
バフェットの買った株を後追いで買うくらいなら、バークシャーハサウェイ自体を買えばいいという人がいます。
バークシャーを通してバフェットが投資してくれるのだからと。
また、投資ファンドにお金を預けるくらいなら、バークシャーに投資すればいいという人がいます。
投資ファンドに預ければ、高額の成果報酬(高いところでは投資収益の20%程)を支払う必要があるが、バークシャーハサウェイでは、会社自体の年間利益が100億ドルを優にこえるのに対して、天才ファンドマネジャーバフェット社長への給料は年間0.001億ドル(1100万円程)なので、つまり成果報酬は0.001%にも満たないのだからと。(実際には他経費も掛かりますが)
「個人あるいはファンドへの投資」と「バークシャーへの投資」を比較するときに一つ考えておかないといけないことがあります。
それが
税金の話です。
1. 個人あるいはファンドへの投資個人で個別株などを購入した場合、売買によって生じたキャピタルゲインや配当に対して所得税(+住民税)を払う必要があります。
日本では2020年1月時点で20.315%(所得税および復興特別所得税15.315%、住民税5%)です。
またファンドへ投資した場合、そのファンドが代わりに個別株などに運用してくれてそこで発生したキャピタルゲインや配当は、ファンドの段階では課税されず、出資者である個人に分配されたときにはじめて個人の個別株投資と同様の税金(20.315%)が発生します。
これはファンド自体に課税がなされると、出資者には課税後の利益が分配され、その分配金に対してさらに所得税が課税されるという二重課税が発生してしまうので、運用委託先であるファンドでは
パススルー課税(ファンドでは課税されない)が適用されるのです。
2. バークシャーへの投資バークシャーは株式会社なので
パススルー課税が適用されません。
よって、バークシャー社によって企業の一部に投資する投資活動(※)で生じたキャピタルゲインや受取配当(但し受取配当は半分程度が課税所得から控除可能)に対して、バークシャーはファンドと違って法人税を支払う必要があります。(財務諸表を見るとおよそ約25%の法人税率)
バークシャー株主は、バークシャー株を売却してキャピタルゲインが発生した時や配当を受け取った時に個人として更に所得税を払う必要が出てくるので二重課税になるのです。
これはバークシャーの財務諸表からもわかりますし、バフェットからの手紙でバフェット自身も認めていることです。
ただ、バフェットの投資方針はバイアンドホールドなので実際の税金支払いはかなり繰り延べています。
※但し、バークシャーの連結子会社の場合、連結子会社レベルでの法人税支払いがバークシャー自身の法人税支払いとなるのでこのような二重課税は生じない。
3. 税金比較~「個人あるいはファンドへの投資」と「バークシャーへの投資」~「個人あるいはファンドへの投資」
(※税金の影響のみを見るためにここではファンドに支払う手数料は省略)
キャピタルゲイン:+100
ファンドでの課税:0
個人(日本)での課税:▲20.315 (100×20.315%)税後利益:79.685 (100 – 20.315)「バークシャーへの投資」
キャピタルゲイン:+100
バークシャーでの課税:▲25
個人(日本)での課税:▲15.236 ((100 – 25 )×20.315%)税後利益:59.764 (100 – 25 – 15.236)ここまでの差が出てきちゃいます。
また、ファンドへの成果報酬がヘッジファンドで一般的な20%だとしても、バークシャーで発生する25%の法人税の方が大きいわけです。。
4. まとめ税金の観点のみから言うと、バークシャーのような投資会社への投資というのはデメリットが大きいのも事実ということがわかりました。
但し気を付けなければいけないのがこれは
「税金の観点のみ」の分析です。
例えば、バークシャーのような保険会社では、被保険者から保険料を受け取って、不測の事態が起こった時に保険金を支払うまでの間、その保険準備金を運用することができるので、その運用益で利益を上げるビジネスモデルです。
バフェットは保険準備金をフロートといっていますが、このフロートを実質的な
レバレッジとして投資収益を高めています。
これは個人やファンドにはできない芸当なので、これはバークシャーならではの大きなメリットといえるでしょう。
このように、株式会社ならではのメリットもありますし、なんといっても伝説的投資家に運用してもらえることもあるので、バークシャーへの投資を否定するわけでは全くありませんが、税金に関する豆知識も頭の片隅に入れておいてもいいのかもしれません。
以上
りろんかぶお
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はい、結構見落とされているポイントだと思います。