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ボーイング株は買い時なのか?③

737MAX_20200324.png


前回に引き続き「ボーイングは買い時か?」ということについて詳細に調べていきます。

ボーイング株は買い時なのか?①
ボーイング株は買い時なのか?②

3. 737MAXは信頼を回復できるか?

737MAXの信頼を回復できるかを調べる上で、過去の同様ケースでの状況について調べてみました。

2000年以降で見ると、世界中で航空機の一時運航停止となったのは一度だけありました。2013年のボーイング787です。

2013年1月7日、JALのボーイング787がフライトを終えた後、駐機中に機体内部の電池が発火しました。続いて、同年1月16日、今度はANAの同型機の電池が飛行中に発火しました。同機は緊急着陸を行い、幸い人的被害はゼロでした。

この連続したトラブルを受け、アメリカ連邦航空局 (FAA) が耐空性改善命令を発行して同型機に対し、運航の一時停止を命じ、世界各国の航空当局に対し同様の措置をとるように求めたのです。

この時は3か月後の2013年4月には、FAAから運航再開に関する許可が下り、その後世界的に運航が再開されました。

当時は、737MAXの事故とは違って人的被害が出ていなかったので、ボーイングの顧客となる航空会社や、実際の利用者の心理に与える不安は限定的であったとは思うのでその点は留意が必要です。

さて、その後の787の受注状況はどのように変わっていったのでしょうか?

大型民間航空機は実質ボーイングとエアバスの寡占市場になっています。よってここでは、ボーイング787のライバル機といわれるエアバスのA350との新規受注シェアの推移を見ていきたいと思います。

Boeing 787 と A350の新規受注シェア
(ボーイングとエアバスのHPを基に筆者にて作成)

787トラブル前の2012年と、トラブルが発生した2013年を比べると、ボーイングの新規受注シェアが5%程下がっています。

やはり、トラブル発生に伴い、一定程度の需要がライバル機に流れたことがわかります。

但し、翌年の2014年は前年と横ばいですが、2015年にはBoeing 787がシェアを一気に逆転していますね。こう見ると、2013年に傷ついた信頼は2015年には忘れらているかのように見えますね。

以下は、ボーイングとエアバスの全ての機体の受注シェア推移です。
受注シェア_20200324
出典:日本航空機開発協会

近年はおよそ50%ずつのシェアをとっていることがわかりますね。

プレイヤーがほぼボーイングとエアバスに絞られるので、航空会社としてはリスク分散の意味で、両メーカーの機体を保有するという流れがあります。

これらを踏まえると、今回のような737MAXの事故を受けて、一時的にエアバスのライバル機に需要が流れる可能性はあるものの、将来同じような事故がエアバス機で起こる可能性も十分にあるので、リスク分散の意味から航空会社がボーイングとエアバスの両方を保有する体制に再び収束していくのではないかと見込まれます。

つまり、寡占市場ゆえに長期的な737離れということにはならないのではないかと考えられます。(航空会社からしても、航空機メーカーが1社独占になってしまうと航空会社側の価格交渉力がなくなってしまう)

ちなみに以下は、最近10年間の飛行機事故と死者数の推移です。

事故件数_20200324
事故死者数_20200324

(Wikipedia掲載の数字を基に筆者にて作成)

737MAXの事故については、特定の航空機にシステム上の問題があったことで、問題が大きく取り上げられていますが、これを見ると、実は飛行機事故というのは我々が認識していないだけで、1月に1回くらいのペースで起こっており、毎年400人くらいの死者が出ていることがわかります。

飛行機事故はその頻度の多さからディアにもあまり取り上げられていないのが実情で、一般庶民からすると、今回の737MAXのような大勢の死者がでた事故を目にするとかなり敏感に反応してしまいます。

一方で日頃航空機事故のニュースに触れている航空会社の人たちの感じ方はまた少し違ったものであると考えられるでしょう。

つまり航空会社の購買担当者目線でいうと、737MAXの事故は数ある事故の中の一つであり、ボーイングがしっかり対応する限りにおいて、長年のボーイングへの信頼が今回の件で総崩れするということはないのではないでしょうか。

4. コロナショックで考えられる長期的な影響は?

次にコロナショックの影響です。

コロナウイルスの世界的な感染拡大により、国外への渡航が大幅に制限され、航空会社の収入が激減しており、資金繰りの問題から倒産懸念が急浮上しております。

既にイギリスの航空会社フライビーは先日倒産しました。

ボーイングに関しても、昨年から続く737MAX問題でキャッシュフローがかなり細っているはずで資金繰りが心配されています。但し、米政府からの大規模な支援策が盛り込まれた法案が間もなく議会を通過するとのことで、一先ずボーイングの倒産懸念はやや遠ざかりました。

考えてみれば、米国航空産業の頂点にいるボーイングが倒産してしまうとその下請けの企業が全て連鎖倒産ということもありえ、政府はそういった事態を避けるために必ずボーイングを救済するでしょうから、ボーイングの倒産というのはかなり確率の低い話だと思います。(日本でトヨタをつぶすようなもの)

また、コロナウイルスによる旅客需要は一時的なものですから、長期的に考えれば必ず需要は元の水準に戻ってきます。

よって、倒産懸念が低いと考えることができれば、コロナウイルス感染拡大の影響による株価下落分というのは長期的には取り返す確率が高いと思っております。

但し、ボーイングの顧客に当たる航空会社の財務基盤はかなり痛むと思うので、当面は航空機需要の冷え込みもあるでしょうし(需要の先送りですが)、ボーイング株価の戻りはゆったりしたものになるかもしれません。

STOP

以上をまとめると以下のことが言えるでしょうか。

・ボーイング737MAXの信頼回復という点では、一時的にエアバスのライバル機に需要がとられる可能性はあるものの、エアバスとの寡占市場という性質上、航空会社もリスク分散の意味で両メーカーを持っておきたい意向が働き、長期的に見れば737MAXの需要も戻ってくる可能性が高い。

・コロナの影響は、短期的な資金繰り不安を乗り越えられるかという点が焦点。これに関しては、巨大な航空産業の頂点にいるボーイングが仮に倒産した場合、産業全体に与える影響が大きすぎる為必ず米政府が救済するであろうことは容易に想像できる(そして実際にボーイング救済を盛り込んだ法案が議会を通過しようとしている)。これを考えれば、資金繰りに関しては心配しすぎる必要なく、長期的には旅客需要も元に戻ってくるはずなので、コロナに起因する株価下落分は取り返す確率が高いと考える。

以上

りろんかぶお

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※当ブログで紹介する理論株価は、いくつかの前提条件をりろんかぶおが独自に設定している為、その前提条件次第では計算結果が異なってきます。また当ブログは、投資に関する情報を掲載していますが、特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。また、読者が当ブログの情報を用いて行う投資判断の一切について責任を負うものではありません。


[ 2020/03/26 14:29 ] 7.企業研究 | TB(-) | CM(0)

ボーイング株は買い時なのか?②

737MAX_20200324.png


前回に引き続き「ボーイングは買い時か?」ということについて詳細に調べていきます。

ボーイング株は買い時なのか?①

2. 737MAXの生産停止がボーイングの業績に与える影響は?

① ボーイングの2019年決算

まずボーイングには主に以下4つのセグメントがあります。

-------------------------------------

1. 民間用航空機
民間用航空機の製造、販売、及びアフターサービスの提供。

2. 軍事、防衛及び宇宙関連
軍事用航空機、防衛関連機器、宇宙航空関連製品(衛星、スペースステーション等)の製造、販売。

3. サービス&サポート
自社製品のメンテナンスやアップグレード等のサービス提供。

4. ファイナンスサポート
自社製品購入顧客に対する融資などを通じたファイナンスソリューションの提供。

-------------------------------------

中でも、収益の柱は民間用航空機セグメントで、このセグメントに737MAXも分類されます。

737MAX事故の影響を受ける前の2018年には、全体売上の6割をこのセグメントが占めていました。

そして注目の2019年決算は、売上高が$76,559百万ドルと前年対比24%減、純利益は636百万ドルの赤字に転落(前年は+10,460百万ドル)。

いずれも737MAX事故に伴う737MAXの引き渡し激減及び、同機運航停止に伴う顧客への補償費用(8,259百万ドル)の計上に伴うものです。

2019年業績は、127機の737MAXを引き渡ししており、全ての影響は把握しきれません。

そこで、737MAXがボーイングの中で元々どれくらい売上に貢献していくかを見ていきます。

② 民間航空機部門の商品ラインナップと737MAXの売上比率

民間航空機部門にて現在生産中の航空機は以下です。

737(生産中機体:MAX、座席数:126~230、価格:87.7百万ドル~113.3百万ドル)
747(生産中機体:8F、座席数:467~581、価格:332.9百万ドル~333.5百万ドル)
767(生産中機体:300、座席数:200~250程度、価格:143百万ドル~155百万ドル)
777(生産中機体:200LR、300ER、F、X、座席数:200~300、価格:262百万ドル~320百万ドル)
787(生産中機体:8、9、10、座席数:210~300、価格:185.2百万ドル~218.1百万ドル)

出典:Wikipedia

次に、これらの機体の納入実績は以下の通り。
737MAX納入実績_20200324

出典:ボーイングAnnual Report

事故が起こる前までのボーイング737MAXの売れ行きは圧倒的No 1です。

上述の価格も合わせて見ると、民間航空機部門売上のおよそ5~6割が737MAXであると考えられます。

ボーイング全体に占める民間航空機部門の売上比率は上述の通り6割程なので、事故前で考えると737MAXの売上はボーイング全体の売上高の3割~4割程度を占めていたと考えることができます。

③ 737MAXの運航停止・生産停止・運航再開時期は?

737MAXは2度目の事故の直後である2019年3月13日に、FAAが飛行差止を発表し、それ以降運航停止状態となっています。

未だにFAAによる安全審査が続いておりますが、ボーイングは2020年中旬に運航再開に必要な許可が下りると見込んでいます。

生産自体は、4月以降は52機/月から42機/月にペースを落とすにとどめていましたが、在庫が約400機にも積みあがってきたことから2020年1月から生産を完全に停止しました。

④ 受注キャンセル状況

ボーイングのAnnual Reportによると、2018年末時点の737MAX受注残高は4,708機でしたが、2019年末時点では4,398機になっております。

2019年に127機の納入を行っているので、少なくとも183機(4798-127-4398)のキャンセルが発生していることになります(2019年に新規受注もあったはずなので実際のキャンセル数はもっとあるはず)。

4%程キャンセルが出たことになりますが、逆に今のところそこまでの大けがにはなっていない印象です。

STOP

ここまでをまとめると以下の通りでしょうか。

・737MAXの売上比率は全体に対しておよそ3~4割とかなり大きい。

・現在完全に生産停止中なるも、2020年中旬ごろに運航再開のための許可が下りるとのボーイング予想。

・キャンセルは4%程出ているが、依然として4000機以上の受注残があり、これが引き渡されるのであれば今後数年のキャッシュフローは期待できそう。

次回は、737MAXは信頼を回復できるかという点を見ていきたいと思います。

以上

りろんかぶお

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[ 2020/03/25 16:36 ] 7.企業研究 | TB(-) | CM(0)

ボーイング株は買い時なのか?①

737MAX_20200324.png


現在コロナウイルス感染拡大の影響で相場全体が暴落しているところですが、とりわけ下げ幅がきついのがボーイングです。

2019年に400ドルを超えたものの、現在はその1/4まで値を下げました。

株価BA_20200324
(ヤフーファイナンス)

今回は、これまでのおさらいとして、なぜボーイングがここまで極端に大暴落しているのか?、今は買い場なのか?、という点を詳細に調べていきたいと思います。

1. なぜ大暴落しているのか?

① 737MAX事故

ボーイングが大暴落している理由の一つは、主力製品の737MAXの大規模事故が2回立て続けに起こったことに端を発しています。

2018年10月29日、インドネシアのジャワ海でライオン・エア610便(ボーイング737MAX 8型機、PK-LQP)が離陸後約10分で墜落し、乗客乗員189名全員が死亡しました。

そして、2019年3月10日、エチオピアのアディスアベバ、ボレ国際空港より離陸したエチオピア航空302便(ボーイング737MAX 8型機、ET-AVJ)が、離陸後約6分で墜落し、乗客乗員157名全員が死亡しました。

ボーイング737MAXは、半年の間に2回の大事故を起こし、どちらも乗員乗客全員死亡という大惨事となり、合わせて346名の人命が失われ、世界中に衝撃を与えました。

航空機事故はパイロットのミスによる事故の可能性もありますが、2つの事故の経緯があまりに酷似していたため、ボーイング737MAXの安全性が強く疑われることになったのです。

その後調査が行われ、2019年4月にボーイングのCEOから正式に、上述2つの大事故は、737MAXのソフトウェアシステムMCAS(Maneuvering Characteristics Augmentation System)に原因があったことを認め、謝罪をしました。

MCASとは何か?

ボーイング737MAXは737の第四世代(第一世代:737オリジナル、第二世代:737クラシック、第三世代:737ニュージェネレーション)といわれております。

737オリジナルの初飛行は1967年なのでかなりの歴史があります。

世代を経るごとに、燃費向上などの理由から徐々にエンジンの大型化が行われました。

しかし、737は当初ジェットエンジンの大型化を想定していなかったので、基本設計通り大きなエンジンをそのまま翼の下にぶら下げてしまうと地面とジェットエンジンの間に十分な距離を確保できなくなってしまいます。

そこで、エンジンを翼の真下にぶら下げるのではなく、翼よりもやや前方に出し、位置をやや上にずらすことで、エンジンと地面との距離を確保したのです。

737MAXエンジン_20200324

但しこうすることで新たな問題が発生しました。

エンジンを基本設計よりもやや前方かつ上方に持ってきたことで、飛行機が離陸する際に機体が斜め上に角度をとった時、その角度を必要以上に大きくしてしまう(機首が上を向いてしまう)方向に力が働いてしまうことがわかったのです。

機首が必要以上に上を向いてしまうと風の抵抗をもろに受けて失速してしまうので、これを修正するために導入されたのがMCASです。

MCASは2つあるセンサーが、機体の角度・対空速度・高度などを感知し、これらが閾値を超えた場合に作動し、尾翼を自動的に操作して機体を降下させるシステムです。

そして、ライオン・エアの飛行データ解析によれば、2つあるセンサーのうち1つが故障により誤った角度を示していたことで、MCASが機首が上がりすぎていると判断して下降操作を行い、上昇操作を行っていたパイロットとせめぎ合いになる形で墜落してしまったことが発覚しました。

ここまで聞くと、センサーの故障が原因だったのかと思うかもしれませんが、航空機は一事が万事につながるため、基本的には一部が故障していてもバックアップ機能が備わっているべきなのです。

ボーイングの過ちとしては、機体制御不能の可能性を十分に考慮しておらず安全装置を付けていなかったこと、更に飛行機の角度を知らせる警告灯が点かなかった設計上の問題などが挙げられています。

また、アメリカ連邦航空局(FAA)の報告書では航空会社とパイロットにも非があったことを示しています。

乗組員は機内での問題や関連する警告への対応を調整しておらず、訓練の成績が悪かった副操縦士は、覚えておくべきチェックリストを思い出せなかったとあります。

機長は操縦装置と格闘し、20回以上機首の上げ下げを繰り返し、その後、操縦装置を副操縦士に託し、その直後飛行機は海に墜落したと報告しています。

更に、ライオン・エア機は前回の飛行でも同様の不具合が発生していたようで、その時はうまく対応したものの、墜落機の乗組員にはこの情報が伝えられていなかったことも判明しています。

いずれにしても、ボーイングに非があったことは事実で、ボーイングもこれを認めています。

エチオピア航空302便の事故後、各国から737MAXの運航停止命令が出されるようになり、最終的にはFAAからも運用停止が発表され2019年3月14日を最後にボーイング737MAXは飛行していません。

現在ボーイングは737MAXの生産を停止しておりますが、737MAXは同社の主力製品であることから、業績への影響も甚大であり、これが2019年のボーイング株価低迷につながっています。

② コロナショック

上述の通り、737MAXの運航停止という大きな打撃を受けている中、迎えたのがコロナショックです。

世界的なコロナウイルスの感染拡大に伴い、各国が国境封鎖を行い航空需要が激減しました。

これに伴い、多くの航空会社が大規模な減便を行い、売上激減に起因する資金繰りの不安が増し、航空会社の株価も大暴落しています。

このようの状況下、航空機需要もしばらく低迷することが想定され、ボーイングとしては昨年から続く737MAXの問題と合わせ、ダブルパンチを食らうこととなりました。

ボーイングは現在確保済みの138億ドル(約1兆4300億円)の融資枠を3月13日にも使い切る見込みであることを発表し、昨年から続く収入の激減が長引きそうなことによる資金繰り不安が一気に増し、いわばパニック的な売りが重なり、ここまでの暴落となってしまったのです。

これらが、ボーイング株価大暴落の背景です。

(続く)

以上

りろんかぶお

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[ 2020/03/24 11:46 ] 7.企業研究 | TB(-) | CM(0)

ビヨンドミートの企業研究③

beyond meat


次回に引き続き、植物性由来人口肉の生産販売を手掛けるBeyond Meatについて研究していきます。

前回記事↓
ビヨンドミートの企業研究①
ビヨンドミートの企業研究②

今回はBeyond Meatの業績と今後の成長性について見ていきます。

<Beyond Meatの業績(2019年9月期時点)>

前回記事で見た通り、Beyond Meatのビジネスモデルは、スーパーマーケットなどの小売り店舗での商品販売と、ファストフードショップなどのへの卸販売の二つです。

当然、自社製品を扱ってくれる提携先が増えれば増える程いいのですが、小売店舗との提携数の推移に関しては以下の通りです。

retail rollout_beyond beef
出典:Beyond Meat 2019年第三四半期決算プレゼンテーション

このように提携先の数をかなり順調に増やしていることがわかります。
2019年5月の上場で、認知度やブランド力は更に向上したため今後飛躍的に提携数を増やしていくことが期待できます。

ファストフードショップへの卸販売に関しても、既に多くのショップで販売が開始されていることに加え、2019年後半は、マクドナルド、KFC、Subway、Denny’sなどの影響力の巨大な超グローバルなチェーン店でテスト販売を開始しており、仮に正式販売に繋がれば一気に販売量を拡大することが見込まれます。

これらの提携数の増強を反映して、以下の通り四半期ごとの売上も急激に伸ばしてきております。

rev_beyond beef
出典:Beyond Meat 2019年第三四半期決算プレゼンテーション

そして、注目すべきは、創業以来ずっと赤字が続いておりましたが、2019年第三四半期でとうとう四半期ベースの黒字を達成しました。

PAT_beyond beef
出典:Beyond Meat 2019年第三四半期決算プレゼンテーション

売上規模の拡大に伴いGross Marginが大幅に改善し、利益の出せる体質に転換したのではないかと考えられます。

このように需要拡大に伴い生産力もどんどん増強していく必要があり、大きな資本が必要となってきますが、今年のIPOに伴いキャッシュも潤沢にあるため、そこらへんも問題なさそうです。

<Beyond Meatの競争優位性と今後の成長性>

実は人口肉というのは何十年も前から存在していました。
但し、コストは高いし、味も本物とは程遠い、ということでなかなか浸透してこなかった歴史があります。

Beyond Meatは、人口肉なのに本物の肉の味とほとんど変わらず、しかも値段もリーズナブルということで、人口肉業界に革命を起こしたといえます。
なかなか人口肉が浸透しなかった歴史を鑑みても、Beyond Meatの技術力の高さがうかがえます。

Beyond Meatの現時点での最大のライバルは同じく米国ベンチャーのインポッシブルフーズでしょう。
同社も、バーガーキングと提携し、2019年8月から「インポッシブル・ワッパー」を全米展開したことで有名です。

他にも、食品大手のネスレや米タイソンフーズなどもこの業界に参入し始めております。

このように、植物由来人口肉の潜在市場規模(ビヨンドミートの企業研究②ご参照)や将来性の高さから、Beyond Meatやインポッシブルフーズなどのベンチャーのみならず、他の大手食品会社も莫大な研究開発費とマーケティング費用をかけて参入してくるはずで、いずれ競争が激化することは必然です。

そんな人口肉の競争優位性は何でしょうか?

価格や味は当然、他社との差別化要因になりますが、食品業界においては、競争が激化し、業界が成熟していく毎にこれらの要素は平準化していくのが一般的ではないでしょうか。

そうなるとやはり「このメーカーの人口肉なら間違いない」といった消費者のロイヤルティーを勝ち取るためのブランド力が重要になってきます。

こういったブランドは通常、確かな味(技術力の高さ)を裏付けとして、長い時間をかけて入念にマーケティング活動していく中で確立されていくものです。

現時点ではBeyond Meatやインポッシブルフーズに先行者メリットがありますが、今後食品大手がその巨大資本にものを言わせ、大規模なマーケティングを行ってきた場合、果たしてBeyond Meatのような駆け出しのベンチャーが立ち向かえるのかは疑問です。
スイッチングコストが非常に安い業界なので、ちょっとしたことでも他社に乗り換えられてしまうのです。

但し、他社の追随が少ない今のうちにブランド力を磨いていくことで、マーケットリーダーになれるかどうかは別としてやはり市場規模の大きさに比例した企業に成長できることは期待できると考えます。

STOP

・上述の通り、食品販売事業における他社との差別化というのは非常に難しく、将来的に競争激化が予想される中、Beyond Meatが業界の中で確固としたポジションを確立できるかどうかは現時点では不透明です。

・但し、人類の健康、地球環境問題、動物福祉などといった素晴らしい理念を掲げており、一投資家として応援したい企業ではあるので引き続きWatchしていこうと思います。

以上

りろんかぶお

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[ 2019/12/23 11:41 ] 7.企業研究 | TB(-) | CM(0)

ビヨンドミートの企業研究②

beyond meat


次回に引き続き、植物性由来人口肉の生産販売を手掛けるBeyond Meatについて研究していきます。

前回記事↓
ビヨンドミートの企業研究①

今回はBeyond Meatの製品や、植物由来人口肉の市場規模について見ていきます。

<Beyond Meatの製品>
※出典:Beyond Meatホームページ

大きなカテゴリーとして以下三つの商品があります。
1. BEYOND BURGER
beyond burger

2. BEYOND BEEF
beyond beef

3. BEYOND SAUSAGE
beyond sausage

4. BEYOND BEEF CRUMBLES
beyond crumble

Beyond Meatの大きな特徴として、生肉用な状態で販売されており、実際に調理する過程で油や肉汁が滴るところまで再現しているところです。

見た目や、調理過程、食感、味等、どれも高度に本物の肉を再現しておりますが、いったいどのように作っているのでしょうか?

原材料としては以下5種類が使われております。
1. タンパク質:Pea • Mung Bean • Fava Bean • Brown Rice • Sunflower
2. 脂肪:Cocoa Butter • Coconut Oil • Sunflower Oil • Canola Oil
3. ミネラル:Calcium • Iron • Salt • Potassium Chloride
4. 香料、色素:Beet Juice Extract • Apple Extract • Natural Flavors
5. 炭水化物:Potato Starch • Methylcellulose

生産プロセスとしては、まずタンパク質の食材を、加熱、冷却、プレスなどを用いて本物の肉のような繊維状の質感を再現します。その後、脂肪、ミネラル、香料、色素、炭水化物を混ぜて、本物の肉のような、見た目、ジューシーさ、香りなどを再現して完成です。

<Beyond Meatのビジネスモデル>

Beyond Meatのビジネスモデルは、自社で生産したこうした生肉の状態の人口肉を、Whole FoodsやWalmartなどの小売り店舗や、SubwayやCarl’s Jrなどのレストランやフードショップに販売することです。

これらの幅広い販売先に、販売していくために多数の配送拠点を持っており、以下の通り2019年5月のIPOから5か月で配送拠点を倍にする等、急速に拠点を増加中です。
BYND haiso kyoten
出典:Beyond Meat 2019年第三四半期決算プレゼンテーション

<植物由来人口肉の市場規模>

人口肉の市場規模について、Beyond Meatは人口牛乳の例を活用しております。

植物由来の人口肉も人口牛乳と同様、採食主義者や健康・動物愛護に関する意識の高い人が需要者となることが予想されるので、この考え方には一定程度の納得感があります。

実際にこれを基に計算したのが以下の図です。(但しこれは米国市場のみ)
BYND sijoukibo
出典:Beyond Meat 2019年第三四半期決算プレゼンテーション

米国における牛乳市場における人口牛乳のシェアが13%なので、これを肉の年間市場規模$270billion(30兆円弱)にかけると、米国における人口肉の市場規模は年間$35billion(4兆円弱)と計算できます。

世界の肉の市場規模は年間$1,400billion(154兆円程)といわれているので、仮に上述の13%をかけると年間$182billion(20兆円程)と計算できます。(実際には、米国における需要者の比率と世界の需要者の比率は異なるので注意)

こう考えると、かなり大きなマーケットであることがわかります。
更に、Beyond Meatは自身では自社ブランドの店舗を持たず、卸売に徹している為、実際の小売業者やフードショップなどに認められれば一気にマーケットを取りに行くことができると予想されます。

STOP

・上述の計算結果だけでも、市場規模としては十分なサイズがあると思いますし、健康問題、地球温暖化の問題、動物福祉の観点からも、今後ますます注目を浴びる業界のはずなので、更なる市場規模の拡大が見込めると思います。

次回は、Beyond Meatの財務面を研究していきます。

以上

りろんかぶお

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[ 2019/12/20 17:56 ] 7.企業研究 | TB(-) | CM(0)

ビヨンドミートの企業研究①

beyond meat


今回は、植物性由来人口肉の生産販売を手掛けるBeyond Meatについて研究していきます。

Beyond Meatについて調べようと思ったのは、サピエンス全史という本を読んでいる中で、現在の畜産業が動物たちにとっていかにひどいものかということを思い知らされたのがきっかけです。

市場経済に巻き込まれた動物(主に牛や豚や鶏)たちは、人間の都合により、いかにコストを抑えて、おいしい肉を生産するかという点が過度に追求されてきました。

メスの母胎を気にかけず次から次へと妊娠させる大量生産、遺伝子組み換えによる短期間での巨大化、スペースの節約のためほとんど身動きができないほどの空間での劣悪な飼育環境。

家畜たちは、人間に食べられるためだけに生まれてきて、その短い一生を、糞尿まみれの身動きのほとんどできないところで、座ったり立ち上がったりじっと壁を見つめたりしながらただただ時間をつぶしていくのです。

鶏に関しては、最近こんな記事も見つけました。
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/68975?page=7

過度に工業化された畜産業は、まるで工場と一緒で、我々人間と同じく感情を持っている動物たちが、最終製品(肉)を作るためのただの機械や部品として扱われているのです。。

人類と資本主義の犠牲になってしまった罪のない動物たちを助けるために、投資をする者としても力になりたいと思い、見つけたのがBeyond Meatでした(市場では既にかなり注目されている企業のようですが自分は知りませんでした)。

かつて奴隷制度が普通だった時代に、そんなのはおかしいと立ち上がった人たちがいました。奴隷を利用した生産物というのは当然コストが安く需要者にとって都合がいいのですが、国や需要者の意識が変わって、コストは高くなるけども奴隷制度をなくすという方向に舵を切ってきたのです。

現在の家畜たちもまさに奴隷です。一見、利益が全てに見える資本主義社会においても、かつての奴隷制度を駆逐したように、現代の奴隷も駆逐できると思っております。

<Beyond MeatのMission>

Beyond MeatのMissionは、”タンパク質の未来を創ること” であり、動物性食肉から植物由来の人口肉に代替することで以下4つの課題を解決するとしております。

1. 人類の健康の改善

牛肉などの肉は、タンパク質が豊富で、私たちが生きていく上で必要な必須アミノ酸を含みますが、肉の摂取が健康を害するという研究が多いことも事実です。

一般的には動物性脂肪の過剰摂取によって血液がドロドロになり、心臓病や脳卒中、糖尿病などの原因になるとも言われております。

また、世界保健機関(WHO)は、牛肉などの”赤肉”を、グループ2発がん性物質に指定し、ベーコンやソーセージなどの”加工肉”はグループ1発がん性物質にリストアップされています。(※グループ1が最も発がん性が高く、加工肉以外にタバコやアスベスト、プルトニウムなどもリストに含まれる)

植物由来の人口肉に切り替えることで、こういった健康上の問題を解決することが期待できるのです。

2. 地球温暖化への貢献

家畜のげっぷや排泄物からは温室効果ガスに分類されるメタンや亜酸化窒素が放出されます。一見、大した量には思えないかもしれませんが、全世界で莫大な数の家畜が存在する中、国連食糧農業機関(Food and Agriculture Organization、FAO)の調べによると、人為的に排出されている温室効果ガスの14.5%が畜産業から排出されているものとしております。
https://www.afpbb.com/articles/-/3000579

植物由来の人口肉生産過程でも当然温室効果ガスが排出されますが、畜産業と比較すれば圧倒的に少ないといわれており、温暖化に貢献できると期待できます。

3. 食料資源の確保

世界の食料問題は、人口の増加と資源利用上の制約、地球環境の変化によって深刻化することが予見されていて、食料の生産と消費がもたらす環境への負荷が増大する一方で、この増大しつづける地球環境への負荷が、回帰的に食料生産に影響を及ぼすことが考えられます。

過度な食肉への偏重を防ぎ、代替肉という選択肢が増えることで食料資源の確保を促進することができます。

4. 動物福祉

冒頭に記載の通り、市場経済に組み込まれてしまった動物たちは、人類の欲を満たすためのモノとして扱われているのが現状です。

市場経済においてこのような動物たちを守るためには、需要者に対してもっと魅力的な代替物を提供する必要があり、Beyond Meatはその役割を果たすことができます。

<Beyond Meatの歴史>

2009年:
創業者のEthan Brownは、学生時代から環境問題や持続可能な社会の実現に関して興味があり、そうした問題解決に貢献したいという思いから、再生可能エネルギーに注力する会社に勤務するも、環境問題解決には食からのアプローチが必要不可欠と思い、ビヨンド・ミートを設立。
当初、多くの企業や個人から資金調達を行い、ビルゲイツも当初の出資者として有名。

2013年:米国のスーパーマーケットであるWhole Foodsで初めて植物由来の人口鶏肉を販売開始し、翌年人口牛肉を販売。

2015年:植物由来バーガー肉のブランドである“The Beast”が販売開始。

2017年:植物由来の人口ソーセージである“Beyond Sausage”を販売開始。

2018年:
米TGIフライデー、加A&W、英Tesco、英Honest Burger、英All Bar One、米カールスジュニア、米Del Taco等、多くのレストランやファーストフードがBeyond Meatを採用、販売開始(一部地域でのテスト販売含む)。
また、9月には国連からEnvironment Champion of the Earth Awardを受賞。

2019年
加Tim Hortons、米Dunkin' Donuts、独Lidl’s、独METRO Cash & Carry、ニュージーランドHell Pizza、Subway、米KFC、米McDonald’s、米Hardee's等、がBeyond Meatを採用、販売開始(一部地域でのテスト販売含む)。
5月に米NASDAQに上場。公募価格25ドルに対し初値は46ドル、7月には高値の239ドル迄上昇し期待感の高さがうかがえた(その後急落)。

現在、世界50か国でBeyond Meatが取り扱われており、今後も拡大予定。

STOP

・2018年あたりから急激に、様々な店で取り扱われるようになっており、既に世界進出もしているので、今後も大きな伸びが期待できそうです。

・出資者の中には、ビルゲイツの他、俳優のディカプリオがいたり、日本では三井物産が出資しております。

次回は、人口肉業界の将来性などについて研究していきます。

以上

りろんかぶお

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※当ブログで紹介する理論株価は、いくつかの前提条件をりろんかぶおが独自に設定している為、その前提条件次第では計算結果が異なってきます。また当ブログは、投資に関する情報を掲載していますが、特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。また、読者が当ブログの情報を用いて行う投資判断の一切について責任を負うものではありません。


[ 2019/12/19 12:26 ] 7.企業研究 | TB(-) | CM(0)

Uberの企業研究③

Uber rogo


前回に引き続き、ライドシェア界のパイオニアであるUberについて研究していきます。

前回記事↓
Uberの企業研究①
Uberの企業研究②

今回はUberの今後について簡単に記載してみます。

<ライドシェア市場規模の推移>

全世界のライドシェア企業の合計売上高予測
(※但しここでいうライドシェアの定義はオンライン配車サービス全て。よってUberのようなビジネスモデルのみならずオンラインでタクシーを配車できるサービスなども含む)
Ride hailing revenue forecast_2019

全世界のライドシェアユーザー数予測
Ride hailing user forecast_2019

・ライドシェア業界の2019年の売上高は183,677百万ドル(予測)。

・これが年間平均14.8%ずつ伸びて2023年には318,765百万ドルまで増加すると予測されている。

・また2023年までにユーザー数も1.5倍以上に増加する見込み。

<ライドシェア企業の競争要因>

・上記のようにライドシェア業界は今後も力強い伸びが期待できそうです。そんな中、世界にはUber、DiDi、Grab、Lyft等々、多数プレイヤーがいる中、他社との競争に勝っていくためには何が決め手になりそうでしょうか?

・ユーザーがどのアプリを使うかを選択するときのポイントは何でしょうか?大きなものは、やはり運賃の安さと、乗りたいときにすぐ乗れるか、がポイントになると思います。

・ドライバーがどのアプリを使うかを選択するときのポイントも、ドライバーの取り分の多さと、すぐ客が捕まるかだと思います。

・つまり、ポイントは運賃と、いかにすぐにユーザーとドライバーをマッチングできるか、ということになると思います。

・ユーザーが支払う運賃は、①ドライバーの取り分と②ライドシェア企業の取り分に分類できますが、いずれも複数の競争相手がいる場合、市場の原理が働いてある均衡点に収束していきます。つまり、十分な競争がある下では、ユーザー目線での運賃もドライバーの取り分も、どの企業のアプリを使っても変わらないということになります。

・ではもう一つの要素であるユーザーとドライバーのマッチングにおけるポイントは何でしょうか?最も大きなポイントは、ユーザーとドライバーの多さですね。だからこそ、各社紹介料やキャンペーンなどあの手この手を使って、利用者を増やそうとしているわけです。

・よって一つのポイントは、この利用者獲得争いの中での赤字を垂れ流す期間に耐えられる資本力の強さというのがあるかなと思います。

・ただ、Uberのライバルである、DiDi、Grabなどは資本力の面でもUberに負けてないと思いますので他にポイントはあるのでしょうか?

・ユーザーとドライバーのマッチングにおけるポイントで、もう一つ重要な要素があると思います。それがAIによる客位置予測機能です。

・ライドシェア各社はAIを使って、例えば1時間後にどのエリアで、どれくらいの需要が発生しそうかを、客の行動パターンやその日の天気、イベント情報などあらゆるデータから予測させる、客位置予測機能を備えております。

・この客位置予測の精度が高ければ高い程、ドライバーにとってはアイドリング時間を減らせるので自分の稼ぎを増やすことができるのです。

・各社この技術には取り組んでいるのですが、AIによる予測には多くのデータが必要であり、つまり現時点でより多くのデータを収集できた企業がより精度の高い客位置予測機能を構築でき、そうするとドライバーが増え、ユーザーが増え、そうすると更にデータが集まりAIの精度が高まり、更にドライバーとユーザーが増えるという好循環が生まれます。

・よって、現時点で最も多くの顧客データを持っている企業が今後も強くなっていく業界なのかなと考えます。

・資本力、顧客データの量、この2点において現時点でのNo 1は紛れもなくライドシェアのパイオニアで早くから全世界で事業を行うUberでしょう。こう考えると、今後の市場規模拡大の多くの部分をUberが取り込んでいくのではないかと思います。

<今の株価は安いか>

・Uberは世界中の投資家が期待する企業でもあり、既にその成長が十分に織り込まれている可能性もあります。

・Uberの現時点(2019年12月5日時点)での時価総額はおよそ50,000百万ドルです。Uberのように、成長市場に属する現時点では赤字の企業の企業価値を測るのは非常に難しいです。

・仮に、市場が成熟した時にPERが20倍程の利益を稼いでいればいいとすると、時価総額50,000百万ドルにたいしてPER20倍なので純利益が2,500百万ドル。

・2018年10月~2019年9月までのUberの配車サービス部門のEBITDA(但しコーポレート費用を除く)が合計1524百万ドル、これが2023年までの市場の成長率14.8%/年(冒頭の<市場規模の推移>ご参照)で伸びていくとすると、2023年には、2647百万ドルに達します。

・実際には、ここから研究開発費やコーポレート費用、支払い利息、減価償却費、税金などが引かれ、更に他事業で赤字を出し続けている可能性もあるので、純利益にするともっと小さくなるはずですが、更に長期的な目線で考えれば、純利益2500百万ドルというレベルは達成できるのではないでしょうか?

<自動運転の未来、将来の脅威>

・モビリティの世界での、次のもっと大きな革命は自動運転技術といわれていて各社が研究開発を競ってますね。

・Uberも自動運転の分野に大きな研究開発費を投じているのですが、激しい研究競争の中では後手に回っているイメージです。自動運転の分野でトップを走るのはGoogleのウェイモ。GoogleはUberの株主でもあるので、Uberの味方かと思いきや、数年前にUberがウェイモの自動運転技術を盗もうとしたことがあり、そこでウェイモに嫌われて、現在ウェイモはLyftと組んでおります。

・では、自動運転が商用化されたときに今のライドシェア企業は淘汰されていくのでしょうか?

・そんなことはないと思います。配車サービスの機能は、あくまでユーザーとドライバーをマッチングさせることにあります。自動運転が普及してドライバーのコストがかからなくなって運賃が下がったとしても配車サービス企業は自動運転車とユーザーをマッチングさせるだけです。

・仮にGoogleが自動運転車の商用化に唯一成功して、Lyftと独占契約を締結して自動運転車による安い運賃はLyftでしか実現できないとしましょう。しかし、世界中に何十億といる配車サービスの利用者全てに自動運転車による低運賃サービスを提供するにはものすごい時間がかかるでしょう。なぜなら、自動運転車はそこらじゅうの道路を走りまわっているわけではなく、1から製造していかなければならないので。

・そしてその間にGoogle以外の企業が自動運転を商用化させるので、Uberはそういった企業と組んで自動運転車による低運賃をユーザーに提供していけばいいのです。

・こう考えると、自動運転車は将来のモビリティを大きく変えるのはそうなのですが、配車サービス企業の役割はあくまでユーザーとドライバーのマッチングなので、これは今後もモビリティのインフラとして残り続けるものと考えます。

以上

りろんかぶお

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[ 2019/12/05 12:09 ] 7.企業研究 | TB(-) | CM(0)

Uberの企業研究②

Uber rogo


前回に引き続き、ライドシェア界のパイオニアであるUberについて研究していきます。

前回記事↓
Uberの企業研究①

今回はUberの現状を知るという意味で、業績と競合状況について簡単に記載してみます。

<Uberの業績(2019年3Q時点)>
(出典:Uber IR)

1. 損益計算書
Uber PL_2019_3Q

・2019年1Q~3Qの純損失は▲7,410百万ドルと巨額の赤字。

・売上は堅調に伸びているものの、ドライバーを囲い込むためのインセンティブ費用(紹介料やボーナスなど)がかなりかさんでいることと、自動運転などへの研究開発費が膨らんでいることが主要因。

・損益計算書を見る限り、ドライバーへのインセンティブを除いたドライバーの取り分は売上の半分程度。ドライバー目線では、なかなか稼げないということでドライバーの離職率が非常に高くそのつなぎ止めに苦戦しているようですね。

・今後規模をどんどん大きくしていく過程で、ドライバーの取り分を増やしていく必要がありそうです。

2. セグメント別業績

セグメント概要以下

Ride:配車サービス
Eats:食事宅配サービス
Freights:輸送業者と荷送人のマッチング
Other Bet:電動バイク・電動キックボードのシェアサービス、他
ATG & Other Technology Program:自動運転や航空機チャーターの研究開発

Uber Adjusted NR_2019_3Q
※Adjusted Net Revenueは売上からドライバーの取り分及びドライバーへのインセンティブを差し引いたもの。

・やはり収入の中核は配車サービスなるもやや売上の伸びが鈍いのが心配。

・EatsやFreightsもまだ規模は小さいものの、急激に売上を伸ばしており将来に期待。

Uber Adjusted EBIT_2019_3Q

・配車サービス単独(コーポレート費用などは除く)で見ると、既に黒字化していることは好材料。

・EatsやFreightsは初期段階ということでマーケティング費用がかさんでいてEBITDAがマイナスなのはやむなし。ニーズはあるので今後の収益化に期待。

3. 地域別売上高
Uber area_2019_3Q

・Uberは既に70か国、700都市ほどで事業を展開しており、急速にグローバル化をしております。

・配車サービスのようなビジネスモデルでは、技術的な難易度が低いため、大きなライバルが出てくる前に市場を押さえてしまうことが重要。現時点では赤字覚悟で規模の拡大を優先させているがこれは戦略として間違っていないかと。

<競合他社>
Uber Competitor

・現在Uberの株価下落に伴い、時価総額は減少しておりますがいずれにしても業界トップの企業でしょう。(米国ではシェア70%程)

・Uberは2012年から世界進出をしており、各国で上記にリストされている地元企業との激しい競争を展開。

・既にUberの中国事業は滴滴出行(DiDi)に売却(DiDiの18%持分取得)、東南アジア事業はGrabに売却(Grabの27.5%持分取得)、ロシア、アルメニア、アゼルバイジャン、ベラルーシ、ジョージア、カザフスタンでの事業をロシアのYandex Taxの配車事業と統合して新会社設立(新会社の36.6%持分取得)しており、巨大ライバルがいるエリアでは、ライバルの株式取得と引き換えに既に撤退済み。

・ライバルの株式と引き換えに、同エリアの収益は享受できるので、最低限のことはできているイメージ。

STOP

次回は、ライドシェア業界の今後、Uberの今後について見ていきたいと思います。

以上

りろんかぶお

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[ 2019/12/04 11:36 ] 7.企業研究 | TB(-) | CM(0)

Uberの企業研究①

Uber rogo


今回はライドシェア界のパイオニアであるUberについて研究していきます。

日本ではUber Eatsが有名ですが、Uberの本業は、移動したい人と、人を運んで運賃を稼ぎたい一般ドライバーを結びつける配車サービスです。

私がUberと出会ったのは2015年春に米国出張に行ったとき。

このビジネスモデルに衝撃を受けました。世の中の使われていない潜在的な資源(使われていない車や使われていない労働力)を有効活用して、世の中の既存の需要(移動したい)を満たすというモデル。

世の中がすごく効率化されて、それでいて利用者側のコストも下がるという、驚くべきビジネスモデルだなと思ったことを今でも覚えております。2015年の米国ではもうみんなが普通にUberを使っていました。

Mobilityの業界に大きな革命をもたらしたUberについて、今回は設立当初から現在までの歴史と現在のサービス概要について簡単に記載してみます。

<Uberの歴史>

2009年:Uber設立(当時の社名はUberCab)

2010年6月:配車サービス開始。(当時はドライバーを自社雇用し、リムジンなどの高級車による高価格対の配車サービスを提供)

2010年10月:シードマネーとして1.25百万ドル調達

2011年2月:シリーズAで11百万ドル調達、企業価値評価額は60百万ドル

2011年12月:
・フランスを皮切りに世界進出(ウーバーのビジネスモデルは先行者利益が大きいため、初期の段階で世界進出を視野に)
・シリーズB 32百万ドル調達、ここでジェフベゾスも出資

2012年7月:Uber Xを提供開始(ここで、一般ドライバーとユーザーを結びつけるマッチングサービスとなり現在のビジネスモデルとなる。当時の運賃はタクシーと同程度)

2012年8月:現在北米市場のライバルであるLyft設立

2013年8月:
・インド、アフリカに進出。
・シリーズCでGoogleから258百万ドル調達。企業価値は37.6億ドル

2014年7月:
・中国進出。
・シリーズDで1200百万ドル調達、企業価値は170億ドル。

2014年8月:
・Uber Pool開始(目的地が似通った異なる利用者を相乗りさせて、運賃を割り勘にすることで安くするサービス)
・Uber Eats開始。食事配達サービス(日本では自転車が多いが米国では車で配達がメイン。ドライバーの業務の選択肢の一つ)

2015年5月:自動運転の研究開始

2016年7月:Uber中国法人を現地配車サービス大手滴滴出行(DiDi)に売却し、DiDiの18%の株式を取得。

2018年2月:ロシア、アルメニア、アゼルバイジャン、ベラルーシ、ジョージア、カザフスタンでの事業をロシアのYandex Taxの配車事業と統合して新会社設立。Uberは225百万ドルを出資し、新会社の36.6%のシェアを獲得。

2018年3月:東南アジアの事業をGrabに売却し、Grabの27.5%の株式を取得。

2019年5月:米国株式市場に上場。初値での時価総額は697億ドル

<Uberのビジネス>

① 配車サービス

移動したい人と一般のドライバーを結びつける配車サービス。特徴は以下。

・オンデマンド(スマホ上で簡単に配車可能)

・シェアリング(元々他用途に使われている車をシェアすることで低価格を実現)

・評価(利用者がUber利用後にドライバーを評価できる為、ドライバーによるサービス向上を促進)

・ダイナミックプライシング(需給バランスによって運賃が変動。利用者が多い時間帯や場所では運賃が自動的に高くなるも、高い運賃を目当てに多くのドライバーが集まるので次第に需要と供給がバランスされるという市場原理を持ち込んだ仕組み。また、料金はメーター制ではなく距離で決定するため配車依頼時に確定)

・スムーズ決済(支払いはアプリ上で完了するため決済は不要。ドライバーと利用者の間で直接お金のやり取りがないので利用者の心理的安心度が向上)

・Uber Pool(目的地が似通った異なる利用者を相乗りさせて、運賃を割り勘にすることで安くするサービス)

・AI導入(どの時間帯にどこでUberの利用者が多そうかというのを大量のデータを基にAIが予測し、あらかじめドライバーが集まる仕組みを導入)

② Uber Eats

食事を配達してほしい人と、配達をしてお金を稼ぎたい人を結びつける食事宅配サービス。日本では自転車が多いが米国では車で配達がメイン。(ドライバーの業務の選択肢の一つ)

③ Uber Freight

荷物を運びたい人と、輸送業者をつなぐマッチングサービス。

④ Uber Jump

電動自転車や電動キックボードのシェアリングサービス。

⑤ 研究開発

・自動運転

・Uber Elevate(航空機チャーターに関するもので、航空機での移動を身近なものにするために、障壁を取り除く様々な研究を行っている。)

⑥ その他

Uber Health、Uber Workなど。

STOP

・歴史をみて思ったことは、Uberはほんとに早い段階で世界展開したんだなと。Uberのようなサービスでは、ユーザー目線ではより多くのドライバーがいるアプリを選びたいし、ドライバー目線でもより多くのユーザーがいるアプリが良いと思われます。よってマーケットリーダーがどんどん強くなるので先行者利益が非常に大きく、これを十分に理解してまだ米国で足場が固まらないうちに一気に世界に進出したんですね。すごい。

・各国で、地元企業との激しい競争があって結果的に撤退している国もあるのですが、撤退と引き換えに、ライバル(DiDi、Yandex、Grabなど)の株式をしっかり取得しているので、撤退した市場の利益もしっかり取り込める形になっております。Uberブランドを浸透できないのは確かに痛いのですが、これはこれでいいのかと。

・ビジネスに関しては、Uberの配車サービスがいかに多くの革新的な要素から成り立っているかがわかります。ダイナミックプライシングによる需給バランスの平準化や、AIによる客位置予測などは、一見細かいことに思えるかもしれませんが、ドライバーのアイドリング時間(仕事をできてない時間)をできるだけ減らすためのこういった仕組みに磨きをかけることが、他社との大きな差別化要因になってくると思います。

・電動自転車や電動キックボードの事業も始めてますが、これは自転車やキックボードを自社保有しているので、マッチングサービスに特化していた従来のビジネスモデルとは全く異なるものです。この分野は一気に広めることは難しいと思いますが、あらゆるロジスティクスの分野で革命を起こそうとするUberの意思が感じられます。



次回はUberの収益性や将来予測などについて見ていきます。

以上

りろんかぶお

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[ 2019/12/03 11:28 ] 7.企業研究 | TB(-) | CM(0)

Alphabetはどこへ向かうのか?③

Alphabet.png


Googleといえば世界的な企業で、検索エンジンや、YouTube、Google Map、Google翻訳などの便利なサービスは皆さんも使ったことがあると思います。

一方で、Googleは自動運転の分野に投資したり、ヘルスケアやロボット、量子コンピューターなどの分野にも積極的に投資していて、2014年には持ち株会社のAlphabetが設立され、より新規の分野にも注力していくことが発表されました。

これを受けて、Alphabetって今どういうことに取り組んでいるの?これからAlphabetはどこに行こうとしているの?といった疑問にお答えするため、Alphabetについて色々調べてみました。

前回記事↓
Alphabetはどこへ向かうのか?①
Alphabetはどこへ向かうのか?②

今回は、Alphabetの現在の収益源と今後どこへ行こうとしているのかについて記載します。

1. 収益源

・Alphabetの2016年~2018年の3年間の売上の内訳は以下の通りです(Annual Report抜粋)。
収入構造

・Google segmentというのがGoogleからの売上で、Other BetsというのがGoogle以外の子会社からの売上です。
これを見てもわかる通り、Alphabetの売上の99%以上がGoogleからの売上で、その他の事業はまだほとんど収益化できていない状況です。

・まだ多くが研究段階なので仕方なしですが、Other Betsもいくつかは商用化段階に入りつつあるので、徐々に収益化が実現してくるものと思われます。

2. 今後どこへ行くのか?

・ここまで見てきたように、Alphabetは我々の慣れ親しんだウェブサービスのみならず、メディカル、自動運転等、一見それぞれに関係のないビジネスをしているように見えます。これらを同時並行で進めて、いったいどこへ行こうとしているのでしょうか?

・その答えは、Alphabet設立時のラリーペイジの手紙の最後にありました。

“And hopefully… as a result of all this, we are excited about improving the lives of as many people as we can”

・Googleの創業時のMissionは「世界中の情報を整理して、誰もがアクセス出来て使えるようにすること」でした。
ただ、会社が大きくなり、時がたち、創業者であるラリーペイジとセルゲイブリンは「より多くの人の生活をよりよくしたい」という更に大きなMissionが芽生え、それを実現すべくAlphabetを設立したということだと思います。

・そして、その大きなMissionの中核にあるのはやはり「検索」だとラリーペイジは答えました。

「検索というのは我々にとってとても深い意味を持つ。
長い間検索技術を改良してきたが、まだ全く完成に近づいていないし、まだ出発点でしかない。

検索の理想形は、PCがユーザーを完璧に理解し、世界の情報を完璧に理解し、周りの全てを完璧に理解することだ。

現在AI技術が発達し、AIが自ら学ぶ機械学習の研究が進んでいる。
AI研究が更に進んで、検索技術に組み込んでいけば、我々が求める理想形に近づけるのではないかと思っている。」

・我々からしたら今のGoogle検索で十分便利だと思うのですが、ラリーペイジにとってはまだ出発点に過ぎず、全然違う未来を見ているということですね。

・ラリーペイジとセルゲイブリンがGoogle創業時にFounder’s Letterを公表しましたがその中に「Googleは従来の会社ではないし、そうなるつもりもない。」と述べていました。

・「そんなことできるわけがない、ばかげている」ということに大きな投資を行って、我々の生活を革命的に変えてくれる。それがAlphabetですね。

以上

りろんかぶお

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[ 2019/11/25 12:27 ] 7.企業研究 | TB(-) | CM(0)

Alphabetはどこへ向かうのか?②

Alphabet.png


Googleといえば世界的な企業で、検索エンジンや、YouTube、Google Map、Google翻訳などの便利なサービスは皆さんも使ったことがあると思います。

一方で、Googleは自動運転の分野に投資したり、ヘルスケアやロボット、量子コンピューターなどの分野にも積極的に投資していて、2014年には持ち株会社のAlphabetが設立され、より新規の分野にも注力していくことが発表されました。

これを受けて、Alphabetって今どういうことに取り組んでいるの?これからAlphabetはどこに行こうとしているの?といった疑問にお答えするため、Alphabetについて色々調べてみました。

前回記事↓
Alphabetはどこへ向かうのか?①

今回は、Alphabetの子会社群について簡単に記載してみます。

1. ストラクチャー
・Alphabetの子会社数をGoogle検索で調べたところ、「少なくとも28社」と出ました。

・AlphabetはGoogle時代も含めると1998年の設立から現在(2019年11月)までで、なんと230社も買収しており、およそ一月に一社のベースで買収を行っております。関係会社も日々増えるので子会社数もそれに伴って変動します。

・そんな中、Alphabetの主要な子会社を、ストラクチャー図で表したのが以下です。

Structure.png

2. 主要子会社概要

① Google
・Alphabetの最大の子会社。
・Google検索、Gmail、YouTube、Android、Google Map、Google翻訳等、世界的に親しまれているウェブサービスを無料で提供(一部を除く)し、主に広告収入で稼ぐビジネスモデル。
・Alphabet設立後も、量子コンピューターやAR/VRの分野の研究はGoogleの研究チームが遂行中。

② Calico(2013年設立、初期投資15億ドル)
・老化とそれに伴う病気に関する研究を行うバイオテクノロジー企業。
・設立当時、「グーグルが不老不死の研究に15億ドル(約1600億円)を投じた」というニュースはとてもセンセーショナルでした。
・実は、現在の科学でも人間の老化の根本的な原因は究明できていないようで、Calicoはその原因を突き止め、あわよくば対処するための長期プロジェクトを遂行するために設立されたもの。
・世界中の超優秀な研究者を集めて、ネズミを使った研究が日々行われている。

③ Nest(2014年、32億ドルで買収)
・Google Nest Hub等のIoT関連ホーム系製品を製造・販売。
・Nestは、もともと自動室内温度調節機器(サーモスタット)が看板商品でしたが、そこにはAIが搭載されていて、どの時間帯にどれくらいの温度にすればいいかなど、ユーザーの行動パターンを基に自ら考えて温度調節をしてくれる優れモノでした。
・こういった機能をベースに、Alphabetの買収後は本格的に家の中のIoTのハブ(例えば家電を全てネットにつなげ、ハブから全ての指示を出せる、等)の役割を果たす製品を販売。

④ Waymo(2016年にGoogleの自動運転研究運転部門がスピンオフされて設立)
・自動運転の商用化を目指す研究を行う企業。
・カルフォルニア州や民間の調査会社によると、安全性や総合的な技術の面でWaymoは競争の激しい自動運転業界で1位となっており業界を牽引する企業。
・2018年12月にはセーフティドライバーが同乗した状態で自動運転タクシーの商用サービスを開始。
・更に、2019年11月には、米アリゾナ州フェニックスにおいて、セーフティドライバーを同乗させない状態での完全無人自動運転タクシーのサービスを一部住民に対して試験的に開始。まだまだ将来の話と思っていた自動運転がもうそこまで来ています。

⑤ DeepMind(2016年、625百万ドルで買収)
・人口知能に関する研究開発を行う企業。
・DeepMindの目標は「知性の謎を解く」ことで、人間の脳について理解するために、知性を形式化しようと試みている。
・現在のDeepMindの焦点は、人間と似たようなやり方でどのようにビデオゲームをプレーするかを学ぶAIの開発で、作成コードを変更することなしに、AIにゲームを理解させ、人間より効率的にプレーすることを目指す。
・2016年にAlphaGoが人間のプロ囲碁棋士を初めて破ったことで大ニュースになりましたが、これはDeepMindが開発したものですね。

⑥ Loon
・気球を用いた空の移動体通信基地局事業。これまで通信網の整備されていなかった地域の人々達が気球に搭載された中継装置を介してインターネットに接続できるようにする計画。
・より低コストで無線基地局を作ることをテーマに立ち上げられたもので、太陽光を電源として、上空2万メートルにうかばせるもの。
・まだまだ技術的な課題はあるものの、ソフトバンクも125百万ドル出資し、2019年内にケニアで商用化に向けた試験が開始される模様。

Etc…

STOP

・あらゆる最先端のものに手を出し、どの分野でもトップランナーなのがAlphabetというイメージです。

・現在Alphabet子会社の中では、Google以外の子会社からの収益はほとんどないのですが、Loon一つとっても企業価値は既に10億ドル以上とも言われており、自動運転の商用化が視野に入るWaymoなどはそれをはるかに上回るでしょう。

・このようにまだ収益をほとんど生み出していない子会社群の潜在的な企業価値は膨大な額にも上るといわれており、現在の株価にはまだまだそれらの潜在価値が織り込まれていないとも言われております。

次回は、このように様々な分野に進出し、もはや何の企業かわからなくなってきたAlphabetが、今後どこへ向かおうとしているのか?についてです。

以上

りろんかぶお

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[ 2019/11/22 11:59 ] 7.企業研究 | TB(-) | CM(0)

Alphabet(Googleの親会社)はどこへ向かうのか?①

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Googleといえば世界的な企業で、検索エンジンや、YouTube、Google Map、Google翻訳などの便利なサービスは皆さんも使ったことがあると思います。

一方で、Googleは自動運転の分野に投資したり、ヘルスケアやロボット、量子コンピューターなどの分野にも積極的に投資していて、2014年には持ち株会社のAlphabetが設立され、より新規の分野にも注力していくことが発表されました。

これを受けて、「Alphabetって今どういうことに取り組んでいるの?」「これからAlphabetはどこに行こうとしているの?」といった疑問が浮かんできたのでAlphabetについて色々調べてみました。

複数回に分けて記載したいと思いますが今回は、設立当初から現在までの歴史について簡単に記載してみます。

<Google/Alphabetの歴史>

1998年:Google設立

・Googleの共同創業者であるラリー・ペイジとセルゲイ・ブリンは、スタンフォード大学博士課程在籍中に、共同で検索エンジンに関する論文を書き、それをサービス化することを目的としてGoogleを設立。

・そしてなんと、設立当初の数人のエンジェル投資家の一人が、アマゾンCEOのジェフ・ベゾス。

・設立当初のMissionは“Google’s mission to organize the world’s information and make it universally accessible and useful”。つまり、世界中の情報を整理して、誰もがアクセス出来て使えるようにすること、と定めていました。

2001年: エリックシュミットがCEO就任

・Googleの規模が大きくなってきた2001年、当時まだ20代であったラリー・ペイジとセルゲイ・ブリンが経営するには大きすぎるとの出資者からの指摘もあり、エリックシュミットがCEOに就任し、ラリー・ペイジとセルゲイ・ブリンを合わせた3人体制での経営が始まりました。

・こういった体制を敷くことで、一般的な社長業はエリックが担当し、ラリー・ペイジとセルゲイ・ブリンはGoogleの戦略を考えることに専念できたことがその後Googleの成長に大きく寄与しました。

2004年~2009年:現在のコアサービスを次々に開始

2004年
・Gmailサービス開始
・株式公開
2005年
・Google Mapサービス開始(買収したWhere 2 Technologiesが大元の技術)
・Android買収
2006年
・Youtube買収
・Google翻訳サービス開始
2008年
・Google Chlomeサービス開始

2010年~:既存ビジネス領域以外の分野にも次々に進出

2010年:自動運転カープロジェクト発表
2012年:眼鏡型プロジェクト「Project Class」を発表
2013年:
・気球式インターネット網プロジェクト「Project Loon」を発表
・オンライン授業サービス「Helpouts」を開始。
・老化・病気・ヘルスケアに取り組む「Calico」の設立を発表
2014年:量子コンピュータ開発を発表、AIやロボット関連企業を次々に買収

2014年:Alphabet設立

・既存ビジネス領域(いわゆるGoogleのサービス)以外の分野にも事業領域が急拡大したことにより、新規事業分野も含めて効率的に注力していくために、Googleを含むそれ等の企業を傘下に収めるAlphabetという持ち株会社を設立。

・GoogleのCEOはスンダ―ピチャイが就任し、AlphabetのCEOにラリーペイジ、Presidentにセルゲイブリンが就任し、共同創業者の二人はより長期的な目線で新規事業に注力することとなった。

・企業名の由来は、①企業の集合体である持ち株会社に対して、人類にとって最も重要な革命の一つである文字の集合体を指すアルファベットが適していたこと、②Alphaはファイナンス用語で投資の超過収益を意味し、それにBet(賭ける)するという意味で、より新しい分野に大きな投資を行っていく企業体にふさわしかったことが理由とされている。

~現在:AR/VRやクラウド、AI等の分野の企業を積極的に買収

STOP

・Google設立当初からの買収企業数は現在(2019年11月時点)までで230社に上ります。

・これを見てもわかる通り、Googleはどのようなサービスを作りたいかは自社で考えるものの、そのために必要な機能、及びそのサービスを補強するために必要な機能は、積極的に買っていたことがわかります。

・これはGoogle検索などのコアサービスから生み出されるけた外れの広告収入(2018年の広告収入は12兆円を超えます)があるからこそできる芸当なのです。こういったキャッシュカウがあるからこそ、必要な機能は次々に買って、時間を節約しスピード感をもって次々と新しいサービスを提供し続けてこれたのです。

次回はこのAlphabetの関係会社群をもう少し細かく見ていきます。

以上

りろんかぶお

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[ 2019/11/20 13:58 ] 7.企業研究 | TB(-) | CM(0)

スターバックスビジネスの競争力が永続すると思う理由

こんにちは!バフェット部のりろんかぶおです。

バフェットの投資哲学の一つに「将来にわたり長期的に好ましい業績が見込める企業」というものがあります。
バフェットはこのような企業を見分けるポイントとして、ビジネスの周りに深い「堀」=永続する競争力をもっているかどうかという点を重要視しております。
(詳しくは以下の記事ご参照)

「バフェットの4つの投資戦略に学ぶ!~城の周りの「堀」の正体~」

今回は、りろんかぶおが独断と偏見で選んだ「競争力が永続しそうな企業」を紹介していきたいと思います。

今回の銘柄は皆さんご存知のスターバックス(以下“スタバ”)です。
タイトルにある通りスタバの競争力は永続すると思います!(りろんかぶお個人の意見!!)

この考えの根幹は、自分自身がカフェなら絶対スタバを選ぶし、今後もスタバを選び続けると思うからです。
ついでに言うと、自分の周りの人もカフェならスタバという人が大半ですし、米国駐在時にも感じましたがアメリカ人もスタバは大好きです。

何となく理由が軽いと思うかもしれませんが、自分が消費者として買っている「モノ」や客として受けている「サービス」は、それらの良し悪しを自分自身でわかっているので、提供する企業のビジネスの本質を理解しやすいです。もし、一生使い続けると自分自身が思える特定の企業のモノやサービスというものがあれば、その企業は永続する競争力を持っている可能性が高いです。

スタバに関して以下の順で考察していきます。

1. スタバを選ぶ理由からひも解くスタバの戦略
2. スタバビジネスの競争力
3. 今後の成長性~長期投資の観点~
4. まとめ






1. スタバを選ぶ理由からひも解くスタバの戦略


我々スタバ信者はなぜスタバに行きたくなるのでしょうか?
りろんかぶお自身がスタバを選ぶ最大の理由は「スタバの上質な空間に身を置いて時間を過ごしたいから」です

多くの人にとって、理由はだいたい同じなのではないでしょうか。

この理由の裏に隠されたスタバの戦略を見ていきます。

これは有名な話ですがスタバは自社を、単にコーヒーを売るお店ではなく、「友人や職場の同僚などと日常的に時間を共に過ごせる、家でも職場でもないThird Place(第三の場所)を提供するお店」、と表現しております。

また、スタバはそのようなThird Placeで“Starbucks Experience”を体感してもらうことが自社の価値であるとしております。
“Starbucks Experience”とは、上質なコーヒー、最上の顧客サービス、地域文化・個性を反映する洗練された内装、最高の音楽、等、スタバの空間で味わえる全てを指します。
レジで払う金額には、コーヒーの代金のみならずこれらの要素に関する代金も含まれているので、スタバでは少しコーヒー代が高めに設定されています。

スタバは、上質なコーヒーを提供するために、コーヒー豆の調達には高い選別基準を設け世界中から調達し、最上の顧客サービスを提供するために社員教育を徹底し、それぞれの地域文化・個性を反映した上質な空間を提供するために各地域にデザインスタジオを保有しています。つまり自社の商品である“Starbucks Experience”の価値を高めるために徹底した企業努力がなされているのです。

こういったスタバの取り組みが、目には見えない価値を生み出し高いブランドに結び付き、ロイヤリティの高い顧客が増殖していきます。

このように、スタバが選ばれる理由にはスタバの練りに練られた戦略があるのです。

ちなみに米Interbrand社による、2017年の企業ブランド価値ランキングTop 100では、アップルやグーグル、ベンツ等の並み居る有名企業がひしめく中、スタバは堂々の60位で、飲食業としてはマクドナルド(12位)に次ぐ2番目です!これからもスタバのブランド力の強さがうかがえます。

http://interbrand.com/best-brands/best-global-brands/2017/ranking/


2. スタバビジネスの競争力


カフェというのはコーヒーを飲んでゆっくりしたいという人が行く場所なので、「居心地の良い空間で時間を過ごしたい」という顧客ニーズがあるはずですが、これはとてもあいまいで、明確な答えがないニーズです。

しかし、スタバは“Starbucks Experience”を磨き上げることでこの難しい顧客ニーズを満たし世界中でスタバブランドを確立することに成功しました。更に、“Starbucks Experience”は複数の要素が複雑に絡み合ったサービスですので、競合他社がこれをまねることは不可能で価格競争に巻き込まれることもないと考えられます。

これをすれば顧客ニーズを満たせるという明確な答えがない領域だからこそ、そもそもこの領域で成功することは難しいですし、既に地位を確立して顧客から信頼を勝ち取ったスタバに対抗できる企業というのは今後出てこないのではないかと思うのです。

これがスターバックスビジネスの競争力が永続すると思う最大の理由です。


3. 今後の成長性~長期投資の観点~


以下表はスタバの全世界の店舗数推移になります。
ご覧の通りスタバは今でも店舗を拡大し続けており、北米、欧州、日本等の成熟した市場に加えて、中国などのまだまだ開拓しきれていない新しい市場でも急激に店舗数を伸ばしております。

Untitled spreadsheet
スタバ店舗数推移(ライセンス契約店含)

2013年 2014年 2015年 2016年
米国 11,457 11,962 12,521 13,172
中国 1,017 1,367 1,811 2,381
日本 1,000 1,060 1,073 1,140
カナダ 1,337 1,445 1,358 1,399
その他 4,956 5,532 6,280 6,993
全体 19,767 21,366 23,043 25,085








スタバのコーヒーは高価格設定なため、サービスの対象は豊かな国となりますが、逆に言えば世界が豊かになっていくことで市場規模がどんどん拡大していくビジネスとも言えます。

そういった市場で、他社にはまねできない価値を提供していくことで、スタバは今後も企業価値を拡大していくと思います。


4. まとめ


このような理由から、りろんかぶおとしてはスターバックスのビジネスは永続すると思いますし、今後も拡大していくと思うので、長期保有にはぴったりの銘柄だと思います。

但し、このような素晴らしい企業でも割高価格で株式を購入してしまっては利益を得ることはできないので、しっかりと適正価格以下で購入することが必須になってきます。スターバックスの理論株価及び財務分析は以下の記事をご参照ください。

【スターバックス】 世界で最も有名なカフェテリアの理論株価は?


NYダウ銘柄理論株価一覧最新版はこちらご参照ください!

以上

りろんかぶお

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[ 2017/11/30 10:07 ] 7.企業研究 | TB(-) | CM(0)
プロフィール

りろんかぶお

Author:りろんかぶお
【名前】:りろんかぶお
【生年】:1987年
【出身】:千葉
【性格】:感情の起伏ゼロ。声低め。
【学歴】:東京大学大学院卒
【職業】:2019年にセミリタイアし現在は専業投資家。
元総合商社勤務(M&A等)
【資格】:証券アナリスト
【趣味】:投資・麻雀・ランニング
【家族】:妻、子供2人
【目標】:資本を通じて社会に貢献すること
【投資デビュー】:大学3年生(小遣い稼ぎのつもりがぼろ負け。。)

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