーストック)が増えていることになります。

では実際にマネタリーベース、マネーストック、信用乗数の推移を見ていきましょう。

マネタリーベース_20200515

出典:日銀のデータを基に作成

まず、マネタリーベースを見ると黒田総裁が就任し、異次元の金融緩和が始まった2013年から目に見えて上昇しています。

次にマネーストックはどうでしょうか?増えてはいるのですが、マネタリーベース程の急激な伸びは見られません。

信用乗数(マネーストック÷マネタリーベース)を見ると、こちらは2013年頃から急激に下がって低迷しています。


ここからわかることは、日銀はお金を大量に注入しているものの、銀行の貸出が思うように行われていないために、マネーストックがあまり伸びていないのです。異次元緩和で2013年~2019年で日銀は380兆円のマネーを注入したにも関わらず、実際のマネーの総量は240兆円しか伸びていないというお粗末な結果になっています。

これは、どんなに金利が低くても、デフレの状況下、借入を行って新規の投資をしていこうという企業が少ないことが原因として挙げられます。

民間企業借入残高_20200515
出典:財務省

民間企業が全く借入を増やさない中、やっとこさマネーストックが増えているのは、民間に代わって政府が大量に借入残高(国債残高)を増やしているからといえます。

国債残高推移_20200515
出典:財務省

2013年~2019年でマネーストックが240兆円増加した中、同期間に国債残高が190兆円ふえているので、マネーストック増加の大半を政府の借入が担ったことになります。

マネーストックの増加が鈍いとはいえ、異次元緩和前の2012年末から2019年末にかけて、マネーストックは20%程上昇しているので、GDPもある程度伸びているのではないか、ということでマネーストックと名目GDPの関係を見てみましょう。

ちなみにGDPの解説は以下ご参照。

GDPとは?

名目GDPはいわば、経済活動でお金がどの程度回転したかを表すものなので、以下のような式が成り立ちます。

名目GDP=マネーストック×流通速度

流通速度とは、1年間でお金が平均何回転したかを表すものです。

マネーストックvsGDP_20200515
出典:日銀のデータを基に作成

これを見ると、マネーストックの伸びに対してGDPの伸びが非常に鈍いことがわかります。

実際に流通速度も、ここ10年以上下落傾向にあります。

つまり、マネーの総量は増えているのに、GDP=消費の総量、はたいして増えていないということです。

2019年末では流通速度が0.4まで下落していますので、1年間経済活動に全く使われず眠ったままのお金が6割も存在していることがわかります。

では、この眠っているお金はどこにあるのでしょうか?

先ほどの説明で、近年のマネーストックの増加の担い手が政府の国債発行にあることを説明しました。

政府は調達した資金を、社会保障費として個人へ支払い、公共事業等を通じて民間企業に支払っています。

では、ここで異次元緩和が開始される2013年3月を起点にして、マネーストック、及びその内訳である個人、民間企業の保有するお金がどのように伸びてきたかをみてみます。

マネーストックvs企業個人_20200515
出典:日銀のデータを基に作成

これを見ると、民間企業の保有するお金の伸びが、個人のそれを大きく上回っています。

つまり、増えたマネーストックは企業の内部留保として、企業内で眠ってしまっているのです。

政府が個人に支払う社会保障費でさえ、それが生活費にあてられればそのお金は企業に移ります。

その企業が、その儲けを、株主や労働者に配分せず、内部留保してしまうがために、それが個人に戻ってこず、最終消費の担い手である個人の消費意欲が活性化されないのです。

STOP

まとめ


・日銀は確かに大量の資金を民間金融機関に注入するも、デフレの状況下、民間企業の借り入れが全く伸びず、マネーの総量を表すマネーストックは思うように増加していない。

・政府が借入残高を増やしたことで多少マネーストックは伸びるも、結局単に眠っているお金が増えているだけで、GDP=消費の総量はほとんど増えていない。

・眠っているお金がどこにあるかというと、民間企業の内部留保によってせき止められてしまっているのが現状。

上記を踏まえれば、インフレ率2%目標を達成するには、マネタリーベースを増加させるのではなく、政策により、民間企業に滞留している内部留保を、(新規投資に回さないのであれば)株主や労働者にもっともっと還元することを促していく他ない、ということが言えると思います。
(株主や労働者などの個人が潤えば、消費が刺激され、そうすると企業も新規投資をしやすい環境になるという、好循環が生まれる)

以上

りろんかぶお

その他の人気記事はこちら↓
にほんブログ村 株ブログ 米国株へ
にほんブログ村

※当ブログで紹介する理論株価は、いくつかの前提条件をりろんかぶおが独自に設定している為、その前提条件次第では計算結果が異なってきます。また当ブログは、投資に関する情報を掲載していますが、特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。また、読者が当ブログの情報を用いて行う投資判断の一切について責任を負うものではありません。



[ 2020/05/15 17:46 ] 13.投資の勉強部屋 | TB(-) | CM(0)

人口減少は本当にまずいことなのか?②

人口減少_20200511


前回に引き続き、日本の人口減少・少子高齢化問題について書いていきたいと思います。

前回記事↓
人口減少は本当にまずいことなのか?①

前回の記事では、女性の社会進出が顕著になった今、女性にとって「結婚をして子供を産む」というのは、人生の選択肢の一つでしかなくなり、晩婚化、晩産化も相まって少子化の波を止めることは難しいという話をしました。

このような社会構造の中、国(民主主義国家)の目的である「全国民が豊かに暮らせる社会をつくる」ことを達成する手段として、「子供を増やす」ということは無理筋な方法です。

では、「全国民が豊かに暮らせる社会をつくる」為に、他にどのような策があるのか?

具体的には以下のようなことが挙げられるかと。

1. 労働力人口を増やす

「産出量(生産量)=投入(労働力や資源、エネルギー等)×生産性」

なので、生産量最大化の為にまずは「投入」量を増やすべく、労働力人口を増やすことが挙げられるかと思います。

ちなみに労働力人口と非労働力人口の定義は以下の通り。

労働力人口:満15歳以上の人口のうち、労働の意思と能力をもつ者の人口。就業者(休業者も含む)と完全失業者の合計。アルバイトをしている学生やパートの主婦も含む。

非労働力人口:満15歳以上の人口のうち、病気などの理由で就業できない者と就業能力があるにも関わらず働く意思がない者を合計した人口。ニートや高齢者、専業主婦等。

① 女性の活躍促進

総務省の調べによると、生産年齢の15歳~64歳における労働力人口は以下の通り。

(2020年3月時点)
生産年齢人口:7,478万人
労働力人口:5,960万人
労働人口比率:79.7%(米国は60%台なので日本は比較的高い)
男性労働力人口比率:86.3%
女性労働力人口比率:72.9%

労働力人口比率は79.7%と比較的高いですが、女性の労働力人口比率はもう少し高められる余地があります。

また、女性が仕事で活躍することを、雇用主である企業などが推進することを義務づけた女性活躍推進法が2016年に施行され、女性の労働力人口比率は今後上昇していくことでしょう。

現に下図の通り、専業主婦世帯と共働き世帯を比べると、現時点で既に共働き世帯が圧倒的マジョリティであることがわかり、この傾向は今後も続き、それに伴って女性の労働力人口比率は上昇していくことが望めます。

共働きと専業主婦_20200511
出典:厚生労働省

② 定年撤廃

労働力人口のパイを増やす意味では、定年の撤廃も有効だと思われます。(例えば米国では定年はありません。)

現在、多くの企業が定年を60歳に設定しておりますが、自分の親(60代半ば)を見ていても、まだまだ元気ですし、十分に働ける年齢(現に母親はパートで働いてます)だと思います。

仮にみんなが70歳くらいまで働くとしたらどれくらいの働き手が増えるのでしょうか?

総務省の調べでは2020年4月1日現在で、総人口1億2,596万人に対し、60~69歳人口は1,588万人、総人口の12.6%に上ります。(更に70~74歳は899万人もいる)

つまり定年を撤廃するだけで、潜在的にはそれくらいの規模の労働力人口が増えるわけです。(当然その中には生産活動に従事できない人もいますが)

但し、企業の生産性向上も合わせて考えれば、労働者の新陳代謝も重要ですので、定年を撤廃するのであれば、従来の年功序列制度の撤廃もセットでなければなりません。

2. 労働生産性の向上

「産出量(生産量)=投入(労働力や資源、エネルギー等)×生産性」

次に、生産量最大化の為に「生産性」を向上する必要があります。

生産性向上のために、デジタル化推進などもありますが、個人的には「雇用システムを社会主義から資本主義に」というのが最も重要と考えています。

日本の雇用システムが社会主義から脱却すべき詳細については以下の記事ご参照ください。
日本企業への投資がうまくいかない理由

簡単に言うと、日本の古くからの大企業の多くは、「お金をあげるから頑張って」「定年まで雇用を保証してあげるから頑張って」というものですが、これは「頑張ったらその分お金を支払うよ」「頑張ったら雇用を継続するよ」という風に順番を変える必要があります。

前者は非常に社会主義的で後者は資本主義的ですね。

社会主義が人間を怠惰にし、活力を生み出さないことは、1900年代のソ連と中国などの社会主義国家が証明しましたね。

日本企業の生産性が、世界と比較して低いといわれているのは、日本企業の従業員は別に生産性を上げる必要性に迫られていないのです。生産性をあげようが、生産性が悪いままでいようが給料が変わらないからです。

日本企業も、もっともっと、従業員個々人をモチベートするシステムを再構築する必要があります。

そうすれば生産性はおのずと改善してくるでしょう。

3. 高齢者は資本所得を

現在の年金制度は、生産年齢世代が稼いだ所得を、高齢者に再分配するという賦課方式です。

これでは、生産年齢人口比率の低下とともに、若い人の負担が増すばかりなので、もはや賦課方式の年金制度は持続不可能です。

個人的な意見としては、年金制度は完全に撤廃し、老後の面倒は国民の自助努力に任せていいと思っています。
(今現在、年金をもらっている人、途中まで払っている人は当初予定通りもらえるようにする。財源は国債発行。)

というのも、政府が手厚く守るから国民は、老後は国が面倒を見てくれると、思考停止になってしまうのです。

老後も各個人の自助努力に任せれば、国民は自らどうすべきかということを真剣に考えるでしょう。

自分の子供に仕送りをしてもらうという文化ができれば、みんな子供を産むようになるでしょう。

また、多くの人が労働せずに収入を得られる資本所得に注目し、真剣に資産運用を学ぶことでしょう。

そして、政府は義務教育の中で、もっと資産運用について、更には資本主義について、盛り込むべきだと思います。

今の義務教育では、資本主義に対する教育、資産運用に対する教育がとても不足しているように感じます。


但し、教育をしたからといって、国民全員が資産運用をできるわけではないということも正論だと思います。

そういう人は、民間保険会社による積立年金を活用すればいいのです。(公的年金制度がなくなれば、民間が提供する年金が充実することは火を見るより明らかです)

これは、賦課方式とは違い、自分の老後のために自分で資産を積み立てる方式です。

若いうちから、少しずつ資産を積立て、安全運用を行っていき、体力的に労働が困難になった段階で、資産収入に切り替えればいいわけです。

現在年収400万円の会社員は、毎月23,427.2円の厚生年金を払っています。会社も半分負担しているので合計では毎月46,854.4円積み立てていることになります。

厚生年金制度がなくなって、会社側の積み立て分も給料として支払われるようになり、各個人が毎月46,854.4円の積立、年間562,253円の積立てが可能になる場合、これを23歳~70歳まで続け、運用リターンを年率3%とすれば、70歳の時点で5870万円の資産がたまっていることになります。

5870万円の資産から毎年、3%のリターンとして176万円がえられますし、老後田舎で質素な暮らしで毎年200万円で暮らすとしても、十分100歳まで生きていけます。

このように、もっともっと資産運用の教育を充実させた上で、政府の手厚い補助は排除し、各個人の自助努力にまかせるようにすれば、実はもっと豊かな生活ができるようになるのではないかと考えます。

まとめ

・国の大きな目的は「全ての国民が豊かに暮らせる社会」を作り、持続すること

・人口減少・少子高齢化よって引き起こされる生産年齢人口比率の低下は、非生産年齢人口の豊かさを奪う可能性があり問題。

・現在の政策で最も力点が置かれているのは、生産年齢人口比率を増加させるためにもっと子供を増やすことであるが、女性の社会進出が一般化した中、かなり無理筋。

・よって、生産年齢人口比率は長期低迷するということを受け入れた上で、以下の対策にもっと力点を置くべき。

①生産年齢人口に占める労働力人口を増やす(女性の活躍促進、定年撤廃)
②生産性向上のために、日本型雇用システムを社会主義から資本主義に
③国民の自助努力を最大化するために、資産運用教育を充実させた上での公的年金制度撤廃(これにより高齢者が支えられる側でなくなる)

以上

りろんかぶお

その他の人気記事はこちら↓
にほんブログ村 株ブログ 米国株へ
にほんブログ村

※当ブログで紹介する理論株価は、いくつかの前提条件をりろんかぶおが独自に設定している為、その前提条件次第では計算結果が異なってきます。また当ブログは、投資に関する情報を掲載していますが、特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。また、読者が当ブログの情報を用いて行う投資判断の一切について責任を負うものではありません。



[ 2020/05/12 12:26 ] 13.投資の勉強部屋 | TB(-) | CM(0)

人口減少は本当にまずいことなのか?①

人口減少_20200511



日本では下図のように、人口減少、少子高齢化が問題視されていて、政府は何とか子供を増やそうと躍起になっています。

人口減少現状_20200511
出典:内閣府

そもそも、なぜ人口減少・少子高齢化はまずいのでしょうか?

それは、人口減少・少子高齢化の結果、全人口に占める生産年齢人口(今の定義では15歳~64歳)の比率が減少していくことがまずいのです。

上図を見ると、生産年齢人口比率は以下の通り減少し続けています。

1980年:67%
2017年:60%
2065年(予想):51%

なぜ生産年齢人口比率が減少することがまずいのでしょうか?

国・政府の大きな存在意義の一つとして、全国民が豊かに暮らしていくことがあります。

一方、国民の中にはまだ社会的な活動が難しい未熟な子供もいれば、体力的に生産活動を行うのが難しい高齢者もいます。

よって、子供や高齢者も含めた全国民が豊かに暮らしていくためには、いわゆる働き盛りの生産年齢の人達が、子供や高齢者も含めた全国民の衣食住を生産していく必要があるのです。
(ちなみに生産年齢層の人でも専業主婦やフリーター等、生産活動に従事していない人もいるので、実際に生産活動に従事している人口を労働力人口といいます。)

但し、生産年齢人口比率が減少すると、当然ですが生産年齢層の一人当たりが支えなければいけない非生産年齢の人が増えてしまいます。

生産性向上などで、非生産年齢の人達を支えられるうちはいいですが、生産年齢人口比率が減少し続けると、いつかは支えきれなくなる時が訪れるでしょう。

そうすると非生産年齢層の内、生活に必要な衣食住を満たせなくなってくる人が出てきてしまいます。
(現実的な制度でいうと、高齢者の場合十分な年金がもらえなくなる)

こういった理由から、生産年齢人口比率の継続的な減少というのは非常にまずい状況なのです。

ではなぜ、人口減少が生産年齢人口比率減少につながるのでしょうか?

仮に、寿命と出生率がずっと一定だとすると、長期的に見れば生産年齢人口比率はある水準に収束します。

しかし問題は、日本では長期にわたって出生率は下落傾向、寿命は長寿化傾向にあるため、いっきに生産年齢人口比率が減少してしまったのです。(下図)

出生率_20200511
寿命_20200511
出典:厚生労働省

出生率は底を打った感がありますが、今後も長寿化が進めば、生産年齢人口比率は下落していくことでしょう。

長寿化は医療が発達したからというシンプルな理由で納得できますが、なぜ出生率は下がったのでしょうか?

これはいろいろな理由が挙げられますが、やはり一番大きいのは「女性の社会進出」ではないでしょうか。

第二次世界大戦後、それまでの家父長制的な家族構造が変化し、欧米で既に普及しつつあった男女平等の概念が日本に持ち込まれました。

当然それまでの家父長制であったのが、突然主婦の人もバリバリ働きだすという風にはなりませんでしたが、時代を経て徐々に徐々にこの考え方が浸透していくのです。

更に、1972年に勤労婦人福祉法が制定・施行され、主に産休や育休など制度が整備され、それまで出産と同時に退職せざるを得なかった女性が、退職しなくてもよくなりました(当然これもそれまでの文化は急に変わらないので時間をかけて普及していくことになります)。

そして極めつけは1986年施行された男女雇用機会均等法で、 雇用に関する分野において、性別を理由にした差別を禁止することなどが定められました。

戦後のこのような男女平等の歴史を経て、文化的にも、女性が働くことが一般的となり、最近では子供を産んでも働く女性というのが一般的になってきました。

働く女性が増え、経済的に自立する女性が増えると、結婚をして子供を産むというのは、女性にとって一つの選択肢にすぎなくなります。

当然、仕事に生きがいを見つけて生涯独身を貫く人も出てきます。

また、結婚しても仕事との両立の兼ね合いで、子供を産まない女性、子供を産んだとしても一人までにしようと思う女性が増えるので出生率が下がります。

また、専業主婦志向の女性だとしても学校卒業後は、企業に就職し、数年は働くというのが一般化したため、晩婚化、晩産化が進んだことで、年齢的な問題で子供の人数が圧迫されます。

世界の先進国を見渡してみても、つい最近までは男性が働き、女性が家事育児を行うという社会構造だったので、人口は増える傾向にありましたが、男女平等というのがグローバルスタンダードになった現在において、人口減少というのは避けられないのです。

働きたい女性が増えた中、保育園の待機児童を減らしたり、保育料無償化をしたりして、どんなに子育て環境を整えたとしても、子育ての大変さというのはその程度のことで緩和されるものではないですし、そもそも結婚しない人が増えているので、出生率を劇的に上げることはできないでしょう。

今の政治では、子供を増やすことが目的化してしまっている気がします。

本来の目的は、国民が皆豊かに暮らしていく社会を作ることです。

子供を増やすというのは手段の一つでしかありません。

どのような理由であれ、子供を産みたくないのであれば産まなくていいではないか。

もし子供を産みたくても経済的に厳しい人がいたとして、国がやるべきは、子供を産んでもらうためにそのような人達を手厚く補助するのではなく、努力した人が経済的にも報われる社会の構築にもっと力を注ぐべきなのではないか。


そして、女性の社会進出が不可逆的な流れであることを考えれば、国民が皆豊かに暮らしていく社会を作る手段として、子供を増やすということは、非常にいい結果を望めない手段であるといえます。

よって、我々がもっと考えなければいけないのは、無理に子供を増やすように働きかけることではなく、人口減少・少子高齢化が進んでいくことを受け入れた上で、どのように持続的な社会を作り上げていくかということだと考えられます。

(続く)

以上

りろんかぶお

その他の人気記事はこちら↓
にほんブログ村 株ブログ 米国株へ
にほんブログ村

※当ブログで紹介する理論株価は、いくつかの前提条件をりろんかぶおが独自に設定している為、その前提条件次第では計算結果が異なってきます。また当ブログは、投資に関する情報を掲載していますが、特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。また、読者が当ブログの情報を用いて行う投資判断の一切について責任を負うものではありません。




[ 2020/05/11 14:28 ] 13.投資の勉強部屋 | TB(-) | CM(0)

世界恐慌(1929年~)で起こっていたこと

世界恐慌_20200508

出典:ウィキペディア

<世界恐慌で起こっていたことまとめ(超概略)>

NYダウチャート
ダウチャート_20200508

出典:https://tunenohikampo.com/2020/03/29/1929/

世界恐慌の背景・経緯

1. 1914年~1918年の第一次世界大戦で、主戦場とならなかった米国は戦争特需、戦後藤樹で経済が大きく活性化。


2. 米国では、企業業績好調⇒個人の所得向上⇒消費拡大⇒企業業績向上・・・の好スパイラルに突入。この時期に自動車、電気製品、マイホームなどが大量に売れ、消費者ローンも拡大。


3. 投資信託の普及で株式投資が大衆化し、信用取引や投機も流行し1920年代の株式市場は絶好調。


4. 企業は生産設備を増強させ続ける一方、1920年代半ば~後半には需要が飽和状態に達し、農業不況(供給過多による農産物下落で農家が打撃を受け購買力低下)も手伝って、供給と需要が急速に乖離を始める。(つまり実体経済は1929年の株価大暴落以前にすでに下降していた)


5. 一方、株式市場は投機熱が増し上昇を続け、1929年9月3日にNYダウは最高値381.17を付け、6年間で約5倍に。


6. 1929年9月3日以降、市場参加者は実態経済とかけ離れた株価にようやく気付き、徐々に売り圧力が増し株価は下落。売りが売りを呼ぶ展開となり、ついにパニック状態に陥ったのが1929年10月24日(木)のBlack Thursdayと同年10月29日(火)のTragedy Tuesday、(火))で、NYダウは230ドル迄大暴落。


7. この株価大暴落が世界大恐慌のきっかけといわれるが、具体的には以下の理由があったとされている。


① 当時は商業銀行でも、株式保有と自己勘定売買が認められていた為、株価暴落→銀行の損失→不安になった預金者から大量の預金取付騒ぎ→銀行倒産→他行への取付→銀行の連鎖倒産→実体経済への信用収縮→実体経済の倒産や失業→銀行の損失、という最悪の負のスパイラルに入ってしまったこと。

② 当時金本位制を採用していた英国では、世界恐慌による債務急増、国際収支悪化により金融不安が強まり、ポンドが売られ金が大量に流出(金本位制ゆえポンドは一定のレートで金と交換可能)。これが急速に進んだことで金本位制が立ち行かなくなり、英国は1931年9月に金本位制を離脱。米国もいずれ金本位制を離脱するのではないか,という推測が市場に流れ,欧州諸国はドルを金に交換し始め、米国でも大量に金が流出。金流出を防ぐために、連邦準備銀行は1931年10月、大恐慌の真っただ中で、経済を冷やす効果のある金利引上げをせざるを得ない状況に。これが大恐慌に追い打ちをかけた。

③ 恐慌の中、米国は自国経済を守るために、関税を高め保護貿易政策をとったことで世界経済を悪化させた。


8. 多くの指標がボトムを付けた1933年は、

NYダウは1929年高値:381.17ドル⇒1933年底値:41.22ドル
GDPは1929年:1,044億ドル⇒1933年:560億ドル
失業率は1929年:3.2%⇒1933年:24.9%、


9. GDPが1929年の水準を回復したのは1940年なので、11年も経済低迷が続いたことになります。


STOP



ここまで見ていったとき、現在のコロナショックで果たして世界恐慌のように、長期停滞が訪れるでしょうか?

世界恐慌の対比でいうと以下のように考えられると思います。

・現在、商業銀行による株式の自己勘定売買は大幅に規制されている為、銀行はコロナショックによる株価大暴落で直接的な影響は受けていない(景気後退による融資の貸し倒れリスクはあるものの)。

・1929年当時は、「最後の貸し手」の役割を果たすものがいなかったために大量の企業倒産を招いたが、昨今は政府やFRBがその役割を担うため、大量倒産という事態にはならない。(特にロックダウンという政府命令によって経済を人為的にストップしている状況なので、企業に痛みを強いる代わりに政府は企業を守るのが当然)

・金本位制ではない昨今では、不況時に金利を上げざるを得ない状況というのはあり得ない。

・但し、失業者の急増、自粛マインドの定着などによって、消費減少⇒企業業績悪化⇒個人所得減少⇒消費減少・・・という負のスパイラルに陥るリスクはある。

以上

りろんかぶお

その他の人気記事はこちら↓
にほんブログ村 株ブログ 米国株へ
にほんブログ村

※当ブログで紹介する理論株価は、いくつかの前提条件をりろんかぶおが独自に設定している為、その前提条件次第では計算結果が異なってきます。また当ブログは、投資に関する情報を掲載していますが、特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。また、読者が当ブログの情報を用いて行う投資判断の一切について責任を負うものではありません。


[ 2020/05/08 10:59 ] 13.投資の勉強部屋 | TB(-) | CM(0)

財政破綻はウソだった

財政破綻_20200430


<財政破綻論者の言い分>

日本の平成30年度末の国債残高は、以下財務省資料の通り874兆円となっており、これに地方債残高144兆円(総務省)を合わせると1018兆円となります。

国債残高推移
出典:財務省HP

平成30年の日本のGDPは547兆円(内閣府)ですので、借金はGDPのおよそ2倍になります。(GDP対比借金は世界で一番大きい)

更に悪いことに、以下の通り毎年の国の租税収入などで歳出をまかないきれず、毎年国債残高は増加傾向をたどっております。

歳入出
出典:財務省HP

リーマンショック以降、日本銀行は2%インフレを目標に大規模な金融緩和を続け、国債買い入れを続けてきて平成30年度末の保有国債残高は470兆円(日銀HP)となりました。

このような一見いびつな財政状況下、多くの経済学者や文化人などが、「そのうち日本は財政破破綻する」と叫んでおります。

財政破綻とは、資金繰りに行き詰まり、借入金の返済や資金調達が正常にできなくなる状態をいいます。

財政破綻論者の言い分としては、財政赤字を垂れ流し続ける現在の状況では、いつか「日本政府は国債を返済できないのでは?」と信用を失い、新規国債の買い手が見つからず、既存国債の元利金返済もできない状況(国債のデフォルト状態)に陥るというものです。

例えていえば、赤字を垂れ流し続けている企業には、いずれ誰もお金を貸してくれなくなり、そのうち倒産するだろう、というものです。

<財政破綻はウソだった>

但し、このような財政破綻論というのは全くのウソなのです。

事実、財政破綻論というプロパガンダを主導する財務省でさえ、国際格付企業が日本国債を格下げした時に以下のような意見書を出しています。

https://www.mof.go.jp/about_mof/other/other/rating/p140430.htm

ポイントは「日・米など先進国の自国通貨建て国債のデフォルトは考えられない」と財務省が明言していることです。

そうなのです、財務省も正式に認めていますが、円建て国債のデフォルトは現実的にはあり得ないのです。

ここで理由として、「日本政府は通貨発行権を持っているから」とよく言われますがこれは正しくありません。

日本では、日本銀行券(紙幣)は日銀に、貨幣(硬貨)は政府に発行権があります。

但し、貨幣は、額面価格の20倍迄が法貨として通用する、と法律で定められているので、例えば1万円の代金をもらうときに、相手が100円玉100枚で支払ってきたら、受け取りを拒否することができます。(100円玉で払えるのは20倍の2000円まで)

つまり、政府が発行できる貨幣では、1000兆円をこえる国債の返済は不可能です。

とは言っても、紙幣の発行ができる日銀は政府の子会社(55%保有)なのだから、日銀から資金調達できるのでは?という声が聞こえてきそうですがこれもできません。

財政法第5条で、日本政府は日本銀行から直接資金調達することは原則禁じられているからです。

(引用)
財政法
第五条 すべて、公債の発行については、日本銀行にこれを引き受けさせ、又、借入金の借入については、日本銀行からこれを借り入れてはならない。但し、特別の事由がある場合において、国会の議決を経た金額の範囲内では、この限りでない。

(終わり)

このような法律があるのは、政府が実質的な通貨発行権を有し、予算に応じて自由に通貨を発行できてしまうと、市場での適切な通貨量の管理が難しくなりインフレをコントロールできなくなってしまうから、というのが建前です。

よって、政府は現在のように財政赤字の中、自身の国債を返済するときには、日銀以外の外部から資金調達をする必要があります。

<なぜ円建て国債のデフォルトがありえないのか?>

そのような中、国債のデフォルトがありえないというのはなぜなのでしょうか?

理由は以下二つです。

理由①

新規国債の買い手がいなくなるということは現実的にはあり得ないといえます。

政府が発行する国債の直接の買い手は、一義的には財務省に登録された金融機関で、その金融機関を通じて個人なども国債を買うことが可能になります。

そして国債には流通市場があるため、これらの銀行は保有している国債をこの流通市場で売却可能です。

つまり、銀行が国債を買いたくないと思うケースというのは、この流通市場において適正な価格での買い手が見つからない状態(国債の市場価格が暴落している状態)です。

但し、日銀は国債を直接買うことはできませんが、流通市場において買うことは認められています。

(引用)
日銀法
第三十三条 日本銀行は、第一条の目的を達成するため、次に掲げる業務を行うことができる。
三 商業手形その他の手形(日本銀行の振出しに係るものを含む。)、国債その他の債券又は電子記録債権の売買

(引用終わり)

つまり国債の流通市場では、通貨発行権のある日銀がいわば無制限に国債を買い支えることができるので、日銀が日本をつぶそうと思わない限り国債の流通市場で買い手がいなくなるというのは現実的にはあり得ないわけです。

更に、民間銀行が国債を抱えすぎても、流通市場を通じて日銀が吸収してくれるので、新たに国債を買う余地が生まれてくるのです。

まとめると、国債市場価格が暴落するということはありえず、このような流通市場が存在する限り銀行は安心して国債を購入できますから(基本的には銀行は安全資産である国債を買いたい)、政府が発行する国債の買い手がいなくなるということは、現実的にはあり得ないといえるでしょう。

理由②

上述の取り組みにもかかわらず、万万が一、政府に誰も貸してくれなくなったという特殊なケースが生じた場合でも、政府が破綻することになるとは考えがたいです。

なぜなら、政府が日銀から直接資金調達することは上で見た財政法で「原則」禁じられているものの、国会の議決を経た範囲内で政府が日銀から直接資金調達することは可能なのです。

(引用)
財政法
第五条 すべて、公債の発行については、日本銀行にこれを引き受けさせ、又、借入金の借入については、日本銀行からこれを借り入れてはならない。但し、特別の事由がある場合において、国会の議決を経た金額の範囲内では、この限りでない。

(引用終わり)

これは日銀法にも書かれています。

(引用)
第三十四条 日本銀行は、我が国の中央銀行として、前条第一項に規定する業務のほか、国との間で次に掲げる業務を行うことができる。
一 財政法(昭和二十二年法律第三十四号)第五条ただし書の規定による国会の議決を経た金額の範囲内において担保を徴求することなく行う貸付け
二 財政法その他の国の会計に関する法律の規定により国がすることが認められる一時借入金について担保を徴求することなく行う貸付け
三 財政法第五条ただし書の規定による国会の議決を経た金額の範囲内において行う国債の応募又は引受け
四 財務省証券その他の融通証券の応募又は引受け

(引用終わり)

更に、日銀法では、信用秩序の維持に重大な支障が生じるおそれがあると認めるとき、政府の要請に応じて、日銀は、信用秩序維持に必要な業務を行うことが認められています。

(引用)
第三十八条 
2 日本銀行は、前項の規定による内閣総理大臣及び財務大臣の要請があったときは、第三十三条第一項に規定する業務のほか、当該要請に応じて特別の条件による資金の貸付けその他の信用秩序の維持のために必要と認められる業務を行うことができる。

(引用終わり)

つまり、政府に対しても、日銀が最後の貸し手になることはできるのです。

以上のようなことからも、日本政府が資金繰りに行き詰まり、借入金の返済や資金調達が正常にできなくなる財政破綻というのは、現実的にはあり得ないといえるでしょう。

<国債発行の制約は?>

では財政破たんがありえないのであれば、政府が無制限に国債発行できるのか?いずれにしても国債とは政府の借金なのだからいつかは誰かが返済しなければいけないんじゃないか?という疑問が出てきそうです。

無制限に国債発行ができるかという点については、理論的には可能ですが、国債を発行して政府がお金を使いまくり、政府が作り出したこの需要が供給をはるかに上回ってしまうと当然需給の関係でインフレが起こります。

当然ですが、ハイパーインフレのようなことが起こってしまうと経済というのは正常な状態を保てなくなりますので、国債発行に際しては適正なインフレ率を保たなければいけないという制約は生じてきます。

また、国債は誰かが返済しなければいけないんじゃないか?という疑問ですが、これはそんなことありません。

政府が国債を発行して予算執行を通じて、民間経済にお金を支払うという行為は、要はお金を発行しているということです。

逆に国債を返済するということは、お金の量を減らすということになります。仮に、政府が1000兆円の国債を全額返済できたとしたら、民間経済から1000兆円のお金が消失するということなので大変なことになります。

つまり、世の中に適切な通貨量が存在しており、適切な需給環境が存在していれば、政府は無理に国債残高を減らす努力をする必要はなく、世界破滅の日まで、政府のバランスシートに負債として乗っけておけばいいだけの話なのです。

このような話は以下の動画がとても分かりやすいです。

https://www.youtube.com/watch?v=CMLYpWlQp1E

STOP

日本では、2019年に消費増税を国民に問うというお題目の下、参議院選挙がなされ、見事に消費増税を謡う自民党が勝利しました。

つまり、国民も現在の日本の財政状態を考えれば消費増税はやむなしと考えているのです。
経済学的にはこれは全くの間違いだったのです。

日本国民の過半数をこう思いこませた財務省のプロパガンダとメディアの力は本当に恐ろしいなと思いました。

財政破たんというはあり得ません。

これは財務省も認めることです。

国債残高の大小も関係ありません。

財政赤字が行き過ぎて困るのは、極度のインフレだけなので、インフレ率を指標に財政計画を立てていけばよいのです。

よって、「財源がないから○○できない」というのは、単なる嘘です。

コロナウイルスによる自粛で、日本経済がストップしてしまい、多くの中小企業や個人事業主が収入の減少に陥っています。

国の要請に基づいて経済がストップしてしまってるので、それによって経済的に困っている人に国が補助するのは当然です。

財源の問題など鼻からないのですから、政府からしっかり補助をもらえるよう我々個人個人が声を上げていくのが、民主主義の本来の姿だと思います。

以上

りろんかぶお

その他の人気記事はこちら↓
にほんブログ村 株ブログ 米国株へ
にほんブログ村

※当ブログで紹介する理論株価は、いくつかの前提条件をりろんかぶおが独自に設定している為、その前提条件次第では計算結果が異なってきます。また当ブログは、投資に関する情報を掲載していますが、特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。また、読者が当ブログの情報を用いて行う投資判断の一切について責任を負うものではありません。

[ 2020/04/30 16:11 ] 13.投資の勉強部屋 | TB(-) | CM(0)

二番底形成の裏の投資家心理

二番底_20200409


1. 二番底形成の裏の投資家心理

景気や相場が悪化している時に、一度底を打って好転した後に、再度下落して底を打つことを二番底といいます。



平常時であれば、株価は企業のファンダメンタルズを反映して形成されます。

一方、暴落時は市場参加者が理性を失っており、ファンダメンタルズに関係なく、株に対する需給(買いたい人と売りたい人のバランス)によって株価が決定されます。

ここでは、①一番底、②底値間高値、③二番底、の順で、投資家心理を追ってみます。

① 一番底

市場心理を一気に冷やすようなイベントが発生すると、株価が一気に下落し、以下のようなことを連鎖的に誘発し大暴落を起こします。

・短期筋の損切ラインのヒット連鎖により売りが売りを呼ぶ
・信用買いしていた投資家に追加証拠金が求められ、信用買い勢のポジションクローズによる売りが重なる
・投資信託やETFを購入していた一般投資家が暴落の恐怖に耐えられず撤退

これらの売りが連鎖すると、ファンダメンタルズを無視して、思いがけない安値水準まで売り込まれます。

そして、これらの売りがある程度出尽くし、さすがに安すぎると思って買いを入れる人が増えてくると株価は上昇に転じ、一番底を付けるのです。

② 底値間高値

一方、株価が上昇に転じてくると、今度は以下のような投資家心理が働きます。

・一番底を付けるまで結局最後まで損切りできなかった投資家が、ちょっと上がったところで今のうちにポジションをクローズしようとして保有株を売却。
・一番底を付けるまでの過程で買い向かっていた投資家が、含み損の恐怖を一通り味わった後、含み損から解放される段階(買値まで戻った段階)で売却。

このような売り圧力がある中、相場環境が好転しているわけではないので買いの力も弱く、徐々に下落に転じ、底値間高値を形成します。

③ 二番底

その後はだらだらと下落をはじめ、一番底と同水準くらいまで下がってくると、そろそろ冷静さを取り戻した本物の長期投資家が再度来たチャンスで買い仕込みをはじめ、本格的な上昇に転じていき、二番底を形成します。

STOP

このように、二番底形成の過程では、短期トレーダーの思惑がもろに反映され、短期筋の激しい戦いが繰り広げられてい過程とも言えます。

これは市場参加者が冷静さを失い、ファンダメンタルズに基づかない売買の結果形成されるものなので、二番底というのは投資家が冷静さを取り戻すまでの、せいぜい1~3か月の間に起こる出来事だと考えられます。

2. 二番底の過去の例

次に具体的に、ブラックマンデー(1987年10月19日)とリーマンショック(2008年9月15日)の時、NYダウの危機直後3か月のチャートを見ていきましょう。

ブラックマンデー(1987年)
ブラックマンデー時の二番底

直近高値:10月5日 2640ドル
ブラックマンデーかつ一番底:10月19日 1739ドル(直近高値から34%下落)
底値間高値:10月21日 2028ドル(一番底から17%上昇)
二番底:12月4日 1766ドル

一番底から二番底までの期間:46日間

リーマンショック(2008年)
リーマンショック時の二番底

直近高値:8月28日 11715ドル
リーマンブラザーズ破綻:9月15日
一番底:10月10日 8451ドル(直近高値から28%下落)
底値間高値:11月14日 9625ドル(一番底から14%上昇)
二番底:11月20日 7552ドル(※)

一番底から二番底までの期間:41日間

(※)但し、リーマンショック時の大底は2009年3月9日の6547ドルです。二番底は市場参加者が冷静さを失っている1~3か月に形成されるものとの前提で、上記計測期間は危機イベント後3か月間で見ている。

これらの例を見ると、一番底から二番底の期間は1か月半程度ということがわかります。

では今回のコロナショックではどうでしょうか?

コロナショック(2020年)
コロナショック時の二番底

直近高値:2月12日 29551ドル
暴落開始:2月24日
一番底(おそらく):3月23日 18592ドル(直近高値から37%下落)

ブラックマンデーとリーマンショックの統計から言うと、二番底は5月頭あたりが怪しいのかもしれません。

3. 二番底に関するりろんかぶおの考え方

りろんかぶおとしては、こういった過去の経験則というのは全く信じていません。

例えば、現在多くの方が次の二番底で仕込もうと鼻息を荒くしていますが、多くの人が二番底が来ると思っていると二番底は永遠に来ません。

なぜなら買い圧力が下にたまっているので、株価は下げづらくなっているからです。

但し、このままするすると上がっていくのに耐えられず、もう「二番底なんか来ない、今買わなきゃこの歴史的な買い場を逃す」といって飛びつく人が多く出てきたとしたら、過去の経験則通り、二番底が形成される可能性が高まります。

なぜなら、そのように飛びついた人たちの多くは自分の投資に信念があるわけではないので、ちょっと含み損が生じただけですぐ怖くなって売却してしまい、その売りが結果的に二番底を形成するための一手になってしまうからです。

このような暴落時は、みんなが短期で儲けてやろうと思っているゼロサムゲームとなっており、「過去のチャートがこう動いたから、今回もこう動く」といっている時点でゲームに勝つことはできません。過去のチャートがどう動いたかはライバルたちも知っているからです。

よってこのような時は粛々と、自分が信じる企業を、適正株価と思う水準よりも安ければ買い、長期で応援していく、という長期投資の基本精神が大事になってくるのです。

以上

りろんかぶお

その他の人気記事はこちら↓
にほんブログ村 株ブログ 米国株へ
にほんブログ村

※当ブログで紹介する理論株価は、いくつかの前提条件をりろんかぶおが独自に設定している為、その前提条件次第では計算結果が異なってきます。また当ブログは、投資に関する情報を掲載していますが、特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。また、読者が当ブログの情報を用いて行う投資判断の一切について責任を負うものではありません。



[ 2020/04/09 16:11 ] 13.投資の勉強部屋 | TB(-) | CM(0)

コロナショックの状況下、自分はどのような投資をしたいか?

投資方針

出典:幻冬舎

1. 投資方針

自分が投資をやる目的は、「資本市場を通じて世の中に貢献できるようなことがしたい」というのものです。

自分が応援したい企業に資本を提供し(流通市場で株式を購入することは直接的な資本提供にはなりませんが、資本を提供した証を手に入れることであり間接的な資本提供だと考えています)、その資本を元手に企業がビジネスを展開し世の中に貢献していくことを自分も一緒に体感したいというもの。

という意味では、現在のように、企業のファンダメンタルズに基づかず、パニック的に株価が大暴落している時こそ、自分が消費者としても大好きで、現時点で確信をもって一生応援したいと思える企業に応援投資をするべきと考えています。

一方、このような暴落相場で改めて学んだことは配当の重要性です。

本来投資のリターンは、「株価の値上がり+配当」なので、配当だけを重視しすぎるのはナンセンスです。

但し、このような暴落時に自分がある程度平静を保てているのは、自分の投資先はそのほとんどが連続増配企業であり、株価が下がっても、しっかり配当を出してくれるだろうという信頼があるからです。

仮に、株価が元の水準に戻るまでに5年かかるとしても、その間に配当がもらえるので株価の回復をゆっくり待っていられます。

現在の暴落相場における人間の心理として、「もし今日が底値で明日から爆上げしてしまったらどうしよう、今買っておかなくていいのか?」ということを思うのが普通だと思います(自分自身もそうです)。

但し、こう思ってしまうのはやはり株価の変動で利益を狙おうという魂胆があるからで、仮にうまくいったとしても、将来再び来るであろう暴落相場で「今売っておかなくていいか?」という風に思ってしまうのは目に見えており、本来自分がやりたい投資(資本市場を通じて世の中に貢献する)からはかけ離れてしまいます。

このように考えると、自分がしっかりと自身の投資理念に基づいて投資を行っていくには、どのようなことが起こっても一生安心して持っていられる企業というのが重要で、特に以下の2点がキーワードであり、できれば両方を満たしているのが好ましいと考えています。

・自分が消費者としても大好きな企業(マイクロソフト、グーグル、ナイキ、VISA)

・安定したビジネスモデルを持ち、安定して配当を出す企業(J&J、3M、ディズニー等。ボーイングは少し調べてみようと思います)

2. 投資余力の問題

現在、自分の保有銘柄のうちで最も大好きな企業であるP&Gは、NYダウやS&P500等の指数と比較して下げ幅がかなり小さいです。

本来であればこのような下げ相場の時に、P&Gのような一生安心して持っていられる企業に投資をしていきたいと思います。

但し、この暴落相場始まる時点において幸いにも割と多くの現金を持っていましたが、2月後半から現在までの下げ相場で積極的に買い向かっていったため、生活費数年分のためにとっておいている現金を除くと投資余力がなくなりつつあります。(振り返ってみれば投資理念から踏み外した投資もしてしまっておりそこは反省)

その過程で、投資余力を増やす為にあまり下げていないP&Gを少し売って現金化しました。

というのも、自分のポートフォリオの中のあまり気に入っていない銘柄は、指数と同程度下げている為、これを売って現金化して自分の好きな銘柄に入れ換えることは、結局は安値で買えていることにはならないからです。(30%下落したA株を売って、同じように30%下落したB株を買っても、どちらの株も全く下落していない状況下で買い替えるのと変わらない)

つまり、相場全体と比較してほとんど下げていないP&Gを現金化して、相場と同程度下げている企業に投資することで、初めて本当の意味で安値で買えたことになるのです。

問題は、今後さらに投資していくために、この大好きな銘柄をもう少し売ることは、本来自分のやりたいことなのか?

確かにP&Gの現在の株価水準は正直少し割高だとは思っています(実際に半年以上ほとんど株価は頭打ちの状況)。

応援投資という意味では、応援の必要のないP&Gを一部手放し、応援の必要な企業に回していくというのは、ある程度の筋が通るのではないかと思っています。

但し、P&Gは一生手放さないと決めていた企業でもあるので葛藤はありますが、必要な時には少しずつ投資余力の補充をしていこうと思います。(今のところまだ大丈夫ですが)

3. どの水準で投資を行うか?

毎日、乱高下を繰り返しながらも、急速に下げてきている状況下、どのような水準で投資していくべきか?

一つは、本サイトのTOPページに掲載している、自身で計算した理論株価を一つの指標としています。

一方、この理論株価はDiscounted Cash Flow (DCF)法で計算したもので、マイクロソフト、グーグル、ナイキ、VISAのようなまだまだ成長が見込めるような企業のバリュエーション方法としては適していないというのも事実です。(適切な成長率を設定することが困難な為)

ではこのような企業群は何を指標とするべきか?

これは、意見が分かれるところですが、自分としては予想EPSに対するPERを見ていこうと思っています。

実は、マイクロソフト、グーグル、ナイキ、VISAは、高値から30%前後下落しているものの、未だに予想PERは20倍をこえている状況です。

自分の心理としては、昔から「大暴落相場で絶対に投資したい企業」として、リストアップしていた企業群なので、毎日のように「今投資しないと一生買うチャンスを逃すのではないか?」という不安との葛藤があります。

しかしここでもやはり自分の投資理念に立ち返ってみたいと思います。

自分のやりたいことは、資本市場を通じて世の中に貢献したい、ということなので、このようなパニック相場においては、不当に過小評価された企業に応援の投資をしたいというもののはず。

更に、一生安心して持っていられるという観点でいっても、やはり適正な価格で買うべきと思っています。

実際のところ、このような成長企業に関して言うと、適正なPER水準というのは誰にも分らないことですが、自分の中ではこのような成長株でもPER20倍を目途にしたい(例えばナイキなどは、消費者マインドの冷え込みで業績が思うように回復しない可能性はある)という思いがあるので、やはりそこを目途にすべきではないかと考えました。

自分の思っている水準まで下がらないのであれば、そもそも応援の買いを入れる必要がないということでもあり、今回は縁がなかったと割り切るしかないと思うようにします。(本当は買いたいけど。。)

4. まとめ

現在のようなパニック相場では、自分の中でいろんな思いが錯綜したりしますが(自分の場合は「今買っておかなくて大丈夫か?」というもの)、こういう時こそ、「自分はなんで投資をしているのか」という自身の投資理念に立ち返ることが重要だなと感じました。

自分の場合は、あまり「稼ぎたい」と思わずに、「投資家として世の中に貢献したい」という思いを忘れずに投資していきたいと思います。

以上

りろんかぶお

その他の人気記事はこちら↓
にほんブログ村 株ブログ 米国株へ
にほんブログ村

※当ブログで紹介する理論株価は、いくつかの前提条件をりろんかぶおが独自に設定している為、その前提条件次第では計算結果が異なってきます。また当ブログは、投資に関する情報を掲載していますが、特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。また、読者が当ブログの情報を用いて行う投資判断の一切について責任を負うものではありません。

[ 2020/03/19 11:30 ] 13.投資の勉強部屋 | TB(-) | CM(0)

石油会社の未来

石油会社


現在、地球温暖化の解決に向け世界は躍起になっています。

地球温暖化は本当に人為起源?①

2016年、気候変動枠組条約に加盟する国々によってパリ協定が発効し、産業革命前からの世界の平均気温上昇を「2度未満」に抑えること、「1.5度未満」を目指すこと、をその目的としました。

気候変動に対する国際的な取組~京都議定書からパリ協定まで~

また、2015年、国連サミットにおいては「Sustainable Development Goals(SDGs、持続可能な開発目標)」が採択されました。

これは、持続可能な世界にするための17の大きな目標と、それらを達成するための具体的な169のターゲットで構成されて、国連加盟193か国が2016年から2030年の15年間で達成するために掲げた目標です。

このように、工業化によって大量の地球資源を費消し、大量の化石燃料を燃焼することで大気中のCO2濃度を激増させ、ようやく我々は地球が悲鳴を上げていることに気づきました。

そしてそのつけは、何百年も先ではなく、我々の子供・孫世代、或いは我々が生きているうち払わなければいけない程、差し迫った状況にあります。

こうした中、化石燃料が国際的な悪者にされ、再生可能エネルギーや電気自動車がその救世主として見られています。

このような国際的な取り組みの中、悪者の代表格である石油会社は今後どうなってしまうのでしょうか?

石油の世紀とも言われた20世紀。その次の21世紀に、そんなに簡単に我々は石油から脱却できるのか?

今回は、国際エネルギー機関(IEA)がシナリオ別に予測する今後のエネルギー需要を以下で見ていきたいと思います。

Stated Policies Senario:今後気候変動に対する新たな政策や規制が施行されず、既存の枠組みのままで経済活動が行われると仮定したシナリオ

Sustainable Development Scenario:SDGsで設定されたエネルギー関連目標やパリ協定の目標を達成するために新たな政策や規制が施行され、温室効果ガス排出量を2070年までにNet ゼロにするための適切な行動がとられると仮定したシナリオ

<石油需要>

石油需要予測

Stated Policies Senarioでは、石油需要は2025年までは堅調なるも、その後ゆるやかになり、2040年には2018年対比で8%増加していることになります。

このシナリオでは、石油の主要用途である自動車ガソリン需要は2020年後半にピークアウトするものの、石油化学品、船舶、航空用の需要が増加し続けていくために、結果的に微増を続けるという結果となっております。

一方、Sustainable Development Scenarioでは、石油需要のピークは今後数年間で到来し、2040年には2018年対比で32%減少していることになります。

このシナリオでは、自動車、船舶、航空用など輸送用途向け需要の顕著な減少を想定しており、自動車に至ってはEVの普及率が2040年に50%に達していることを前提としている。一方、リサイクルの取り組みが加速する中でも石油化学品需要は増加せざるを得ない想定となっている。

以下は、Stated Policies Senarioにおける年間新車販売対数の予測です。

自動車需要予測

現在、世界の新車販売台数は年間8700万台(EVの割合は1%台)ですが、Stated Policies Senarioでは、2040年には年間3300万台のEVが販売されている見通しで、道路を走っているEVは全世界で3億3000万台にのぼると予測されています。


個人的には、Sustainable Development Scenarioはかなりアグレッシブなケースだと思うので、実際には同シナリオ程、極端に石油需要は落ちないのではないかと思っております。

石油の用途の大半はやはり自動車なので、今後EVがどこまでシェアを拡大できるかがポイントとなりそうです。

<ガス需要>

ガス需要予測

天然ガスは、同じ化石燃料である石油や石炭と比較して、温室効果ガス排出量が少ないため、近年相対的にクリーンなエネルギー源とされ、需要が急増しており一時期、時代は“ガスの黄金時代”に突入したとまで言われました。

Stated Policies Senarioでは、ガス需要は2040年まで一貫して増加し続け、2040年には2018年対比で35%増加していることになります。

一方、Sustainable Development Scenarioでは、ガス需要は2020年代は年率平均0.9%で増加していき、2020年代末にはピークに達するとの見通し。その後は、再生可能エネルギーやエネルギー効率の改善なども相まって、消費量の減少が始まり、2040年のガス需要は2018年対比で微減となりそうです。

ちなみに、以下はシナリオ別に2040年の発電方法の割合を示したものです。

電源予測

Sustainable Development Scenarioはかなりアグレッシブなケースだと考えれば、ガスの需要は今後も堅調に推移していくことが予想されますね。

<まとめ>

石油需要は今後20年間でやはり減少しそうですね。

EVは今後普及を加速させそうだが、発展途上国などでの新たな自動車需要が出てくることもあって、ガソリン車の需要は今よりかは増えそうであることが確認できました。(但し、2020年代末にはピークアウト)

これらも考えれば、やはり石油の需要というのは、急に大崩れするものではなく、今後も底堅いものがありそうだなと思いました。

ガスに限っては、相対的にクリーンなエネルギーと認識されていることもあって、再生可能エネルギー供給が確立するまでのつなぎ期間の主役として、今後20年は需要が増加しそう。

これらを踏まえると、石油会社は今後100年間必要とされるかといわれればそうではなさそうだが、今後30年間は底堅い需要があり、それに見合ったそこそこの業績を上げていくのではないかと考えられます。


以上

りろんかぶお

その他の人気記事はこちら↓
にほんブログ村 株ブログ 米国株へ
にほんブログ村

※当ブログで紹介する理論株価は、いくつかの前提条件をりろんかぶおが独自に設定している為、その前提条件次第では計算結果が異なってきます。また当ブログは、投資に関する情報を掲載していますが、特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。また、読者が当ブログの情報を用いて行う投資判断の一切について責任を負うものではありません。



[ 2020/02/25 12:00 ] 13.投資の勉強部屋 | TB(-) | CM(0)

気候変動に対する国際的な取組~京都議定書からパリ協定まで~

COP.png


現在、国際的な重要課題の一つとして気候変動に対する危機感がますます増大してきております。

今回は、この気候変動に対して国際的にどのような取り組みが行われていて、我々でも一度は耳にしたことのある京都議定書とは何だったのか、パリ協定とは何なのか、ということを詳しく見ていきたいと思います。

1. 気候変動に対する国際的な取り組み

1972年6月、ストックホルムで国際連合人間環境会議開催。環境問題に関する会合で、国連環境計画(UNEP)設立を決定

1979年2月、ジュネーヴにて世界気象機関(WMO)主導の世界気候会議を開催。気候変動全般について学術的な話し合いが行われるとともに、気候変動研究をさらに推進する「世界気候計画」を採択

1984年、国連の「環境と開発に関する世界委員会」(WCED)が発足

1988年8月、国連環境計画(UNEP)と世界気象機関(WMO)により、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が設立。人為起源による気候変化、影響、適応及び緩和方策に関し、科学的、技術的、社会経済学的な見地から包括的な評価を行うことが目的。

1988年10月、トロント会議において「先進国が2005年の二酸化炭素排出量を1988年より20%減らす」という数値目標(トロント目標)を提示。行政レベルでの活動のきっかけに。

1992年6月、リオ・デ・ジャネイロで環境と開発に関する国際連合会議(地球サミット)が開催され、気候変動枠組条約(UNFCCC)を採択。UNFCCCでは定期的な会合(気候変動枠組条約締約国会議、COP)の開催を規定

1995年にCOP1、1996年にCOP2を開催。地球温暖化対策の必要性が合意されるとともに、温室効果ガスの削減目標や削減手法について協議。

1997年、COP3において、初めて具体的に排出量の削減を義務づける内容を盛り込んだ京都議定書が議決。

2005年、京都議定書が発効条件を満たし発効、法的にも削減義務が発生。

2007年、ハイリゲンダムサミットにおいて、「温室効果ガスを2050年までに半減する」との合意が為されたが、どの温室効果ガスをいつを基準に半減させるのかなど、詳細規定なし。

2009年、COP15においてコペンハーゲン合意がなされ、先進国・途上国の2020年までの削減目標・行動をリスト化し条約事務局へ提出することを合意。

2010年、COP16においてカンクン合意がなされ、コペンハーゲン合意に基づいて提出された先進国の削減目標と途上国の緩和行動をCOPの公式文書化し留意することで合意。

2015年、COP21において、パリ協定を採択。2020年以降の気候変動対策の枠組みとして,史上初めて全ての国が参加する制度の構築に合意。同協定では、「世界の平均気温上昇を工業化以前から2度以内に抑える」という長期的な目標を規定。

2016年以降、COP22以降で、2020年以降のパリ協定の本格運用に向けて、詳細議論を行い、パリ協定の実施指針を採択。

2. 京都議定書

対象国:先進国
対象期間:2008年~2012年
法的拘束力:あり
概要:各国別に、1990年を基準とした温室効果ガス削減目標を定め、対象期間内に先進国全体で5.2%削減することを約束。
各国削減目標:EU -8%、米国(離脱) -7%、日本 -6%、等

京都メカニズム:他国と協力しコストを低く抑える3つのしくみを導入

① 共同実施:先進国が共同で温暖化対策事業を行い、それによって生まれた排出削減量をの削減目標の達成に算入できる制度。

② クリーン開発メカニズム:先進国が技術や資金を提供し、開発途上国でその国の持続可能な発展を助ける温暖化対策事業を行い、それによって生まれた排出削減量を削減目標の達成に算入できる制度。

③ 排出量取引:先進国間で、排出割当量の一部を取引することができる制度

3. コペンハーゲン合意・カンクン合意

対象国:先進国、発展途上国
対象期間:~2020年
法的拘束力:なし
概要:コペンハーゲン合意によって、先進国・途上国の2020年までの削減目標・行動を条約事務局へ提出することを合意し、カンクン合意によって、提出された文書を公式文書として留意することを合意したもの。
各国目標:
コペンハーゲン合意先進国
コペンハーゲン合意途上国

4. パリ協定

対象国:気候変動枠組条約に加盟する全196カ国
対象期間: 2020年~
法的拘束力:あり
概要:世界の平均気温上昇を工業化以前から2度以内に抑えることを目的とする。各国が、削減目標を作成・提出・維持する義務と、当該削減目標の目的を達成するための国内対策をとる義務を負う。(但し、目標の達成自体は義務とされていない)
各国目標:
※米国はその後協定離脱
パリ協定

出典:全国地球温暖化防止活動推進センター
https://www.jccca.org/trend_world/conference_report/cop21/2-1204.html

STOP

以上

りろんかぶお

その他の人気記事はこちら↓
にほんブログ村 株ブログ 米国株へ
にほんブログ村

※当ブログで紹介する理論株価は、いくつかの前提条件をりろんかぶおが独自に設定している為、その前提条件次第では計算結果が異なってきます。また当ブログは、投資に関する情報を掲載していますが、特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。また、読者が当ブログの情報を用いて行う投資判断の一切について責任を負うものではありません。


[ 2020/02/21 11:57 ] 13.投資の勉強部屋 | TB(-) | CM(0)

地球温暖化は本当に人為起源?③

地球温暖化20200217


前回のページで、IPCCの最新の評価報告書を基に、地球温暖化が人為起源であると判断する科学的見解を示しました。

世の中の多くの国際機関や政府はこの報告書を正として今後の政策などを作成しております。

一方で、現在の温暖化は人為起源ではないと主張する温暖化懐疑論も存在します。

温暖化懐疑論は様々ですが、今回はその主要な主張3つを紹介したいと思います。

1. 温室効果ガス原因説への批判

・以下のような事実より、温室効果ガスと温暖化の因果関係を断定することはできない。

① 21世紀に入ってからも温室効果ガスは急増し続けているのに、21世紀以降気温は停滞している

② 温室効果ガスは1800年頃から上昇しているにも関わらず、気温上昇は1900年頃から上昇しており、100年のタイムラグが生じている

地球気温上昇20200217
温室効果ガス20200217
出典:IPCC 5次報告書

・温室効果としては,大気中の二酸化炭素よりも水蒸気や雲の影響の方がはるかに大きく、IPCCの報告書ではそれらの影響を過小評価したモデルでシミュレーションしている。

・温室効果ガス濃度の上昇が気温を上昇させたのではなく,気温(海水温)が上昇したから海洋がガスを放出して大気中の温室効果ガス濃度が上昇した。

2. 気候変動サイクル説

・現在の温暖化は、過去にもあった自然の気候変動の繰り返しの一部である。地球の気温変化は、宇宙を含む自然現象により、1億年、10万年、数千年、数百年の単位周期で大きく変動する。

過去の気温変化
出典:ウィキペディア

・産業革命前から昇温は起きていて、小氷期からの回復過程(自然由来の因子)が続いている

3. 太陽活動原因説

・スペンスマルク効果(まだ正しいとは断定できない説)
 
①太陽風は強い磁場を持ち,地球にやってくる銀河宇宙線の侵入を妨げる働きがある。
②太陽活動が盛んになると、太陽風が強くなり、それによって地球に来る宇宙線も減少。逆に、太陽活動が弱まると、地球に届く宇宙線も増大。
③宇宙線は冷却効果の大きい低層雲を作るので,太陽活動が弱まると宇宙線が増え,低層雲が増え,地球の気温が低下。太陽活動が強まると宇宙線が減り,低層雲が減り,地球の気温が上昇。

・太陽活動状況を表す太陽の黒点数増減データ(太陽活動が活発化すると黒点が増える)を長期的に見ると,黒点数の変化が気温変化に影響を与えている可能性が高い。

・11年周期の太陽活動は2000年頃にピークを迎え,80〜90年周期の活動もピークをすぎて不活発になりつつあり、それと歩調を合わせるように2000年頃から地球の気温は上昇していないことを鑑みると、近年の気候変動は太陽活動によって説明できる。

・最近の温暖化傾向は、地球だけでなく、火星、木星、海王星、トリトン(海王星の衛星)、冥王星等で観測されている。これは太陽活動説を支持する。

STOP

このように、地球温暖化の人為起源説を否定するもっともらしい主張もあります。
この主張のそれぞれに対して、人為起源説派も反論をしています。

一方、地球温暖化に関しては、人為起源説派に説明責任が生じている構図ですので、人為起源説派が苦しく見えるのはしょうがない部分もあります。

IPCCの論理は、

① 現在地球の気温は上昇している
② 二酸化炭素などは温室効果がある
③ 温室効果ガスの大気中濃度は工業化以降急上昇している
④ 温室効果ガス濃度上昇による理論的な気温上昇と、現在の気温上昇はほぼ同程度
⑤ つまり現在の気温上昇は、温室効果ガス濃度の上昇が原因だ

といったものです。

4の根拠がこの論理をかなりもっともらしいものとしていますし、だからこそ世界的に多くの人が支持する見解となっているのだと思います。

一方、IPCCのレポートでは最初から温室効果ガスに当たりをつけ、それを正当化するような分析になっているようにも見え、それ以外の要素の検証が不十分なように思えます。

こういったことも踏まえると、温暖化人為起源説をまるまる鵜呑みにするのではなく、科学的根拠は未だ不十分な点もあることはしっかり認識し、今後そのような点がどのように解明されていくかを冷静に見ていく必要があるのではと思いました。

以上

りろんかぶお

その他の人気記事はこちら↓
にほんブログ村 株ブログ 米国株へ
にほんブログ村

※当ブログで紹介する理論株価は、いくつかの前提条件をりろんかぶおが独自に設定している為、その前提条件次第では計算結果が異なってきます。また当ブログは、投資に関する情報を掲載していますが、特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。また、読者が当ブログの情報を用いて行う投資判断の一切について責任を負うものではありません。


[ 2020/02/19 11:50 ] 13.投資の勉強部屋 | TB(-) | CM(0)

地球温暖化は本当に人為起源?②

地球温暖化20200217


前回のページで、地球温暖化は今や世界的課題として資産運用の分野にも大きく影響を与えている中、地球温暖化懐疑論を主張する人もいることを説明しました。

そんな中、①地球温暖化は本当に人間活動に起因するものなのか?②地球温暖化懐疑論はどれだけ信憑性があるのか?といった疑問が浮かび上がってきましたので、今回はまず①について詳しく見ていきたいと思います。

現在、地球温暖化に対して、最も科学的な評価を行っているとされているのがIPCCの評価報告書です。

IPCCは、国際的な専門家でつくる、地球温暖化についての科学的な研究の収集、整理のための国際的な政府間機構を指します。

このIPCCが、1990年に公表した第1次評価報告書から、数年おきに報告書を公表し、2014年の第5次評価報告書が最新のものとなります。

IPCC第5次評価報告書で、「地球温暖化は本当に人間活動に起因するものなのか?」という問いに対して、どのような説明がなされているのか以下で見ていきます。

<IPCC第5次評価報告書>
※グラフの出典は全てIPCC第5次評価報告書

1. 気候システムの観測された変化

まずは客観的事実として、地球の平均気温は過去どのように推移していきたのかを確かめたものが以下のグラフです。

地球気温上昇20200217

これを見ると、地球表面では、最近30年の各10年間はいずれも、1850年以降の各々に先立つどの10年間よりも高温であり続け、長期にわたる評価が可能な北半球では、最近30年は過去1400年において最も高温の30年間であった可能性が高い (確信度が中程度)とされております。

陸域と海上を合わせた世界平均地上気温は、1880~2012年の期間に0.85度上昇していることが見て取れます。

これらの結果より、IPCCの見解としては、気候システムの温暖化には疑う余地がなく、また 1950 年代以降観測された変化の多くは、数十年から数千年間にわたり「前例のないもの」である、としております。

つまり、現在の地球温暖化は、長期的に見ても、自然に起こる気温変化ではなく、特別な何かしらの要因が寄与している可能性が高いとみていることになります。

(一方で、地球は46億年の歴史があるといわれていて、その間に数千万年以上の単位の氷河期と温暖期のサイクルを繰り返してきている中、たった数百年、数千年の気温変化を切り取って、過去に前例のない気候変動が起こっているといえるのかというとかなり疑問な気もします。)

2. 気候変動の原因

次に、上記の前例のない気温上昇を引き起こした「特別な何かしらの要因」が何かについて見ていきます。

まず、温室効果という現象について説明します。

二酸化炭素などの温室効果ガスと呼ばれる気体は赤外線を吸収し、再び放出する性質があります。

この性質のため、太陽からの光で暖められた地球の表面から地球の外に向かう赤外線の多くが、熱として大気に蓄積され、再び地球の表面に戻ってきます。この戻ってきた赤外線が、地球の表面付近の大気を暖めるので、これを温室効果と呼びます。

二酸化炭素などの温室効果ガスは、近年の工業化以降、化石燃料の燃焼によって大量に排出されるているので「特別な何かしらの要因」である可能性が高いと容易に想像できるので、まずは、温室効果ガスの空気中の濃度及び排出量の推移について以下のグラフで見てみます。

温室効果ガス20200217

これを見ると、工業化以降(産業革命は1700年代後半ごろ)温室効果ガス濃度と排出量は増加し続け、特に1950年ごろを境に急速に増加していることがわかります。

これは主に経済成長と人口増加からもたらされており、そして、今やその排出量は史上最高で、このような排出によって、二酸化炭素、メタン、一酸化二窒素の大気中濃度は、少なくとも過去80万年間で前例のない水準にまで増加したとされています。

次に、このような温室効果ガスの増加が、本当に現在の地球温暖化の主要な原因となっているのかについて見ていきます。

というのも、気候変動は、大気の組成、プレートの動き、太陽の出力変化、火山活動などの自然起源の要因もあるからです。

下の図では、1951年~2010年の間で、人為起源の温暖化効果がどの程度気温上昇を招いたか、自然起源の温暖化効果がどの程度気温上昇を招いたか、そして実際に観測された気温上昇幅はどの程度であったかを見ることで、近年の気温上昇の内、人為起源の割合がどの程度あるかを見たものです。

人為起源強制力20200217

上図よりわかることは、「人為起源強制力の合計」と「観測された気温上昇」がほぼ同程度であり、自然起源の気温上昇はこの間、ほぼゼロであったことがわかります。

これを根拠に、IPCCとしては人為的要因が20 世紀半ば以降に観測された温暖化の支配的な原因であった可能性が極めて高い、との見解を示しております。

3. 気候変動の将来予測

IPCCでは以下4つのシナリオを想定し、これらのケースで2100年までにどのような気温変化が予測されるかを調べております。

RCP2.6シナリオ:温室効果ガス排出の厳しい抑制を行うシナリオ
RCP4.5シナリオ:ある程度の排出抑制努力を行う中間シナリオ
RCP6.0シ ナリオ:ある程度の排出抑制努力を行う中間シナリオ
RCP8.5シナリオ:温室効果ガス排出を抑制する追加的努力のないシナリオ

ちなみに、工業化以前に対する世界平均の気温上昇を2°C未満に維持する(パリ協定の目標)可能性が高いのがRCP2.6です。

各シナリオの、温室効果ガス排出量前提は以下の通りです。

シナリオ別排出量前提20200217

つまり、パリ協定の目標を達成するには、温室効果ガス排出量を2000年代後半ごろにゼロ以下にする必要があるということです。。

このようなシナリオの下、予測された気温変化は以下の通りです。

気温変化予測20200217

21世紀末(2081~2100年)までの世界平均地上気温の1986~2005年平均に対する上昇量は、RCP2.6シナリオでは0.3~1.7°C、RCP4.5シナリオでは1.1~2.6°C、RCP6.0シナリオでは1.4~3.1°C、RCP8.5シナリオでは2.6~4.8°Cの範囲に入る可能性が高いことがわかります。

極度の温暖化においては、多 くの生物種が絶滅リスクの増大に直面し、食料の安全保障を低下させ、健康上の問題を悪化させることで人間の健康に 影響を与えることなどが予測されています。

若い世代であれば、本当に生きているうちにこのような地球規模での大問題が顕在化している可能性が十分にあるのです。

このようなことからも、我々自身、地球温暖化問題を他人事と思わず、将来の自分及び自分の子供に直接かかわってくる大きな問題として、各個人が真剣に考えていく必要があります。

STOP

以上

りろんかぶお

その他の人気記事はこちら↓
にほんブログ村 株ブログ 米国株へ
にほんブログ村

※当ブログで紹介する理論株価は、いくつかの前提条件をりろんかぶおが独自に設定している為、その前提条件次第では計算結果が異なってきます。また当ブログは、投資に関する情報を掲載していますが、特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。また、読者が当ブログの情報を用いて行う投資判断の一切について責任を負うものではありません。



[ 2020/02/18 12:22 ] 13.投資の勉強部屋 | TB(-) | CM(0)

地球温暖化は本当に人為起源?①

地球温暖化20200217


現在の世界において、最も主要な課題の一つが地球温暖化です。

1992年、大気中の温室効果ガスの濃度を安定化させることを究極の目標とする「国連気候変動枠組条約」が採択され、世界は地球温暖化対策に世界全体で取り組んでいくことに合意しました。

同条約に基づき、国連気候変動枠組条約締約国会議(COP)が1995年から毎年開催されています。日本からは全てのCOPに環境大臣が出席しています。

また、2015年9月、国連 持続可能な開発サミットで「持続可能な開発目標(SDGs)」が採択されました。

SDGsは持続可能な世界を作るために、国連加盟193か国が2016年から2030年の15年間で達成するために掲げた17つの大きな目標のことです。

貧困や飢餓をなくし、健康や教育を充実させようといった目標の他、「気候変動に具体的な対策を」といった目標も掲げられております。

近年はSDG投資という言葉に見られるように、地球温暖化問題が資産運用の世界にも影響を見せ始めております。

国際的な機運の高まりから、世界中の大手機関投資家が、温室効果ガス排出に大きく関与する企業(石炭会社や石油会社等)への投資を引き揚げており、銀行からそれらの企業に対する融資も引き締まっていくことが予想されます。

りろんかぶおとしては、エネルギー関連会社への投資の引き上げが実際のエネルギー消費の減少には直接的には結びつかないと思うので、エネルギー会社の業績が変わらないのに株価だけが下がるというのはエネルギー会社への投資妙味があるととらえることもできると考えます。

一方、銀行がエネルギー会社への融資を引き締めて、金利が上がったりすると、エネルギー会社の業績を圧迫し、これにより化石燃料系のエネルギー価格が上がると消費も減少するので、エネルギー会社に投資する場合は、借入金利の動向はしっかりと見ておいた方がいいと思います。

このように、資産運用業界においても、地球温暖化というのは重要なテーマとなってきている中、「地球温暖化懐疑論」というものもあります。

地球温暖化懐疑論では、人間活動の温室効果ガス排出増と地球温暖化の間には因果関係がない、或いは因果関係があるとする科学的根拠が非常に希薄であり、その正当性を断定するには不十分である、といった主張です。

各国のかなりのお偉いさんでもこの懐疑論を支持する人は結構おりますので、本当に地球温暖化が人為起源でないとすれば今頑張っていることは全部無駄なことになってしまいます。

こうした中、地球温暖化は本当に人間活動に起因するものなのか?地球温暖化懐疑論はどれだけ信憑性があるのか?といった点について、最新の科学的な見解について次回以降詳しく見ていきたいと思います。

以上

りろんかぶお

その他の人気記事はこちら↓
にほんブログ村 株ブログ 米国株へ
にほんブログ村

※当ブログで紹介する理論株価は、いくつかの前提条件をりろんかぶおが独自に設定している為、その前提条件次第では計算結果が異なってきます。また当ブログは、投資に関する情報を掲載していますが、特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。また、読者が当ブログの情報を用いて行う投資判断の一切について責任を負うものではありません。



[ 2020/02/17 10:23 ] 13.投資の勉強部屋 | TB(-) | CM(0)

NYダウ 直近20年間の各銘柄リターン比較

ダウリターン20200207


<NYダウ銘柄 直近20年間の各銘柄年率リターン(配当込)>

Untitled spreadsheet
順位 記号 1/3/2000
調整後株価(※)
12/31/2019 年率リターン
(配当込)
当時ダウ銘柄
1 AAPL 3.48 293.65 24.82%
2 NKE 1.84 101.31 22.18%
3 UNH 5.67 293.98 21.82%
4 BA 25.89 325.76 13.49%
5 CAT 11.95 146.65 13.35%
6 MCD 23.97 197.61 11.12%
7 UTX 19.22 149.76 10.81%
8 TRV 19.75 136.95 10.16%
9 CVX 17.62 120.51 10.09%
10 MMM 26.59 176.42 9.92%
11 DIS 23.09 144.63 9.61%
12 JNJ 27.14 145.87 8.77%
13 JPM 26.68 138.51 8.58%
14 HD 43.84 218.38 8.36%
15 KO 12.12 55.35 7.89%
16 PG 28.58 124.16 7.62%
17 MSFT 37.5 157.7 7.44%
18 ダウ30種平均 72.4 284.97 7.09%
19 AXP 34.39 124.06 6.62%
20 GS 70.76 229.93 6.07%
21 XOM 21.86 69.78 5.97%
22 VZ 20.72 60.77 5.53%
23 MRK 31.95 90.95 5.37%
24 WBA 21.17 58.96 5.25%
25 WMT 46.39 118.84 4.81%
26 PFE 16.17 38.78 4.47%
27 INTC 28.01 59.85 3.87%
28 IBM 76.41 134.04 2.85%
29 CSCO 41.83 47.61 0.65%








5/20/2019 12/31/2019 リターン
(配当込)


DOW 47.67 54.73 25.11%








3/19/2008 12/31/2019 リターン
(配当込)


V 11.18 187.9 27.04%








1/3/2001 12/31/2019 リターン
(配当込)


BRK.A 54800 339,590 10.07%







※配当及び株式分割がリターンに適切に反映されるよう調整



<筆者コメント>

・トップ3のアップル、ナイキ、ユナイテッドヘルスの年率リターンはいずれも20%越えで株価が20年間で50倍以上に。一方、いずれの銘柄も2000年当時は新興企業で、2000年以降に成熟していった企業なので、当時からの成熟企業とはステージが違うため、比較的良いパフォーマンスが得られていると考えられる。

・また、ボーイング(航空機)、キャタピラー(重機)、ユナイテッドテクノロジーズ(航空宇宙等)などの、メーカー群がトップ10入りしていることは意外。いずれも古くからのメーカーで、業界トップクラスのシェアを保持。参入障壁が高く、プレイヤー数が少ない業界で強力なブランド力を持っていることが高いリターンを実現している源泉かと思われる。

・一方、ワースト3はシスコ、IBM、インテルといずれもIT企業。2000年の年初はまさにITバブル真っただ中でシスコは一時期時価総額世界1位にも上り詰めたほど、IT企業の株価が高騰していたことが悪いパフォーマンスの原因。
これを見てもわかる通り、バブル真っただ中の銘柄を高値づかみしてしまうと、20年の長期投資をしてもひどいパフォーマンスになってしまう。適正株価で投資することの重要性がうかがえます。

以上

りろんかぶお

その他の人気記事はこちら↓
にほんブログ村 株ブログ 米国株へ
にほんブログ村

※当ブログで紹介する理論株価は、いくつかの前提条件をりろんかぶおが独自に設定している為、その前提条件次第では計算結果が異なってきます。また当ブログは、投資に関する情報を掲載していますが、特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。また、読者が当ブログの情報を用いて行う投資判断の一切について責任を負うものではありません。



[ 2020/02/07 10:21 ] 13.投資の勉強部屋 | TB(-) | CM(0)

リーマンショックで具体的に起こっていたこと③

リーマンショック


前回記事までで、リーマンブラザーズ破綻までに実際起こっていたことを説明しました。

リーマンショックで具体的に起こっていたこと①
リーマンショックで具体的に起こっていたこと②

今回は、なぜ米国第四位の投資銀行の破たんが世界的な大恐慌に繋がってしまったのか?について見ていきます。

結論から言いますと以下二点が大きな要因として挙げられます。

① 米国経済の大幅な冷え込みにより、米国向輸出に大きく依存していた国々に大打撃

② 金融機関のリスク許容度の急低下により、新興国や途上国に流入していた資金が一気に引き上げられ、各国で急速な資金不足、金利上昇が進んでしまったこと。

順序だてて見ていきます。

1. 政府スタンスへの不透明感

前回記事でも説明しましたが、リーマン破綻の道を選んだ米国政府・FRBの決断はほんとに正しかったのか?という点は未だに議論があるようです。

米国第5位のベアスターンズが2008年3月に経営危機に陥った時に救済されているのだから、米国第4位のリーマンブラザーズも当然救済されるだろうというのが市場参加者の見方だったのです。

この市場の期待を大きく裏切られてリーマンが破たんすることで、金融界には大きな衝撃が走りました。

これを契機に、政府のスタンスについての不透明感が高まり、大手銀行でも破たんさせられるかもしれないという懸念が急速に広がっていったのです。

2. 銀行貸出の大幅抑制

このように、資金繰りに窮した場合の最後の貸し手として絶大なる存在感があった政府が信用できなくなった当時、銀行は自己資本比率を引き上げるために、資本増強を図りながら、他方では急速に信用収縮を進めました。
そしてこれは欧州の銀行でも同じ対応がとられたのです。

この結果、国内向貸出が大幅に減少。大規模な金融危機の中、銀行はリスクに敏感になり、家計向けの住宅ローン、自動車ローン、学士ローンなどはもちろんのこと、法人向けの貸出も大幅に抑制していきました。

また対外貸出も大幅に減少しました。高金利を背景に多額の資金が新興国や途上国に流入していましたが、この流れが巻き戻されたのです。

この結果ドル買い現地通貨売りが激増し、現地の通貨価値が大幅に下落すると同時に、新興国や途上国の中には資金不足に陥り、急速な金利上昇がみられた国も出てきました。

3. 米国経済の冷え込みが貿易を介して世界に伝染

銀行の貸し出しの大幅な抑制により、住宅投資や自動車購入などの個人消費が制約を受けました。

また先行き不透明感から設備投資も先送りされ、このような経済活動の落ち込みが、雇用にも影響を及ぼし、雇用者の削減と失業率の上昇をもたらし、これが更に家計支出を圧迫しました。

このように世界最大の経済国である米国において極度に消費が冷え込んだことで、その輸入が大きく落ち込み、米国への輸出に大きく依存している日本やその他新興国、発展途上国などは大きな打撃を受けました。

STOP

上記で見てきた通り、米国のような経済大国で大不況が起こると、「貿易」を介して、一瞬にしてその不況が世界に伝搬してしまうことがわかります。

これがいわゆる「アメリカがくしゃみをすると日本は風邪をひく」ということの意味ですね。

国によっては当事者のアメリカより大きな打撃を受けてしまうとこ炉も出てきてしまいます。

そして、今や米国のGDPは世界第三位の日本の4倍程迄拡大しており(2020年2月現在)、その影響力は年々増しているのが現状です。。




最後に、当時のFRB議長であるバーナンキが、事後のヒアリングで以下の通り率直に述べているそうです。

「リーマン破綻の経済への影響についての見解は様々であり、0から100までのスケールで表すと、一部の人は『軽微な混乱』が起こる程度であるとみていたが、自分は90~95ぐらいの影響があると思っていた。しかし、実際には、140ぐらいにもなった。誰の予想よりも深刻だった。」

恐らくあれほど迄の世界的な恐慌になることがわかっていればFRBはリーマン救済を強行したのでしょうが、その影響を見誤ったことは間違いないようです。


以上

りろんかぶお

その他の人気記事はこちら↓
にほんブログ村 株ブログ 米国株へ
にほんブログ村

※当ブログで紹介する理論株価は、いくつかの前提条件をりろんかぶおが独自に設定している為、その前提条件次第では計算結果が異なってきます。また当ブログは、投資に関する情報を掲載していますが、特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。また、読者が当ブログの情報を用いて行う投資判断の一切について責任を負うものではありません。


[ 2020/02/05 10:50 ] 13.投資の勉強部屋 | TB(-) | CM(0)

リーマンショックで具体的に起こっていたこと②

リーマンショック


前回に引き続きリーマンショックで具体的に起こっていたことについて調べていきます。

今回はリーマンブラザーズが破たんした真相について。

<リーマンブラザーズ破綻の真相>

前回記事の通り、2007年夏頃にサブプライム危機が起こり、サブプライムローン証券化商品流通価格の暴落が起こりました。

一方で、リーマン自身は同商品の販売は行っていたものの、自分自身そこまでサブプライムローンを抱え込んでいたのかという疑問がありました。

実際にリーマン破たん直前である、2018年5月31日時点の財務報告書からバランスシートを確認してみましょう。(以下)

Untitled spreadsheet
リーマンブラザーズBS(2018年5月31日時点)(百万ドル)
資産 負債・純資産
現金・現金同等物 6,513 短期有利子負債 35,302
金融商品ロングポジション 269,409 長期有利子負債 128,182
担保付債権 294,526 金融商品ショートポジション 141,507
その他 68,984 担保付借入 183,266


その他負債 124,899






純資産 26,276
合計 639432
639,432


上記バランスシートの内、金融商品ロングポジションが金融投資に当たるところですが、バランスシート全体に占める割合も多く、これを見るだけでも、金融商品販売のみならず、自身でもかなりの金融投資ポジションを持っていることがわかります。

さて、この金融商品のロングポジションの中にどれだけサブプライムローンという爆弾が含まれているかを見てみました。以下がサブプライムローン残高です。

Untitled spreadsheet

5/2008 11/2007 11/2006
サブプライムローン(百万ドル) 2,755 5,276 6,849
金融商品ポジションに占める比率 1.02% 1.68% 3.02%


実は、サブプライムローン残高は金融商品ロングポジションの中でたったの1%程度、サブプライムローン価格が暴落する前の2016年11月末時点でも3%程度を占めているにすぎないことがわかりました。

つまり、リーマンは積極的にサブプライムローン証券化商品販売を行っていたものの、同ローンの在庫(自社保有ポジション)はかなり限定しており、サブプライムローン証券化商品価格の暴落はリーマンにはほとんど影響を与えていなかったことがわかります。

(但し、サブプライム危機に端を発して、多くの資産価格が下がりましたので、そういった意味ではもちろんリーマンも打撃を受けております。)

では、リーマン破綻はなぜおこったのか?

直接的な原因は資金繰りが立ち行かなくなったためですが、なぜ資金繰りが立ち行かなっくなったかというと、過度にレバレッジがきいた財務体質が本質的な原因といわれています。

バランスシートを見てもわかる通り、自己資本に当たる純資産に対して過度な債務を抱えております(自己資本比率は4.1%)。

金融機関は一般的に、借入と貸出の少ない利ザヤで稼ぐため、バランスシートが大きくなりがち(自己資本比率は小さくなりがち)ですが、資産側はあくまで安全資産であることが大前提です。資産価格の変動が激しいものだとすぐに債務超過になってしまうからです。

一方でリーマンの場合、サブプライムローンのような高リスク資産は限定的なるも、多くのリスク資産を抱えており、住宅バブル崩壊という外部環境も相まって債務超過するかしないかギリギリのところまでいってしまったといわれております。(債務超過したかどうかは正確には公表されていない?)

2018年9月10日に、リーマンが8月末締めの四半期決算が赤字になることを発表するとリーマン破綻懸念が一気に広まり、格付け会社は週末までに資本増強を行わないと格下げすると通告しました。

破たん懸念や格下げ懸念から、急速に資金流出が起こり、資金繰りが立ち行かなくなり9月15日に破産申請することになったのです。

ここでもう一点不思議なのが、なぜFRBはリーマンのような巨大投資銀行を救済しなかったのかという疑問です。

というのも、金融機関の場合、倒産した場合の負の影響が大きいため「大きくてつぶせない」という考え方があり、実際にリーマン以前にも、経営危機に陥った大手企業や金融機関は政府やFRBの支援を受けて救済されるケースが多かったのです。

実際に、全米第五位の大手投資銀行であったベアスターンズ(リーマンは第四位)が2008年3月に経営危機に陥った時には、財務省やFRBの支援の下に、JPモルガンチェース銀行への吸収合併が行われ大きな影響は回避されていました。

ではなぜリーマンは政府・FRBに見捨てられたのか?

ここの真相は未だにはっきりとせず諸説あるのですが、当時の当事者である、ガイトナーNY連銀総裁、ポールソン財務長官、バーナンキFRB議長の発言によると、

「FRBには担保不足の金融機関を救済する法的な権限はなく、救済は不可能であった」

「当然リーマン破たん回避のために全力を尽くしたが、バンク・オブ・アメリカはリーマンではなくメリルリンチを救済した。バークレイズは(英国)当局の介入でリーマンの買収を見送った」

「リーマンからは顧客、取引先のみならず従業員も逃げ出しており、手の打ちようがなかった」

といったことが述べられています。

実際のところ、リーマン救済を強行することはできたのは事実ですが、さまざまな要素を検討して政府・FRBは救済という道を選ばなかったということになります。

STOP

次回は、リーマンブラザーズという、米国第四位の投資銀行の破たんが、なぜ全世界的な大恐慌に発展してしまったのかというのを見ていきたいと思います。

以上

りろんかぶお

その他の人気記事はこちら↓
にほんブログ村 株ブログ 米国株へ
にほんブログ村

※当ブログで紹介する理論株価は、いくつかの前提条件をりろんかぶおが独自に設定している為、その前提条件次第では計算結果が異なってきます。また当ブログは、投資に関する情報を掲載していますが、特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。また、読者が当ブログの情報を用いて行う投資判断の一切について責任を負うものではありません。


[ 2020/02/04 13:52 ] 13.投資の勉強部屋 | TB(-) | CM(0)

リーマンショックで具体的に起こっていたこと①

リーマンショック

出典:トウシル

2008年9月のリーマンブラザーズ破綻に伴う世界大恐慌であるリーマンショック。

リーマンショックというと、信用の低い人達に対する住宅ローンであるサブプライムローンが暴落して、それを大量に抱えていたリーマンブラザーズも破綻してしまった、となんとなく理解している人が多いのではないでしょうか?

でも、そもそも、リーマンのような投資銀行は、自身で投資エクスポージャーを大量にとるわけではなく、投資家に金融商品を販売したり、M&Aの助言を行うはずなのに、なんでそんなにサブプライムローンを保有していたの?

リーマンのような巨大な金融機関は、「大きくてつぶせない」企業であり、それまでは国からの救済措置で救われてきたのに、なぜリーマンは見捨てられたの?

リーマンブラザーズという、言ってみればただの米国第四位の投資銀行の破たんがなぜ世界的な大恐慌を招いたの?

と、考えてみれば様々な疑問があります。

現在、米国株は史上最高値付近にあり、いつ暴落が来てもおかしくないといわれていますが、そんな時だからこそ、前回の大暴落であるリーマンショックに学べることはないか?という視点で、当時実際に何が起きていたかを詳しく見ていきたいと思います。

リーマンショックを語るにあたっては、まずサブプライム危機について知る必要があり、本日はそれに就いて調べていきたいと思います。

<2007年夏のサブプライム危機>

2000年代前半の米国ではサブプライムローンというものが流行りました。

サブプライムローンとは、米国の信用度の低い借り手向け住宅ローンのことです。

銀行からしたら、もちろんお金を貸す相手は信用度が高い方がいいに決まっているのですが、当時の米国は住宅価格が毎年上がり続けていたこともあり、借り手からしたら「借金の返済が難しい」となれば、家を売って(しかも元値より高く)借金を返済、或いは銀行が担保である住宅を召し上げてそれを売却すれば解決したので、住宅価格の上昇が続く局面においては問題がなかったのです。

そのような時期にサブプライムローンに目を付けたのが当時全米第四位の投資銀行であったリーマンブラザーズです。

通常の投資銀行の本業はM&Aアドバイザリーサービス等ですが、当時投資銀行業界で米国第四位に甘んじていたリーマンは、競合他社を追いつき追い越す手段としてサブプライムローン証券化商品の販売に目を付けたのです。

ここでリーマンがやろうとしたサブプライムローン証券化商品の販売の仕組みは以下です。

まず銀行が信用度の低い借り手に対して住宅ローン(サブプライムローン)を貸し付けます。

リーマンブラザーズはこのサブプライムローンを銀行から大量に買い取ります。

そして複数のサブプライムローンを束ねたり、他の証券を組み合わせたりして、証券化します。

サブプライムローン自体は信用度の低い人へのローンですが、他の証券と組み合わせ、利払いの不確実性を薄め、複雑な証券とすることで、リスクがあいまいとなり、なんと格付け会社から高格付けを取得します。

ものによっては最高格付けのAAAを取得したりしていて、そもそもこれがありえませんでした。

世の中の年金基金や巨額資金を運用する機関投資家は、格付を基に運用を行うため、海外の投資家含めサブプライムローン証券化商品の本来のリスクをしっかり把握しないままこれらを購入しました。

このようにして、サブプライムローンという、リスクの大きい、爆弾のようなものが、リーマンなどの投資銀行による証券化を通じて、米国内全体及び海外にもばらまかれて行ったのです。

ここでサブプライムローンの特性を振り返りますが、これは住宅価格の上昇というのが大前提としてありました。

但し、当然ですが価格というのは需要と供給で決まるので、需要が無限ではない限り過剰な供給が続けばいつかは価格上昇は止まるのです。

当然、米国でもサブプライムローンが住宅建設をあおったこともあり、いつしか、見渡してみれば、需要以上の家が大量にある状態となり、住宅価格の上昇が止まりました(下図ご参照)。

ケースシラー米住宅価格指数
住宅価格

住宅価格が上がるという前提が崩れた瞬間、ローン返済に困って住宅を高値で売ろうと思っても思ったような価格で売れない人、というのが急増し、サブプライムローンの延滞率も増加していきました。これが2006年後半ごろです。

延滞率

そしてこのような状況を察知した格付会社は、世界中にばらまかれていたサブプライムローン証券化商品を次々に格下げしていきました。

すると、高リスク資産への運用が規制されている年金基金や安定運用ファンドなどは、サブプライムローン証券化商品を処分せざるを得なくなる事態が一斉に起こり、これにより同商品の流通価格は2007年夏ごろに大暴落を始めたのです。

サブプライムローン証券化商品の流通価格
証券価格

安定運用を掲げている世界中の機関投資家が大打撃を受けてしまったのです。つまり、ばらまかれた爆弾が爆発した形となりました。

これが世に有名なサブプライム危機です。

さて、リーマンブラザーズはサブプライムローン証券化商品を世界中にばらまくという点において、重大な役割を果たしてしまいました。

但し、サブプライムローンのリスクは販売が完了した時点で買い手側の投資家に移転していることになるにも関わらず、リーマンブラザーズはなぜ倒産してしまったのでしょうか?

STOP

次回はリーマン破綻に続きます。

以上

りろんかぶお

その他の人気記事はこちら↓
にほんブログ村 株ブログ 米国株へ
にほんブログ村

※当ブログで紹介する理論株価は、いくつかの前提条件をりろんかぶおが独自に設定している為、その前提条件次第では計算結果が異なってきます。また当ブログは、投資に関する情報を掲載していますが、特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。また、読者が当ブログの情報を用いて行う投資判断の一切について責任を負うものではありません。


[ 2020/02/01 14:12 ] 13.投資の勉強部屋 | TB(-) | CM(0)

ショックの前兆を読む低格付債投資の現状

Baa 利回り


<低格付債投資状況把握の重要性>

・金融緩和で金余りの状態が長期化し、株や高格付債への投資が加熱し価格が高くなると、投資家はより高い利回りを求めて低格付債に資金を投じます。

・一方、低格付企業はビジネスや財務基盤の信用が低いため、中には事業がうまくいかず債務不履行になる企業も出てきます。

・債務不履行が起こると、投資家心理を冷やし、投資家は低格付債への投資を引き揚げ、その結果金利が上がる。

・金利が上がると、低金利で何とかやっていた企業も債務不履行が続発し、このような連鎖が経済全体に波及し、ショックを引き起こす。

・よってショックの前兆を察知する上では、低格付債利回りの状況をチェックしておくことも重要なのです。

・低格付債への投資状況を判断するには、低格付債(S&PでBBB、Moody’sでBaa等)と無リスク資産である国債の利回り格差(スプレッド)の推移をみるのが便利です。

・低格付債と国債のスプレッドが小さいときは、低格付債利回りが相対的に低いことを示しており、つまり低格付債への投資が活発であることが読み取れます。

<低格付債(Moody's Baa債)と国債の利回り格差推移>

Baa 10年債スプレッド_20200130


・リーマンブラザーズが経営破綻したのは2008年9月ですが、それ以前に低格付債利回りが急上昇していることが見て取れます。
これを見ても低格付債利回りがショックの前兆を察知する上で重要であることがわかります。

・これを踏まえて、現在の低格付債と国債の利回りスプレッドを見るとおよそ2%前後で、かなりの低水準まで下がっており、低格付債への投資が活発であることが見て取れます。

・今のところスプレッドは安定しているように見えますが、既にかなりの低水準まで来ているので、定期的に見ていく必要がありそうです。

以上

りろんかぶお

その他の人気記事はこちら↓
にほんブログ村 株ブログ 米国株へ
にほんブログ村

※当ブログで紹介する理論株価は、いくつかの前提条件をりろんかぶおが独自に設定している為、その前提条件次第では計算結果が異なってきます。また当ブログは、投資に関する情報を掲載していますが、特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。また、読者が当ブログの情報を用いて行う投資判断の一切について責任を負うものではありません。



[ 2020/01/29 11:22 ] 13.投資の勉強部屋 | TB(-) | CM(0)

日本型雇用システムから脱却できるのか?~労働関係法の観点から~

日本型雇用システム


先日、経団連は、今年の春闘に向けた経営側の指針を正式に発表。
そこで、新卒一括採用や終身雇用、年功型賃金など、戦後、長く続いてきた日本型雇用システムが「時代に合わないケースが増えている」として見直すよう促しました。

「日本株への投資がうまくいかない理由」にも書かせていただきました通り、グローバルで見た日本企業の競争力低下の要因として、日本企業の社会主義的な雇用システムを挙げました。

仕事を頑張って、たくさん会社に貢献した人と、クビにならないことをいいことに手を抜いて会社に居座っている人で、給料がほとんど変わらないというのが日本型雇用システムです。

ここからの脱却を指針として経団連が掲げたことはとても良い兆候だと思います。

ではなぜ、今まで多くの企業が日本型雇用システムに執着してきたのか?労働関係法上である程度の規制がされているのか?という点を調べてみましたので以下記載いたします。

目次
1. 労働関係法の種類
2. 賃金に関する規制
3. 解雇に関する規制
4. 賃金制度の種類と特徴
5. まとめ


1. 労働関係法の種類


労働関係法に関しては主に以下の法制度があります。(厚生労働省HP抜粋)

① 労働基準法
昭和22年制定。労働条件に関する最低基準を定めています。
賃金の支払の原則・・・直接払、通貨払、全額払、毎月払、一定期日払
労働時間の原則・・・1週40時間、1日8時間
時間外・休日労働・・・労使協定の締結
割増賃金・・・時間外・深夜2割5分以上、休日3割5分以上
解雇予告・・・労働者を解雇しようとするときは30日以上前の予告又は30日分以上の平均賃金の支払
有期労働契約・・・原則3年、専門的労働者は5年

この他、年次有給休暇、就業規則等について規定しています。

② 最低賃金法
昭和34年労働基準法から派生。賃金の最低額を定める法律です。
地域別最低賃金・・・都道府県ごとに、産業や職種を問わず、すべての労働者及び使用者に適用されます。
特定(産業別)最低賃金・・・原則、都道府県内の特定の産業について決定されます。

③ 労働安全衛生法
昭和47年労働基準法から派生。
(1)危険防止基準の確立、(2)責任体制の明確化及び(3)自主的活動の促進等により、職場における労働者の安全と健康を確保するとともに、快適な職場環境の形成を促進することを目的としています。

④ 労働者災害補償保険法
昭和22年制定。
業務上の事由又は通勤による労働者の負傷、疾病、障害、死亡等に対して必要な保険給付等を行うことを目的としています。

⑤ 労働契約法
平成20年3月1日施行。
就業形態が多様化し、労働条件が個別に決定されるようになり、個別労働紛争が増加しています。そこで、紛争の未然防止や労働者の保護を図るため、労働契約についての基本的なルールをわかりやすく明らかにしたものです。


2. 賃金に関する規制

(出典厚生労働省:https://www.check-roudou.mhlw.go.jp/qa/roudousya/chingin/q8.html)

労働基準法(労基法)24では、賃金の支払に方法についての5原則(①通貨払いの原則、②直接払いの原則、③全額払の原則、④毎月払の原則、⑤一定期日払の原則(ただし、臨時の賃金等は④、⑤の適用はない。))を定めているのみで、賃金の決定や計算の方法を如何にすべきかに関する規制はありません。

また、労基法15では、「使用者は、労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない。」とした上で、「賃金(退職手当及び第五号に規定する賃金を除く)の決定、計算及び支払の方法、賃金の締切り及び支払の時期並びに昇給に関する事項」については、労働者に対し書面で交付しなければならないと規定しています(労基則5)が、賃金の決定や計算の方法を如何にすべきかに関する規制はありません。

さらに、労働条件を画一的に規制するための就業規則に関する規定である労基法89でも、就業規則に必ず記載しなければならない事項の1つとして、「賃金(臨時の賃金等を除く)の決定、計算及び支払の方法、賃金の締切り及び支払の時期並びに昇給に関する事項」(労基法89②)を規定していますが、賃金の決定や計算の方法を如何にすべきかに関する規制はありません。

したがって、賃金の決定、計算の方法である「賃金制度」についての労基法の規制はないことなり、「賃金制度」のあり方は労使が対等の立場で話合い決定することになります。



3. 解雇に関する規制


労基法では、労働者を解雇しようとする場合には、原則として、少なくとも解雇日の30日前に解雇の予告をする必要があります。

解雇予告をしないで即日に解雇する場合は平均賃金30日分以上の手当(解雇予告手当)の支払が必要です。なお、解雇しようとする日までに30日以上の余裕がないときは、解雇の予告をした上で、30日に不足する日数分の解雇予告手当を支払うことが必要です(労基法20)。

次に、労働契約法では解雇に関して以下の通り定められております。

QTE
(解雇)
第十六条 解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。
第四章 期間の定めのある労働契約
(契約期間中の解雇等)
第十七条 使用者は、期間の定めのある労働契約(以下この章において「有期労働契約」という。)について、やむを得ない事由がある場合でなければ、その契約期間が満了するまでの間において、労働者を解雇することができない。
2 使用者は、有期労働契約について、その有期労働契約により労働者を使用する目的に照らして、必要以上に短い期間を定めることにより、その有期労働契約を反復して更新することのないよう配慮しなければならない。
UNQTE

従って、客観的に合理的な理由があり、社会通念上相当であると認められる場合に限って、解雇ができるということになります。

よって例えば、「与えた業務は取り組むものの、著しくパフォーマンスが低い」などの理由で解雇することは難しいというのが現状です。

外資系企業では解雇が普通というイメージがありますが、日本法人である限り、労働契約法が適用されるので、規制のかかり方は他の純粋な日本企業と同様です。

外資系での解雇は、退職推奨(従業員が自発的に退職することを勧めること)が基本で、実質的には解雇であるものの、形式上は労働者が自発的に退職していることになっております。

外資系に勤める人はそもそも解雇されることありきで働いている人がほとんどですので、退職推奨に無条件で応じてしまう人が多いようですが、実は労働契約法上の権利を主張して会社に異議を唱える余地は十分にあるのです。



4. 賃金制度の種類と特徴


労働関係法を見てみると、解雇に関しては法律上ハードルが高い一方で、賃金制度に関しては柔軟性があることがわかりました。

では、今後日本型の年功型賃金を脱却しようとする際、他には具体的にどのような賃金制度があるのでしょうか?

大きく分けると以下4つの賃金制度が考えられます。

① 年齢給:労働者の「属人的要素(例えば、「年齢」、「勤続年数」等)」で基本給を決定
② 職能給:労働者の「能力」で基本給を決定
③ 職務給:労働者が従事している「仕事」で基本給を決定
④ 業績給:労働者が行った仕事の「成果・業績」で基本給を決定

それぞれの長所と短所をまとめたものが以下です。

各賃金制度の長所、短所等

(出典厚生労働省:https://www.check-roudou.mhlw.go.jp/qa/roudousya/chingin/q8.html)



5. まとめ


日本の年功型の賃金に関しては、特段労働関係法上の規制がないことがわかりました。

では、なぜ日本企業が日本型雇用システムに拘ってきたかというと、今までの時代では長期的な人材育成や計画的な採用などのメリットが他のデメリットを上回ってきていたと解釈されてきたからです。

また日本人の保守的な特性上、年功序列と終身雇用という「超安定雇用」が、今までの時代は優秀な人材を引き付けてきたというのも事実かもしれません。(確かに就活の時に、日本人の親は安定した大企業に入ることを望みますし、公務員などの安定した職に就いている男性が未だに女性にモテますしね)

但し、企業活動がグローバル化している昨今、海外の優秀な人材を引き付けるために、雇用制度もグローバルスタンダードにする必要があり、日本型雇用システムからの脱却は必然の流れのように思えます。

まずは、現在の法律上も柔軟性のある賃金制度を改革していく必要があり、具体的には「年齢給」から「職能給」、「職務給」、「業績給」へのシフトが必須です。

このような賃金制度の改革が労働者の意欲を駆り立て、ひいては日本企業の競争力向上につながるものと思います。

以上

りろんかぶお

その他の人気記事はこちら↓
にほんブログ村 株ブログ 米国株へ
にほんブログ村

※当ブログで紹介する理論株価は、いくつかの前提条件をりろんかぶおが独自に設定している為、その前提条件次第では計算結果が異なってきます。また当ブログは、投資に関する情報を掲載していますが、特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。また、読者が当ブログの情報を用いて行う投資判断の一切について責任を負うものではありません。



[ 2020/01/23 11:19 ] 13.投資の勉強部屋 | TB(-) | CM(0)

経済成長は本当に必要なのか?③

経済成長


前回記事では、経済が成長しないということ(経済が成長しないことが資本家の共通理解になること)は、すなわち「労働者の賃金が減り続けること=経済の衰退」を意味し、経済が成長も衰退もしない「現状維持」という状態は存在しない、というお話をしました。

なぜかというと、

経済が成長しない⇒①企業収益が伸びない⇒②資本家は自身の利益を拡大するため労働者の賃金を下げる或いは解雇する⇒③全体の消費が落ちる⇒①企業収益が悪化する⇒②労働者の賃金が下がる⇒。。。

という負のスパイラルに陥っていくからです。

ここで、バブル崩壊以降、30年弱の間経済が停滞しているといわれる日本について、本当に上述のような状況が起こっているのか具体的な数字をみていきましょう。

まずはほんとにGDPは停滞しているのか?

名目GDP(兆円)
実質GDP(2005年を100) (1)
出典:内閣府の数字を基に著者がグラフ作成



名目GDPは2005年~2018年の間、年率平均0.3%の増加、実質GDPは年率平均0.6%の増加となっております。

微妙に増加しているとは言え、「GDPはほぼ停滞している」ということができるでしょう。


次に「①企業収益が伸びない」について見ていきましょう。

雇用者報酬+営業余剰(兆円)
出典:内閣府の数字を基に著者がグラフ作成



GDPが停滞しているので、当然ではありますが、以上のように企業の収益にあたる「雇用者報酬+営業余剰」も微増≒停滞しております。
(2005年~2018年の年率平均は名目GDPと同じく0.3%)


次に「②資本家は自身の利益を拡大するため労働者の賃金を下げる或いは解雇する」見ていきましょう。

ここでは、総所得に占める雇用者報酬の比率=労働分配率を見ていきます。
理論が正しければ、労働分配率が下がっているはずです。

労働分配率(%)
出典:内閣府の数字を基に著者がグラフ作成


ここで理論が覆されました。

労働分配率は減るどころか微増しているのです。

ここで理論と実態が異なる理由は日本の特殊な事情が考えられます。

それは、企業側(労働者側)が株主よりも強いということです。

多くの大企業では労働組合がとても強いので、給料を下げるということはかなり難しいのが実情です。

また最近コーポレートガバナンスコードなどでやっと企業統治の考え方が浸透してきましたが、日本には短期志向の株主が多く成熟した長期株主が少ないというのも原因の一つです。


次に一応、「③全体の消費が落ちる」を見てみます。

家計最終消費(兆円)
出典:内閣府の数字を基に著者がグラフ作成


家計の最終消費ですが、全体の労働者の賃金が削られていないので、やはり消費も落ちず、一定の水準を保っています。

ここまで見ると最初に想定された理論は日本経済には当てはまらなかったのかなと見えます。

ただ、雇用者の雇用体系を見てみると少し見え方は違ってきます。

雇用者正規非正規_2018


正規と非正規の割合を見ると、ここ数十年で圧倒的に非正規の割合が増えました。

人手不足が叫ばれる現在ですが、正規社員の人数はほとんど増えておらず、非正規社員で穴埋めが行われている状況です。

次に実質賃金を見てみましょう。

実質賃金
出典:新世紀のビッグブラザーへ


実質賃金は1997年をピークに下がり続けております。

国内総所得が停滞しているのに、雇用者数は増えているので、雇用者当りの賃金が下がるのは当然ですね。

これを見ると、資本家は正社員の給料を下げるのが困難な中、人手不足の中でもこれ以上正規社員は増やさず、比較的給料の増減や解雇が容易な非正規社員で穴を埋めていっていることがわかります。


<結論>


さて結論としては、最初に想定した理論とは異なり、日本では少なくとも2018年までは経済停滞による雇用者報酬の減衰という現象は見られず、よって消費も減衰はせず(但し増えもしない)、ほぼ一定のGDPをここ30年弱保ってきていることがわかりました。

但し、これは労働組合が強い日本特有の現象かもしれない、更にもう少し見ると資本家は給料を簡単に下げられない正規雇用をこれ以上増やす気がなさそう、ということも考察できました。

一方で、逆に言えば、雇用者報酬をがちがちに守る環境があれば、経済成長を追い求めなくても、経済規模を現状維持していくことができるのではないか、ということも考えられます。

現在の経済成長とは、自然資源に付加価値を付与し、たくさんのモノ・サービスを生産していくという構造です。

一方で、当然ですが地球の自然資源は有限なので、経済成長は確実にいつかは終わるのです。

そのようなときに、持続可能な資本主義を保つためには、現在の日本のように資本家と労働者のパワーバランスをしっかり整えていく(必ずしも労働者が資本家の言いなりにならない)必要があるのかもしれません。

以上

りろんかぶお

その他の人気記事はこちら↓
にほんブログ村 株ブログ 米国株へ
にほんブログ村

※当ブログで紹介する理論株価は、いくつかの前提条件をりろんかぶおが独自に設定している為、その前提条件次第では計算結果が異なってきます。また当ブログは、投資に関する情報を掲載していますが、特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。また、読者が当ブログの情報を用いて行う投資判断の一切について責任を負うものではありません。


[ 2020/01/22 12:21 ] 13.投資の勉強部屋 | TB(-) | CM(0)

経済成長は本当に必要なのか?②

経済成長


前回記事で、最近、特に先進国の若者の間では、本当に豊かな生活を送るということは、便利なモノに囲まれることだけではない、もっと家族や友人との関係性の中に幸せを見い出したり、自分がほんとに興味があって好きなことに打ち込む時間を大切にしたい、という風潮が生まれてきているという話をしました。

つまりこのような人たちは、モノを大量に生産し便利なモノに囲まれる生活を追い求める経済の成長が、必ずしも豊かな人生に繋がらないと考えているということです。

このような経済成長不要論を幸福の観点で論ずるのはもちろんあっていいことだと思いますが、ここで考えてみたいのが、経済成長なき資本主義が果たして経済システムとして持続可能なのかということです。

経済成長がない社会というのは、つまりGDPの成長がない社会です。

GDPは世の中全体の消費を表しますので、GDPの成長がないということは、全体の消費が毎年同額程度ということです。

以下の記事でも説明しましたが、GDPは三面等価の原則が成り立つので、消費が変わらないということは所得(労働者への賃金と企業の営業余剰)も変わらないということです。

三面等価のイメージ図
GDP 三面等価の例
出典:内閣府

GDPとは?

こんな状況下でも、資本主義の市場経済の下では、企業は市場を通して競争を行います。但し、消費が拡大しない経済においては、企業の競争は限られたパイの奪い合いになるので、競争が激化し、どんどん企業の収益が低下していきます。

将来的にも需要が拡大しないことが見通せると、企業収益を増加させることが困難であるとさとる資本家は、拡大しない企業収益を前提に、それでも資本家自身の利益を増やす為に、労働者の賃金を削っていきます。

賃金の削減が更に進むと、AIやロボットなどによる生産性改善により人員を減らしていきます。

こうなると、労働者の給料は下がり、失業者が世の中にあふれる一方、少数の資本家のみが利益を拡大させていきます。

但し、世の中の大半の人は労働者であり、消費を行う大半も労働者です。資本家は通常、得られる利益が大きいため、その全てが消費に回るわけではなく、手元に余剰資金がたまっていくのみです。

収入が減った労働者は、今までよりもモノを買えなくなるので世の中全体の消費量が落ちます。

すると企業収益は下がり、労働者の給料が下がり、消費が下がり、企業収益が更に下がっていくという、負のスパイラルに陥っていくのです。

資本主義においては、個々の資本家の利益追求が市場を通して社会全体の利益の拡大になるとされている為、資本家の利益追求欲求は是とされてきましたし、これこそが資本主義が成功した最大のエンジンの一つでもあります。

一方、経済が成長しない社会で、資本家がそれでも利益を追求すると、労働者の収入がむしばまれていくことになります。

つまり、資本主義においては、経済が成長しないということ(経済が成長しないことが資本家の共通理解になること)は、すなわち「労働者の賃金が減り続けること=経済の衰退」を意味し、経済が成長も衰退もしない「現状維持」という状態は存在しないことになります。

経済が成長しなくてもいいという人は、生活するのに最低限の給料があればいいのだから、多少給料が減ったっていいというのかもしれませんが、一度負のスパイラルに陥ると、給料は下がり続け、最低限の生活すらできなくなるということです。

このように考えていくと、経済成長なき資本主義というのは人々の貧困化が止まらない状態を意味し持続不可能であることがわかります。

ただ、ここで疑問がわいてくるのが、世界には30年近く、ほとんど経済成長していないのに何とか生き残っている資本主義国家があるのです。

そう、なんと日本です。

次回、その日本において、上述したような状況が果たして起こっているのかどうかということを見ていきたいと思います。

以上

りろんかぶお

その他の人気記事はこちら↓
にほんブログ村 株ブログ 米国株へ
にほんブログ村

※当ブログで紹介する理論株価は、いくつかの前提条件をりろんかぶおが独自に設定している為、その前提条件次第では計算結果が異なってきます。また当ブログは、投資に関する情報を掲載していますが、特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。また、読者が当ブログの情報を用いて行う投資判断の一切について責任を負うものではありません。



[ 2020/01/21 10:51 ] 13.投資の勉強部屋 | TB(-) | CM(0)

経済成長は本当に必要なのか?①

経済成長


多くの国の政府が目指すものは経済成長です。

ここでいう経済成長とはGDPの成長を指します。(定義によって名目GDPと実質GDPで分かれます)

以下記事で見た通り、GDPの成長とは、資本や労働を投入することで、自然資源に付加価値を付与して生産されたモノやサービス等の量を毎年増やしていくことです。

GDPとは?

毎年生産されるモノやサービスが増えいくということは、毎年人々の生活が便利になっていくことでもあるので、「経済成長=人々の生活を豊かにすること」と考えられています。

こういった考えから日本をはじめ、多くの国の政府が経済成長を目標に掲げます。

ただ一方で、我々の生活は既にかなり便利になりました。

確かに21世紀に入ってもスマホが現れ、これからはAIやIoTを軸に自動運転やロボットなどが急速に発展して、我々の生活は更に便利になるかもしれません。

既に普通に生きていくためには何の不自由もないほどの豊かさを手に入れた中、更なる便利さを求めて、我々はまだ忙しく働き続けるのです。

近年、特に先進国の若者の間では、本当に豊かな生活を送るということは、便利なモノに囲まれることだけではない、もっと家族や友人との関係性の中に幸せを見い出したり、自分がほんとに興味があって好きなことに打ち込む時間を大切にしたい、という風潮が生まれてきています。

つまり、そのような人たちにとって、必要以上にモノやサービスを消費することは価値がなく、そうするとGDPは増えませんので、「豊かな人生を送ること=経済成長」ではなくなってきます。

これは必然の流れだと思いますし、筆者自身も最近強く思うことでもあります。

「大きな家を買って、高級車に乗って、高い腕時計をして、仕事面では大きな仕事をするために自己研鑽を惜しまず自身の成長に貪欲であり続ける」

日本社会において最もかっこいいとされる人はこんな感じの人でしょうか?

自分自身、ここまでストイックではないですが、こんなイメージの姿を目指して今までの人生を送ってまたような気がしますが、途中で「ほんとに今の方向に一所懸命走っていった先に幸せは待っているんだろうか?」と疑問に思うようになりました。

この議論に答えはありません。

但し、事実として豊かさの考え方がGDPの成長に結びつかない人々が増えてきている中、次回以降で経済成長なき資本主義が果たして持続可能なのか(資本主義の存続に経済成長は不要か?)ということを考えていきたいと思います。

以上

りろんかぶお

その他の人気記事はこちら↓
にほんブログ村 株ブログ 米国株へ
にほんブログ村

※当ブログで紹介する理論株価は、いくつかの前提条件をりろんかぶおが独自に設定している為、その前提条件次第では計算結果が異なってきます。また当ブログは、投資に関する情報を掲載していますが、特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。また、読者が当ブログの情報を用いて行う投資判断の一切について責任を負うものではありません。


[ 2020/01/20 14:16 ] 13.投資の勉強部屋 | TB(-) | CM(0)

世界の中央銀行はなぜ「2%」の物価上昇を目指すのか?

インフレ目標


日本、アメリカ、EUなどの中央銀行は、基本的に「2%程度」の物価上昇を目標に金融政策を行っております。

一方で、例えば日本銀行法に定められているように、日本銀行が行う金融政策の目的は、「物価の安定を図ることを通じて国民経済の健全な発展に資すること」です。

物価の安定が目的であれば物価上昇は±0を目指すべきでは?

この疑問に対して以下の日銀黒田総裁の講演で丁寧に説明されているのでわかりやすいです。

https://www.boj.or.jp/announcements/press/koen_2014/ko140320a.htm/

要約すると以下の通り。

1. デフレの問題点

近年の日本はデフレ(物価減少)が問題されていますが、物価が下がることは消費者にとってうれしいはずなのになぜこれが問題なのでしょうか?

デフレの環境下では、消費者の需要が弱いので、企業からすると製品の価格を上げることができず、売上が伸びません。

そんな中でも業績を改善するために、人件費や設備投資を抑制します。

人件費が抑制されて従業員の給料が下がると、更に人々はモノを買うのを控えるようになります。

すると、企業は何とかモノを売るために値段を下げます。

このループがデフレスパイラルと呼ばれ、これが続くと経済規模の縮小に歯止めがかからず、人件費の抑制では収まらず、リストラが敢行され、世の中に失業者があふれ、大変な事態となってしまいます。。

これがデフレの問題点です。

2. なぜ「2%」の物価上昇を目指すのか?

デフレが問題なのは分かった。

でも、日本銀行は物価の安定を目指すことが目的なのだから、物価上昇±0を目指せばいいのでは?と思うかもしれません。

実は、世界の先進諸国が「2%」の物価上昇を目指す理由は以下2つあります。

① 物価指数による特性 —消費者物価指数の上方バイアス—

多くの中央銀行では、物価の基調判断に当たって、消費者物価指数を中心に用いています。

なぜなら、消費者物価指数は、国民の実感に即した、家計が消費する商品やサービスを対象とした指数であり、また、月次で公表されるため統計の速報性があるからです。

一方で、消費者物価指数には、指数の上昇率が高めに出る傾向があることが知られています。

よって、消費者物価指数の前年比で「物価安定の目標」を示す場合には、ある程度プラスの値にする必要があるのです。

② 金利引き下げ余地の確保 —いわゆる「のりしろ」—

景気に対して中立的な金利水準は、「経済の潜在成長率+物価上昇率」であらわされます。

例えば1年で物価が2%上昇するのに、金利が1%では、差引き1%分損することになりますよね?

ということで通常、金利は物価上昇率+αで決定されるのです。

また、通常景気後退期に経済を刺激するために中央銀行が行う最も有効的な金融政策として利下げがあります。

なので、この必殺技を使うために、景気が順調な時は、利下げをする余地を確保しておきたいのです。

利下げ余地の確保ということだけみれば、物価上昇率は高ければ高いほどよいということになります。

しかし、金融政策が目指しているのは、物価の安定を実現することです。

利下げ余地確保と物価の安定の両者のバランスが重要で、これが国際的に「2%」程度が良いという考えが一般的になっているということです。

STOP

・リーマンショック以降、日米欧の中央銀行はそろってこの2%物価上昇を目標に掲げ、金融政策を行ってきましたが、なかなかこの目標が達成できません。

・これだけ金融緩和を行っても、物価が上がらないことに各中央銀行は頭を悩ませ、既存の金融政策の限界がささやかれてますね。

・ネットで簡単に情報が手にはいる中、人々はもっとも安くてよい商品にリーチしやすくなったのも一つの原因だと思います。

・各国の金利がゼロ近辺にへばりつく中、そろそろ足音が聞こえてきそうな大恐慌に耐えられるのでしょうか?今から心配ですね。




[ 2020/01/16 11:26 ] 13.投資の勉強部屋 | TB(-) | CM(0)

GDPとは

GDP.png


今回は意外と知らないGDP(Gross Domestic Production、国内総生産)について徹底解剖していきます。

1. GDPとは

GDPとは一定期間内に日本の国内で生み出された付加価値のことです。

ここでいう付加価値とは、商品やサービスの生産額(販売額)から、これを生産するために使われた原材料、電気・ガス、輸送サービス、用紙類など、他の生産者から購入した分(中間投入額)を除いたものです。

自動車の例で見てみましょう。

GDP 自動車の例
出典:http://25-500.com/gdp%E5%8A%B4%E5%83%8D%E5%88%86%E9%85%8D%E7%8E%87%E5%B9%B4%E5%8F%8E%E5%9B%BD%E6%B0%91%E7%B5%8C%E6%B8%88%E8%A8%88%E7%AE%97%E3%83%95%E3%82%A7%E3%83%AB%E3%83%9F/

上図の通り、まず鉱山で鉄鉱石が採掘されます。

これは地球に元々ある資源を労働力を用いて取得する行為なので、鉄鉱石の値段の構成要素は、採掘に要する労働への「賃金」と鉄鉱石採掘企業の「利潤」です。

ここで得られた鉄鉱石を原材料として、そこに更に労働者が付加価値を加え、鋼板、プレス、塗装などの工程を経て自動車が完成します。

原材料を大元までたどると「賃金+利潤」で構成されているので、自動車製造という一連の工程の中で「賃金+利潤」を足し合わせていくとその合計は最終生産物である自動車の販売額と一致します。(下図)

GDP 自動車の例2
出典:http://25-500.com/gdp%E5%8A%B4%E5%83%8D%E5%88%86%E9%85%8D%E7%8E%87%E5%B9%B4%E5%8F%8E%E5%9B%BD%E6%B0%91%E7%B5%8C%E6%B8%88%E8%A8%88%E7%AE%97%E3%83%95%E3%82%A7%E3%83%AB%E3%83%9F/

※実際には原材料費のみならず、電気・ガス代、輸送サービス、用紙等の費用も掛かりますが、これらも究極まで元をたどれば、労働力を用いて自然から得たものなので「賃金+利潤」で構成されています。

GDPは、生み出された付加価値のことを指すので、ここでは「賃金+利潤」に該当し、よってGDPとは最終生産物の販売価格の合計であらわすことができます。

但し、GDPは「日本の国内で生み出された付加価値」なので、仮に自動車の例で鉄鉱石が全て海外から輸入された場合、鉄鉱石を得るまでの付加価値は海外で生み出されたものなので日本のGDPとしては「自動車の販売額―鉄鉱石の輸入額」となります。

2. 三面等価

このように、国内で生み出された付加価値は、企業で働く人々の賃金や、企業の利益となって債権者や株主に分配されます。

また、生産されたものは必ず誰かに購入されるので、生産の合計と支出の合計は一致します。
(実際には生産されたモノが売れ残ってしまうということが起こりますが、GDPの計算上、在庫は生産者が購入したものとされます。)

このように生産者が生産した金額、企業や労働者に分配された金額、生産物を購入するために支出した金額、の3つの金額の合計は必ず等しくなり、これを「三面等価」の原則と言います。(下図)

GDP 三面等価の例
出典:内閣府


この3面等価の観点から、以下の2010年のGDPを分配面、支出面、生産面から具体的に見ていきましょう。


GDP 三面等価の例2
出典:ウィキペディア

<生産面>

生産面では、産業(金融法人、非金融法人、家計)、政府、対家計民間非営利サービス生産者の三つの活動主体に分類され、それぞれの活動主体が生み出した付加価値の合計が生産面で現れます。

政府は中央政府、地方政府、社会保障基金(公的年金、健康保険、雇用保険等)の3つからなり、様々な行政サービスを生産(生産面)する一方で、政府自身がそれを消費するとみなして支出面のGDPにも計算されています。

また道路や橋などの公共事業支出は、公的固定資本形成といして政府の支出として計上されるが、実際にはそれらの工事は民間企業に発注されるので、民間の建設会社や土木会社の生産として生産面に出てきます。

ちなみに、株や土地の売買で発生するキャピタルゲイン・ロスに関しては、株や土地の所有者が移転しているだけで新たな付加価値が生み出されているわけではないのでGDPには出てきません。

<分配面>

基本的には企業の利益を計算するときの以下の式を考えるとわかりやすいです。

企業の純利益=売上高―原材料費―減価償却費―人件費―税金+補助金(あれば)

これを図の言葉を当てはめていくと以下のようになります。

営業余剰・混合所得=生産物販売額―原材料費―固定資本減耗―雇用者報酬―生産・輸入品に課される税(消費税や輸入関税等)+補助金

この式を変形すると

GDP=生産物販売額―原材料費
=営業余剰・混合所得+固定資本減耗(設備の減価償却費のようなもの)+雇用者報酬+生産・輸入品に課される税―補助金

但し、生産のために使った設備は、年々古くなって価値が低下していくので、これを表す固定資本減耗は、費用として付加価値から控除されるべきものです。(実際には企業の会計上も減価償却費は費用として計上されますしね)

但し、固定資本減耗額は正確に推計することは容易ではないので、固定資本減耗を控除しない付加価値の合計という意味で、国内「総」生産(「Gross」Domestic Production)といわれるのです。

<支出面>

消費支出は、民間のみならず政府も行うので、それが政府最終消費支出としてあらわされます。

在庫品増加は、前述の通り、生産者により消費されたものとみなして、前年対比の増加分が支出面でカウントされます。

また財貨・サービスの輸出は、日本で生産されたものが、海外で販売されたものなので、支出面でカウント、財貨・サービスの輸入は海外で生産されたものなので国内で生み出された付加価値ではないので控除する必要があります。

ここで疑問なのは、なぜ総固定資本形成(企業の設備投資のようなもの)が入っているのでしょうか?

というのも、基本的に、企業が購入する物やサービスは生産を行うためのものなので、企業の行う消費は全て中間投入であって、最終消費を行うことではありません。(つまり支出面ででてくるべきではない)

これは、分配面で固定資本減耗が控除されていないことに関係しています。
設備投資というのは生産を行うための費用なので、この金額がそのまま費用として分配面からも控除されていれば、当然支出面でも入れる必要はないのです。

但し、固定資産形成を生産活動期間でならした固定資本減耗が、生産を行うための中間費用として、分配面から控除されていないのであれば、これは中間投入ではなく、最終消費としてカウントしなければ分配面と支出面が一致しなくなってしまいます。

このような理由から、企業が資本財を購入する行為である総固定資本形成は支出面にカウントされます。

以上

りろんかぶお

その他の人気記事はこちら↓
にほんブログ村 株ブログ 米国株へ
にほんブログ村

※当ブログで紹介する理論株価は、いくつかの前提条件をりろんかぶおが独自に設定している為、その前提条件次第では計算結果が異なってきます。また当ブログは、投資に関する情報を掲載していますが、特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。また、読者が当ブログの情報を用いて行う投資判断の一切について責任を負うものではありません。


[ 2020/01/15 14:07 ] 13.投資の勉強部屋 | TB(-) | CM(0)

【消費動向】 景気サイクルの考え方

個人消費image_202001


<景気サイクルの考え方>

・りろんかぶおとしては景気後退期を予測するうえで、民間の消費動向と債務残高がカギになると考えます。

・2008年、リーマンブラザーズは負債総額6390億ドル(約64兆円)という米国史上最高額で経営破綻しました。これにより、世界連鎖的な信用収縮による金融危機が起こり、100年に一度といわれる大恐慌となりました。

・このようなことが起こると、金融機関が企業に融資する余裕がなくなりますので、資金繰りに困った企業は業績が悪化し次々と倒産していきます。そうすると従業員の給料が下がり失業者が世の中にあふれるので、民間の消費は激減し更に企業業績が悪化するという負のスパイラルに陥ります。

・経済を活性化させるために中央銀行は、利下げを行い、銀行から国債を買い取ることで銀行に資金を供給し、銀行が企業に融資をしやすい環境を整えます。低い金利で融資を受けられることで企業は低コスト生産ができるようになり今まで以上にモノの価格が下がります。モノの価格が下がると消費者マインドが刺激され消費は徐々に動き出します。消費が堅調になると企業の業績は徐々に改善していきます。企業の業績改善は従業員の収入増に繋がり、人々の収入が増えると更に消費が増えます。このような状況になると企業はさらに利益を伸ばすために新たに借入を行い、それを新規の設備投資にあて、増加した需要に応えます。こういった好循環が生まれることで景気は良くなっていく一方で企業の債務残高はどんどん増えていきます。

・但し消費の増加は青天井ではありません。家を買い、車を買う当分の間買い替える必要がなくなるのと同様、一度生活に必要なモノがそろってしまうと消費はそれ以上なかなか増えていきません。

・消費に息切れが起こってきたときに、企業は振り返ってみると大量の借金を抱え、毎年大量の金利支払いが生じていることに気づきます。一度生産設備を拡大してしまうとそれを基に戻すことはできませんので、大量の生産能力を持ちながら稼働率を下げるほかなく、消費が鈍くなって収入が減少している中、今までと同じように金利支払いが発生するので、これにより資金繰りに窮した企業が倒産していき、また不況期の負のスパイラルが始まります。これが景気サイクルです。

・現在の米国景気は、「既に悪化していたものが底を打ち、今後回復していく」という人もいれば、「近い将来に大規模な景気後退が発生する」という人もいます。いろいろな経済指標がありますが、筆者が特に重要と考えるのが、民間のGDP対比債務残高と消費動向です。

・今回は消費動向です。

<米国個人消費動向関連指標>
(出典:ダイヤモンド)
個人消費_202001

<筆者コメント>

・失業率が歴史的な低水準を更新しており、労働者の供給が減衰傾向にあるのが相まって個人所得も増加、これを受けて個人支出も増加するというまさに好循環が継続しております。

・中古及び新築の住宅販売も引き続き好調で、小売売上高も比較的堅調で、1.5%~2.0%の物価上昇がみられる中、需要が多いことがわかります。

・これらの指標を見る限り、まだ消費動向に陰りは見られません。景気後退期を見極める上では、今後この消費動向がどのタイミングで息切れしてくるかを慎重に見ていく必要があると思います。

以上

りろんかぶお

その他の人気記事はこちら↓
にほんブログ村 株ブログ 米国株へ
にほんブログ村

※当ブログで紹介する理論株価は、いくつかの前提条件をりろんかぶおが独自に設定している為、その前提条件次第では計算結果が異なってきます。また当ブログは、投資に関する情報を掲載していますが、特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。また、読者が当ブログの情報を用いて行う投資判断の一切について責任を負うものではありません。




[ 2020/01/09 13:23 ] 13.投資の勉強部屋 | TB(-) | CM(0)

米国大統領の役割と仕事を解説

米国daitouryouimage


今回は、知っているようで知らない米国大統領の仕事を解説していきたいと思います。

大統領の仕事を理解するうえで、米国の国家形態、政治形態を理解する必要がありまずはそこから説明していきます。

1. 米国の国家形態

米国の国家形態は連邦制です。

つまり、米国は50の異なる国(州)が一つの主権の下に結合された国家なのです。

合衆国憲法では、連邦政府の権限は帰化、破産、通貨、度量衡、通商、郵便、著作権、国際法、宣戦、軍の統制規律、徴税と借金などに関する事項に限定されており、それ以外の全ての権限は州に任されると規定されているのです。

州が一つの国として成り立っている為に、各州には州憲法、州政府、州議会、州裁判所がしっかりと存在します。

法律も違うということで、例えば死刑制度がある州もあれば無い州もある、消費税率も州によって違う、学校教育制度も小中高の年数が6・3・3制、4・4・4制、6・6制等さまざまです。

このように、まったく違う州が集まってひとつの国を作っているのが米国です。よって米国内の政治、つまり内政に関しては州が主体で連邦政府は大きな力は持っておりません。

2. 米国の三権分立

連邦政府は、①立法府(合衆国議会)、②行政府(大統領を長とする15省から成る)、③司法府(連邦最高裁判所、下級裁判所)の三つの部門からなる三権分立システムです(日本と同じ)。

米国三権分立
出典:Wikipedia

① 立法府:合衆国議会
上院(日本でいう参議院)と下院(日本でいう衆議院)からなる二院制。
法律制定に加え、条約の批准承認、予算策定、外国への宣戦布告および軍事行動の承認などがある。

下院は定数435で各州からの選出定員は人口に比例。2年ごとに全議員が改選。
上院は定数100で各州一律2名ずつ。任期6年で2年ごとに3分の1の議員が改選。

② 行政府
合衆国議会にて成立した法律に従って国を統治していく部隊。大統領の指揮の下15の省が存在する。

大統領が居住し執務を行う官邸がホワイトハウスであり、ホワイトハウスはしばしば行政府の代名詞として使われる。

③ 司法府:最高裁判所、下級裁判所

3. 大統領の権限

大統領は、憲法上は行政権の単独保有者で、軍隊の最高司令官です。

憲法上定められた代表的なものとして、

・軍の統帥権
・議会に教書(Message)を送って立法措置を勧告・要請する権限
・臨時議会の召集権
・議会の停会権
・法律の実施権
・法案の拒否権 (前述)
・外交使節・最高裁判事・各省長官の任命権
・条約の締結権
・大統領令の発令
Etc.
などがあります・

行政権としては、各省長官の任命権、条約の締結権(上院出席議員2/3の賛成が必要)などがあり、行政府や軍に対して、議会の承認を得ることなく、直接命令できる大統領令の発令権限があります。
権限の制限範囲は憲法で明記されていないが、議会が反対法案を作ることや最高裁判所による違憲判断がブレーキ役となるようです。

立法関連では、基本的には議会の制定した法律を執行するのみで、議会に対して法案提出権も解散権もありません。大統領が議会に対して行なえるのは、議会に教書を送って立法措置を勧告・要請することと法案の拒否権(但し両院ともに2/3以上の賛成で再可決可能)があります。

司法府に対しては、最高裁判事の任命権を有していることで影響力があります。

軍の指揮権に関しては、大統領は合衆国軍(陸軍・海軍・空軍・海兵隊・沿岸警備隊)の最高司令官としての指揮権があります。

宣戦布告、軍隊の編成は議会権限ですが、今日では、議会による宣戦布告を悠長に待っていては敵対国から先制攻撃を受けてしまったりする危険性があるため、大統領はこの指揮権を根拠に宣戦布告なしで戦争を開始できることが慣例的に定着しています。

つらつらと書きましたが、大統領の仕事の多くは、軍事関連を含めた外交の仕事ではないでしょうか。大統領はあくまで法の執行者であり、決まり事(法律)をつくる権限はないのです。
また前述の通り、内政に関しては州が主体であり連邦政府の役割は限られているので、目立つ仕事というのは自然と外交がメインになってくるのです。

4. 大統領権限においてなされたこと(例)

・米中貿易戦争における関税引き上げ

基本関税のような決め事は基本的に議会によって決められるものでは?と思うのですが、通商法301条というものが存在し、そこでは「外国による不公正な貿易慣行に対し、大統領の判断で一方的に関税引き上げなどの制裁措置が取れる」と規定されているのです。これを根拠にトランプ大統領が自身の判断で貿易戦争できてしまっているのです。

・メキシコ国境への壁建設

これは大統領令として発されたものですが、壁建設の予算は議会の承認が必要な為、実質的には議会の判断が加わります。但し、2019年9月に国防総省の予算から壁建設費用の為の予算を転用することが承認されたようで、現段階において壁建設を進めることが可能になっているようです。但し、これに関しては多くの反対もあるので実際に進むかどうか。。ちなみにこれも誤解している人が多いですが、米国とメキシコの国境沿いには既に一部区間で壁が存在しています。トランプ大統領はこれの追加建設を言っているんですね。トランプ大統領がいきなり変なことを言い出したわけでもないようです。

・TPP離脱

これは大統領令として発されたものです。民主党オバマ政権下ではTPP締結すべく最終調整に入っていたところですので、民主党としてはTPP締結したかったので、大統領令に反対する法案を作成すればいいところですが、当時上下院共に共和党が過半をとっていたので何もできなかったものです。

ちなみに2017年に大規模な法人減税が行われましたが、これはしっかりと議会で可決されたものです。あまり事情を知らないと、トランプ大統領が大胆なことをやったと思いがちですがしっかり議会の承認のプロセスを経ているのですね。

STOP

・トランプ大統領就任当時は上下院共に共和党が過半を握っていた為、議会の承認を必要市内大統領令を使っていわばやりたい放題の状態でした。

・一方2018年の中間選挙以降、下院では民主党が過半を握ったので(上院は引き続き共和党が過半)、あまり大胆な政策を打てなくなってきているのが現状というところでしょうか。

・トランプ大統領の政策はかなり過激で突飛な印象が強いですが、基本的には共和党の思想の下行われているものが多く、過激なツイッター発言などを差し引けば、自身の強力な交渉力を武器にうまくやっているという評価もされております。

以上

りろんかぶお

その他の人気記事はこちら↓
にほんブログ村 株ブログ 米国株へ
にほんブログ村

※当ブログで紹介する理論株価は、いくつかの前提条件をりろんかぶおが独自に設定している為、その前提条件次第では計算結果が異なってきます。また当ブログは、投資に関する情報を掲載していますが、特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。また、読者が当ブログの情報を用いて行う投資判断の一切について責任を負うものではありません。



[ 2019/12/27 14:20 ] 13.投資の勉強部屋 | TB(-) | CM(0)

米国大統領選挙のプロセス解説

2020年大統領選挙


2020年は米国大統領選挙の年です。

ここで、米国大統領選挙をより楽しむために、知っているようで詳しく知らない米国大統領選挙のプロセスと概要について記載してみたいと思います。

1. プロセス
大統領選挙の流れは以下の通り。
一般的に各政党の候補者を一人に絞る過程を予備選挙(予備選挙・党員集会~全国党大会)といい、実際に大統領を選出する過程を本選挙(一般投票~選挙人投票)といわれます(詳細は後述)

大統領選挙の流れ

出典:朝日新聞

2. 政党
米国には共和党と民主党の二大政党が存在します。

もちろん他にも第三勢力はありますが、多くの州では、二大政党以外の立候補者には一定数の有権者による署名を必要としているので、第三勢力の候補者にとって立候補のハードルは高く、署名が揃わず一部の州でしか立候補できない事例が多いです。こういったこともあり1853年以降は共和党か民主党の候補のどちらかが大統領になっております。

政党のカラーとして一般的には、共和党は保守主義(従来からの伝統・習慣・制度・社会組織・考え方などを尊重)、民主党はリベラル(自由と平等な権利を尊重、男女平等、人種の平等、言論の自由等)といわれております。

3. 予備選挙(予備選・党員集会~全国党大会、2月~8月)

予備選挙は各政党内の選挙ということもあり、政党毎、各州毎でルールが異なりかなりややこしいですが簡単に説明します。

予備選挙は形式としては州毎に行われる間接選挙です。
各州の有権者が代議員を選出し、その代議員が全国党大会で党の公認候補を選出します。

ここでいう代議員は、各大統領候補の支持者、支援団体の代表者などからなっており、基本的に特定の候補者に投票することをあらかじめ宣言している為、実質的には有権者が直接、各政党の公認候補を選出することになります。

そして、有権者が代議員を選出する方法が予備選(大きなくくりの予備選挙と区別)と党員集会の二種類です(州ごとに違う)。

① 予備選
各州の有権者が、秘密投票(無記名投票方式)で特定の候補者投票を宣言している代議員に投票する方式。

投票権は党籍がなくても可能だが、選挙人登録が必要。

② 党員集会
こちらは複雑で、州毎、政党ごとで異なるものの、よくあるものとして、党員が集まって議論を行い、議論を深めながら最終的に各党員が公開投票(各自が投票先を公開)を行い代議員を選出するやり方。予備選と比べると少々原始的です。

投票権は党籍が必要なるも、一般人が直前でも党籍登録できるので、実質的には州民の意見を反映させることが可能。



代議員の議席数は、民主党では一般代議員と特別代議員に分けられており、一般代議員は予備選・党員集会の得票数に応じて議席が割り当てられる比例配分方式で、特別代議員は党の幹部役員等。

一方、共和党では多くの州で、各州の勝者が各州に割り当てられた議席を総取りできる勝者総取り方式をとっております。

そして、7月~8月に行われる全国党大会において、正式に代議員の投票によって各政党の公認大統領候補が決定され、公認候補が副大統領候補を指名します。

4. 本選挙(一般投票~選挙人投票、11月~12月)

本選挙も予備選挙同様、形式的には間接選挙です。

有権者(35歳以上の米国籍者で選挙人登録を行っている者)が選挙人団へ投票し、選挙人が後日大統領候補者の中から大統領を選出します。
但し、選挙人団は特定の大統領候補に投票することをあらかじめ宣言している為、実質的には国民投票によって大統領が選出されることになります。

ここで疑問なのが、予備選挙も本選挙も、なぜ実質的には機能していない間接選挙なのでしょうか?

これは、交通・通信が不便な数十年前以前においては、国土の広い米国では間接選挙は有効な手段だったためです。しかし、交通・通信の発達によってその意義は薄れ、事実上間接選挙制の形骸化が進んでいるものの、間接選挙は憲法で定められている為、憲法を変えてまで、制度を変えようという動きがまだないというのが現状のようです。

さて話を元に戻すと、各州から選出される選挙人の議席数は、その州の上院と下院の議員数に等しい人数(合計535人)と決められています。上院議員は各州から2名ずつ、下院議員は州の人口に基づいて比例配分的に決められるので、人口の多い州に、より多くの議席が割り振られます。最も議席数が多いのはカリフォルニア州で55議席あります。

そしてほとんどの州では、勝者総取り方式を採用。よって、カリフォルニア州では最も投票を得た選挙人団に55議席が与えらます。そして当然その55人の選挙人はあらかじめ宣言している候補者に投票するということです。

よって、人口の多い(議席数の多い)州で僅差で勝ちまくって、人口の少ない(議席数の少ない)州で大敗しまくると、全有権者から最多得票をえた候補者が大統領選に敗れるという逆転現象すら起こりえるのです。
(実際に2016年大統領選ではヒラリークリントンがトランプを得票数では上回っていましたが、大統領に選出されたのはトランプです)

このようにして選出された選挙人が、12月に選挙人投票を行い、全538人の選挙人から過半数の投票をえた候補者が正式に大統領に選出されます。

仮にどの候補者も過半数票を獲得できなかった場合、大統領は大統領候補高得票者3名以下の中から下院が、副大統領は副大統領候補高得票者2名から上院が選出することになっているようです。これによって選ばれた例としてアダムズ大統領(1825-1829年)がいます。

STOP

・米国大統領選て、予備選挙と本選挙の二回あったり、形骸化している間接選挙があったり、勝者総取りによる逆転現象があったりで複雑ですね。

・現在は予備選挙直前で各候補者が演説バトルを繰り広げ始めており、上記の仕組みをしった上で、見てみると楽しめるかもしれません。ちなみに、近年は、ビルクリントン(1993年~2001年)、ジョージブッシュ(子、2001年~2009年)、バラクオバマ(2009年~2017年)と3代続けて、再選を果たしており、今回のトランプ大統領も順当にいけば再選されそうだというのが大勢の見方ですね。

以上

りろんかぶお

その他の人気記事はこちら↓
にほんブログ村 株ブログ 米国株へ
にほんブログ村

※当ブログで紹介する理論株価は、いくつかの前提条件をりろんかぶおが独自に設定している為、その前提条件次第では計算結果が異なってきます。また当ブログは、投資に関する情報を掲載していますが、特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。また、読者が当ブログの情報を用いて行う投資判断の一切について責任を負うものではありません。



[ 2019/12/25 11:58 ] 13.投資の勉強部屋 | TB(-) | CM(0)

株式投資の本質

社会貢献


こんにちは!バフェット部のりろんかぶおです。

今回は、誤解されがちな「株式投資の本質」について考えていきたいと思います。

1. 株式投資の一般的なイメージ
2. 株式投資の本質とは?
3. 流通市場を介した投資の社会貢献


1. 株式投資の一般的なイメージ

多くの日本人は、株式投資というと、パソコンに張り付いてチャートを見ながら短期的な売買を繰り返してお金を稼ぐもの、といったイメージや、成長する企業を発掘して資産を何十倍にも増やすもの、というイメージを持っております。

前者は、本質的な価値からの乖離に目を付けたり、人間の心理に注目して大勢の人はこういう投資行動をとるだろうということに目を付けて短期的な値動きの値幅で稼いでいくものです。

後者についても、株価というのは予測される将来の成長を織り込んでいるものということを考えれば、市場の平均的なリターン(近年の日本では5%/年以下でしょうか)をはるかに上回るようなリターンを狙うということは、結局は本来価値が高い企業の株が割安で放置されており、時間の経過と共に本来の価値に回帰していく過程で得られる利益を狙うということです。

つまり、どちらの投資も他の人の誤った投資判断を利益の源泉とするもの、ということです。

このように株式投資は、他の誰かを出し抜いて利益を上げるということや、ある程度知識がある人でも「どれくらい稼げるか」ということにフォーカスしすぎており、本質的なものが見落とされてはいないかと感じます。


2. 株式投資の本質とは?

資本主義の下における投資の本質とは「社会貢献を通じた利益の追求」だと考えます。

本来の投資は、世の中の人々に必要とされる商品やサービスを提供するためのビジネスを行うのに必要な資本を提供し、そのビジネスを行うことで消費者の需要を満たし、その対価として得たお金を配当として株主に還元して利益を得るものです。

つまりリスクをとって、積極的に社会に貢献し、利益を追求する行為ということになります。

こういった本質を考えると、他の誰かを出し抜いて利益を上げるようなものや、どんな手を使ってでも稼ぐといったものが投資といえるはずはないのです。


3. 株式市場を介した投資の社会貢献

では、我々個人もこの投資の本質に沿った投資を行うことができるのでしょうか?

株式市場が発達したことによって、現在、大きな資本を持たない一般の個人が行う株式投資は、株式の流通市場で他の誰かが持っている株を購入することであり、エンジェル投資家やベンチャーキャピタルなどが行うような企業への直接的な資本提供はかなりハードルが高いです。

株の流通市場では、その中で株の所有権が移り変わっているだけなので、誰かが投資したお金は会社を介さず、元々株を持っていた誰かにわたります。つまり、会社目線でいうと新たに資金を得るわけでもなく、何も起こっていないのと同じで、当然会社のビジネスには何の影響もありません。

では、直接資本を投じることが困難な我々が、投資の本質である「社会貢献を通じた利益の追求」はできないのでしょうか?

そんなこともないと思います。

例えば、自分自身の視点でみて、この企業は世の中に大きな社会貢献をしているとか、この企業の商品はものすごく良いものだからもっともっと活躍できるよう応援したい、というような企業に投資を行い、良い会社であると思える限りその株式を保有し続けるのです。

株式は、発行時に企業に資本を提供した証でもあるので、流通市場で購入したとはいえ、創業当時に描いた思いをつないできたバトンでもあると思います。

その思いをしっかりと持ちながら、資本提供者として、自分が良いと思える企業である限り株式を保有し続け、ビジネスを支え続けることで、投資家として立派に社会に貢献してるといえるのだと思います。

また、更にもう一歩踏み込むと、保有する企業の社会貢献の輪を広げるために、株主として、株主総会などで事業に対する意見をしたり、社内のガバナンスに対する提案を行ったり、議決権を行使してしっかりと経営に参加することで、企業と一緒に社会に貢献していくことも可能です。

このように個人投資家も「社会貢献を通じた利益の追求」という意識をもって投資を行うことが投資の本質であり、そのようなマインドでいることが結果的に成功する投資の近道なのではないかと考える次第です。

(自分も全くできていないので、こういった意識の下、社会に貢献できるような投資をしていきたいと考えております。。)

以上

りろんかぶお

その他の人気記事はこちら↓
にほんブログ村 株ブログ 米国株へ
にほんブログ村

※当ブログで紹介する理論株価は、いくつかの前提条件をりろんかぶおが独自に設定している為、その前提条件次第では計算結果が異なってきます。また当ブログは、投資に関する情報を掲載していますが、特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。また、読者が当ブログの情報を用いて行う投資判断の一切について責任を負うものではありません。



[ 2019/11/08 13:48 ] 13.投資の勉強部屋 | TB(-) | CM(0)

果たして米国株は割高なのか?~シラーPERの観点から~

kokki-2017-NY DOW


(2017年11月27日更新)

こんにちは!
バフェット部のりろんかぶおです!

このブログではあらゆる企業の財務分析及び理論株価を広く共有し、
「どの銘柄を、いつ買えばいいのか?」の判断材料の一つとしていただくことを目的としております!

今回は、以下のテーマについて3連載で考えていきたいと思います!

「果たして米国株は割高なのか?」

本日は3連載の最後で、このテーマに関して
シラーPERの観点で見ていきたいと思います。

① NYダウ理論株価 by りろんかぶお (1回目記事ご参照
② バフェット指数 (2回目記事ご参照
③ シラーPER

目次
1. 背景
2. 評価方法
3. 結果-③
4. まとめ






1. 背景


2016年中旬に著名投資家のジョージソロスが、2016年内に米国株が大暴落することを予想し、
米国株の大量ショート(売りポジション)、
かつ株価とは逆相関にある”金”に大量のロング(買いポジション)を仕込んだことは有名です。

結果としては、トランプ相場でNYダウは史上最高値を更新し続け、ソロスは大損をしましたが、
現在多くのアナリストが米国株はバブル状態であり、近いうちにリセッション(景気後退)が訪れる、と警鈴を鳴らしております。

以下がNYダウの過去10年間の推移ですが、2008年のリーマンショック以降上昇を続けており、
歴史的に見ればそろそろ大きなリセッションが訪れてもおかしくありません。
kabuka-20171125-NY DOW

こういった状況下、米国株長期投資をするりろんかぶおとしても、現在の米国株は果たして割高なのかどうか、
データを見ながら分析してみようと思います。


2. 評価方法


本日は③の評価方法(シラーPER)で割高有無を見ていきます。

シラーPERは1988年にエール大学のロバート・シラー教授らによって提案された指標で、
主に株価の割高・割安性を判断するために使われます。

具体的な公式は以下の通り。

シラーPER=時価総額÷(インフレ調整後の過去10年間純利益の平均)

ポイントは単年度の純利益ではなく10年間の平均値を用いるという点で、
これにより一時的要因による収益変動や景気循環の影響が除外されるため、
実質的な企業収益力との関係が示されるといわれております。

シラーPERの歴史的な平均値が16~17程度なので、
この平均値よりも大幅に大きい値だと割高だと判断できるということになります。


3. 結果-③


シラーPER 201711
出典:http://www.econ.yale.edu/~shiller/data.htm

表のように、2017年9月現在のシラーPERは30.6であり、
歴史的にみても2000年のITバブルに次ぐ高水準となっております。

リーマンショックの際は27程ですから、シラーPERの観点で見ても
危険水準といえるほど割高であるといえるでしょう。


4. まとめ


本日迄3連載で米国株の水準についてみてきましたが、
以下3つのどの指標を見ても割高であるということがわかりました。

① NYダウ理論株価 by りろんかぶお (1回目記事ご参照
② バフェット指数 (2回目記事ご参照
③ シラーPER

では、私たち投資家がとるべき姿勢としては、
ショートポジションをとればいいのか?

それははっきりとといえます。

今回の3つの評価方法はいずれも割高であるかどうかを判断するには、
とてもいい評価方法だと思いますが、このバブルのような米国市場がいつはじけるか
というのはこれらの指標を使ってしてもわからないからです。

例えば、シラーPERではITバブルの時は44迄高くなるまでバブルが続きました。

かの有名なジェレミーシーゲルも以下のように言っております。

「バブルとは皆が思うよりも長く続くものだ」


著名投資家ジョージソロスも、2016年に巨額のショートポジションを取りましたが、
その時点で割高であったことは間違いなかったはずですが、
バブルはいまだに続いている為に巨額の損失を出しました。

よって、我々の取る姿勢とは

「大暴落をひたすら待ち、暴落後の割安な銘柄を買い増すために現金比率を高める」

ということになるでしょう!

ウォーレンバフェットもこのような大暴落時に、素晴らしい企業を割安で大量に買うことを推奨しております。

我々長期投資家としては大暴落は大儲けする絶好のチャンスとなりますので、
恐れず、冷静にその時を待ちましょう!

NYダウ銘柄理論株価一覧はこちらご参照ください!
以上

りろんかぶお

今後も皆様にとって有意義な情報をお届けできるよう精進致します!
もしよろしければ応援のポチをお願い致します!
にほんブログ村 株ブログ 米国株へ
にほんブログ村

※当ブログで紹介する理論株価は、いくつかの前提条件をりろんかぶおが独自に設定している為、その前提条件次第では計算結果が異なってきます。また当ブログは、投資に関する情報を掲載していますが、特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。また、読者が当ブログの情報を用いて行う投資判断の一切について責任を負うものではありません。


[ 2017/11/27 11:07 ] 13.投資の勉強部屋 | TB(-) | CM(0)

果たして米国株は割高なのか?~バフェット指数の観点から~

kokki-2017-NY DOW


こんにちは!
バフェット部のりろんかぶおです!

このブログではあらゆる企業の財務分析及び理論株価を広く共有し、
「どの銘柄を、いつ買えばいいのか?」の判断材料の一つとしていただくことを目的としております!

今回は、以下のテーマについて3連載で考えていきたいと思います!

「果たして米国株は割高なのか?」

本日は、3連載の内の2回目で、このテーマに関して
バフェット指数の観点で見ていきたいと思います。

① NYダウ理論株価 by りろんかぶお (1回目記事ご参照
② バフェット指数
③ シラーPER (3回目記事ご参照)

目次
1. 背景
2. 評価方法
3. 結果-②






1. 背景


2016年中旬に著名投資家のジョージソロスが、2016年内に米国株が大暴落することを予想し、
米国株の大量ショート(売りポジション)、
かつ株価とは逆相関にある”金”に大量のロング(買いポジション)を仕込んだことは有名です。

結果としては、トランプ相場でNYダウは史上最高値を更新し続け、ソロスは大損をしましたが、
現在多くのアナリストが米国株はバブル状態であり、近いうちにリセッション(景気後退)が訪れる、と警鈴を鳴らしております。

以下がNYダウの過去10年間の推移ですが、2008年のリーマンショック以降上昇を続けており、
歴史的に見ればそろそろ大きなリセッションが訪れてもおかしくありません。
kabuka-2017-NY DOW
こういった状況下、米国株長期投資をするりろんかぶおとしても、現在の米国株は果たして割高なのかどうか、
データを見ながら分析してみようと思います。


2. 評価方法


本日は②の評価方法で割高有無を見ていきます。

バフェット指数とはその名の通りバフェットが株式の割高感を測る際に
使用しているといわれる指標で、計算式は以下の通りです。

バフェット指数=国全体の株式時価総額÷GDP

バフェット指数が100%を超えている場合は割高と判断できるというものです。

バフェットは2001年のフォーチュンマガジンのインタービューで、この指数に関して

「いかなる時代においても、株式の評価をする上で最も優れた測定方法といえるだろう」

と発言しております。

これは、企業価値は経済成長と共に同じような成長率で拡大していくという考えに基づくもので、
正直理論的な根拠は乏しいのですが、歴史的にみればこの考えは多くの場合において当てはまるといえそうです。


3. 結果-②


(2017年11月現在)
バフェット指数-201711-米国株は割高か?

出典:Advisor Perspective

表のように、現在のバフェット指数は134%であり、
バフェット指数の考えに基づくと、現在の米国株式市場は非常に割高水準であるといえるでしょう。

過去を見てみても実際に
ITバブル崩壊の直前は151.3%
リーマンショックの時には110%
と、直近の二つの株式市場大暴落期の指標は共に100%を超えております。

現在の水準はリーマンショックの時の水準を超えるレベルであり、
かなり過熱感が高いと考えられそうです。

次回はシラーPERの観点から米国株の割高有無を見ていきます!

※1回目の記事(果たして米国株は割高なのか?~NYダウの理論株価の観点から~)はこちら
※3回目の記事(果たして米国株は割高なのか?~シラーPERの観点から~)はこちら

NYダウ銘柄理論株価一覧はこちらご参照ください!
以上

りろんかぶお

今後も皆様にとって有意義な情報をお届けできるよう精進致します!
もしよろしければ応援のポチをお願い致します!
にほんブログ村 株ブログ 米国株へ
にほんブログ村

※当ブログで紹介する理論株価は、いくつかの前提条件をりろんかぶおが独自に設定している為、その前提条件次第では計算結果が異なってきます。また当ブログは、投資に関する情報を掲載していますが、特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。また、読者が当ブログの情報を用いて行う投資判断の一切について責任を負うものではありません。


[ 2017/11/27 10:08 ] 13.投資の勉強部屋 | TB(-) | CM(0)

果たして米国株は割高なのか?~NYダウの理論株価の観点から~

kokki-2017-NY DOW


(2017年11月25日更新)

こんにちは!
バフェット部のりろんかぶおです!

このサイトではあらゆる企業の財務分析及び理論株価を広く共有し、
「どの銘柄を、いつ買えばいいのか?」の判断材料の一つとしていただくことを目的としております!

今回は、以下のテーマについて考えていきたいと思います!

「果たして米国株は割高なのか?」

この、テーマに関して以下3つの視点で考えていこうと思います。

① NYダウ理論株価 by りろんかぶお
② バフェット指数
③ シラーPER


ここでは①について見ていきます!

※②のページ(果たして米国株は割高なのか?~バフェット指数の観点から~)はこちら
※③のページ(果たして米国株は割高なのか?~シラーPERの観点から~)はこちら

目次
1. 背景
2. 評価方法
3. 結果-①






1. 背景


2016年中旬に著名投資家のジョージソロスが、2016年内に米国株が大暴落することを予想し、
米国株の大量ショート(売りポジション)、
かつ株価とは逆相関にある”金”に大量のロング(買いポジション)を仕込んだことは有名です。

結果としては、トランプ相場でNYダウは史上最高値を更新し続け、ソロスは大損をしましたが、
現在多くのアナリストが米国株はバブル状態であり、近いうちにリセッション(景気後退)が訪れる、と警鈴を鳴らしております。

以下がNYダウの過去10年間の推移ですが、2008年のリーマンショック以降上昇を続けており、
歴史的に見ればそろそろ大きなリセッションが訪れてもおかしくありません。

kabuka-20171125-NY DOW

こういった状況下、米国株長期投資をするりろんかぶおとしても、現在の米国株は果たして割高なのかどうか、
データを見ながら分析してみようと思います。


2. 評価方法


本日は①の評価方法で割高有無を見ていきます。

これは、りろんかぶおがDCF法によって計算したNYダウ30社の個別銘柄の理論株価から、
NYダウ平均株価を算出し現在の水準と比較する方法です。

※DCF法の概要説明はこちら!
※各銘柄の理論株価は本記事最下段の理論株価一覧表ご参照。

日経平均やNYダウ等の株価指数では、長い歴史の中で銘柄の入れ替えや、
採用銘柄の株式分割などが行われるため、
指数の連動性を保つために一定の修正が加えられます。

NYダウの場合、具体的には以下のようにして平均株価を算出します。

NYダウ平均株価=採用銘柄の株価合計÷除数(2017年11月現在では0.1452・・・)

上記を基に実際にNYダウの理論株価を算出しました。


3. 結果-①


理論株価:16,888ドル
現在株価:23,558ドル (2017年11月25日時点)


以上の通り、39%も割高となっております。。

りろんかぶおの計算では直近4年間のフリーキャッシュフロー平均が、
今後半永久的に続くことを前提としておりますので、
各社の成長や将来のインフレ率などは見込んでおらず、
かなり保守的な計算となっております。

但し、それを踏まえて考えてみても39%割高というのは
実力よりも過大評価されているといってよいでしょう。


最新版のNYダウ銘柄理論株価一覧はこちらご参照ください!


Untitled spreadsheet
NYダウ銘柄理論株価一覧
(企業名クリックで財務分析が閲覧可能)
企業名
(時価総額順)
※カッコ内はS&P格付
理論
株価
現在株価
(17/11/25)
割安
割高
連続
増配
※3
時価総額
(百万ドル)
(17/11/25)
実績
PER
Apple (AA+) 117 174.97 50%高 6年 898,351 18.58
Microsoft (AAA) 36 83.26 131%高 15年 642,317 30.29
Johnson&Johnson (AAA) 104 138.01 33%高 54年 370,767 22.42
Exxon Mobil (AA+) 36 81.42 126%高 34年 344,985 44.00
JP Morgan (-) 79 98.32 24%高 6年 341,143 13.79
Walmart (AA) 122 96.62 -21%安 44年 288,623 21.16
Visa (A+) 42 111.97 167%高 10年 254,038 37.92
P&G (AA-) 77 88.45 15%高 61年 224,394 14.64
Chevron (AA-) ※1 116.51 - 29年 221,296 NA
Pfizer (AA) 36 35.49 -1%安 7年 211,546 29.32
Intel (A+) 35 44.75 28%高 209,430 20.30
United Health (A+) 136 212.51 56%高 7年 205,937 29.35
Home Depot (A) 68 172.33 153%高 7年 201,238 25.29
Coca Cola (AA-) 33 45.88 39%高 54年 195,479 29.95
Verizon (BBB+) 56 47.01 -16%安 12年 191,775 14.09
Cisco (AA-) 42 36.49 -13%安 6年 180,393 18.77
DowDuPont (-) ※2 71.16 - - 166,514 NA
Boeing (A) 155 265.88 72%高 6年 158,352 32.35
GE (AA-) 16 18.19 14%高 157,745 17.86
Walt Disney (A) 51 102.64 101%高 155,018 16.51
Merk (AA) 55 54.35 -1%安 6年 148,073 37.77
IBM (AA-) 213 151.84 -29%安 21年 140,572 11.84
3M (AA-) 107 231.38 116%高 58年 137,812 27.29
McDonald (BBB+) 74 169.11 129%高 41年 134,812 28.76
Nike (AA-) 34 59.32 74%高 15年 96,782 22.83
United Technologies (A-) 55 116.91 113%高 23年 93,361 18.47
Goldman Sachs (A+) 241 235.95 -2%安 6年 89,001 12.03
Caterpillar (A) 49 137.39 180%高 23年 81,738 NA
American Express(BBB+) 73 93.48 28%高 5年 81,140 15.00
Travelers (-) 192 129.83 -32%安 12年 35,534 11.79
(※1)シェブロンは過去対象期間のフリーキャッシュフローがマイナスの為計算不可
(※2)ダウデュポンは2017年9月設立のため計算不可
(※3)連続増配は5年以上のみ







NYダウ平均株価 16,888 23,558 39%高 - - -
(※)シェブロン及びダウデュポンは現在株価を使用。


以上

りろんかぶお

今後も皆様にとって有意義な情報をお届けできるよう精進致します!
もしよろしければ応援のポチをお願い致します!
にほんブログ村 株ブログ 米国株へ
にほんブログ村

※当ブログで紹介する理論株価は、いくつかの前提条件をりろんかぶおが独自に設定している為、その前提条件次第では計算結果が異なってきます。また当ブログは、投資に関する情報を掲載していますが、特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。また、読者が当ブログの情報を用いて行う投資判断の一切について責任を負うものではありません。



[ 2017/11/25 12:18 ] 13.投資の勉強部屋 | TB(-) | CM(0)

投資信託の基準価額算出方法

投資信託の基準価額について解説していきます。

<目次>
1. 基準価額とは
2. 基準価額の算出方法
3. 具体例






1. 基準価額とは


基準価額とは投資信託の値段のことで、株式でいう株価のことですね。
また、株式の取引単位が「株」であるのに対して、投資信託の取引単位は「口(くち)」と呼ばれ、口当りの投資信託の値段が基準価額となります。
そして、この基準価額が運用の成果によって変動していくのです。

また上場企業の株価は市場が開いている間刻々と変動しますが、投資信託の基準価額は、1日に1つの価額として公表されます。
※一方で、投資信託が上場して、株価と同じように価格が刻々と変動するものをETFと呼びます。


2. 基準価額の算出方法


基準価額の算出方法は以下の通りです。

基準価額=総資産総額÷総口数


総資産総額:
投資信託に組み入れられている全運用資産の時価総額から運用コスト及び分配金を差し引いたもの。


3.具体例


例えば、運用開始時の投資信託の基準価額が1円/口の時に、Aさんが1万口=1万円、Bさんが2万口=2万円を購入したとします。
すると、この時点で投資信託には3万円の運用元本ができたことになります。

ファンドマネージャー達がこの3万円を運用して、6万円に増やすことができました。
すると総資産額は6万円、総口数が3万口(Aさんが1万口、Bさんが2万口)なので、基準価額は6万円÷3万口=2円/口ということになります。

新規購入者はその時点の基準価額で購入しなければいけないので、例えばこの時にCさんが3万口=6万円(3万口×2円/口)で購入したとしても、その時点での総資産額は12万円となり、基準価額は2円/口(総資産額12万円÷総口数6万口)で変わらないため、元々の出資者であるAさん、Bさんに帰属する資産額も希薄化されないという仕組みになっております。

以上

りろんかぶお

今後も皆様にとって有意義な情報をお届けできるよう精進致します!
もしよろしければ応援のポチをお願い致します!
にほんブログ村 株ブログ 米国株へ
にほんブログ村

※当サイトで紹介する理論株価は、いくつかの前提条件をりろんかぶおが独自に設定している為、その前提条件次第では計算結果が異なってきます。また当ブログは、投資に関する情報を掲載していますが、特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。また、読者が当ブログの情報を用いて行う投資判断の一切について責任を負うものではありません。




[ 2017/11/01 08:42 ] 13.投資の勉強部屋 | TB(-) | CM(0)

連続増配銘柄の配当余力

連続増配銘柄の配当余力


こんにちは!
バフェット部のりろんかぶおです!

最近では自分も含め多くの米国株ブロガーの皆さんが
連続増配銘柄への投資を行っております。

連続増配銘柄では、毎年安定した配当収入が得られることに加え、
不況期でも増配できる強いビジネスモデルを持っているからなんですね。

例えばP&Gは連続増配61年、コカ・コーラは54年なんですが、ふと

「毎年増配し続けてそろそろ余力がなくなってきてるんじゃないの?」

と思ってしまいます。

そこで今回は、NYダウ銘柄で10年以上連続増配を続けている15銘柄の配当余力を見るために、
各銘柄の配当性向を見てみます。

配当性向は配当総額÷純利益ですから、これが100%を超えちゃっているような企業は、
配当するために貯金を切り崩すか借金をしなきゃいけないわけで、もう限界に来ているということになります。

Untitled spreadsheet
NYダウ銘柄
企業名
※カッコ内はS&P格付け
※企業名クリックで
財務分析が見れます
連続増配年数 最新決算年
配当総額
(百万ドル)
最新決算年
純利益
(百万ドル)
配当性向
P&G (AA-) 61年 7,236 15,326 47%
3M (AA-) 58年 2,678 5,050 53%
Coca Cola (AA-) 54年 6,043 6,527 93%
Johnson & Johnson (AAA) 54年 8,621 16,540 52%
Walmart (AA) 44年 6,216 13,643 46%
McDonald (BBB+) 41年 3,058 4,687 65%
Exxon Mobil (AA+) 34年 12,453 7,840 159%
Chevron (AA-) 29年 8,032 -497 NA
Caterpillar (A) 23年 1,799 -67 NA
United Technologies (A-) 23年 2,069 5,055 41%
IBM (AA-) 21年 5,256 11,872 44%
Microsoft (AAA) 15年 11,793 21,204 56%
Nike (AA-) 15年 1,133 4,240 27%
Travelers (-) 12年 757 3,014 25%
Verizon (BBB+) 12年 9,262 13,608 68%






(単位:億円)




トヨタ
6,345 18,311 35%
ソフトバンク
463 14,263 3%








連続増配40年以上の銘柄ではコカ・コーラ以外は意外にも配当余力はまだありそうですね!
コカ・コーラは最近利益が減少傾向にあるのでちょっと苦しそうです。

その他、エクソンモービル、シェブロン、キャタピラーなど石油価格低迷で業績が苦しい企業は、
意地で増配しているイメージです。

但し、その他の銘柄は意外にもそこまで切羽詰まっている感じはなく、
今後も安定した増配を期待できるのではないかと思います。

「何十年も増配し続けてなんでこんなに配当余力があるの?」

と疑問に思われるかもしれません。

その秘密は自社株買いです。

連続増配銘柄の多くは毎年かなりの自社株買いを行っております。

業績が好調な時に、自社株買いを行って発行株式数を減らしておくと、
極端に言えば配当総額が減っても1株当りの配当金は増えるといった現象がおこります。

以下の試算では、毎年配当総額と自社株買い総額を定額とした場合、
株式数の減少により、1株当りの配当金は増え続け、しかも増配率は上昇し続けるという結果が得られました。

Untitled spreadsheet









株数 10000





株価 10





年間配当総額 5000





年間自社株買い総額 5000






















1 2 3 4 5

年間配当総額 5000 5000 5000 5000 5000

配当/株 0.5 0.53 0.56 0.59 0.63

自社株買い 5000 5000 5000 5000 5000

株式数残高 9500 9000 8500 8000 7500









増配率
5.26% 5.56% 5.88% 6.25%










自社株買いも含めた株主還元が多い企業ランキングは以下ご参照!

配当+自社株買い利回りランキング!真の高株主還元企業はどこだ?

このようなことからも、米国連続増配銘柄は今後も配当を上げ続けてくれることが期待できるので、
安心して投資していけますね!

以上

りろんかぶお

今後も皆様にとって有意義な情報をお届けできるよう精進致します!
もしよろしければ応援のポチをお願い致します!
にほんブログ村 株ブログ 米国株へ
にほんブログ村



(一覧表は随時アップデート中!最新版はこちら!
スマホで御閲覧の方はトップ画面から最新記事をクリックいただき最下段ご参照ください)





Untitled spreadsheet
NYダウ銘柄
企業名(時価総額順)
※カッコ内はS&P格付け
※企業名クリックで
財務分析が見れます
理論株価 現在株価
(ドル)
(2017/10/25)
割安度
割高度
連続増配
(5年以上のみ)
時価総額
(百万ドル)
(2017/10/25)
最新決算年
純利益
(百万ドル)
実績PER
Apple (AA+) 138 157.10 14%  高 5年 806,654 45,687 17.66
Microsoft (AAA) 36 78.86 119%  高 15年 608,053 21,204 28.68
Johnson & Johnson (AAA) 104 141.64 36%  高 54年 385,476 16,540 23.31
Exxon Mobil (AA+) 36 83.47 132%  高 34年 352,697 7,840 44.99
JP Morgan Chase (-) 79 100.92 28%  高 6年 344,680 24,733 13.94
Walmart (AA) 122 87.98 -28%  安 44年 264,815 13,643 19.41
Visa (A+) 33 108.41 229%  高 9年 245,896 5,991 41.04
Chevron (AA-) (※1) 119.23
29年 225,373 -497 NA
P&G (AA-) 77 86.98 13%  高 61年 221,476 15,326 14.45
Pfizer (AA) 36 36.27 1%  高 7年 216,484 7,215 30.00
United Health (A+) 136 208.15 53%  高 7年 200,150 7,017 28.52
Verizon (BBB+) 56 48.94 -13%  安 12年 199,850 13,608 14.69
Coca Cola (AA-) 33 46.18 40%  高 54年 197,569 6,527 30.27
Home Depot (A) 68 166.03 144%  高 7年 194,198 7,957 24.41
GE (AA-) 16 21.89 37%  高 193,245 8,831 21.88
Intel (A+) 35 40.95 17%  高 191,860 10,316 18.60
Merk (AA) 55 63.11 15%  高 6年 172,914 3,920 44.11
Cisco Systems (AA-) 42 34.58 -18%  安 6年 170,100 9,609 17.70
DowDuPont (-) (※2) 71.86 - - 167,139


Boeing (A) 155 266.00 72%  高 6年 155,053 4,895 31.68
Walt Disney (A) 51 98.29 93%  高 152,342 9,391 16.22
IBM (AA-) 213 155.88 -27%  安 21年 147,743 11,872 12.44
McDonald (BBB+) 74 163.88 121%  高 41年 132,305 4,687 28.23
3M (AA-) 107 234.65 119%  高 58年 132,214 5,050 26.18
United Technologies (A-) 55 119.74 118%  高 23年 96,537 5,055 19.10
Goldman Sachs (A+) 241 244.84 2%  高 6年 93,675 7,398 12.66
Nike (AA-) 34 53.42 57%  高 15年 87,547 4,240 20.65
American Express (BBB+) 73 93.86 29%  高 5年 80,463 5,408 14.88
Caterpillar (A) 49 138.24 182%  高 23年 77,819 -67 NA
Travelers (-) 192 133.19 -31%  安 12年 36,798 3,014 12.21
(※1)シェブロンは過去対象期間のフリーキャッシュフローがマイナスの為理論株価計算不可
(※2)ダウデュポンは2017年9月設立のため理論株価計算不可









NYダウ平均株価 16,716.75 23,441.76 40%  高 - 6,551,125 286,410 22.87
(※)シェブロン及びダウデュポンは現在株価を使用。


※当ブログで紹介する理論株価は、いくつかの前提条件をりろんかぶおが独自に設定している為、その前提条件次第では計算結果が異なってきます。また当ブログは、投資に関する情報を掲載していますが、特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。また、読者が当ブログの情報を用いて行う投資判断の一切について責任を負うものではありません。




[ 2017/10/25 07:47 ] 13.投資の勉強部屋 | TB(-) | CM(3)

経済的自由を目的とした時のバークシャーハサウェイという選択肢

バークシャーハサウェイ


こんにちは!
バフェット部のりろんかぶおです!

皆さんご存知の通り、バークシャーハサウェイは投資の神様であるウォーレンバフェット率いる世界一の投資会社です!

時価総額ランキングでは世界6位(2017年9月末時点)、
50年間の平均リターンは驚異の20.8%/年!(S&P500(配当込)は同期間9.7%/年)

投資で勝つというのはNYダウやS&P500等の市場平均のリターンを上回ることを意味しますが、
その意味ではバークシャー程の実績を残している企業はほとんどないでしょう。


このブログの読者の方の多くは、資産運用を通じて経済的自由を達成したいという目標があるかと思いますが、
今回はその観点でバークシャーが投資対象として適した銘柄であるかどうかを考えてみたいと思います。


<結論>

結論から述べますと、りろんかぶおとしては、経済的自由を目的とした場合において
バークシャーへの投資は適さないと考えております。

(但し、これは個人の考え方によるところが大きいので、あくまでりろんかぶおの個人的な見解です。
バークシャーは素晴らしい会社であることは間違いありません)

<理由1>
最大の理由は、バークシャーは安定した配当を出さないという点です。
(というかバークシャーは配当を全く出しません。)

経済的自由とは、働かなくても生活できる状態と解釈しますので、
最低限必要な生活費を賄うための安定的な収入が必要です。

安定的な収入として最も確度の高いものの一つとして連続増配銘柄からの配当があるでしょう!

米国ではリーマンショックなどの100年に1度の大不況下でも
しっかりと配当を増額させている連続増配銘柄が100社以上存在します。

一方でバークシャーといえど、不況時にはリターンがマイナスとなり資産規模が一時的にかなり棄損されることもあるので、
キャピタルゲイン目当ての投資は生活費を捻出するための確実な方法とは言えないと考えます。

どのような状況下でも高い確率で期待する金額を受領できるということは、
経済的自由を目指す我々にとって最重要事項です。


ちなみに、以下記事で配当よりも自社株買いの方が経済的には良いことを書きました。

配当 vs 自社株買!本質的なリターンの差は税金というのは間違い!

しかし、自社株買いは理論的には株価が上昇するのですが短期的には全く逆の動きをする可能性もあるからか、
米国の株式市場では配当をしっかりと出すことの方が自社株買いよりも重要視されているようで、
連続増配企業の経営者がどんなに不況でも配当は増額するのに対し、自社株買いは簡単に中断したりします。

安定的な収入という観点からは、連続増配銘柄からの配当の方が自社株買いよりも優位であるといえるでしょう!
(ちなみに、バークシャーはバフェットがバークシャー株を割安と判断したときのみしかし自社株買いしないです)

<理由2>

そもそもの話ですがバークシャーが今までのような驚異的なリターンを上げるのは
現在ではかなり難しくなってきていると考えます。
実際にリーマンショック以降のリターンはS&P500を下回っているのです

バークシャーにとっての主な利益の源泉は、
割安価格で購入した株が適正価格まで調整されたときのキャピタルゲインです。

バフェットが長年保有している、ウェルズファーゴ、コカ・コーラ、アメックスなどは既に適正価格までの調整が完了している為、
年率20%維持のためには、新たな投資先を探し続けなければなりません。

一方、バークシャーは運用資産規模が大きくなりすぎたがために投資対象が制限されてしまい、
今までのようなリターンを確保するのは難しくなってきているとバフェット自身も認めております。

更にバフェットは87歳、副会長のマンガーは93歳と超高齢であり、
近いうちに引退することは確実で、後継者が年率20%という奇跡的なリターンをはじき出せるかどうかは不透明です。

<まとめ>

以上のような理由から、りろんかぶおとしては経済的自由を目的とした場合においては
バークシャーへの投資は適さないと考えております。

但し投資する目的や方針が違えば、世界一の投資家に運用を任せられるバークシャーへの投資というのは
かなり合理的な選択肢であることは確かです!

まずは何のために投資するのか?という点を整理しておくことは非常に重要ですので、
もしまだの方がいらっしゃればどこかのタイミングで整理してみるのもいいかもしれないですね♪

以上

りろんかぶお

今後も皆様にとって有意義な情報をお届けできるよう精進致します!
もしよろしければ応援のポチをお願い致します!
にほんブログ村 株ブログ 米国株へ
にほんブログ村



(一覧表は随時アップデート中!最新版はこちら!
スマホで御閲覧の方はトップ画面から最新記事をクリックいただき最下段ご参照ください)





Untitled spreadsheet
NYダウ銘柄
企業名(時価総額順)
※カッコ内はS&P格付け
※企業名クリックで
財務分析が見れます
理論株価 現在株価
(ドル)
(2017/10/21)
割安度
割高度
連続増配
(5年以上のみ)
時価総額
(百万ドル)
(2017/10/21)
最新決算年
純利益
(百万ドル)
実績PER
Apple (AA+) 138 156.25 13%  高 5年 807,067 45,687 17.67
Microsoft (AAA) 36 78.81 119%  高 15年 608,053 21,204 28.68
Johnson & Johnson (AAA) 104 142.40 37%  高 54年 382,202 16,540 23.11
Exxon Mobil (AA+) 36 83.11 131%  高 34年 352,146 7,840 44.92
JP Morgan Chase (-) 79 99.51 26%  高 6年 345,270 24,733 13.96
Walmart (AA) 122 87.44 -28%  安 44年 261,201 13,643 19.15
Visa (A+) 33 107.55 226%  高 9年 244,730 5,991 40.85
P&G (AA-) 77 88.25 15%  高 61年 224,871 15,326 14.67
Chevron (AA-) (※1) 118.64
29年 224,823 -497 NA
Pfizer (AA) 36 36.42 1%  高 7年 216,602 7,215 30.02
GE (AA-) 16 23.83 49%  高 206,319 8,831 23.36
Verizon (BBB+) 56 49.53 -12%  安 12年 202,053 13,608 14.85
United Health (A+) 136 207.49 53%  高 7年 200,614 7,017 28.59
Coca Cola (AA-) 33 46.38 41%  高 54年 197,825 6,527 30.31
Home Depot (A) 68 163.43 140%  高 7年 192,654 7,957 24.21
Intel (A+) 35 40.43 16%  高 189,981 10,316 18.42
Merk (AA) 55 63.88 16%  高 6年 174,223 3,920 44.44
Cisco Systems (AA-) 42 34.25 -18%  安 6年 169,604 9,609 17.65
DowDuPont (-) (※2) 71.18 - - 166,275


Boeing (A) 155 264.75 71%  高 6年 156,489 4,895 31.97
Walt Disney (A) 51 99.40 95%  高 152,820 9,391 16.27
IBM (AA-) 213 162.07 -24%  安 21年 150,077 11,872 12.64
McDonald (BBB+) 74 166.30 125%  高 41年 134,702 4,687 28.74
3M (AA-) 107 221.32 107%  高 58年 132,077 5,050 26.15
United Technologies (A-) 55 120.93 120%  高 23年 96,569 5,055 19.10
Goldman Sachs (A+) 241 244.73 2%  高 6年 94,681 7,398 12.80
Nike (AA-) 34 53.06 56%  高 15年 86,568 4,240 20.42
American Express (BBB+) 73 92.09 26%  高 5年 80,210 5,408 14.83
Caterpillar (A) 49 131.36 168%  高 23年 77,630 -67 NA
Travelers (-) 192 133.32 -31%  安 12年 36,489 3,014 12.11
(※1)シェブロンは過去対象期間のフリーキャッシュフローがマイナスの為理論株価計算不可
(※2)ダウデュポンは2017年9月設立のため理論株価計算不可









NYダウ平均株価 17,212.36 23,328.63 36%  高 - 6,564,825 286,410 22.92
(※)シェブロン及びダウデュポンは現在株価を使用。


※当ブログで紹介する理論株価は、いくつかの前提条件をりろんかぶおが独自に設定している為、その前提条件次第では計算結果が異なってきます。また当ブログは、投資に関する情報を掲載していますが、特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。また、読者が当ブログの情報を用いて行う投資判断の一切について責任を負うものではありません。




[ 2017/10/21 10:15 ] 13.投資の勉強部屋 | TB(-) | CM(2)

ドルコスト平均法 vs バリュー投資

ドルコスト平均法 vs バリュー投資 rogo


こんにちは!
バフェット部のりろんかぶおです!

本日は、初心者でもできるとてもシンプルな投資法として有名なドルコスト平均法と、
バフェットなどが提唱するバリュー(割安価格)投資で、
実際にはどちらに軍配が上がるかを過去のデータを使って検証してみました。

目次
1. ドルコスト平均法・バリュー投資とは
2. ドルコスト平均法 vs バリュー投資の評価方法
3. まとめ
4. NYダウ銘柄理論株価一覧






1. ドルコスト平均法・バリュー投資とは


ドルコスト平均法とは

これは、同じ銘柄や株式指数に、一定の価格を一定の間隔で投資し続ける方法です。
具体例としては、毎月15日に100ドルをS&P500に投資し続ける、などといった投資方法となります。
ドルコスト平均法には以下の特徴があります。
① 常に一定金額を投資することで、割安価格の時には大目に、割高の時は少なめに株式を購入することができる!
② 常に一定間隔で投資することで、購入時期の分散が可能!
③ とてもシンプルな投資方法で初心者でも簡単に行うことができる!


バリュー投資とは

これは、バフェットやグレアムなどが提唱する投資方法で、本質的な企業価値よりも株価が割安になった時に株を購入する手法。
株価は長期的にみると本質的な企業価値に基づいた株価に収束するとの考えのもと、
パニック相場の時など市場が適正な株価の判断を間違えている時に投資するものです。

バフェットは2016年の株主宛の手紙の中で、「市場の暴落は長期投資家の強い味方だ!」と表現しております。
バフェットからの手紙和訳~米国経済は奇跡だ~ご参照)

また、バフェットは過去の手紙の中で、「企業価値は、将来のキャッシュフローを適当な利率で割り引くことで決定される」
と説いてある通り、Discount Cash Flow法によって理論株価を計算しているものと思われます。

Discount Cash Flow法の説明はこちら!

バリュー投資の特徴は以下の通りです。
① 適正な価格よりも割安に購入することで、将来のキャピタルゲインを享受できる。
② 一方で、DCF法による理論株価計算は前提条件の設定方法などが非常に難しく、初心者向きではない。



2. ドルコスト平均法 vs バリュー投資の評価結果


早速、ドルコスト平均法 vs バリュー投資でどちらに軍配が上がるか評価していきましょう!

評価方法

1. 共通の前提条件
投資先:S&P500
投資期間:1990年1月~2017年8月

2. ドルコスト平均法前提
毎年1月に100ドルずつ投資

3. バリュー投資前提
株価暴落時に投資することを目標として、
恐怖指数(VIX指数)が35以上になった時に投資。(VIX指数については市場は今の株価を楽観視? 恐怖指数にみる投資家心理をご参照)
ドルコスト平均法と同じく、毎月1月に100ドルを準備し、
VIX指数が35以上であれば投資、35未満であれば投資はせず繰越し、
その後毎月VIX指数をチェックし、35以上になった時点で繰り越し分を全額投資。

以上の前提に基づいて投資をおこなった結果、
実際の投資タイミング及び投資金額は以下の通りとなりました。

ドルコスト平均法 vs バリュー投資

緑の線がバリュー投資ですが、ITバブル崩壊やリーマンショック直後の株価大暴落時に
しっかりと暴落価格で投資できていることが確認できます。
VIX指数は相場がパニックになっている時ほど極端に上昇するので、
暴落のタイミングを的確にとらえますね!

このような投資を行って、実際に2017年8月末時点の資産総額を比較してみたいと思います。
但しバリュー投資の資産総額には2017年8月末時点で繰越中の現金はそのまま上乗せすることとします。

結果

2017年8月末時点の資産総額
ドルコスト平均法:8205ドル
バリュー投資:5940ドル


結果としては、ドルコスト平均法の総資産がバリュー投資を
38%も上回りました。

ドルコスト平均法の圧勝という結果です!!

このような結果となった理由について以下の通り考察してみました。

① 米国株のような右肩上がりに上昇していく株式市場では、
ほとんどの場合において「今の株価」が「将来の株価」よりも安いということになるので、
バリュー投資のように暴落のタイミングを待って「今の株価」で投資しないことがリターンを下げている。

② 例えば、ITバブル崩壊後、リーマンショック後にはS&P500は50%程下落してそれぞれ800ドル台、700ドル台となっておりますが、
1990年~1995年の間には、通常状態で500ドル以下で推移しているので、バリュー投資戦略ではこの期間が大暴落後でないことを理由に投資できていなかったことがリターンを下げている。

③ ITバブル崩壊直前とリーマンショック直前には共に1500ドル台に達しており、当時はとんでもない高値といわれておりましたが、現在の株価は2500ドル台。現在割高と思われるような価格でも、将来の株価がこれを上回る可能性が高いので、割高投資も長期でみればそこまでリターンを損なわない。


3. まとめ


上述の通り、ドルコスト平均法とバリュー投資では、ドルコスト平均が圧勝!

米国株式市場のような常に右肩上がりの相場では、
ほとんどの場合において「今の株価」が「将来の株価」よりも安いということになるので、バリュー投資のように暴落のタイミングを待って「今の株価」で投資しないことはリターンを損なうことになる為と考えられます。

但し、バフェットの投資法は上記のようなVIX指数を使った単純な投資戦略ではなく、
大暴落期以外でも割安株を見つけて継続的に投資を行っているので、
バリュー投資を極めれば、バフェットのように市場平均を圧倒することも可能となるでしょう!


4. NYダウ銘柄理論株価一覧

(一覧表は随時アップデート中!最新版はこちら!
スマホで御閲覧の方はトップ画面から最新記事をクリックいただき最下段ご参照ください)






Untitled spreadsheet
NYダウ銘柄
企業名(時価総額順)
※カッコ内はS&P格付
※企業名クリックで
財務分析が見れます
理論株価
(ドル)
現在株価
(ドル)
(2017/10/8)
割安度
割高度
連続増配
(5年以上のみ)
時価総額
(百万ドル)
(2017/10/8)
最新決算年
純利益
(百万ドル)
実績PER
Apple (AA+) 138 155.30 13%  高 5年 802,160 45,687 17.56
Microsoft (AAA) 36 76.00 111%  高 15年 585,371 21,204 27.61
Johnson & Johnson (AAA) 104 133.22 28%  高 54年 357,562 16,540 21.62
Exxon Mobil (AA+) 36 81.71 127%  高 34年 346,214 7,840 44.16
JP Morgan Chase (-) 79 96.92 23%  高 6年 341,058 24,733 13.79
Visa (A+) 33 106.73 223%  高 9年 244,066 5,991 40.74
Walmart (AA) 122 79.00 -35%  安 44年 235,989 13,643 17.30
P&G (AA-) 77 92.33 20%  高 61年 235,443 15,326 15.36
Chevron (AA-) (※1) 117.03
29年 221,772 -497 NA
Pfizer (AA) 36 36.05 0%  高 7年 214,402 7,215 29.72
GE (AA-) 16 24.39 52%  高 211,167 8,831 23.91
Verizon (BBB+) 56 48.81 -13%  安 12年 199,116 13,608 14.63
Home Depot (A) 68 165.85 144%  高 7年 195,507 7,957 24.57
Coca Cola (AA-) 33 45.49 38%  高 54年 194,029 6,527 29.73
United Health (A+) 136 198.06 46%  高 7年 191,496 7,017 27.29
Intel (A+) 35 39.63 13%  高 186,221 10,316 18.05
Merk (AA) 55 64.55 17%  高 6年 176,051 3,920 44.91
Cisco Systems (AA-) 42 33.75 -20%  安 6年 167,129 9,609 17.39
DowDuPont (-) (※2) 71.22 - - 166,368


Walt Disney (A) 51 100.07 96%  高 154,456 9,391 16.45
Boeing (A) 155 258.58 67%  高 6年 152,842 4,895 31.22
IBM (AA-) 213 146.48 -31%  安 21年 136,511 11,872 11.50
McDonald (BBB+) 74 159.60 116%  高 41年 129,275 4,687 27.58
3M (AA-) 107 216.52 102%  高 58年 129,212 5,050 25.59
Goldman Sachs (A+) 241 246.02 2%  高 6年 95,180 7,398 12.87
United Technologies (A-) 55 118.23 115%  高 23年 94,413 5,055 18.68
Nike (AA-) 34 52.42 54%  高 15年 86,042 4,240 20.29
American Express (BBB+) 73 91.55 25%  高 5年 80,928 5,408 14.96
Caterpillar (A) 49 126.93 159%  高 23年 75,012 -67 NA
Travelers (-) 192 125.07 -35%  安 12年 34,513 3,014 11.45
(※1)シェブロンは過去対象期間のフリーキャッシュフローがマイナスの為理論株価計算不可
(※2)ダウデュポンは2017年9月設立のため理論株価計算不可









NYダウ平均株価 17,201.56 22,773.67 32%  高 - 6,439,505 286,410 22.48
(※)シェブロン及びダウデュポンは現在株価を使用。


以上

りろんかぶお

その他の人気記事はこちら↓
にほんブログ村 株ブログ 米国株へ
にほんブログ村

※当ブログで紹介する理論株価は、いくつかの前提条件をりろんかぶおが独自に設定している為、その前提条件次第では計算結果が異なってきます。また当ブログは、投資に関する情報を掲載していますが、特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。また、読者が当ブログの情報を用いて行う投資判断の一切について責任を負うものではありません。



[ 2017/10/09 12:47 ] 13.投資の勉強部屋 | TB(-) | CM(0)

配当 vs 自社株買!本質的なリターンの差は税金というのは間違い!

配当 vs 自社株買い


こんにちは!
バフェット部のりろんかぶおです!

今回は、企業の株主還元である「配当」と「自社株買」のどちらが投資家にとってお得なのかを見ていきたいと思います。

通常、「配当には毎回税金がかかるが自社株買いには税金がかからないので、自社株買いの方がお得」、
というようなことが言われておりますが、実は本質的なリターンの差は税金ではないということが以下を読んでいただければわかると思います。

(ちなみに自社株買いによる株価上昇に関しても、その利益を確定した時点で配当と同じ税率がかかるので、自社株買いによる利益に税金がかからないというのは間違った考え方です。)

目次
1. 背景
2. 配当 vs 自社株買の分析
3. 配当再投資 vs 自社株買の分析
4. まとめ
5. NYダウ銘柄理論株価一覧






1.背景


皆さんもご存じの通り、企業の株主還元には「配当」と「自社株買い」の二つがありますよね。


配当は株を保有していれば、四半期ごと或いは半期ごとに保有株式数に応じて受け取れるお金です。
これには受け取るたびに毎回税金がかかり、日本では一律20.315%(所得税+復興特別所得税15.315%、住民税5%)。


自社株買いは、企業が自身の発行株式を買い取って、発行株式数を減らすというものです。

時価総額=株価×発行株式数という式が成り立つので、時価総額が一定のまま、発行株式数だけが減ると、
理論的には株価がその分上昇することになります。
よって投資家は、配当のように直接的にお金を受け取ることはできないのですが、株価上昇ということで恩恵を受けることができます。
ちなみに株の売却益にも税金がかかりますが、これも日本では一律20.315%(所得税+復興特別所得税15.315%、住民税5%)です。

冒頭でも述べましたが、一般的に、配当には毎回税金がかかるが自社株買いには税金がかからないので自社株買いの方がお得、というようなことが言われておりますが、上述のように自社株買いによる株価上昇に対しても、利益確定した時点で配当と同じ税率が課せられるので、税金の差はないはずですよね?

今日は、ここのところを分析していきたいと思います。


2.配当 vs 自社株買の分析


ここでは以下の例を考えていきたいと思います。

企業Aの初年度前提
時価総額:$10,000(一定)
発行株式数:1,000株
株価:$10/株 (時価総額$10,000÷発行株式数1,000=$10/株)
株主還元総額:$500/年

りろんかぶおが、企業Aを1株を$10で購入して10年後に売却するケースを考えてみましょう。
まずは受け取った配当は再投資しないベースで考えていきます。

① 税率20%での配当 vs 自社株買

Untitled spreadsheet
















税率 20.00%



























1.配当ケース(配当再投資なし)


























配当総額/年 $500 1株当り配当=$500÷1000株=$0.5





















企業A状況 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 Total

時価総額 $10,000 $10,000 $10,000 $10,000 $10,000 $10,000 $10,000 $10,000 $10,000 $10,000 $10,000


発行株式数 1000 1000 1000 1000 1000 1000 1000 1000 1000 1000 1000


株価(時価総額÷発行株式数) $10.00 $10.00 $10.00 $10.00 $10.00 $10.00 $10.00 $10.00 $10.00 $10.00 $10.00

















りろんかぶお投資活動 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 Total

株式購入 -$10.00









-$10.00

保有株数 1.00 1.00 1.00 1.00 1.00 1.00 1.00 1.00 1.00 1.00 1.00


株式売却









$10.00 $10.00
















りろんかぶお利益 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 Total

①配当
$0.50 $0.50 $0.50 $0.50 $0.50 $0.50 $0.50 $0.50 $0.50 $0.50 $5.00

②売却益









$0.00


③税金((①+②)×税率20%)
-$0.10 -$0.10 -$0.10 -$0.10 -$0.10 -$0.10 -$0.10 -$0.10 -$0.10 -$0.10 -$1.00

利益(①+②+③) $0.00 $0.40 $0.40 $0.40 $0.40 $0.40 $0.40 $0.40 $0.40 $0.40 $0.40 $4.00



























リターン 40.00%

2. 自社株買いケース




























自社株買/年 $500



























企業A状況 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 Total

時価総額 $10,000 10000 10000 10000 10000 10000 10000 10000 10000 10000 10000


発行株式数(当初株式数1000-自社株買株式数) 1000 1000 950 903 857 815 774 735 698 663 630


株価(時価総額÷株式数) $10.00 $10.00 $10.53 $11.08 $11.66 $12.28 $12.92 $13.60 $14.32 $15.07 $15.87


自社株買株式数($500÷株価)
50 48 45 43 41 39 37 35 33 32 401
















りろんかぶお投資活動 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 Total

株式購入 -$10.00









-$10.00

保有株数 1.00 1.00 1.00 1.00 1.00 1.00 1.00 1.00 1.00 1.00 1.00


株式売却









$16.70 $16.70
















りろんかぶお利益 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 Total

①配当
$0.00 $0.00 $0.00 $0.00 $0.00 $0.00 $0.00 $0.00 $0.00 $0.00


②売却益









$6.70 $6.70

③税金((①+②)×税率20%)
$0.00 $0.00 $0.00 $0.00 $0.00 $0.00 $0.00 $0.00 $0.00 -$1.34 -$1.34

利益(①+②+③) $0.00 $0.00 $0.00 $0.00 $0.00 $0.00 $0.00 $0.00 $0.00 $0.00 $5.36 $5.36



























リターン 53.60%