
2021年8月27日にジャクソンホールにてFRBパウエル議長が講演を行いましたので要点を以下まとめます。
注目されたテーパリング(FRBによる資産購入の減少開始)時期は「年内が適切」との見方を示しました。
1.コロナによる米国経済の影響・コロナパンデミックによる景気後退で、2か月のうちに約3000万人が失業
・GDP減少幅は、1929年の世界大恐慌時の2倍
・しかし、経済回復も想定以上で、GDPはコロナ前の水準をわずか4四半期で回復
2.雇用・景気後退による失業は、主にサービスセクターの低賃金労働者、黒人、ヒスパニックに顕著
・コロナ化で消費が旅行やレジャーなどのサービスからモノへシフトしたことも要因
・現在に至っても、既にコロナ前を回復しているGDPの中で、サービス消費は以前コロナ前を7%下回る
・一方で雇用の今後は明るい
・新規雇用者数は堅調に増加傾向にあり、過去3か月の平均は83.2万人で、その内、約80万人がサービスセクター
・失業率は5.4%でコロナ以降では最低水準だが以前高い
・ワクチン普及、学校再開、失業特別手当の終了、等の要因で失業者を仕事に戻らせるだろう。
3.インフレ・コロナ禍で国民の多くがサービス消費からモノ消費にシフト
・モノ需要ブームと急速かつ力強い経済再開が供給不足を招きインフレを押し上げ
・7月までの過去12か月のCPIとPCEによるインフレ率はそれぞれ4.2%と3.6%で、目標の2%を越える水準
・この水準は確かに懸念だが、いくつかの要因がこのインフレは一時的と示唆している
・高いインフレは、これまでのところ一部の製品のみにみられる
・耐久財がインフレを1%、エネルギー価格が0.8%も押し上げている。しかし過去の経験から言ってこれらのインフレは一時的だ
・かつ、12か月間のインフレ率は、コロナショック時の物価下落を取り込まずリバウンドのみを含む。これも時間の経過でインフレ率は自然と落ち着くことを示唆
・耐久財を除き、インフレ計算期間をコロナ前に引き延ばすという調整をした時、およそ目標の2%に近くなる
・過去25年間、耐久財価格は年平均で-1.9%減少している。このことからも耐久財のインフレが今後も続くとは考えにくい
・1990年代以降、先進国でのインフレは好景気時でも2%を下回っている
・これは、テクノロジー、グローバリゼーション、人口統計学的要因、等が要因
・これらの要因は今後もインフレ圧力となり続けるだろう
4.賃金・賃金上昇が生産性や物価インフレを越えて上昇すると、企業は賃金上昇を物価に転嫁し、賃金と物価上昇のスパイラルに陥る
・但し、現時点では賃金上昇に関してそのような脅威は観測されない
5.金融政策・金融政策については、雇用最大化と物価安定目標に著しい進捗が見られるまでFRBによる資産購入を続けるとしていた
・インフレに関しては著しい進捗が見られた
・雇用最大化に関しても明確な進捗が見られている
・ベースラインの予測は、インフレ率は平均2%の目標に戻っていき、雇用は最大雇用に向けて進捗を続ける、というもの
・経済がこのまま回復すれば、資産購入額の減少は今年中に開始するのが適切だろう
・一方、資産購入額減少のタイミングと減額幅は、利上げタイミングを示唆するものではない
・利上げについては、更に厳しいテストをクリアする必要がある
<コメント>・テーパリング時期は想定通り。マーケットも好感し上昇。
・今回の講演では特にインフレ部分について念入りに説明があった印象。
・インフレは今は高いけど、それは複数の特殊要因によるもので、長い目で見れば落ち着いていくということを淡々と説明。
・更に、過去のケースでは、このような一時的なインフレ上昇圧力に対処しようと、金融引き締めを早まったりして、結果的に雇用回復の遅延や長期的なインフレ低下を招いたことも説明。
・パウエル議長の対応は、今までのFRBがやってきた教訓を生かしたものであり、今回のコロナからの景気回復は、これまでの景気回復局面よりも良好に進むかもと思わせました。
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りろんかぶお
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